ロベールの心配

中庭を歩いてくるロベールは、新しいグレイのジョギングパンツに、グレイに赤のストライプのTシャツ。よく何日間も同じ服を着ているのに、「カッコいいじゃない!元気?」
ロベールは“カッコいい”にも反応せず、「ふーん」とうかない返事。私がドアのカギを開けて振り返ると、もういなくなっていた。

その翌日。
「アスペルガー?!」
夫が、ロベールのお母さん(義母)にばったり会ったら「検査でアスペルガー症候群とわかった、ずっと児童精神科医2人に相談していたのにどっちも見抜けなかった、ヒドイ!」という話をしたそうだ。普段は口もきかないのに、夫の出版社が子供の問題を扱ったシリーズを出しているので話す気になったらしい。

ロベールは小学生の頃から「集中できない、先生の言うことを聞かない」とお母さんが嘆いていた。私も小さい頃、同じことを言われていたから「仲間じゃない」くらいに思っていた。でも程度が違ったみたい。
去年の秋、中学校に入ってからそれが顕著になったそうだ。フランスの中学校は担任がいない、科目ごとに教室が変わる、つまり自分の机がない。つまり小学校とは急激な変化。今まで担任の先生になんとか焦点を合わせて繋ぎとめていたのが不可能になった。
「アスペルガー症候群」をウィキペディアを見ると“社会的コミュニケーションの困難”:たしかに。彼には友達がいない。
一緒に歩いていて、知らない人の持ち物に突然触ったり、挨拶されても返事をしないのは、家庭教育のせいかと思っていたら。だってお母さんがボンジュールと言っても返事をしない人だから。
“狭い興味と反復行動”:その通り。一時はお小遣い稼ぎだけに興味を持っていて、口を開けばお金の話だったのが、今はバス。時間があればバスを乗り継いであちこち行っているらしい。
“知能の遅れはない”:むしろ頭がいい子だ。
フランスではアスペルガー症候群を自閉症のひとつに分類していて、約30万人と言われる。

当面、ロベールはセラピストの付き添いつきで、今の中学を続けるそうだ。
問題の理由がわかったのを良し、とすべきか。でも前途多難。ため息が出る。あの「ふーん」は何だったんだろう?
「私も妻もロベールが好きだから、何かできることがあれば、と言っておいた」と夫。
できることねぇ・・・一緒にバスを乗り継いでパリ旅行?迷惑がられるだけか・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村





スポンサーサイト

映画ザッピング:いじめの後遺症

南仏の村。可愛くてセクシーなルナはルベンに首ったけで、彼の誕生日プレゼントに子犬を盗むという危険を働く。
その晩はルバンの仲間たちとバイクで繰り出し、たまり場になっている空き倉庫にやってきた。そこにはひとりでグラフィティをする男子がいた。すでにかなり酔っぱらっている彼らは、いい魚ができたとグラフィティ男子をからかい、しまいにはルベンが率先して暴行を加える。ルナもそれに加勢した。
ルベンのやることなら何でもよかったのだ。彼の子供を身ごもり、言われるまま中絶を決める。でも手術の日に、ルベンは付き添いにも来なかった(はたから見ると、いい加減なアホ男で、さっさと別れろ!と言いたくなるけど・・・恋は盲目)

ルナは職業訓練学校を出て、農園で働いている。南仏の太陽を浴びたズッキーニ、トマト、メロン・・・摘み取って箱に入れる。
ある日、農園に新入りアレックスがやってきた。その顔を見るなりルナは逃げ出す。アレックスは倉庫でいじめた青年だったのだ。

少し前に髪を切って赤毛に染めたルナにアレックスは気づかない。何事もなかったかのように話しかける。いつバレるかハラハラしながら、ルナとアレックスは次第に接近していく。

『ルナ』

映画『Luna/ルナ』

田舎の小さな社会で、若い子たちがくっついたり離れたり。でも被害者は、そして加害者たちも“倉庫の夜”を忘れられない。
傑作ではないけど、主役の2人がいい。

アレックスを演じるのは、『太陽のめざめ』でマロニー役のロッド・パラド。木工職人になるため職業訓練学校に通っていたところスカウトされて、いきなりセザール有望男優賞を受賞した。
『太陽のめざめ』では少年ぽかったのが、すっかり青年。うちに秘めた感情を表現するのが上手い。

ルナは今まで見たことがなかったレティシア・クレモン。多くを語る大きな目、ピチピチした肢体、日焼けした肌。彼女も前途有望そう。

映画『Luna/ルナ』 ロッド・パラド
photos:allociné

アホ男ルベンの写真がないのが残念!
女性監督エルザ・ディリンジャー初の長編作品のせいか、上映館が少ないのも残念・・・

Luna
監督:エルザ・ディリンジャ―
主演:レティシア・クレモン、ロッド・パラド
1時間33分
フランスで上映中

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




いい男はみんなあごひげ?

1990年代に始まった流行はbarbe de 2 jours。俳優・監督のエドゥアール・ベールが流行らせ頭で、“2日間剃ってないあごひげ”と寝起きのようなボサボサ頭がセクシーとされた。ヘンな国。

来月のカンヌ映画祭セレモニーの司会は彼。今度で3度目。

エドゥアール・ベール
photo:LCI

今の流行は“4日間剃ってないあごひげ”で、より男性的、野性的なイメージだそうで、そういえば総理エドゥアール・フィリップ。
いい男とは言えないけど、エレガンスはある。でも髭が濃すぎて、“野性的”か“むさくるしい”か、評価が分かれるところ。

総理もあごひげ
photo:le Tribune

閣外相、クリストフ・カスタネール

あごひげ流行
photo: la depeche

政治家もやってるくらいだから、銀行のような固い職業でも許されていて、あごひげ人口は35歳以下の45%、と言うのは、あごひげブランドBarb’Xpert/バルブエクスペールのディレクター。一見無精ひげに見えて、実はお手入れが大変、というあごひげブームに一番乗り。特別シャンプー、髭をソフトにするオイル、毛並みを整えるワックス・・・女で良かった。

ヘアケアのFranck Provost が出したBarb’Xpert/バルブエクスペール

あごひげケア製品


好き嫌いは別として、あごひげのいい男と言えばベッカム。ロレアルとのコラボレーションでコスメラインHouse99を始めた。
髪、髭、顔、ボディケアの21点で、タトゥーのサンケア保湿クリームまである。太陽に当たって墨が乾燥して色あせしないため!

デヴィッド・ベッカム


もしかして、息子の“無精ひげ”も先端ひげだったのかも。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



3か月前にこの質問をしたら「はい」か「いいえ」で終わっていたのに、ナタン君はしばし考えてから話し出す。
「いえ好きじゃないです。でも・・・お父さんとテニスします」
合間に入ったフランス語説明によると「身体にいいから運動しろ」と両親がうるさいらしい。そういえばお母さんはお医者さんだ。
「それから歩きます」
10分早く着いて、周囲を歩き回ってるくらいだからね。でもよく聞くと、競歩のこと。Marcherは“歩く”だけど、単語 la marcheになると競歩の意味になる。
「でも・・・一番好きなのはソファ!」
とマンガチックな顔になった。
一瞬、ソファという私の知らないスポーツがあるのかと思って、
「ソファって・・・あのソファ?」
「そう、ぼくのソファが大好き」
ソファで本を読んだり、アニメを観たりするのが一番なんだそう。たしかにオタクっぽい雰囲気の子だけどやっぱり。

その日は初めて宿題に出した漢字を書かせてみた:友だち・今年・今週・午前・午後
おお!ちゃんと書く。全部ばっちり。
「どのくらいかかった?」
「日曜の午後ずっと。500回」
「 ごひゃっかい !? ひとつの漢字を500回書くの?」
「そう、それから毎日少し」
「・・・・」
ああ、子供たちに聞かせたい、とため息が出るのと同時に息子のセリフを思い出した。
「(日本語は)自分で学ぼうと決めたわけじゃない。そういう運命に生まれついた」
屁理屈に聞こえるけどその通りだ。だから、私が一時フランス語をモーレツに勉強した、というのは引き合いにださない。自分で決めたことだから。
20歳で、日本語をマスターしようと決めたナタンのモチベーションに改めて感嘆した。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』を日本語で読めるのも夢じゃないかも。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村





利用者たちが高速バスや車の相乗りで必死に目的地にたどり着こうとしているのを尻目に、国鉄SNCFはスト2日目。

電車が着かないから乗客もいない。暇ねぇ・・・

フランス国鉄スト
photo:ouest-france.fr

“週2日ずつ3ケ月”という新型長期スト。
保存版 スト日カレンダー

フランス国鉄スト カレンダー

鉄道員たちも『好きでやってるわけじゃない』というストをなぜするんだろう?
法案の内容の:
①鉄道員の特権的労働条件の廃止
②民営化の可能性
③地方の小線の廃止案
④重い負債に関する記載
などに反対しているからだ。

中でも一番反対している①の特権的労働条件とは、早期定年(過酷な仕事だから)、家族まで大幅割引(おじいちゃん・おばあちゃんまで年4回無料で乗車)などの他企業にない特典・・・でもこの労働条件って1世紀近く前からあって、当時は石炭くべて真っ黒になって肺を冒して、と確かに過酷な仕事だった。今は全部オートマチックでしょ・・・

④の負債額は450憶ユーロに上り、SNCFは「この負債の責任は国にあるので、国が肩代わりすべきだ。」ところが、法案にはそれが記されていない。
この膨大な負債のため、システムや機械の改良工事ができず、去年のモンパルナス駅のようなことになる。いかにしてこの累積赤字を減らすかの改革法案に、悉く反対して「国が肩代わりすべき」なんて!

ドイツの組合は「改良」するためにストし、フランスの組合は「抗議」するためにストをする、と言われるけど、とにかくフランス人は、一度ゲットした権利を、どんなに状況が変わろうとも死守しようとする。
アンケートによると過半数が「マクロンは最後まで折れないだろう」。そう、折れちゃダメよ。SNCF対マクロンの根競べ。

一方、SNCFのストを支持する、理解できる、という人も少なくない。スト支持デモまであった(マクロン反対デモだろうけど)。
電車がなくて相乗り、バスと乗り継いで、でも結局目的地にたどり着けなかった女性がラジオのインタビューに答えて、
「でも鉄道員の気持ちもわかるわ。いろいろ優遇があるから入社しようと思うわけで、それを急に止めるなんて・・・」
アンタたち、マゾ!


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村






プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
03 | 2018/04 | 05
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ