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11月23日。レピュブリック広場の難民キャンプを退去で、暴力的な警官たちの様子がヴィデオで流れた。まるで犯罪者扱い・・・。
IGPN(警察の警察)が捜査を始め、難民のひとりに足蹴りを食わせ転倒させた警官は処分扱いになった。

その後、パリ17区で黒人の音楽プロデューサーが警官たちに殴られるヴィデオが公開され、フランス中を駆け巡る。
“マスクをつけていなかった”という信じられない理由と、これでもかという殴り方に誰もがショックと怒り。
人種差別的発言もあったそうだけど、残念ながらヴィデオは音声無し。

paris-21-novembre-2020-michel-zecler-producteur-musique.jpg
photo:20minutes.fr

殴った警官4人が取り調べ、2人が「権力機関の人間による任意的暴力行為」で仮拘留になっている。

折しも「治安法案24条」が議論されている。この法案には“警官を撮ることを制限する”という項目があるのだ。
もしこの法案が可決されたら、上のような事件は明るみに出ないことになる。報道の自由はどうなるのか?

警官の暴力、法案24条に抗議する29日のデモは、国民の不安を伝える正当なデモであったはずだ。
でも三密どころじゃない・・・

Manifestation-contre-la-loi-securite-globale-le-28-novembre-2020.jpg
photo:liberation.fr

娘も友達数人と出かけていった。コースはレピュブリック広場からバスティーユ広場。
「広場には行かないでよ」と母。
「わかってる。脇道を歩くから。ヤバくなったら帰ってくるから心配するなって」

わたしも様子を見に出ようと思っていたら、娘たちは意外に早く逃げ帰ってきた。
「催涙ガスで歩けない!」
「出ないほうがいいよ。壊し屋がいるから」
ブラックブロックこと壊し屋が現れ、ウィンドウを壊し、車を燃やし、デモの正当性をつぶしてしまったのだ。
ああ、せっかく開店許可が出た初日に、デモのコースに当たった商店はお客が来ないばかりかウィンドウを壊されたり、落書きされたり・・・最悪。
でも、治安法案24条は書き直されることになった。

5年前、連続多発テロのあとの抗議デモに夫と参加した。多くの死者を出したテロの直後で、沈鬱なデモ。バスティーユ広場からナシオン広場にノロノロ進んいたとき、広場を取り囲む警官たちに自主的な拍手が起こり、いつまでも続いた。
あの時、警官は「わたしたちを護ってくれる」という信頼があったのに。
一部の警官のせいで、暴力的、威圧的という形容詞が浮かぶようになってしまった。


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隔離日記:(続)いかに歩かせるか

「シャンゼリゼ通りのイリュミネーションが見たい!」
メトロで凱旋門まで行って、一駅か二駅歩いて、またメトロで帰ってくればいい。
歩かせる口実ではなく、本当に見たかったのだ。
そしたら夫も四の五の言わず「一緒に行く」
コートを着て、マスクもして出かけようというとき、夫が、
「でも1㎞以上ある」と言い出した(今日28日から突然20㎞に延長されたけど、それまでは“自宅から1㎞が限界だった)。
いくらパリが小さいとは言え、バスティーユから凱旋門までは6㎞近い。
「もうすぐ解除になるのに、今コントロールに出くわして罰金を払うのはバカらしい」
たしかに・・・
夫はもっともな反対理由を見つけて、なんだか元気になったようだった。

でもせっかくコートを着ていたので、「河本さんが開いているか見に行こう」と言ったら乗り気になった。
数日前から「河本のお弁当」とうわごとのように言っていたのだ。
ロケット通りの小さなお店には明かりがつき、河本夫妻が忙しげ。テーブルの上には出来上ったお弁当が並んでいる。わたしたちは翌日のお弁当を予約した。

「河本」の定番、茄子の味噌田楽、鮭の照り焼き、インゲンの胡麻和え、白身魚のフライと鶏から揚げ。そしてお寿司!17ユーロ

IMG_20201117_203955.jpg

目的-しかも美味しい目的-があると歩くのね。
でも2m置きに立ち止まってウィンドウを眺めるので-わたしも一緒に立ち止まるので-なかなか進まない。
前にお医者さんから「何かスポーツはしてますか?」と聞かれ、
「ダンス(コンフィヌマン以来クラブが閉まっている)・・・あと毎日1時間くらい歩きます」と答えると、
「歩くのは大変よろしい。でも早足で歩いています?ウィンドウで立ち止まったりしてません?」
どうして知ってるの !?と言いそうになり、「道によります。ハハハ」と答えておいた。

一人の時は音楽を聞きながら歩くので比較的スタスタしている(つもり)。
夫と一緒の歩き方は「歩かないよりマシ」という程度であろうと。


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コロナ時代の子供たちの将来は

1980-2000年に生まれた子供は《ジェネレーションY》、2000年以降生まれは《ジェネレーションZ》と呼ばれる。
このネーミングの発端は、ダグラス・クープランドというカナダ人作家の著作『ジェネレーションX』。
ベビーブームの直後の豊かな社会に生まれ、経済危機を体験した人たちの精神構造を描いた本で大ヒットし(読んでいない)、タイトルはこの世代(1960-1980年生まれ)の代名詞になった。

コロナ禍中に生まれた子供はジェネレーションCovidかと思ったら、《Coronnials/コロニアルズ》という一昔前のロックグループみたいな名前がついているそうだ。

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photo:Fobes

未来学者や心理学者によると、パンデミックは「世界大戦と同じくらい強烈な体験」で、この間に生まれた子供がどう成長するかは、2通り考えられる。
-この経験のおかげで、逆境に立ち向かう力と生きることへの渇望が特色
-この経験のせいで、外界への恐怖、自分を取り巻く人間への警戒心が特色
子供の性格にもよるし、どちらが大勢を占めるかは未来が教えてくれる。

一方、必ず来ると言われる現象は:
出生率の低下。伝染病の恐怖で「今、作るべきじゃない」と判断するのは自然で、その上、パンデミックと経済危機はセットになっている。以前の出生率が戻るには数年かかるという予想(これ以上、日本の出生率が減ったら大変!)

世代断絶。戦争や革命と同じく、その前の世代の人たちと断絶し、「2度とコロナ以前には戻れない」という意識がある。

「でも、いい意味で“コロナ前とは違う”かもしれない」という神経精神学者もいる。
「この危機のあと、人間同士の絆にもっと重きをおくようになり、それが日常の言動を変えるだろう」
なるほど。日本では東日本大震災の後から「絆」という言葉が多く使われるようになった。
暗いニュースが多いから、“コロナのお陰”とか“いい意味で変わる”ことを探してみたくなるけど・・・かなりきびしい。


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隔離日記:マスクの弊害

「今年、生まれてくる赤ちゃんは“マスクをしてる顔”しか見ないってこと」
「そう、マスクも顔の一部と思うだろうね」
と友達と話し・・・でもよく考えると問題はもっと深い。
赤ちゃんは周囲の大人の表情を読んで感情を理解するわけだから、マスクの顔だとその“判読”が困難だ。

前に読んだ「なぜ欧米人はマスクが苦手か」という日本の心理学教授の記事を思い出した。
“アメリカ人と日本人が“顔のどのパーツから感情を読み取っているか?”という比較研究があり、日本人は目元で、アメリカ人は口元で読み取る傾向があるのがわかった。
顔の中で感情が最も現れるのは口元で、感情を偽りにくいのが目と言われている(なるほど)。
感情を表に出す(のが好きな)欧米人は、口元を見て相手の感情を読み取る。感情を表さない日本人は目を見て読み取る。“

つまりマスクで口元が隠れていると、欧米人は相手の感情が読み取れず、居心地悪くてマスクに慣れることができない。
目元で読み取る日本人にとっては、マスクよりサングラスのほうが居心地悪いということ。うーん納得。

話を戻し、大人を真似て成長する赤ちゃんたちは、長じて自分の感情も表しにくくなるのでは、という懸念があるという。
そこで透明マスクをしたり、

透明マスク
photo:faire face.fr

子供に話しかけるときはオーバーに目を動かすこと、だそうだけど・・・コロナの影響は計り知れない。
影響といえば、今年は口紅を1本も買っていない、ファンデーションすら買っていない。その代わりアイラインは2本買った。


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隔離日記:いかに歩かせるか

夫は、バス一駅の距離(徒歩7分弱)を歩くのがいやで、10分バスを待つような人だ。
昔からそうだった、と言うけど、いやいや、年々歩かなくなっている。
テレワークで会社の往復もないから、一日に《書斎からキッチンまでの距離x3回》しか歩かない。
これではいけない!と夕方、散歩に連れ出そうとするけど、誘い方が難しい。
「少し歩かなくちゃダメ」とストレートに言うと却下される。

「アルスナル港に船を見に行かない?」は成功。彼は船が好き。
住居になっている船と、ただ停泊している船が半々くらい。船で暮らすのは陸で暮らすより安い、と思われているけど、船(状態の良い中古)は長さ15mで大体5万ユーロから。に加えて、年間停泊料(地方、港によって違う)、住居税、保険・・・そんなに安くないようだ。

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遠くにバスティーユ駅の明かりと7月革命の記念塔

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「お茶、買いたがってなかった?お茶屋さんが開いてるよ」も上手くいった。彼は買い物が好き、特に飲食品の買い物だと元気になる。
探しているのはラプサン・スーチョンという、彼曰く「前によく飲んでいたポピュラーな中国の燻茶」。「聞いたことない」というと、まるでわたしが常識欠如みたいにびっくりした。しかし常識欠如はわたしだけでなく、モノプリにもパレ・デ・テにも置いていないのだ。
いくらなんでもダマン・フレールにはあるだろうと。だってこの品数!

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ところが「ラプサン・スーチョンは3年前からヨーロッパで発売禁止になっております」と店員さん。
えっどーして?
「発ガン性物質が含まれていたことがわかりまして。それに似た燻茶に日本の富士山スーチョン、桜スーチョンがあります」
日本にもスーチョンを名乗るお茶があったの!
「ただしお値段が高くて・・・」
「?」
「100g36ユーロ(約4500円)」と聞いて、夫はスーチョン系を諦め、全然関係ない200g9ユーロのお茶を買って喜んでいた。

開いている店が少ないから、“買い物で釣る”のも限りがある。
普段は「ほら、あそこまで行ったら何か飲もう」というテもあるけど、カフェは全部閉まっている。
毎日、“上手な連れ出し方”を見つけるのはなかなか大変なのだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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