フィリピンの肝っ玉お母さん

ローザは夫と4人の子供と、マニラの一画で駄菓子屋を営んでいる。飴やポテトチップスを売るだけでは食べていけないので、実はドラッグの密売もしている。
子供を怒鳴りつけ、なりふり構わず店と家族を仕切っているローザ母さん。

映画『Ma'Rosa』

ある晩、家族が食事をしているところへ、警察の抜き打ち捜査。隠していた白い粉があっさつ見つかり、夫婦に手錠がかけられる。

取調室に連れてこられた夫婦に、警官たちは“取引き”を持ちかける:ブタ箱にぶちこまれたくなかったら5万ペソ(約11万円)用意しろ。そして鶏の丸焼きとビールで前祝を始めるのだ。

翌日、心配した子供たちは警察署にやってくる。両親の逮捕は記録もされていない(ゆすりが目的だったってこと)。ローザは3人の子供(4人目は小さすぎる)にお金の集め方を指示する。

映画『Ma'Rosa』


罵られる親戚に頭を下げ、重いクーラーを抱えて売りに歩き、親には言えない手段も使って、子供たちは金策に奔走する。
フィリピン映画『Ma' Rosa』

映画『Ma'Rosa』

ドキュメンタリーのような撮り方から伝わってくる暑さ、湿気、貧しさ。そして腐敗しきった警察。
何があっても動じない、毅然としたローザ母さん。ひとりで抱えていた感情が一瞬ほとばしり出る最後のシーンが印象的。逞しく、哀しい。

ローザ役のジャクリーヌ・ジョゼは今年のカンヌ映画祭で、最優秀女優賞とった。こういう地味な映画を評価して、彼女に賞を与えたのはエライ。
知らない国の生活や戦いが垣間見れる名作。お奨めです。

Ma’Rosa
ブリアント・メンドーザ監督作品
1時間50分
フランスで公開中


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12月1日、オランド大統領が立候補を断念を発表してから(「任期中唯一の正しい決断」とか「失敗の告白」とか大人げない野党のコメント!)、マニュエル・ヴァルス首相が立候補するまで「おお!」という早さ。まるで、ヨーイドン!の合図を待っていたかのように。
大統領と総理が一緒に左派候補の予備選挙に立候補することはできないとか。

地元イヴリーで立候補宣言をしたヴァルスのキーワードは“和解”:経済相アルノー・モントブール、教育相ブノア・アモンを辞めさせ、法相クリスチャンヌ・トビラ、そして経済相エマニュエル・マクロンは辞任。バラバラになった左派を和解させて、ひとつの力にしよう! 5か月でそんなことが可能だろうか・・・

選挙運動と首相は兼ねられないので、ヴァルス首相は6日朝8時半に辞任届けを出し、オランド大統領は直ちに内務相ベルナール・カズヌーヴを総理に任命した。前予想でも名前が一番に上がっていた人だ。

新首相ベルナール・カズヌーヴ

ヨーロッパ担当相(2012-2013)、予算相(2013-2014)を経て内務相になってから実力を発揮、右派も一目置くカズヌーヴ(最初、“和信”に聞こえた)。夜中でも明け方でも、ビシッと隙のない姿で現れ、決して声を荒げずいつも冷静で、彼が「ノン」というと誰も逆らえないようなオーソリティがあり、国会で自分の身長(の低さ)をネタに冗談をいう(「私に座れと言うなら座りますよ・・・どっち道、座っても立ってもそんなに変わりない。これは利点です」)余裕とユーモアを持ち合わせる53歳。

今年4月、QGマガジンで政界ベストドレッサー1位に選ばれている。フィヨンも仕立ての言いスーツを着ているけど、カズヌーヴさんは自分のスタイルを持っていて、エレガンスとは容姿に関係ないと思わせる・・・誉め言葉になっていないけど。

たった5か月間の首相と支持率たったの4%の大統領のデュオ・・・でもカズヌーヴの就任は、極右を除いて歓迎されている。


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バスティーユ広場からヴォルテールに向かうrue de la Roquette/ロケット通り。
ここには何軒か“Restaurant japonais”を謳っている店があるけど、Fujiyama 、Sakura、 Yakidai(焼鯛!)・・・日本人が絶対つけそうにない名前で、実際、どこかの工場で大量生産された寿司と焼き鳥、塩辛いだけの薄い味噌スープを出している。パス。

ところがある日、この通りを歩いていたら、黒板に日本語の手書きメニュー。シックな店構えで名前は“KAWAMOTO”。
おお、本物の日本レストラン!
一緒にご飯を食べるときは「日本食!」という友人と早速行ってみた。
20席くらいの小さなお店で、奥の厨房に男性がひとり、サービスの女性がひとり。オープンして3か月だそう。
お昼のメニューは前菜盛り合わせ、茄子の味噌田楽。ここまでは一緒で、メインは、鮭、その日のお魚、牛肉の照り焼きか醤油バター焼き、ちらし寿司、握り寿司から選ぶ。
ちらしか握りで迷っていたら、「日本人の方はよくちらしを選ばれます」と聞いて、ではちらし!影響されやすい。

前菜:インゲンの胡麻和え、ワカメとキノコのお浸し、アヴォカドのタマゴマヨネーズ、枝豆、果物はライチでもブドウでもなく、聞くのを忘れたけど美味しかった。
友人は枝豆の皮まで食べていた。

レストラン KAWAMOTO

揚げ茄子に西京味噌の田楽。美味。ちゃんと木のスプーンがついてくる。
「皮も食べられる?」と友人。またか。「試してみたら?」
茄子はトロトロでイタリア茄子?もしかして日本の茄子?と思ったら「ふつうのフランス茄子です」

レストラン KAWAMOTO

浅めのおどんぶりに入ったちらし寿司。金糸タマゴが敷かれ、すし飯も美味しい。

レストラン KAWAMOTO

これにデザートかコーヒーで20ユーロ。
この友人とは、オペラの日本レストランは何軒か行ったけど、特にお昼のメニューはそこそこ。
こんなに丁寧に作られた美味しいお昼は稀だ。果たして彼にこの違いがわかっただろうか?枝豆の皮まで食べちゃって・・・

KAWAMOTO

43-45 rue de la Roquette
75011
火~土、12-14h、19-22h

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フィヨン圧勝:この政策でなぜ?

右派大統領選前選挙で70%を獲得して、アラン・ジュペに圧勝したフランソワ・フィヨン。左派まで投票してサルコジ潰しに躍起になっていたら、“第三の男”フィヨンがスルスルと勝ってしまった。

マダムのペネロープ。もしかしたら彼女がファーストレディ?

フランソワ・フィヨン夫妻

彼の政策は:
-就業時間、週35時間から39時間へ。
-公務員ポスト50万削減。
-TVA(付加価値税)20%から22%へ。
-代理母出産合法化しない。
-同性カップルの特別養子縁組、人工授精認めない。
-中絶の合法、同性の結婚合法は「法律改正はしないけど賛成できない」

50年前のフランスに逆戻りの、伝統的カトリック右派がなぜこんなに支持される?
オランド政権に権威がなかったからその反動?昔の道徳観と規律へのノスタルジー?

だってよく考えると、今だって学校教師や看護人や公共サービスの人員が不足しているのに、50万人も削減してどうなるんだろう?(すでに労組から抗議されている)
もうひとつ賛成できないのは社会保険。現在、医療費はまずSécurité Sociale/社会保険が払い戻し、不足分を民間のMutuelle/相互保険が、契約に応じてカバーする。
フィヨンの政策は、病気を《大きな危険(重病、治療に長くかかる病気》《小さな危険(その他大勢)》に分け、社会保険は《大きな危険》だけ負担、相互保険が“その他大勢”を負担する。
しかし。私たちは-ありがたいことに-小さな危険の病気に頻繁にかかる。第一《小さい》《大きい》の判断は難しい。気管支炎でも《大きい危険》という人が続出しそうだ。フランス人だものね。
これには現厚生相マリソル・トゥーレーヌがすぐ「待った!」をかけた:フィヨンの政策でいくと、一家庭の年間医療費が+3200ユーロになる。
どうやって算出したのかは知らないけど、個人の医療負担が増えるのは歴然だ。

・・・などなど「えっ ?!」という政策が少なくないけど、フィヨンさんのメリットがひとつ。彼はジュッペより、マリーヌ・ルペンに対抗できそうだ。デフォルトでマリーヌを選んでいた人たち、「同性の結婚」に反対してデモを繰り返していた伝統カトリックの人たちはフィヨンに投票するだろうから。これは大きなメリットだ。


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半世紀経っても色あせない『男と女』

ドーヴィルの寄宿学校に入っている娘と週末を過ごし、パリに戻る電車に乗り遅れるアンヌ。
同じ寄宿学校に入っている息子と週末を過ごしたジャン=ルイは、アンヌを乗せて車でパリへ。

映画『男と女』

アンヌは映画のスクリプター、俳優でスタントマンの夫を撮影中の事故で亡くしている。
ジャン=ルイはレーサー、やはり妻に死なれている。
彼女と彼は急速に接近する・・・美しすぎる2人の、美しすぎる恋物語『男と女/Un homme et une femme』。

若いころのジャン=ルイ・トランティニアンは(若いころの)ケビン・コスナーに似てない?
2012年『愛、アムール』で久しぶりに姿を見せた

映画『男と女』

1966年の作品だからちょうど50年前。カンヌ映画祭のパルムドール、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など取りまくり、主題歌とドーヴィルを世界的に有名にした。
デジタル・リマスター版がパリで上映されている。最後に観たのは10年前?もっと?また観たいと思っていたので、娘に「一緒に来る?」というと意外にも「行く」
美術学校の先生から「古い映画を観ろ」と言われていて、秋休みはエリック・ロメールを観ていた。

冬のドーヴィル、誰もいない海岸を歩く2人、走り回る小さな子供たち・・・ロマンチックに浸っていると、アンヌがジャン=ルイに電報を打つシーンで「携帯電話なかったのね」と娘。
あるわけないだろ。電話だって、交換手に「モンマルトル1525お願いします」だ。
観に来ている人たちは、70代以上が多い。「年代を感じる」と言う声に振り向くとかなりのおじいさんだった。
そうかな?私は逆に、口説き方、突進する男、躊躇う女・・・何も変わっていないと感じた。
でも今日、こういう“美しい男女の、映画のような恋物語”を作ったら、「なにコレ?」と言われるかも。

『男と女』はルルーシュ、アヌーク・エメ、ジャン=ルイ・トランティニアン、冬のドーヴィル、ダバダバダ・・・だからできた不滅のマジックだ。
『Un homme et une femme』(1966)
クロード・ルルーシュ監督
主演:アヌーク・エメ、ジャン=ルイ・トランティニアン、ピエール・バルー
1時間40分

パリではレンヌ通りのArlequin、ゴブランの Escurial、
東京は恵比寿ガーデンシネマで上映中。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから20年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書2冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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