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5日のデモはフランス全土で80万~100万人が参加(CGT労働総同盟の発表は150万人)。
政府の予想(25~30万人)を遥かに上回った。

パリ東⇒レピュブリック広場⇒ヴォルテール大通りを通ってナシオン広場、の4.4㎞のデモコース。
人が多すぎて前に進めないので予定よりずいぶん遅れてゴールに到着した。

パリ、12/5の年金改革反対デモ
photo:france bleu

SNCF(国鉄)とRATPは少なくとも9日(月)までスト延長を決め、マクロンにとって形勢は不利になってきている。

このデモ&スト、外国のメディアには「フランスの不思議」のひとつ。
「68年5月革命から、激しい黄色いベスト運動まで、ストと抗議はフランスの特徴として知られている。車に放火したりウィンドウを壊したりの暴力に、これほど寛容な国は民主主義の欧米諸国にない」
「外国、特にアメリカから見ると、マクロンの提案する年金改革は決して急進的ではない」とワシントンポスト。

NYタイムズは「先進国の中で、フランスの定年年齢は最も低い国のひとつ、年金額は最も高い国のひとつ」なのに、この抗議。
それは「マクロンは、決断する前に大衆の声を聞く、と言っていたのに、結局、上から下に強制する形になったから」
つまり改革の中身でなく、やり方に問題あり。

確かに「職業によって特権的年金制度(42もある)を止め、国民に共通の年金にする」というだけで、具体的な中身を発表しないのが労組の不満・不安を膨らませた。

「伝統的なフレンチパラドックスがここにも見られる:国民の大多数がスト参加者を支持し、同時に年金改革も支持している」というのはロンドン・タイムズ。

「ストが続かなければ、不人気な大統領は戦いに勝つが、国民の信頼を取り戻すという重い任務に専念することになる」
もし負ければ?
「紛争の絶えない長い冬に突入する」

結局「フランス人はデモ・ストが好きで、変化を嫌悪する国民」に要約される。
変化が嫌い、というより一度勝ち取った権利は、いかに状況が変わろうと失いたくないのだ。

日本ほどではないけど、フランスの老人人口は増える一方。フィリップ首相によると、今のままの年金制度では、2025年に79憶~172憶€という膨大な赤字になる。年金改革は必然なのに。

ところで、外国メディアが観た「フランスの不思議」はけっこう面白い。
例えば「どうしてバゲットの袋はパンの長さより短いのか?」とか、
「風采の上がらぬ政治家(ニコラ・サルコジ、フランソワ・オランド・・・)がなぜ美しい伴侶をゲットできるのか?」とか。
全くおっしゃる通り。


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だんだん怖くなる『優しい歌』

若い夫婦、ミリアムとポール。2人目の子供が生まれてから産休を取っていたミリアムは社会復帰したくなる。
育児と家事に疲れた主婦になりたくない。
「まだ子供が小さいのに」「ボクの稼ぎでやっていけるのに」と夫は渋々だったが、愛する妻の希望だ。
Nounou(乳母)を探すことにする。
何人目かに面接にやってきた中年のルイーズ(カリン・ヴィヤール)は、経験があり、子供の対応は自分たちより慣れている。信頼できそうだ。

果たして仕事の一日目、ミリアムがうちに帰ると、子供たちは大人しく遊び、うちの中はきれいに片付いていた。
申し分のない乳母をみつけた、と満足の2人。

ルイーズは次第に領域を広げていく:子供たちのしつけをし、ピクニックに連れて行き、長女のお誕生日会を企画し、夕食の支度もする。

『ヌ-完璧なベビーシッター』映画

ミリアムは母親の役割をひとつひとつ取り上げられ、「私は産んだだけ?」と当惑する。
それでも仕事は面白く、専業主婦に戻る気はさらさらないのだ。

産みの母(レイラ・バクティ右) VS 乳母(カリン・ヴィヤール)

『ヌ-完璧なベビーシッター』映画

一方ルイーズはボロいアパートに一人暮らし。
愛する配偶者、やりがいのある仕事、可愛い子供・・・ミリアム&ポールの持っているものをひとつも持っていない。
孤独を埋めるのは彼らの子供たちだけ。日増しに大きくなっていく執着と嫉妬。
ルイーズが決して“申し分のない乳母”ではないことにミリアム&ポールも気づきだした。でもそれは遅すぎた。

『Canson douce』。優しい歌。邦題『ヌヌ 完璧なベビーシッター』。
2016年にゴンクール賞を取ったレイラ・スリマニの本の映画化だ。

『ヌヌ-完璧なベビーシッター』映画

プレスと観客の批評はあまり良くないんだけど、私にはけっこうよくできた作品だった。期待しなかったせいもある。
「スバらしい」「傑作」と言われて観るとがっかりすることがあるものね。

原作は「遅すぎた。赤ん坊は既に死んでいた。姉ももう長くはなかった。2人を殺してから、乳母は自分の喉にナイフを突き立てた。でも死ねなかった。彼女は死を与えることしか知らなかったのだ。」(拙訳)から始まり、ネタバレも何もないけど、映画は嬰児殺しを最後に持ってきている。

殺人に至るルイーズの心理変遷が原作より描かれている気がした。カリン・ヴィヤールがやっぱり上手い。
「女優生活30年で初めて、この役がどうしてもやりたいと思った。映画化の権利を買ってくれと頼んだ」というだけあって役に投資している。彼女はいつも上手いけど。
階級の差という壁、憎しみと表裏一体の過度な愛情・・・深いテーマの作品。お奨めです。

CHANSON DOUCE
リュシー・ボルルトー監督作品
主演:カリン・ヴィヤール、レイラ・バクティ、アントワーヌ・レナルツ
1時間40分
フランスで公開中


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ブラックな週末とストの関係

土曜日のオペラ・デパート街は今まで見たことのない人出で、なかなか前進できない。
ブラックフライデーのせいだ。アメリカで感謝祭(11月の第4木曜)の翌日に行われる一掃セール。
フランスでは2014-15年にアマゾン、Fnac、Dirtyなどネットショップから始まり、実店舗にも派生した。

フライデー=金曜日はフランス人も知っているけど(“フリデー”と発音する人がたまに)今年は日曜日まで3日間のセールにしているところが多い。
5日から交通網のストで動けなくなるのが見えているから、今のうちにできるだけ売りたいのだ。
その上、1年前から「黄色いベスト」運動が毎土曜日あり、商店の売り上げは落ちている。黄色いベストは5日にデモを決めていて、この土曜日は現れない、チャンス!というわけ。気持ちはわからないでもない。

わざわざオペラに行ったのは、今年はギャラリーラファイエットのクリスマスが綺麗、と聞いたから。
毎年同じデコレーションを出すので評判になっていたけど、なるほど単色で美しい。
木の枝につけるの、えらく時間がかかったのでは?

ブラックフライデー、パリ

ギャラリーは中には入らなかったけど、全品20%オフ(赤い丸マーク以外。この赤マークが意外と多いとか)。
食品(ラファイエットグルメ)は除外。娘が週末バイトしているパティスリーのスタンドでは、
「え?20%オフじゃないの?じゃ買わない」というお客もいたそう。
つまり“必要だから、食べたいから買う”じゃなくて、安いから買う。

この理由から、ブラックフライデー反対者も今年は多い:「過剰な消費を促すイベント」
「ファストファッション(低価格の服を大量生産&販売)を増長する」。
ファストファッション企業の労働条件(バングラデシュでは子供を働かせる)も批判されている。

デパートになだれ込んだエコロジストもいたし、こちらは“過剰生産&消費”のシンボルであるアマゾンの集配所。
エコロジストと労組がブロックした。
「Amazonは雇用と環境を破壊する!」

ブラックフライデー、パリ
photo:la voix du nord

靴が見たかったけど、人混みにめげて、京子食品でお豆腐とお米を買って帰る。
ちょっと前までここで働いていた息子が、今は東京にいる。1万kmはやっぱり遠い。重いから持ってきて、と言えないし。

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12月5日:誰が何でストをするか

「12月5日が近づいています」「後1週間となりました」とニュース。
恐れられているこの日にストをするのは:

SNCF(フランス国鉄)
これまで“鉄道員”は特権的年金制度を享受してきた。定年年齢:運転手は52歳から、事務職は57歳から。
一方、民間企業は62歳から。
この年金制度はなんと1909年にできたもの、つまり蒸気機関車の時代だ。ゾラの『獣人』の映画で、ジャン・ギャバンが顔を真っ黒にして石炭をくべていた時代。
1世紀以上前の制度が、オートマチック化された今も続いているのが驚きだ。
マクロン大統領はこの特権を廃止し「みんなと同じにしようね」と言っている。なぜなら、国鉄職員の年金は33億ユーロの赤字に達している。
これに反対し、SNCFを代表する4つの労組がとストを予定。「蒸気機関車時代の権利を失いたくない!」
理解に苦しむ。

RATP (パリ交通公団)

9月13日のストでパリを麻痺させたRATPは、年金改革に反対して12月5日から無期限ストを予告している。

フランス、12月5日のスト
photo:le Parisien

住民は「車か自転車か歩き」という選択肢になる。パリは“歩いてどこにでも行ける”大きさの街ではあるけど。

エールフランスの地上勤務員もストをする。彼らはいい給料取ってるのにね。

病院
予算不足、人出不足で、思うように看護できない、という国立病院の訴えはもっともだ。
11月20日、政府は追加予算と病院の借金を3年がかりで肩代わりすると提案したが、それでは不十分と12月5日の全国ストに加わる。

教師
教育制度改革に反対し、手当と賞与の少なさを訴えるため3つの労働組合がストを決めている。
つまり授業に来ない先生がいるってこと。生徒は喜ぶ?

黄色いベスト
「年金制度改革に反対する多数の労組と利害が一致する」とデモを決定。一致しなくてもするでしょう・・・

ということで、1週間後に迫った12月5日、買い物や用事は事前にして外に出ないで大人しくしていたほうがいい。
恐ろしいのは「継続可」とか「無期限」と言っていること。

1995年のストを思い出す。11月、当時の総理、アラン・ジュッペが、公共企業(SNCF、RATP、EDF)の年金制度を民間企業と同じにするを発表。それに反対して3週間、交通がストップし、政府は折れた。
クリスマス・年末シーズンだったため、旅行者は減り、外出・買い物も減り、小売店やレストランの倒産が相次いだ。
またそんなことになっていいの?
「木を見て森を見ず」という格言、知らないのかね・・・


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太陽の恩恵

東京ではなぜか毎朝7時に目が覚めた。ふつうは時差で朝、目が覚めないはずなんだけどね。
それで7時からNHKのニュースをつけて、コーヒーを淹れたりシャワーを浴びたりしてたら、
「なぜインフルエンザは冬に流行するんでしょう?」というクイズ。
寒いから?(寒くて鼻風邪はひくけど、インフルエンザはウィルスだ)
空気が乾燥しているから?(フランスで「暖かくて湿気があるとウィルスが長生きする」と聞いた気がする)
答えは太陽!冬は日照が少なく、体内にビタミンDが合成されにくい。ビタミンDは抵抗力を増す働きがある。
へぇー知らなかった。

ビタミンDは骨を強くする、は知っていた。日照時間が少ないフランスではビタミンD欠乏症が多い。
特に40歳過ぎから骨粗しょう症を予防するため、一日に1時間日光を浴び、1か月に1度、ビタミンDのアンプルを飲みなさいと言われる。私も言われている。

日本では紫外線の悪影響のほうが前面に出ているけど、いい影響も認めてあげないと可哀そうだ。

東京にいた1週間は毎日晴れて、朝、窓からたっぷり日が差し込み気持ちよかった。

写真にすると大したことないけど、アパートメントの一画が光に溢れていた。

IMG_20191116_101318.jpg

ベランダに出ると、太陽の暖かさに包まれて幸せな気分になったものだ。
外に出ると日傘をさしている人までいて、なんともったいない。付け焼刃の知識で、インフルエンザになりますよ、言いたくなった。

パリに戻ったら、案の定、灰色の空、雨、時に土砂降り。
東京の青空と太陽が恋しい。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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