数年前、体重が106㎏に達した夫は、ついにダイエットを決心、フランスで有名なデュコン式を選んだ。
Dukan/デュコンという医者が広めたもので、炭水化物、脂質を取らず、タンパク質を大量に取る、プロテインダイエット。最初の1週間は、すべての炭水化物はもちろん、果物も野菜まで禁止。朝昼晩、ひたすらタンパク質だけ食べる。朝:タマゴ3個、昼:白身魚400g、夜:ステーキ2枚・・・みたいに。付け合わせがなくステーキだけ食べるなんて私にはできないけど、夫は「空腹感がなくていい」。なにしろタンパク質であれば“食べ放題”、食事と食事の間に小腹が空けば、これも食べ放題。

フランスではダイエット食品:カニかまぼこ

カニかまぼこが、こっちではSurimiという名前で売られ、シュリミと発音されている。
最初、何のことだかわからず「シュリミって何よ」「カニのスティックだよ、日本から来たんじゃないの?」

デュコン先生によるとカニのシュリミで作られた、つまりタンパク質のスティックであると。この値段(20本入り2.5ユーロ)でカニのわけないだろう。つなぎの澱粉も多いし・・・でも夫は、かにかまぼこ発祥の地から来た私の意見など聞かず、シュリミを毎日パクパク食べていた。
最近になって、このシュリミ/カニスティックは実はカニではなく、安いアラスカ・シロイトダラの粉末と澱粉、塩、砂糖、山ほどの化学調味料からできている。食べないほうがいい、という記事が出て、さすがの夫も買うのをやめた。ヤレヤレ。

魚の身30-40%(ホントかね)、ジャガイモか小麦の澱粉5-10%(もっと入ってそうな味だけど)、卵白0-10%、菜種オイル3-6%・・・

フランスではダイエット食品:カニかまぼこ

デュコン式ダイエットは、一時すごく流行って、デュコン・ブランドのシリアルや調理品がスーパーに出回り、デュコン先生はひと財産成した。でも数年後の調査で、80%の人がリバウンドして元の体重に戻っていることがわかった。その上、医師たちが、ビタミン、ミネラル不足、腎臓、心血管疾患の危険があると言い出して、最近静まっている。だってフランス人に「肉食べ放題」なんて言ったら、大変なことになる・・・夫は10㎏痩せたけど、やっぱり取り戻して、今99.7㎏。「100㎏以下だ」と自慢している。

シュリミの他にも『食べないほうがいいスーパーの食品』がいくつか出ていたけど、それはまた続きで!

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電車に乗ってどこかに行くにはご機嫌なお天気の週末。でも行先は病院だ。
夫の従弟のジャン=ピエールが、心臓バイパス手術をしてトロアに入院している。成功率99%以上と聞いても“心臓の手術”は心配する。その上、ジャン=ピエールは麻酔から48時間覚めなかったので、家族はハラハラした。
「牛一頭を眠らせるくらいの麻酔をかけるからだ!」とジャン=ピエール、彼は120㎏ある。
「麻酔から覚めるときがすごかったね。赤や緑のライトが点滅するナイトクラブみたいなとこにいて、音楽がガンガン鳴って・・・」
「きれいな女の子に取り囲まれて?」
「・・・それはなかった」
病室に座ったジャン=ピエールは、むくみが取れて前より元気そうに見える。でも咳やくしゃみをするとすごく痛そう。胸を切っているんだもの。
食事は塩も砂糖もだめで「昼はグチャグチャに茹でたカリフラワー(味付けなし)に靴の底みたいな子牛のステーキ(同様)、食えたもんじゃない!デザートのヨーグルトだけ食べた」
普通の病人なら、「かわいそうに」と、家族や友達が食べられそうなものを持ってくるとこだけど、彼の場合は「そりゃよかった」になる。
冠動脈の閉塞も、足腰が痛くてまともに歩けないのも肥満が一番の原因だから。これまで何度もお医者さんに警告されながら、暴飲暴食をやめなかったので、いわば自業自得。
不味い病院食のおかげですでに16㎏痩せたそうだ。
「120-16=104㎏?」
100㎏近い夫が、ジャン=ピエールの横ではほっそり見えるのに。
「いや、手術前は138㎏あったんだ」
「 ・・・・」

奥さんのマリー・フランスはシャンパーニュの村から往復1時間半かけて毎日お見舞いに来ている。
「明日は、畑のブドウ(収穫真っ最中)ひと房と庭のトマトが欲しいんだって」
ワインにするブドウは糖分が低く、彼女の“庭のトマト”は塩もオリーヴオイルもなしで美味しい。田舎の人たちは美味しいものを知っている。

jp_mf - Copie

病院の廊下の壁には、俳句の仏訳が書かれていた。
「盗人に取り残されし 窓の月」良寛
訳だと「立ち去った盗人が忘れたのはひとつだけ:窓の月」

haiku

「夏河を超すうれしさよ 手に草履」与謝蕪村
サンダルだと浮かぶ情景が全然違ってくるような・・・
短い言葉が映像を結ぶ俳句。フランス語に訳すと同じ印象にならないと思うけど、病院の廊下に登場するほど人気なのはすばらしい。

haiku


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子供の知能は母親から!

・・・ではないかと日頃から感じていたけど(!)この度、科学的に立証されたんだと。
アメリカの専門誌『Psychology Post』に発表されたとこによると、それは遺伝子の問題(そのぐらい言われなくても):女性はX染色体を2つ持っているけど男性はひとつしかない(お気の毒に)。知能はこのX染色体の中にあるという。
もうひとつ、1994年から13~22歳の子供の行動を調査した結果も、子供の知能程度は、母親の知能指数により影響される、という結果だそうだ。

子供の知能は母親から
Dorce et Gabbanaのデフィレ

フランスのお父さんはよく「うちの子供、知性は僕から、美しさは母親から受け継いだ」といい、おだてているように聞こえて実は自慢しているんだけど。娘が聞いたら「差別的発言!」と怒るであろう。

Elle.frに出た記事は「もちろん、他の要因:環境、愛情、知能の発達を刺激する遊び・・・もある」と認めつつ「女性は笑い、男性は歯ぎしりする」結果と言っている。
でも・・・よく考えると“諸刃の剣”だ。子供の成績がいいとか試験に受かったときは「ほら見ろ」と笑っていられるが、その逆の場合は、父親が「やっぱり」とほくそ笑むことに・・・
現に、子供が悪いことをしたとき、父親は「君の息子(娘)は・・・」、母親も「あなたの息子(娘)ときたら・・・」と相手のせいにするくらいだから。

せっかく科学的に立証されたけど、あまり大声で言わないほうがいいみたい。大体、自分の知能指数なんて覚えていないし。


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クラシックバレエが好きな人向きの映画?と躊躇っていたら、娘が観に行って「すごくよかった、絶対観て!」

2014年、パリ国立オペラのディレクターに就任したバンジャマン・ミルピエが、創作バレエ『Clear, Loud, Bright, Forward』を仕上げていく舞台裏を撮った『Relève : Histoire d’une création/交代:ある創作の物語』

バンジャマン・ミルピエ『Releve』

ミルピエ/Millepied・・・1000の足、運命的な名前。ニューヨーク・シティ・バレエのエトワールダンサー、コレグラフ(振付師)。
彼と16人の若いダンサーが創りあげていく40日間が「-39日」「-38日」とカレンダー式に綴られる。

現代的感性を持った若いバンジャマンは、オペラ座という歴史ある制度の“埃を掃ってくれる”と期待された。
練習中、彼は怒鳴らない、ダンサーたちの健康を心配する、振り付けは“主役”がいない、いや16人全員が主役。ヒエラルキーがない。北アフリカハーフの女子を選んだのもバンジャマンが初めて。それまでオペラ座のダンサーは白人しかありえなかった。
どれだけ練習したのか、彼らの動きは同じ人間とは思えない(なんであんなに回転できるの ?! サルサで2回まわっただけでクラクラするのに)。クラシックとモダンが共存した振り付けで、飛び、旋回し、寄り添い、交差し、絡み合うダンサーたちの美しさ。

バンジャマン・ミルピエ『Releve』

バンジャマン・ミルピエ『Releve』
photos:allociné

日が迫るにつれて、衣装、舞台装置も決めなければならない。アシスタントが「バンジャマンいる?5分前までいた?」「バンジャマン見なかった?」と追いかけ回す。時間との戦い。でも彼はいら立ちやプレッシャーを見せない。
ついにGALA講演の日が来た・・・

ご存知の方はご存知のように、バンジャマン・ミルピエは今年2月にオペラ座に辞表を出した。
(表向きの)理由は、“ディレクターの仕事にあまりにも時間を取られ、自分にとって一番大切な創作の時間がない”。でも、彼のもたらそうとした“新しい風”が、オペラ座という因習、強いヒエラルキーの世界と折り合えなかったのでは?誰でも想像すること・・・

バンジャマン・ミルピエ『Releve』

バレエ好きじゃなくても息を呑む美しさ、感動する努力と情熱。バンジャマン・ミルピエの澄んだ目、暖かい視線(奥様のナタリー・ポートマンが冒頭で一瞬現れる)・・・
下記の2映画館で上映中。お早めに!

Relève : Histoire d’une création
ティエリー・ドゥメズィエール、アルバン・トゥルレー監督、
ドキュメンタリー、2時間
パリの上映館:MK2Beaubourg、MK2Odéon

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「死ぬ前にしたいことは・・・」

「Before I die, I want to…. 」「Avant de mourir, je voudrais…」というメッセージボードがパリのリヨン駅に現れたのは8月初め。

Before I die I want to...

Before I die I want to...

「愛する人と夢を実現したい」
「世界一周」
「世界の平和」
「億万長者」
「最後にセックスして、すぐに死ぬ」
「スカーレット・ヨハンソンにキスする」
「xxと子供を5人作る」
私が夕方通りかかったとき、ボードはもうびっしり。毎晩、SNC(国鉄)職員が消して、新しい“したいこと”に席を譲る。

Before I die I want to...

このメッセージボード、「不吉なアイディア」「特にテロがあった後に・・・」という反対派、「タブーである死について考える機会」という肯定派がいるそうだけど、恋を告白するのに利用している人(多い)、真面目に考えた人(「私のプリンスと支援活動に出かけたい」)、ふざけたメッセージ(「一度だけ電車に遅れないよう着きたい」)などなど、「死」より「夢」。不吉な感じはない。でも大胆な企画だ。
もっとも、職員が時々見に来て、猥褻、過激なものは消しているそうだ。

コンセプトはリヨン駅で発祥したものでは全然なく、Candy Changという中国系アメリカ人アーティストが考えたもの。
2011年、大切な人が亡くなったとき、彼女は近くの空き家の壁をメッセージで埋め尽くした。
「死と生について考え、個人的な願望を公開する参加式プロジェクト」とチャングさん。
今では世界70国に広がっていて、フランスではラ・ロシェル、ベルフォール、アヴィニヨンにもあるとか。

ボードの前にしばらく立ってメッセージを読んでいたら、立ち止まる人がけっこういる。
私ならなんと書くだろう?「怖さを忘れてスキーをする(骨折してから怖くてやっていない)」
前なら、「デヴィッド・ボウイとダンスを踊る」とか言いそうだ。故ミッテラン大統領は「ジュリア・ロバーツと朝食を一緒にする」が夢だったというから。
もうちょっとマシな考えは浮かばないものかね・・・と娘に話したら、「孫の顔が見たい、とか思い浮かばないの?! まったく!」
なるほど、孫の顔か。そういうのもあった。
昨日通ったら、ボードはなくなっていた。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから20年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書2冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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