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Category : フランスの男と女
日本語の生徒さんのひとり、イザベルは全くゼロから日本語を始めた。
つまり、ひらがなから覚えるわけだから、「あいうえお」の表を目の前において、ひとつひとつ探しながら読む。
忍耐強い人だ。

「犬を連れてきていい?」というので、「猫がどう反応するかわからないけど、いいわよ」

すごく大人しい柴犬の雌。何見てるの?

ジューン

なるほど。リュリュは1時間半、この場所で待機していた。

リュリュ

イザベルはAppleの社員で、夢は日本のAppleで働くこと。
エライ!夢は大きく持て、だ。

でもどうしてそんなに日本なのか、というと旅行で行ったときの印象が強烈だったから。
「初めて日本に行ったときは、お金がなかったからChina Airで行ったの。そしたら成田に着いた時スーツケースがない!上海に忘れてきたっていうの。仕方なくAirbnbに行ったけど、着替えも化粧ポーチもなくて泣けてきた」

Airbnbにシャンプーがあったけど、「緑色で髪が緑色になったらヤダと思って」近くの美容院に行く。
美容院のご主人は英語が話せたんで、スーツケースのことを話したら、心配して空港に電話してくれたり、夜は池袋に連れていってくれてご飯をご馳走してくれた。
その美容院は家族経営でおじいちゃん、おばあちゃんもみんなに親切。
「2日後、大阪に発つ直前にスーツケースが届いたの。別れるときみんな涙ぐむくらい仲良くなった」

さて大阪。イザベルは観光地より地元の人がいるところに行きたくて、居酒屋に入った。
真ん中に厨房があり-つまりオープンキッチン-その周りを大きなカウンターが囲んでいる。
殆ど満席のカウンターに「ちょっとつめてくださーい」とお店の人が場所を作ってくれた。
さて何を食べようか、と見回すと、
「手書きの紙きれが下がっていて、それが全部漢字!最初、お店のお守りかと思ったら、それがメニューなの」
途方に暮れていると、カウンターの対面にいた女の子の3人づれがさかんに手招きしてる。
「それに気づいたお客さんたちが全員立ち上がって、私が彼女たちの隣に座れるようにひとつずつズレてくれたの。ウソみたいでしょ!」
3人の女子は英語が話せたので、無事にご飯を食べ、
「その中のひとりがなんと大阪のAppleストアに勤めてたの。運命的な出会いよ」

彼女はその翌年また日本に行き、美容院ファミリーと3人の女子と再会し、より仲良くなる。
「だからどうしても日本語が話せるようになって日本に住みたいの」

ナタンやイザベルのように旅行で行った日本に魅了されて「住みたい」と思うフランス人が、けっこういるみたい。
すばらしい。


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恋愛も消費社会・・・

東駅で電車を待っていたとき、私の前に16~17歳の女子2人が座っていた。チュニジアまたはモロッコ系。
彼女たちのたわいのない話を聞くともなく聞いていたら、若い男子が通りかかった。
「Salut !(やぁ!)」「Salut」
知ってる子にばったり出会ったのかと思ったら、
「可愛いね、君の06教えて」と男子。06は携帯番号のこと。
「いいよ、じゃまず君の教えて。送るから」
「ナディアだね、はじめまして!ぼくマリック。じゃまたね!」
「またね!」
はじめまして?初対面なんだ。

この早さ、簡単さにびっくりして娘に話すと、
「今の若い子はそうよ」とオバサンのようなセリフ。
この前も、どう見てもハタチ前の女の子がFace bookにきわどい写真(胸の谷間とか)を載せているのを私に見せ、
「ったく最近のガキは何考えてんだか」とぼやいていた。

即決で決めるナディア&マリックはTinderの出会い方なんだ、と後日気づく。
位置情報を使ったマッチング出会いアプリTinder。

マッチング出会いアプリTinder
image:lesinrocks.com

アルゴリズムがマッチングの可能性ありと選び出す候補者たちから、好みなら右スワイプ、ボツなら左スワイプ。
お互いに気に入ればチャットできて、位置情報があるからすぐに会うこともできる。

『L’amour sous algorithme/アルゴリズム下の恋愛』という小説を書いた女性作家が、
「気に入らなければ捨ててすぐに次の候補を探す、恋愛も消費社会」とラジオで話していたのを思い出す。

たしかに、気に入れば「Wish list」に入れながら次々に飛ばしていくとこは、プレタのオンラインショップを見るのに似ている(私はやりだすと止まらなくなるので点数が多いと寝られない)。

でも相手をそうやって決めるのは、夢がないというか外見重視すぎというか・・・恋愛というより“欲望の消費社会”に近い気がする。


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小泉進次郎氏と滝川クリステルさんのことだけど、この組み合わせがフランスにはかなりいる。
ただしフランスの場合、アナウンサー兼ジャーナリスト。切り口や突っ込み方が買われて、政治&時事バラエティ番組を司会している女性が多い。

年齢の上から行くと、ベルナール・クシュネルとクリスティーヌ・オクラン。

政治家とアナウンサーのカップル
photo:Abaca

クシュネルはNGO“国境なき医師団”“世界の医療団”の創立者のひとりで、自らもお医者さん。
ミッテラン大統領時代の保健相、サルコジ大統領時代の外務相。
ベルギー人のクリスティーヌ・オクランは、1988年、女性では史上2人目の「20時のニュースキャスター」(Antenne2 、現在のFrance2)となり、法外なサラリー(12万フラン+5.5万フランの経費)が物議をかもしたがモノともせず、次々と政治討論や時事番組をプロデュース&司会。ルックスの通りシャープできつそうだけど“フレンチドクター”を魅了した。

忘れてはならないDSKことドミニク・ストロス=カンとアンヌ・サンクレール。

政治家とアナウンサーのカップル
photo:Ladepeche

アンヌ・サンクレールは、87年から10年間、『7sur7』という政治討論番組の花形キャスターで、「妻にしたい女性1位」になった。
番組で出会った社会党政治家のDSKと出会い一緒になる。
IMF専務理事だったDSKは2012年の大統領選で、左派最有力候補だったのに、NYのホテルでの性的暴行容疑で逮捕され、政治家生命を絶たれた。間もなくアンヌ・サンクレールにも愛想をつかされた。

まだ記憶に新しいオランド元大統領とヴァレリー・トリールヴァイレール。

政治家とアナウンサーのカップル
photo:Abaca

彼女は雑誌の政治記事編集者を経て、2005年にできた新チャンネル、Direct 8の政治番組の司会。
オランドとの関係はその前、2000年から始まっていた。
2012年、フランソワ・オランドが大統領になると、彼女はファーストレディと呼ばれるのを拒み、アメリカのメディアから“ファースト・ガールフレンド”と呼ばれる。
オランドは間もなく新しいガールフレンド、ジュリー・ガイエの元に走った。ヴァレリー・トリールヴァイレールはエリゼ宮を去り、復讐本を著すが、オランド中傷に満ちた内容で非難される。

・・・と、すぐ浮かぶのだけでも、この倍くらい政治家&アナウンサーのカップルがいる。やっぱり出会い易いんでしょうね。
これらの女性たちに共通するのは、みんな野心家。政治家のマダムになってもキャリアを貫いている。
滝川クリステルさんも自分のキャリアを大切にする人に見えるけど、どんなマダムになるでしょうか?


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私と夫、どっちが美しい?

しかしアンケート結果を読み進むと、思ったより奥深く、社会階層的な分析になっている。
肥満は:
-50~59歳に一番多く(50%)
-学歴が低いほど多く(49%)
-田舎に行くほど多く(48%)
-プロテスタントに多く(59%)逆にムスリムに少ない(21%)
-政治傾向は急進右派に多い(49%)
確かにジャン=マリー・ルペンもマリーヌ・ルペンも細くはないわね。

左:フランスで肥満の域に入る女性は5か国中4位だけど、年々増えてきているの図。
右は肥満は北フランスに多いの図。

アンケート結果 肥満

次なる質問、「現在の配偶者はあなたより美しいか?美しくないか?」で、フランス女性の29%が「配偶者のほうが自分より美しい」と答えている。
スペイン:28%
イギリス:27%
イタリア:23%
ドイツ:19%

つまりフランス女の3人に1人は「配偶者のほうが美しい」と思い、ドイツ女は5人に1人。

フランス女性は近隣ヨーロッパの国の女性より謙虚ってこと?と思わないでもないけど、分析は違う。
「女性は以前として社会的プレッシャーを受けている。容姿の自信なさは、今日の“美しさのステレオタイプ”に支配されていることの結果だ。フランスではその支配が他のヨーロッパの国より強いということ」

なるほど。雑誌や広告に登場する美しい(フォトショップされた)女性に、少しでも近づこうとする傾向が強い、ってことらしい。
また、
「パートナーの態度も自己評価に大きく影響する:パートナーが関心を持つほど、女性は美しいと感じ、無関心ならその逆だ」

フランス男はドイツ、イタリア男に比べて、無関心で注意を払わないってこと?
イタリア男にすればよかったかな、なんて、もう遅すぎる・・・


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恋は、残念ながら続かないものだ。いくら好きになって一緒になった2人でも、時間とともに当初の感情は褪せてくる。
子供がいればパパとママの役割が男女の関係を侵食してしまう。
そして、子供が独立してうちを出ていくと“中年クライシス”:これからの余生、このパートナーと2人、どうやって暮らしていくんだろう?
この疑問を先に持つのは概して妻のほうらしい。
私も陥ったこのクライシスを、ユーモアでかわしてくれたのがこの作品。
アルゼンチン映画『Retour de flamme』

映画『Retour de Flamme』

結婚25年のマルコとアナ。ひとり息子が留学でスペインに発ってから、アナは息子シックになり、同時にカップルの行き先に疑問を持つ。
「私はこのまま色あせて、しおれてしまうんだわ」
これからは2人で仲良くやっていこう、という夫の楽天ムードも彼女の不安を取り去ってくれない。

夫役はアルゼンチンの名優、リカルド・ダリン。妻はメルセデス・モラン。

映画『Retour de Flamme』
photos:allociné

「じゃ私にまだ恋してる?」
と問い詰められると、マルコも返事に困る。アナを愛してはいても、“amoureux(恋してる)”とは言えない。
「でしょ?私もあなたに恋してない。だから・・・」

だから・・・これといって問題のなかったカップルが、あっけなく別れることになり、夫は友達のアパートで居候を始める。
“自由”になった2人は、出会いサイトや職場でせっせと相手探しを始めるのだ。

フランス語版はタイトル『Retour de flamme/情熱のカムバック』で結末を言っちゃってるのが惜しい。
原題(スペイン語)の『不確実な愛』のほうがずっといいのに。

共感するのは女と男の温度差だ:男は、日常生活にさして不満がなければ続けていけると思うのに、女にとってそれは惰性。
子供が出て行った後の空洞も母親のほうが強く感じるし。
さらに女性には男性より“年齢制限”が厳しい。アナが「私はこのまましおれてしまう」と憂いるように、誰かと“情熱的に”出会える年齢を逃しちゃいけないのだ。

アナの気持ちに共感する女性は多いはず。そして「アタシだけじゃないんだ」とちょっと安心する。
主役の2人がとてもいい。
5月初めに封切りになったので、上映館が少ないです。お早めに。

Retour de Flamme
ファン・ヴェラ監督作品
主演:リカルド・ダリン、メルセデス・モラン
2時間9分


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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