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Category : ニュース

マクロン政権の一大事

アレクサンドル・ベナラ/Alexandre Benalla。今まで誰も知らなかったこの男性は、先週末から全国的に有名になり、毎日ニュースに登場。目下、警察に拘留されている。

5月1日、メーデーのデモの時、警官2人がデモ参加者を殴っている場面を数人がヴィデオに撮った。撮ったのは反マクロンを掲げる“France insoumise/屈しないフランス”の闘士たち。5月1日はブラック・ブロックスが店のウィンドウを次々に叩き割ったりして300人近い逮捕者が出た。ヴィデオは話題にならなかった。
ところが7月19日になって、デモ参加者を殴っているひとりが警官ではなく、エマニュエル・マクロンとブリジットのプライベート・ボディガードのアレクサンドル・ベナラと判明。

グレイのフードが見えるのが彼

マクロンの危機、アレクサンドル・ベナラ
photo:huffingtonpost.fr

警官でもないベナラがなぜ警官のヘルメットをかぶり、ここにいたのか?
誰がその権限を与えたのか?(誰が与えたにしても警官でもない人が警官の“仕事”をするのは非合法だ)。
彼の上司たち(一番上は内務相)はこのことをいつ知ったのか?
知っていて隠ぺいしようとしたのか?

野党、特にFrance insoumiseは国家の一大事と騒ぎ、メディアはこのスキャンダルで炎上している。野党じゃなくても説明してほしい事件だ。

アレクサンドル・ベナラは若干26歳。2011年から社会党のマルティーヌ・オブレイ、次いでフランソワ・オランド前大統領のボディガード、アルノー・モントブールの運転手。
2016年、エマニュエル・マクロンが立候補を決めると、選挙戦の保安責任者としてマクロンに付き添った。大統領になってからは、ベナラの仕事場はエリゼ宮。“大統領の安全”に関わる部署の“コーディネーター”となる。

左でカメラマンを制しているのがベナラ

マクロンの危機、アレクサンドル・ベナラ
photo:le sud-ouest

エマニュエル・マクロンの左。大統領の行く先々、常に彼の姿がある。

マクロンの危機、アレクサンドル・ベナラ
photo:Franceinfo

公務員官舎に住み、推定7000ユーロ(手取りじゃなくて額面)の給料を取り、武器の携帯を許され、GSPR(共和国大統領職の保安班)と射撃、ボクシングの練習をする・・・この優遇、この昇進はなぜ?
私生活では数週間前にパパになり、21日に決まっていた結婚式は延期になった。

内務相ジェラール・コロンは「ベナラの存在すら知らなかった」
大統領選挙からマクロンに”一番近い”彼が知らないはずはないだろう。もう少し信憑性のある説明はできないもんか・・・
若いボディガードが自分の権限を越えて暴走した、という筋書きには誰も納得しないだろう。
マクロンはこれについて口を開いていない。大統領にとってかなりヤバい状況だ。


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映画オタク囚人の映画のような脱獄

刑務所の中庭に突然ヘリコプターが着陸、カラシニコフを持った男2人が降り、発煙銃で監視カメラを煙に巻き、囚人のひとりを乗せて飛び去った。
映画の話じゃない。でもセーヌ・エ・マルヌの刑務所で日曜日の朝起こった脱獄劇は、ニュースキャスターが興奮するほど映画っぽかった。

舞台となったレオー/Réauの刑務所

フランス、映画のような脱獄
photo:Franceinfo

脱獄したのはレドアン・ファイド46歳。子供の頃からギャング映画のファンで、6歳から万引き。
1990年、18歳で銀行強盗デビュー、クレディ・デュ・ノールの支店を襲う。そのお金でラスヴェガスに行き、映画『レインマン』に出てきたホテルのスィートに泊まった。
『レインマン』の次にはまったのはアル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロの『ヒート』。映画館で7回観たのちDVDを買って100回近く観て準備したのち、1995年、装甲車でBNPの支店を襲う。

3年間の逃走の果て逮捕されて18年の刑をくらうが、品行方正で10年で出てくる。
そして自分の体験を書いた本を出し(それ以来、職業は”作家”)本の宣伝にTVにも出て、自分は“悔い改めた銀行強盗”で「自分の中の悪魔は死んだ」と語った。

銀行強盗というよりタレントっぽい顔・・・

フランス、映画のような脱獄
photo:valeursactuelles.com

しかし悪魔はちゃんと生きていた。2010年3月、武装襲撃、今度は犠牲者(女性警官)が出た。レドアン・ファイドは翌年の6月に逮捕されムショ入り。
ところが2013年4月、4人の人質を取り、洗濯物の中に隠した武器で脅して脱獄。インターポール加盟190か国に指名手配が出て、1か月半後に安ホテルで逮捕された。
これまでの武装強盗や強盗未遂の罪が足し算され、今年の4月に結局禁錮25年の判決が下りたとこだった。
さて、刑務所から遠くないところで放火されたヘリコプターが見つかり、車で逃げた模様。

フランス、映画のような脱獄
photo:la-croix.com

その車は、オルネイ・シュル・ボアのショッピングセンターで放火されて見つかり、小型トラックに乗り換えた模様。そのトラックも焦げて見つかった。周到な計画。複数の共犯者が必要だ。
「そういえば数カ月前から刑務所の上をドローンが飛んでいた」と、刑務所の監視員。
今頃言ったって遅いのよ。
「なんで脱獄常習犯をふつうの刑務所に入れたんだ !?」と野党がわめく。

脱獄から3日間経った今もレドアン・ファイドの行方はわからない。一体今度はなんの映画からインスピレーションを得たんだろう?


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日常生活にストの影響はない?

3日運行して2日ストするという国鉄ストが始まって早1か月、4月28-29日は6回目のストだった。

国鉄SNCFのスト続行
photo:Ouest-France

スト参加の鉄道員は次第に減り(スト中は給料が出ないし)、29日(日)はTGV2本に1本、地方線TER5本に2本が運航した(4月3日第一回目のストはTGV8本に1本、TER5本に1本)。
学年末でもうさぼれないのに、アングレームに戻れない!と騒いでいた娘も17時半のTGVに乗れた。
一方、田舎に行っていた息子は電車(TER)がなくて一日早く帰るハメになった。

ストの影響についてのアンケート調査によると「日常生活に影響はない」と答えた人が74%( ?!)
「悪い影響」は21%
「良い影響」2%(タクシーの運転手とストを口実に会社に行かなくていい人?)

「悪影響」はパリを中心とするイル・ド・フランスでは35%に上り、理由は「道程の不確実さ」(今日はどの電車が走っているか?)、「道程が厄介」(いつもより時間がかかる、渋滞する・・・)
ところが「悪影響」と答えた人の半分近く46%が「でも簡単に解決法が見つけられる」で、わけがわからん。

考えてみると、パリ市内にいる限りメトロは動いているし、「渋滞してるからバスには乗ってはダメ」と思うくらいで、私も「日常生活に影響はない」範疇だ。
でもさらに考えてみると、祝日が多い5月になり、観光シーズンになり、加えてエールフランスもストをしているし、仏経済には-とくに旅行業界には-痛手。すでにどこかの地方駅の構内カフェ&レストランは4月の売り上げ40%減といっていた。
国鉄&エールフランスのスト早見表はこちら


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米大統領に正式に招待された初の首脳、エマニュエル・マクロン。2人の3日間は抱き合ったり、手を握り合ったりで、“ハグ外交”と名前がついたほど。

まずトランプ大統領はエマニュエル・マクロンの手を-まるで子供の手を取るように-取り、ホワイトハウスに招き入れ、

マクロン&トランプ大統領
photo: Sud Ouest

そこでマクロン訪米目的のテーマ(2015年のイラン核合意、シリア問題、貿易・・・)を話し合った。
トランプは、自分と仏大統領はお互い“特権的な関係”にあると言い、「フケを取ってあげよう」とマクロンの襟を指先ではたき始めた。マクロン固まる。

マクロン&トランプ大統領
photo/AFP

トランプは、“フケなんて大したことないよ”と言わんばっかりに「He is perfect」、そして「今日は来ていただいてとても嬉しい」

その晩、ホワイトハウスでの記者会見。マクロン大統領は名誉挽回しようと、米大統領の手を強く握る。トランプはその手を離そうとせず、握手は延々と続き、困ったマクロンはトランプに近づき、その肩を抱こうとした。トランプは顔を近づけ、頬にキスするふり。

マクロン&トランプ大統領
photo:Reuters

そして「彼のことがとても好きだ」
主導権取られっぱなし・・・
マクロン大統領は、イラン核合意に、「新たな合意」追加(弾道核ミサイル開発の制限、核開発制限の期間延長・・・)を提案したけど、返事は「可能かどうかみてみよう」
マクロン自身、「あまり希望を抱いていない」ともらしたそうで、米仏首脳会談は“友情”のデモンストレーションに7終わったみたい。

メラニアはシャネル、ブリジットはルイ・ヴィトンのドレス

マクロン&トランプ大統領
photo: Sud Ouest


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利用者たちが高速バスや車の相乗りで必死に目的地にたどり着こうとしているのを尻目に、国鉄SNCFはスト2日目。

電車が着かないから乗客もいない。暇ねぇ・・・

フランス国鉄スト
photo:ouest-france.fr

“週2日ずつ3ケ月”という新型長期スト。
保存版 スト日カレンダー

フランス国鉄スト カレンダー

鉄道員たちも『好きでやってるわけじゃない』というストをなぜするんだろう?
法案の内容の:
①鉄道員の特権的労働条件の廃止
②民営化の可能性
③地方の小線の廃止案
④重い負債に関する記載
などに反対しているからだ。

中でも一番反対している①の特権的労働条件とは、早期定年(過酷な仕事だから)、家族まで大幅割引(おじいちゃん・おばあちゃんまで年4回無料で乗車)などの他企業にない特典・・・でもこの労働条件って1世紀近く前からあって、当時は石炭くべて真っ黒になって肺を冒して、と確かに過酷な仕事だった。今は全部オートマチックでしょ・・・

④の負債額は450憶ユーロに上り、SNCFは「この負債の責任は国にあるので、国が肩代わりすべきだ。」ところが、法案にはそれが記されていない。
この膨大な負債のため、システムや機械の改良工事ができず、去年のモンパルナス駅のようなことになる。いかにしてこの累積赤字を減らすかの改革法案に、悉く反対して「国が肩代わりすべき」なんて!

ドイツの組合は「改良」するためにストし、フランスの組合は「抗議」するためにストをする、と言われるけど、とにかくフランス人は、一度ゲットした権利を、どんなに状況が変わろうとも死守しようとする。
アンケートによると過半数が「マクロンは最後まで折れないだろう」。そう、折れちゃダメよ。SNCF対マクロンの根競べ。

一方、SNCFのストを支持する、理解できる、という人も少なくない。スト支持デモまであった(マクロン反対デモだろうけど)。
電車がなくて相乗り、バスと乗り継いで、でも結局目的地にたどり着けなかった女性がラジオのインタビューに答えて、
「でも鉄道員の気持ちもわかるわ。いろいろ優遇があるから入社しようと思うわけで、それを急に止めるなんて・・・」
アンタたち、マゾ!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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