Category : ニュース
お医者さんもよく処方する咳止めシロップ&顆粒。
ブラックリストの筆頭は:
Bronchokod sans sucre toux grasse adultes(痰の絡む咳止めシロップ、ノーシュガー大人用)
成分のカルボシステインは去痰剤で、咳止めとしての有効性は実証されていない。2006年にHaute Autorité de Santé(健康権力機関)の意見により、健康保険が払い戻しを停止した。その上アルコールとパラベン(防腐剤)入り+副作用(下痢、胃痛、吐き気・・・)。害アリ効果ナシ払い戻しナシ・・・誰が買う?

処方箋ナシで買える薬


Exomuc toux grasse orange
Fluimucil Expectrorant sans sucre orange
この2つもお医者さんがよく処方する顆粒状の薬、処方箋ナシで買えたとは。どちらも合成のオレンジ味。前者と同じくカルボシステイン入りで咳止め効果ナシ。同じく健康保険が払い戻しをやめた。
お医者さんが知らなかったってこと?!

処方箋ナシで買える危険な薬

Toplexil Sans Sucre
Humex toux sèche oxomémazine sans sucre
オキソメマジン(抗ヒスタミン剤)入り、乾いた咳を止めるというシロップ2点。子供が小さい時(3歳から可)から何本Toplexilを買ったことか!大人用が今も3本くらいある(買ったのを忘れてまた買うから)。でも成分に害はなく、粘膜の渇き、目がかすむ、眠気など風邪薬によくある副作用。「次善の策として、時々夜飲むのはいい」そうで、ホッ、捨てなくていい。

処方箋ナシで買える薬

次に喉の痛み編。
Humex mal de gorge
2種の殺菌剤(リドカイン&ベンザルコニウム)入り、前者は局部麻酔薬でアレルギーの人は要注意。後者は喉の痛みへの効果が証明されていない。この手のスプレーは狙い定めないと上手く局部に届かず、舌に噴射して「ギャー不味い!」と、うがいしたり・・・私が方向音痴だからかと思っていたら「スプレーが局部に当たらないと効果がない」
私だけじゃなかった。

フランス、処方箋ナシで買える薬の危険


Angi-Spray mal de gorge
こちらも2種の殺菌剤(リドカイン&クロルヘキシジン)のコンビ。同じく局部麻酔薬(アレルギー注意)と効果が証明されていない殺菌剤。同じく局部に命中させるのが難しい。

Drill
Strepsils Miel Citron(蜂蜜&レモン入り)
この季節、薬局の目につく場所にズラリと並んでいる喉飴。喉が痛いといってひっきりなしに舐めている人がいるけど・・・上記と同じく効果が証明されていない2種の殺菌剤の組み合わせ。パスティーユひとつに2.5gの糖分(角砂糖半分)。
「それならふつうの蜂蜜かレモン入りの飴を舐めたほうが害がない」

処方箋ナシで買える薬

危険なリップクリームとか、害のある製品の検挙が相次ぐのは、私たちの日常が危険物質に囲まれているっていうことだ。
でもフランスで処方箋ナシで買える薬は約13%。スーパーで薬が買えるドイツでは44%、スェーデン41%・・・まぁマシと言うべきか。

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処方箋ナシで買える薬が危険だった

風邪をひいた時、お医者に行かず風邪薬を買って直しちゃおうという人は多い。
私も先週お医者に行かず(第一、かかりつけのお医者は休暇を取っていた)悪寒がひどいとパラセタモールを飲んでいた。1週間以上経っても良くならないので、ついにお医者に行くと、
「ウィルス性の咽頭炎、抗生物質を飲まないと治らないですよ」と言われ、処方された抗生物質を飲みだしたら急速に良くなった。
もっと早く行けばよかった、アホ・・・と思っていたところ、『処方箋ナシで買える危険な薬』が発表された。

掲載したのは『60 millions de consommateurs /6000万人の消費者』、経済・財務省付きの国立消費研究所/Institut National de la consommationが出している月刊誌の号外。
ニュースでも取り上げられたけど、雑誌の営業妨害になるから危険な薬の名前までは言ってくれない。仕方なく買ったけど、買ってよかった。
処方箋ナシで買える薬の筆頭はやっぱり風邪薬。ブラックリストに入ったのは:

処方箋ナシで買える危険な薬

Actifed Rhume Jour&Nuit
“有効成分”のプソイドエフェドリンは副作用が多すぎる(心臓循環系疾患、神経病、半睡状態・・・)上、風邪の症状への有効性は実証されていない。プソイドエフェドリンはアメリカでの覚せい剤作りに欠かせない物質だそう!
風邪ひいて薬局に行ったとき、何度この薬を買ったことか!ヤク中になるとこだった・・・

Dolirhume
頭痛薬の定番Dolipraneのrhume(風邪)ヴァージョンは、パラセタモールとプソイドエフェドリン入り。後者は殆ど覚せい剤で上記の副作用があるし、パラセタモールは頭痛、高熱にしか有効でなく単なる風邪(くしゃみ、鼻づまり、咳)には効かない。すなわち百害あって一利なし。

Neurofen rhume
イブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛剤)とプソイドエフェドリン(覚せい剤!)入り。この2つは風邪の症状に効き目ナシ。15歳以下禁止、喘息、胃潰瘍、肝不全、腎不全、心不全、高血圧、前立腺障害・・・の人も禁止。心臓循環系疾患、神経病の副作用アリ。風邪を長引かせたほうがよっぽど安全だ。

Rhin Advil
これもイブプロフェン(非ステロイド系消炎鎮痛剤)とプソイドエフェドリン(覚せい剤)の組み合わせ。つまり重症の副作用の長いリスト。

この4つが一番危険で、他は「副作用はあまりないけど効果もない」薬。

友達に紹介されて一度行った一般医は、診察室でタバコを吸うぶっ飛んだ女医さんだけど、
「処方箋書くけど、風邪薬なんて効かないの。暖かくしてゴロゴロしてれば治るわよ」
彼女は正しかった。


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日本VSフランス:ニュースの扱い方

日曜の夕刻から仏メディアは「パラダイス文書」で持ち切り。国営のニュース専門ラジオ局、フランス・アンフォは特別番組にしていた。
「パラダイス文書」は、2016年末、南ドイツ新聞Süddeutsche Zeitungに匿名で漏らされた(これ、パナマ文書と同じ)電子文書を皮切りに、国際調査報道ジャーナリスト連合(世界の96メディア、400人のジャーナリストのネットワーク)が1350万に上る文書を分析すること11カ月。フランスではル・モンドとラジオ・フランスが調査に加わった。

パラダイス文書

その結果、エリザベス女王、トランプ大統領の側近(商務長官のウィルバー・ロス、国務長官レックス・ティラーソン・・・)、カナダの若い首相ジャスティン・トルドー(写真右)・・・が、ケイマン諸島やバミューダ諸島のタックス・ヘイヴンを利用していた。

パラダイス文書

これは日本でも既に報道されているけど、フランスでは、600万ユーロ以上をケイマン諸島に投資していたエリザベス女王の名前が筆頭に出された。「エリザベスよ、お前もか」。
フランスの政治家(二コラ・サルコジとか)出そうだが、出ていない。

この暴露はフランスで(政府にも)喝采されている。世界のジャーナリストのネットワークの快挙!世界人口の1%が所有する富が、残り99%の富を間もなく超える、という恐るべき不均衡・不平等に歯止めになる。

パラダイス文書によると、ロス商務長官は、就任後も株を保有するケイマン諸島の法人を通じて、ロシアの海運会社の利益を得ていた。大統領選時、ロシアの干渉疑惑が強まっているだけ、トランプ大統領にとってまたヤバい暴露。

そのトランプ大統領、テキサスのバプテスト教会乱射事件について、
「犯人の精神状態が問題で、武器の所持とは関係ない」「銃を持った目撃者が撃たなかったら、もっと重大なことになっていただろう」という発言がフランスでは繰り返して報道された。
ラスベガスの銃乱射での全米ライフル協会の言い分「法を遵守するアメリカ人が銃を所持する権利を、一人の狂人の行動に基づいて禁止しても襲撃事件がなくなるわけではない」と一緒じゃない。ライフル協会のほうが語彙は豊富だ。
武器を買うとき精神鑑定をするわけではないし、武器を持っていなければ無差別殺人など思いつけない、と単純に思うけど。

テキサス銃乱射に対し日本のメディアの多くは、トランプ大統領の「言葉にできないほどの痛みや悲しみを感じている」を報じていた。
安倍首相と仲良くゴルフをしたし、北朝鮮への対応は「完全に一致」したし、米大統領への空気は違うだろう。

フランス人の9割近くはトランプ大統領に「悪いイメージ」というし、第一お金持ちが好きじゃない。米大統領選中は、「億万長者ドナルド・トランプ」と枕詞が必ずついていた。


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ベタンクール邸の美術品の行方

ムンク、フェルナンド・レジェ、ジャン・アルプ、ピカソ(『ギターと静物』)、モンドリアン、オディロン・ルドン、マン・レイ、ロベール・ドローネー、ブラック、ジョルジョ・デ・キリコ、ファン・グリス、ミロ、マティス。
ベタンクールの大邸宅の壁を飾っていた13点の美術品がフランソワ=マリー・バニエのものになる。推定額1億5000万ユーロ。

葬儀は9月26日だった。

リリアン・ベタンクール葬儀

えー!老婦人の「弱点を悪用」した廉で実刑判決をくらった人がなぜ?
それは、ベタンクール夫人が認知症になったのは2006年と診断され、これらの美術品はそれ以前に贈与されたものだから。つまり夫人の明晰な意志でプレゼントされたもの。
ただし夫人は自分の生存中は“用益権”を有するとしていたので、それらのタブローは邸宅を飾り続けていた。
人手に渡っていることを誰も知らなかった。2007年に亡くなったご主人アンドレ・ベタンクールでさえ知らなかったのでは?と言われる。
しかも夫人は贈与税まで払っていた。なかなか周到。
バニエ氏はトラックをベタンクール邸に送り付けるだけ。この“小美術館”が彼のうちに引っ越してくるってこと。

彼が総額9億9300万ユーロをもらいながら、罰金が少ないのは同じ理由。2006年以前のプレゼントは“弱みにつけこんで”もらったものではないので、返さなくていい、という判決になった。悪運の強いヤツ・・・

でもベタンクール夫人とバニエ氏は強い友情で結ばれていて、夫のアンドレ・ベタンクールも黙認していたらしい。
「鬱傾向の妻を笑わせることができるのはフランソワ=マリーだけだ」
ベタンクール夫人は、
「夫は、フランソワ=マリーが私に笑い、喜び、別の世界をもたらしてくれるのを知っています」
批難していたのは娘のフランソワーズ。
「娘の世話になるなんて息が詰まる」と、夫の死後、夫人は漏らしていた。

バニエ氏は機知とユーモアに富み、時に扇状的(植木鉢にオシッコしたり!)で、ガチガチのブルジョア夫人に“別の世界”を見せて楽しませたのだ。
その見返り・・・かもしれないけど、もらい過ぎ。クラクラすると言うか、腹立たしいと言うか・・・


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世界一富豪の女性は幸せだった?

リリアンヌ・ベタンクール。
財産400憶ドル(約4兆5千億円)。“世界一の富豪(男性を含めると14位)の女性”“ロレアルの相続人”(創立者ウージェーヌ・シュエレールの一人娘)として知られていた彼女が21日、94歳で亡くなった。

リリアンヌ・ベタンクール死去
photo:LCI

いつも明るい色の服を着て、エルメス(多分)のスカーフを巻き、ブルジョアっぽくエレガント。思ったことをはっきり言う人だった。

晩年、彼女の名前はスキャンダルの中心人物として登場する。
夫、アンドレ・ベタンクールは政治家で、政治家がよく食事に来ては、札束入り封筒をお土産に持って帰った。以前は政治献金の取り締まりが緩くて、社会党のミッテラン元大統領まで封筒を持って帰ったそうだ。
アンドレ・ベタンクールが2007年に亡くなった後もこの習慣は続き、リリアンヌ・ベタンクールの物忘れがひどくなったのにつけこむ人は政治家だけではなかった。

その筆頭がフランソワ=マリー・バニエ。

フランソワ=マリー・バニエ
photo:europe1

老婦人に取り入る才能がある自称アーティストは、現金、株券、美術品、島(!)など総額9億9300万ユーロ(約1331億円)をゲット。
リリアンヌの娘フランソワーズは「バニエが母が惚けたことにつけこんだ」と訴えた。
「あたしは惚けてなんかいない、娘は嫉妬している」と母娘の争いに。

見るからにきつそうな娘

リリアンヌ・ベタンクールの娘
photo:AFP

バニエには結局“弱点悪用”の廉で、執行猶予付き禁固4年、罰金37万5000ユーロ(約5026万円)の判決が降りた。

ニコラ・サルコジは、2007年の選挙資金を不正にもらった疑いで、党の財政担当とともに取り調べられたけど、証拠不十分で捜査打ち切りになった(元大統領だものね・・・)

母娘の争いは娘が勝ち、リリアンヌには監督者がつき、お金を自由に使えなくなる。
その後、表向きは仲直りをして誕生日を娘夫婦や孫と祝ったりしていたけど、お金目当てに訪ねてくる人もいなくなり孤独だったのでは。
フランソワ=マリー・バニエは悪徳なヤツだけど、彼が話し相手になり、あちこちに連れて行った頃が一番楽しい時代だったかもしれない。
お金持ちで、お金のことで家族と諍いがなく幸せな人は稀な気がする。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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