Category : ニュース
億万長者の米大統領が好きじゃないフランス人は、“エマニュエル・マクロン、トランプ氏を革命記念日に招待”に「えー !?」「なんでー ?」と騒いだもんだ。
7月14日の軍事パレードで、2人は並んで座り、こんなに寄り添う場面も。

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:le Figaro

今度はマダムに寄り添う・・・

マクロン夫妻&トランプ夫妻

「国際政治舞台の不思議なカップル」とNYタイムズ。「貿易、移民、地球の温暖化について顕著な見解の違いを、彼らは過小評価しようとしている」

マクロンがトランプを招待した下心(のひとつ)は、“地球温暖化に対するパリ協定離脱をなんとか翻させよう”だ。
パリでの歓待に満足のトランプ大統領は仏大統領との関係は「very good」(この人の使う形容詞は限られている)で、「パリ協定について何か起こるかもね」とほのめかす。
The Independent紙は「パリ協定離脱決定の逆転に、扉を開けた」と期待するが、あまりにコロコロ変わるトランプ発言に、喜ぶのは早いという声が多い。

さて、その前日 、マクロン夫妻がトランプ夫妻をアンヴァリッドに案内した時、

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:AFP

ブリジットに「あなたは大変お元気そうだ」とトランプ氏・・・ここまではいいけど、彼女のボディを指さして「素晴らしい!」と付け加えるのを忘れなかった。
このセリフが“行きすぎ”と批難の雨。これまでも女性をオブジェと見るような発言で叩かれたトランプ氏、全く懲りないわね。

夜はエッフェル塔のジュール・ベルヌ(シェフ:アラン・デュカス)で“ケチャップなし”の夕食。
メラニア夫人はトリコロールのドレス

マクロン夫妻&トランプ夫妻
photo:orange actu

NYタイムズは「トランプ氏の嗜好-ステーキにケチャップどっさり、チーズバーガー-を知る者には驚くべき夕食」
その驚くべきメニューとは:
-パテ
-野菜のファルシ
-舌平目のオランデーズソース
-牛フィレのロッシーニ風(フォアグラとトリュフ添え)木苺ソース
-スフレ・オ・ショコラ


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エマニュエル・マクロンが大統領になったのは、一重にマリーヌ・ルペンを阻止するためのデフォルト投票のお陰。
それだけに続く総選挙で、マクロンの新党『La République en marche/共和国前進』が過半数を取れるかは賭けだった。

ところが11日の第一回投票で32%を獲得。右派Les Républicains(LR)21.2%、極右Front National(FN)13.9%、メランションの急進左派La France Insoumise10.9%、社会党(PS)10%。

地元トゥーケで投票したエマニュエル&ブリジット。このジャケットもルイ・ヴィトン?

エマニュエル&ブリジット・マクロン

「誰に入れた?」「教えないわよ」

エマニュエル&ブリジット・マクロン
photos:Parismatch

信じられないのは社会党の激衰退:社会党書記長ジャン=クリストフ・カンバデリス、元文化相オーレリ・フィリペティ、こともあろうに元教育相、左派大統領候補だったブノア・アモンまで、あっさり一回目で落選している。

眼を疑う、という顔のオーレリ・フィリペティ。彼女はオランド大統領の政策に反対して、経済相アルノー・モントブールと辞任。一緒に辞任しただけでなく、一緒に子供を作り、別れている。

社会党衰退
photo:lepoint

一方喜ぶべきはFNの後退。大統領選の決選投票まで行ったというのにどうした ?!
理由は、決選投票前マクロンとの討論でのマリーヌのメチャクチャ、支持率の高かった姪マリオン=マレシャル・ルペンの一時引退・・・

さて「共和国前進」勝利の理由は、まず大統領になったマクロンの国際シーンでの快挙:G7で、自分の権力を思い知らせるようなトランプ大統領の握手に負けず(事前に練習したとか)、プーチン大統領をヴェルサイユに招待し、トランプがパリ協定離脱を発表し、再交渉を提案したとき「再交渉の余地はない。・・・・・環境問題に代替プランはない。地球に代替えはないのだから」と返答。マクロンの弱点だった環境問題でポイントを稼ぎ・・・

そして「せっかく大統領に選んだんだから、足を引っ張るよりチャンスを与えてやろう」という風潮。文句を言うばかりが能じゃない。
就任1か月後のアンケートでマクロンに満足が68%だった。

50%という記録的な棄権率は、従来の政党への失望・怒りの反映。これもマクロン新党に有利に働いた。

さて『共和国前進』の立候補者447人のうち、半分以上の273人が「政治経験全くなし」の弁護士、経済学者、医者、農業従事、警察特別介入部隊のモト隊長・・・
これもプラス要因かもしれない。右派だろうが左派だろうが、権力志向とエゴの塊で、私腹を肥やすことしか考えていない政治家たちにウンザリした国民にとって、今までにない人選は新鮮で「やらせてみよう」という気になるんじゃないかと。やらせてみよう・・・


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ウフフ・・・極右・国民戦線の分裂

日本ではあまり知られていないマリオン・マレシャル=ルペンは、ジャン=マリー・ルペンの孫、今回の大統領選で敗れたマリーヌの姪に当たる。

マリオン・マレシャル=ルペン
photo:nicematin

18歳でおじいちゃんの作ったFront National/国民戦線に入党。2008年(地方選挙)、2010年(地方地域選挙)では落選。2012年のフランス議会総選挙でヴォークリューズ県第3選挙区から立候補し当選。22歳、大学生、フランス共和史上最年少の国民議会議員になる。
彼女がしゃべるのを聞いていると、その頭の回転の速さと口の達者さに感心する。カエルの孫(姪)はカエル、いやカエルを超えているかもしれない。
2015年の地方地域選挙ではプロヴァンス=アルプ=コードダジュール(PACA)から出馬し、国民戦線の候補者の中で一番の得票比率で当選した。
マリーヌおばさんが党の“脱悪役”を図り、ジャン=マリーお爺ちゃんを追い出したことに反対。ジャン=マリーにとっては味方につけられそうな可愛い孫、マリーヌにとっては支持率が魅力の手強い姪、つまり双方にとって貴重な存在だ。

そのマリオン(この家族、やたらMのつく名前が多い)が、突然「政治を一時的に引退」と宣言。表向きの理由は“子育て”。あまりに彼女が不在なので、2歳半の娘から「マダム」と呼ばれたのがきっかけだ。「この子は私を母親と思っていない !?」

でも本当の理由は、一次投票と決選投票の間に行われた討論で、マリーヌが「惨憺たるもの」だったこと。
答弁を準備したフロリアン・フィリポ(国民戦線の副党首)らを「揃いもそろってバカ」と漏らし、こんな党とは距離を置きたい、ということらしい。
フロリアン・フィリポ(35歳)はHEC経営大学院、フランス国立行政学院を出た、党きってのエリート、党首マリーヌの“頭脳”だ。

極右FN副党首、フロリアン・フィリポ
photo: la dépêche

その彼が「国民前線がユーロ離脱を方針として掲げないなら、党を辞める」と言い出した。国民の75%がユーロ離脱に反対しているのを知って、マリーヌが「ユーロ・フラン二本立て」に切り替えたからだ。
「自分の信念に反することを擁護するために党に残りたくない。私は手段は何であれ、フランスの独立のために戦う。」

中枢の人間が2人もいなくなると(フィリポは“脅迫”かもしれないけど)党はぐらつく。マリーヌ・ルペンが敗北後おとなしくしているわけだ。今回は負けても5年後には勝つのでは?と心配されている極右FN。ますます分裂してほしいもんだ。


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オランドからマクロンへ、正式にバトンタッチされるのが14日の日曜日。

10日、最後の閣議で各大臣にサヨウナラ

オランド大統領
photo: TV5monde

大統領の座を退いた後、オランドにはいくら払われるんだろう?
まずモト大統領手当:5.184ユーロ
地元コレーズ県議会長、ヨーロッパ評議会として:6.208ユーロ
会計監査院のミッション:3.473ユーロ
色々な地方業務をひっくるめて:235ユーロ
と計15.100ユーロ、約188万円が毎月払われる。
大統領を辞めても、県やヨーロッパ議会や会計監査院の仕事はあるわけだから、まぁのけぞる額ではない。
驚くべきはその他モロモロ:
家具付きのアパルトマン
行政上の職員:7名
車:1台&運転手2名
家事:2名
ボディガード:2名
エール・フランス、SNCF(フランス国鉄):タダ

辞めた大統領は死ぬまでこれらの年金と特権を与えられる。
去年9月、オランド大統領は、会見監査院から「モト大統領たちに払う金額が目から火が出るほどになっている」と知らされた。考えてみればモト大統領は3人:
ヴァレリー・ジスカールデスタン91歳
ジャック・シラク84歳
ニコラ・サルコジ62歳
総額は年間1030万ユーロ、約12億8750万!
そこに自分(フランソワ・オランド62歳)が加わって4人になるわけだ。
昔は“モト”が4人、という状況は考えられなかったのに、平均寿命が延びてこの状態に。

オランド大統領は政令を発表:特権を5年にし、2022年からは職員3名、運転手1名、家事1名、飛行機&電車のタダ乗りなし、に決めた。もちろん自分だけではなく後の3人も同様。庶民の見方、社会党の大統領らしく・・・

エマニュエル・マクロンは39歳だから5年後は44歳。特権がもとのままだと、その後の長い余生は「何もしないで食べていける!」ということに。ま、マクロンが何もしないわけはないけどね・・・


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前途多難、マクロン新大統領

マクロン66.1%、ルペン33.9%。
39歳4か月と16日、共和国最年少の大統領が誕生した。ファーストレディは64歳、孫7人。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:AFP

ルーヴル広場、ピラミッドを背景。”勝つとわかっていた”演出。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:parismatch

最後にマルセイエーズを歌ったとき。
背後にいるキャスケットの男性がソーシャルネットワークで有名に。「誰、あの人?」「トランプの支持者が紛れ込んでる」・・・
彼はナントでPizza Hutのフランチャイズをしていて、マクロンの選挙運動に熱心に関わっていたそう。

エマニュエル・マクロン大統領
photo:AFP

確かにマクロンが勝つのは明らかだったけど、この大差に私も喜んだ。イギリスのEU離脱といい、トランプのの政策と言い 、自国優先の閉鎖傾向が広がる中、ヨーロッパの団結と孤立しないフランスを国民は選んだ。「ルペンが大統領になったら日本に帰る」と言っていた友人たちもこれで帰らなくてすむ。ほっ!

でも決選投票の結果をよく見ると、決して安心できるものではない。
〇過去最高の棄権(25%)と白紙投票(12%)
これまで政権を握ってきた右派(フランソワ・フィヨン)左派(ブノア・アモン)が第一次投票で落選し、極右と“極財界”(メランションの命名)が決選に残り、フィヨンとアモンの「マクロンに投票しよう」の呼びかけにも拘わらず「どっちの政策にも同意できない」「ペストとコレラ、どちらも選べない」人が1600万人いた。
〇過去最高のルペン得票数
1100万人がマリーヌ・ルペンに投票、これはFN国民戦線の最高得点。負けてもマリーヌが凹んでいない訳だ。2002年、親父ジャン=マリー・ルペンがまさかで決選投票に残ったときは、一次投票で棄権した人たちが目覚め、投票率は8%上がった。その結果、ジャック・シラクは82%獲得で勝った。今回は“危険に目覚め現象”もなく、逆に棄権が増えた。
15年後、ルペンは確実に支持者を増やしているということだ。

さらに“左派でも右派でもない”マクロンが、誰を首相、各相に選ぶか。
6月の総選挙で過半数を獲得できるか。
・・・と前途多難だけど。
1年前、マクロンが経済相を辞任して政治運動En marche !を立ち上げたとき、「マクロンは大統領になると思うか?」というインタビューに議員たちは口を揃えて「ありえない」「不可能」と答えた。それがなっちゃったんだから・・・ゴールデンボーイに期待しよう。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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