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Category : 映画/TVシリーズ
「好きかどうかわからないけど、まぁ1話だけ見てみて」と息子に言われて、娘と観た『今際の国のアリス/Alice in Borderland』。
アリス、チョータ、カルベ。幼馴染の男子3人組が突然、人間のいなくなった異次元の東京に入り込む。

『今際の国のアリス』

そこではゲームに参加して勝ち残った者が生き延びられるというルールになっていた。
1話を見て、ナンだ、若者向けのシリーズじゃない、と思ったのにやめられなくなって、年甲斐もなく最後まで見てしまった。

東京の風景、特に渋谷界隈が懐かしかったせいもあるし、人っ子ひとりいない街(夜明けに撮った?)に既視感、3月~5月のコンフィヌマン中、パリの街はこんなだった。
ゲームオタクのアリスがいい(主役だものね)。でもビーチが出てきてから、俳優たちの演技が過剰で面白さが少し薄れる。
実写の前にアニメ化され、アニメの演技をもとにしたからじゃないか、と息子の意見。
なるほど。アニメだとふつうの演技も、人間がやると不自然になるのね。

歴史物はあまり好きじゃないのに、4シーズン観てしまった『The Crown』。
2020年のNetflixのシリーズ中、フランスでは一番人気だった。
1947年からのエリザベス2世の治世を描き、2シーズン毎に主演俳優が変わる。

シーズン1&2のクレア・フォイのエリザベスとマット・スミスのフィリップが良かった。

『ザ・クラウン』
image:tele7jours

クレア・フォイは『ミレニアム』シリーズの『蜘蛛の巣を払う女』のリスベット、ステーヴン・ソダーバーグ『パラノイア/Unsane』の主役ソーヤーもよかった。
フィリップ役のマット・スミスは初めて見る俳優。女王の夫、という飾り物的な位置に不満で、自分の存在理由を主張しつつ、反抗期の息子のように振る舞うキャラによく合っている(つまり上手い)。
シーズン4でダイアナ妃が現れると釘付けになる。
エマ・コリンの、ちょっと陰のある目と上目遣いの視線がダイアナ妃にそっくりなのだ。それにしても不幸な結婚生活だった。

『ザ・クラウン』
image: francetvinfo.fr

観ながら「みんな狂ってる」と夫。たしかに王室の人間たちは普通じゃない。
一日中、人に見られていて演じなければならない、という運命のせい?
外に見せなければならないイメージと内部の力関係が大切で、人間らしい関係がないというか・・・日本の皇室も似たようなものだろう。
フィリップ殿下(本物の)にジャーナリストが『The Crown』をどう思うか?尋ねたら、
「あまりに(事実と)違うので笑ってしまう」というお答えだったそう。
ふむ、巧みなかわし方。
日本で皇室の歴史がシリーズ(NHKの朝ドラ?)になるというのはちょっと想像できない。
ということは、日本の皇室が英国王室よりさらに異次元の世界ということだろうか。


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どんなスリラーより怖い

映画館、美術館、スポーツクラブなど娯楽の場所が全部閉まって以来-つまり去年の3月から-夫もろともNetflixのシリーズ漬けになっている。選ぶのはサスペンス&スリラー。

最近観たのは『アンダーカバー秘密捜査官』。
麻薬ディーラー、フェリー・バウマンが君臨するキャンプ場に、カップルのふりをして潜入する男女捜査官の話。
キャンプ場の麻薬王っていうのも庶民的だけど、フェリー・バウマンは凶悪ながら情に厚く、若い奥さんにメタ惚れで憎めないキャラ。シナリオがよくテンポもいい。

数年前のシリーズ『ブラッドライン』。
海辺でホテルを営む地方名士家族。ホテル45周年記念パーティに、長い間姿を見せなかった前科者長男がフラリと戻ってきた。
それを皮切りに、閉じ込められていた家族の嘘と秘密が浮上してくる。
地元で尊敬されているホテルオーナー夫妻も一皮剥けば違う人物。“人間はみんな灰色”というキャッチをつけたい。

どちらのシリーズも殺人やヴァイオレントな場面が多々あるけど、どんなフィクションより怖かったのが「Affaire Watts/American Murder ; The Family Next Door」というドキュメンタリーだ。

シャナン・ワッツは、夫と4歳と3歳の娘2人と暮らし、3人目を妊娠中。傍目には幸せな34歳の女性。

affaire Watts

2018年8月13日、地方のセミナーに参加した彼女は午前2時に自宅に帰ってくる。
その翌日から、シャナンは親友の電話やメッセージに返事をしない。心配した親友は警察に通報する。
家の中は空っぽだ。仕事から帰ってきた夫クリスはあちこちに電話し、シャナンの携帯にメッセージを残す。
どこにいるんだ?帰ってきてくれ。
寝室のテーブルにはシャナンの結婚指輪が残されている。

事件の何か月か前から、シャナンは「クリスが変わった」「実家に5週間もいて帰って来たのに、わたしに触れようともしない」「1時間泣いた」・・・というメッセージを親友に送っていた。
これ以上書かないほうがいいでしょうね。

このドキュメンタリーは、友達や警官が撮ったヴィデオ、シャナンが毎日のようにFacebookに投稿者した写真やヴィデオ、友達に送ったメッセージを繋ぎわせて事件を再現していて、それがとてもリアル。鳥肌が立つ。
事実はシリーズものより怖い。


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夫の浮気、さらに深刻編

フランソワとノエミは、ジュラで家業の製材所を仕切っている夫婦。フランソワは森の木々の年齢や健康状態を自分の子供のように知り尽くしている。
子供・・・夫婦はずっと子供に恵まれず、何度か試みた体外受精も上手く行かない。
ノエミ(メラニー・ドゥテイ)は養子を取ることを決めるが、フランソワ(ジャリル・レスペール)はもうひとつ踏み切れないでいる。

映画『l'enfant reve』

ある日、地元に越してきた夫婦が、テラスを作る木材を選びに来る。彼らには小さい女の子が2人。「子供がいる母親を見ると殴りたくなるのよ」とノエミ。その母親、パトリシア(ルイーズ・ブルゴアン)とフランソワは強く惹かれ合い、森の中で逢引を重ねるようになる。

enfant reve2

間もなくパトリシアが妊娠を告げる。「あなたの子供よ」
あれほど望んでできなかった子供だ。「堕ろさないでくれ」
「夫と別れるから、あなたもノエミに言って」とパトリシア。

フランソワは引き裂かれる。妻であり、仕事の相棒であり、不妊と戦ってきたノエミにそんな残酷なことはできない。
一方で、材木に囲まれた自分の家を牢獄のように、森を見渡すノエミの家は未来へ開けているように感じるのだ。
「明日はきっと話す」と繰り返すうちに時間切れ。
お腹の膨らみを隠せなくなったパトリシアは“夫の子供”として妊娠を告げる。

次にフランソワがパトリシアに会うのは産院だ。“自分の子供”を抱いたときの、今までにない喜びと愛情にフランソワは驚くのだ。

『L'Enfant rêvé /夢に見た子供』

映画『l'enfant reve』
photos:allociné

不可能な二者択一を迫られたフランソワの苦悩は、サスペンスへ転じていく。

「ふたりの女を持つ者は魂を失い、ふたつの家を持つ者は理性を失う」
エリック・ロメールが映画『満月の夜』のテーマにした格言だ。
『二兎追う者一兎を得ず』というのもあったわね。でもこれは女に限らない。
ふたりの女、ふたつの家を持った男の話が、ハッピーエンドで終わる訳がない。

この映画で特に印象に残ったのは“木”だ。森の光景だけでなく、切り倒された木が板になっていく過程が珍しく、美しい。
製材所を舞台にしたフランス映画は片手で数えられるそうだ。

L’Enfant rêvé
ラファエル・ジャクロ監督作品
主演:ジャリル・レスペール、ルイーズ・ブルゴアン、メラニー・ドゥテイ
1時間47分
フランスで公開中


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夫の浮気、深刻編

ニュースの90%はコロナ関係。特に今夜はエマニュエル・マクロンが“新たな制限”を発表するので、政治家や医療専門家が一日中予想したり、批判したり、他国の政策と比べたりしている。
有力説は『夜間外出禁止令』。いや、再び一日中外出禁止だ、という人もいて、果たしてどうなることか。

現実を離れて映画の話をしましょう。
舞台はウィーンのハイソなフランス駐在員とその妻たちの世界。エーヴの夫のアンリは有名なオーケストラ指揮者、彼女は仏メディアセンターの責任者+小学生の息子がひとり。
他の駐在員夫婦たちの子供も同じインターナショナルスクールに通い、ことあるごとに夕食に呼び合い(ああ、コロナ以前の世界!)優雅な外国生活を送っている。

駐在員妻のヘアスタイルが全く同じ、というのが芸が細かい。

映画『Les Apparences』

夫の肩書、エステや美容院の回数、カシミアのコートにエルメスのスカーフ・・・外見が大切な世界だ。

だからタイトルは『Les Apparences/外見』
エーヴ(カリン・ヴィアール)とアンリ(バンジャマン・ビオレ)

映画『Les Apparences』

ある日、エーヴは夫の浮気を知って動揺する。相手は息子の学校の先生だ(よくあるパターン)。
彼女がまず考えたのは外見をつくろうこと、つまり何事もなかったように振る舞う。
そして復讐だ。相手の女が夫に送ったメールを、宛名は隠して親たちのグループに送りつけ(IPアドレスで誰が送ったかバレるじゃない)、夫がやるならアタシだって、とバーで若者を引っかける。

映画『Les Apparences』
photos:allociné

・・・と、ここまではそう珍しくもないけど、夫の浮気相手も、エーヴが誘惑した青年も“脛に傷持つ身”だったので、話はサスペンスになっていく。

傑作ではないけど観て後悔しない。二面性ある女を演じたら抜群のカリン・ヴィアール、茫洋としていてセクシーなバンジャマン・ビオレがよく、ブルジョアジーな書き割り世界を風刺しているのが小気味いい。
映画館は気の毒なほどガラガラなので安心して行っている。

Les Apparences
マルク・フィトゥシィ監督作品
主演:カリン・ヴィアール、バンジャマン・ビオレ
1時間50分
フランスで公開中


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“恋の主役”になれない2人

マキシムは従弟フランソワの田舎の家に遊びに行く。
ところがフランソワは急な仕事でパリに足止めになり、迎えたのは妊娠3か月の妻ダフネだ。フランソワを待ちつつ2人は付近の村や古城を散策する。そして打ち明け話になる。

マキシム(ニール・シュネデール)とダフネ(カメリア・ジョルダナ、エキゾチックな美しさ)

choses quon dit 5

作家を夢見る翻訳家のマキシムは、美しく利発なヴィクトワールと付き合っていた。一緒に目覚めたある朝、
「あたし、結婚してるの」と彼女。
「!?」
「欲望&快楽と結婚は別物なのよ。夫は日本に転勤中で、わたしももうすぐ行くことになってるの」
こうして2人の関係は終わりを告げた。
「その代わりに」とヴィクトワール(左)は妹サンドラを紹介する。

choses quon dit4

間もなく奔放なサンドラに惹かれるマキシム。
でもその気持ちを打ち明ける前に、彼女はマキシムの親友と一緒になってしまう。

一方、ダフネはドキュメンタリー映画監督のモンタージュ助手。20歳以上年上の監督が前から好きなのに打ち明けられずにいる。ところが彼女が紹介した女友達と、彼は忽ち恋に落ちるのだ。傷心の晩、フランソワとばったり出会い、一夜をともにする。

コミカルなダメ男役が多いヴァンサン・マッケーンのシリアス役、すごくいい。

choses quon dit3
photos:allociné

フランソワは綺麗な妻がいるのにダフネに一目ぼれ、
「また会いたい」
「だめ、あなた結婚してるから」
「じゃなぜ寝たの?」
「結婚してるから。一夜のアヴァンチュールで終わると思った」
「・・・・」
じゃ、なぜ今フランソワと一緒に暮らし子供まで作ることになったのか?・・・
そしてフランソワにも驚くべき過去の一幕があった。

日本ではあまり知られていないエマニュエル・ムーレ/Emmanuel Mouretの『Les choses qu’on dit, les choses qu’on fait』
“言うこと。すること”と訳したらあまりに味気ないので、『言葉にすること。行動にうつすこと』とか?

傷心のマキシムと妊娠中人妻ダフネ。恋の主役になれない2人を中心に、男女の出会いと別れとすれ違いが描かれる。リアルであり、大人の御伽噺みたいなところもあり。シークェンスの短い撮り方はウッディ・アレンを思わせる。でもより繊細。
背景に流れるショパン、サティ、モーツアルト・・・も映像にしっくり合う。2時間を長いと感じないお奨め映画。
磁石のように惹かれ合う2人、でも落ち着く先はその相手とは限らないのだ。

Les choses qu’on dit, les choses qu’on fait
エマニュエル・ムーレ監督作品
主演:カメリア・ジョルダナ、ニール・シュネデール、ヴァンサン・マッケーン他
2時間6分 
フランスで上映中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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