Category : 映画

暑さ対策:ホラー映画

暑すぎ。特にメトロ&バスがサウナ状態。娘がRERで団扇を使っていたら、お母さんに抱っこされていた赤ちゃんが「自分もあおいでくれ」と騒いだそうだ。賢い赤ちゃん。
東京ならどこでも冷房が効いていて一息つけるけど、この国ではその“一息”が稀だ。
ラジオでは「ショッピングセンターか映画館に行きましょう」
先週末観た『Sans un bruit/クワイエット・プレイス』。冷房が効いている映画館でホラー映画、ダブルに涼くなった!

「彼らに聞きつけられたときはもう遅い」

映画『クワイエット・プレイス/Sans un bruit』

2020年、宇宙からやってきた怪物が地球を荒らしまわっていた。人影がなく荒廃した町を、ヒタヒタと裸足で歩き一言も話さない家族 、両親と3人の子供。
怪物は盲目だが、恐るべき聴覚で人間を見つけ、殺して食べてしまう。この一家が生き延びたのは、長女リーガンのため、みんなが手話を話すからだった。
略奪されたスーパーで、残っているものをリュックに詰めた家族、帰りがけに末っ子のビューが飛行機のオモチャを見つける。お父さんが手話で「それは音がでるからダメ」
がっかりするビューを見かねてリーガンは電池を抜いて飛行機を渡す。その行為を後々まで後悔することになる。

一年後。母親(エミリー・ブラント)は臨月を迎え、父親(ジョン・クラシンスキー)は助けを求める試みをする一方、怪物の正体、弱点について調べている。残り少ない生存者であるこの一家を、怪物は既に察知していた・・・

子供たち、とくに長女リーガン(右)が上手い。目だけで恐怖や怒りを伝える。

映画『クワイエット・プレイス/Sans un bruit』

監督&脚本のジョン・クラシンスキーが”お父さん”、その上私生活ではエミリー・ブラントの夫。

映画『クワイエット・プレイス/Sans un bruit』
photos: allociné

音を立てたら命とり。その緊張感が伝わりハラハラする。だってイビキとか寝言とか無意識に立てる音もあるでしょ。騒々しいうちの家族なんか真っ先に食われそうだ。
第一、どうしてこんな時に子供を作る!? 赤ちゃんの泣き声は致命的じゃない。
「アクシデント?」と娘。
夫に言わせると「人間の本能」。ペストの流行とか戦争で“人類の危機”を感じると、本能的に子孫を残そうとする。なるほど。

ホラー映画は日本製に勝るものはないと思っているけど、これはシナリオもよくてなかなか怖かった。

Sans un bruit
監督&脚本:ジョン・クラシンスキー
主演:エミリー・ブラント、ジョン・クラシンスキー
1時間30分
フランスで公開中。日本は9月28日封切り。

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映画ザッピング:『En guerre/戦争中』

アジャンにあるPerrin Industrieの工場。3年前から工員たちは35時間分の給料で週40時間働き、赤字解消に貢献してきた。
その代わり5年間はリストラなし、という条件で。昨年、黒字に転じ少なからぬ利益をだしたのに、幹部は工場閉鎖を決める。
約束不履行。ローランを頭に1100人の工員たちは、この一方的決断に反対。仕事ボイコット、交渉、工場占拠・・・戦争状態になる。
ステファン・ブリゼ監督の『En guerre/戦争中』。今年のカンヌのコンペティション参加作品。
ムショ帰り、失業者などの役をやるうち、目が座ってきたヴァンサン・ランドン主演

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』

同監督の『La loi du marché/ティエリー・ドグルドーの憂鬱』で、やはり主役のヴァンサン・ランドンがカンヌ最優秀男優賞を取ったのは2年前と思ったら2015年。時の経つのは早い。
自分の能力に合った再就職先が見つからず、やむなく大スーパーの警備員になるティエリー。ハンディキャップのある息子を抱え、職を得なければ最後の砦、アパルトマンも手放さなくてはならない。スーパーでお客の万引きを取り締まるうち、ティエリーの価値観と仕事の必要性のバランスが崩れていく様が見事に描かれていた。

そのブリゼ&ランドンコンビの、やはり社会派作品。カンヌ試写でスタンディングオベーションと聞いたけど、そうなの?
株主たちへの配当を良くしようと利益の少ない部署を切り捨てようとする経営陣と、仕事を死守しようとする社員たちの戦いは珍しくなく、ドキュメンタリーを観ているようだ。

こういうシーンばっかり

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』
photos:allociné

「経営側も工員側もない、私たちはみな同じ船に乗っている」と工場長が言えば、
「同じ船だとしたら我々はネズミのいる船底、あんたたちは上の船室だ」と工員。
やり取りはリアルだけど(出演者の多くは俳優ではなく労組員)、なんの感動も産まないのだ。
労組もイデオロギーの違いでいくつかあるので(CGT、CFDT、 CGT-FO・・・)工員たちの中で分裂も起こる。テンション上がる話し合いは出口が見えない。

ステファヌ・ブリゼの作品では、スイスで安楽死を選ぶ母とムショ帰りの息子(ヴァンサン・ランドン!)の話『Quelques heures de printemps/母の身終い』も、とてもよかったのに。

En Guerre
ステファヌ・ブリゼ監督作品
主演:ヴァンサン・ランドン、メラニー・ロヴァー
1時間53分
フランスで上映中

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映画ザッピング:いじめの後遺症

南仏の村。可愛くてセクシーなルナはルベンに首ったけで、彼の誕生日プレゼントに子犬を盗むという危険を働く。
その晩はルバンの仲間たちとバイクで繰り出し、たまり場になっている空き倉庫にやってきた。そこにはひとりでグラフィティをする男子がいた。すでにかなり酔っぱらっている彼らは、いい魚ができたとグラフィティ男子をからかい、しまいにはルベンが率先して暴行を加える。ルナもそれに加勢した。
ルベンのやることなら何でもよかったのだ。彼の子供を身ごもり、言われるまま中絶を決める。でも手術の日に、ルベンは付き添いにも来なかった(はたから見ると、いい加減なアホ男で、さっさと別れろ!と言いたくなるけど・・・恋は盲目)

ルナは職業訓練学校を出て、農園で働いている。南仏の太陽を浴びたズッキーニ、トマト、メロン・・・摘み取って箱に入れる。
ある日、農園に新入りアレックスがやってきた。その顔を見るなりルナは逃げ出す。アレックスは倉庫でいじめた青年だったのだ。

少し前に髪を切って赤毛に染めたルナにアレックスは気づかない。何事もなかったかのように話しかける。いつバレるかハラハラしながら、ルナとアレックスは次第に接近していく。

『ルナ』

映画『Luna/ルナ』

田舎の小さな社会で、若い子たちがくっついたり離れたり。でも被害者は、そして加害者たちも“倉庫の夜”を忘れられない。
傑作ではないけど、主役の2人がいい。

アレックスを演じるのは、『太陽のめざめ』でマロニー役のロッド・パラド。木工職人になるため職業訓練学校に通っていたところスカウトされて、いきなりセザール有望男優賞を受賞した。
『太陽のめざめ』では少年ぽかったのが、すっかり青年。うちに秘めた感情を表現するのが上手い。

ルナは今まで見たことがなかったレティシア・クレモン。多くを語る大きな目、ピチピチした肢体、日焼けした肌。彼女も前途有望そう。

映画『Luna/ルナ』 ロッド・パラド
photos:allociné

アホ男ルベンの写真がないのが残念!
女性監督エルザ・ディリンジャー初の長編作品のせいか、上映館が少ないのも残念・・・

Luna
監督:エルザ・ディリンジャ―
主演:レティシア・クレモン、ロッド・パラド
1時間33分
フランスで上映中

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1983年。エリオは、北イタリアの小さな村の別荘で両親と夏を過ごしている。
お父さんは考古学の著名な教授、アメリカ人。美人で優しいお母さんは翻訳家、フランス人。
17歳のエリオは、ピアノはプロ並みに上手く、ひとりで本を読むのが好きで“何についてでもよく知っている”。相手によって英語、フランス語、イタリア語を自然に使い分ける・・・インテリ両親のひとり息子らしい、知的にマセた少年だ。

そこへ、お父さんの教え子のアメリカ人、オリヴァーがやってくる。博士論文を書くためにしばらく滞在するオリヴァーは、エリオの隣の部屋を使うことになる。エリオは、オリヴァーをそれとなく観察する。最初はフィジカルで奔放なアメリカ人が気に障り、次第に惹かれていく。最初は面倒を避けたい、と逃げ腰のオリヴァーも、エリオのアンバランスな魅力に抗しきれない・・・

『君の名前で僕を呼んで』


ルカ・グァダニーノ監督の『Call me by your name/君の名前で僕を呼んで』

『君の名前で僕を呼んで』

「なーんだ」と思われる方、まあ最後まで聞いて!
たしかに“ア・ボーイ・ミーツ・ア・ボーイ”なんだけど、それがテーマではない(私的にはね)。
知的には成熟していてもオクテのエリオにとって初めての感情。初めての恋。その一途さ、不器用さ、コントロールできない感情を、ティモシー・シャラメが感動的に表現する。

『君の名前で僕を呼んで』
photos:allociné

アカデミー賞最優秀男優にノミネートされていた、あの白いタキシードの青年だ。
オリヴァー(アーミー・ハマー)の美しさもハンパじゃない。ただ、“大学院生”のはずの彼は30くらいに見え、エリオが体つきも少年っぽく15歳くらいに見える。
この映画、主人公たちとイタリアの夏は美しすぎ、エリオの両親は優しすぎ、理解がありすぎで、現実離れしているんだけど、それでも感動したのは、誰もが経験する“初めて”を思い出したから:歓喜と涙が背中合わせなことを知り、長くは続かないのに一生忘れない。

そして他の登場人物が霞むエリオの存在感。マセでうぶで、シニカルで一途な少年に、すっかり魅了された。
2時間10分を少しも感じず、エリオの表情だけを捉える最後のシーン、その横に字幕が出て、他の観客が帰り支度を始めても、見続けた。最後の一滴まで!

Call me by your name/君の名前で僕を呼んで
監督:ルカ・グァダニーノ
主演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カザール
2時間10分
フランスで公開中。
日本公開は4月27日


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米アカデミー賞は『シェイプ・オブ・ウォーター』と『スリー・ビルボード』が人気頭。2日前のセザール賞では『BPMビート・パー・ミニット』とピエール・ルメートル原作の『天国でまた会おう』が争った。

日本では3月24日に公開になる『BPMビート・パー・ミニット』は、1990年代はじめのパリが舞台。エイズは10年前から広がっているのに、この病気は一般に知られていなくて 、何の予防もしない人、逆に感染者に触ってもうつると思っている人も少なくなかった。エイズ防止運動アソシエーションAct-Up Parisは、この病気の知識と予防のために、デモをしたり高校でコンドームを配ったりする。運動家たちの中にはエイズ感染者もいたが、愛したいという欲望は変わらなかった。

Act-Up Parisに参加したナタン(右)は、急進的な運動家ショーンに惹かれていく・・・

『BPMビート・パー・ミニット』

というストーリーでショーンを演じるナウエル・ペレズ・ビスカヤ―、突然現れたアルゼンチンの俳優の演技に、みんなビックリした。

『BPMビート・パー・ミニット』(ロバン・カンピオ監督)は13部門でノミネートされ、最優秀作品、監督、音楽、助演、オリジナルシナリオ、モンタージュ賞、そしてナウエル君が最優秀新人賞を取った。
彼は、12部門でノミネートされ5つの賞をゲットした『天国でまた会おう』(アルベール・デュポンテル監督)でもメインの役(ずっと仮面だけど)を演じている。あまり知られていなかった俳優が、受賞レースの先頭作品2本に出ているのは珍しい。彼が賞を取るのは歴然だった。

『天国でまた会おう』

ブエノスアイレス生まれの32歳、職業学校で電気工学を勉強中に演劇にハマり、NYに行き、次いでヨーロッパにやってきた。
ブノア・ジャコ監督と出会い『Au fond des bois』(森の奥で)で主演(観ていない)して仏映画界にデビューした。
何か国語しゃべるのか知らないけどフランス語も流暢。美男というわけでもなく小柄なのに、不思議な存在感。これからバンバン出そうだ。
『BPMビート・・・』はオリジナル音楽賞も取り、ステージに上がった作曲者は、50年代風に髪をチックで固めた一見マフィア風の大男・・・なのにいきなり泣き出した。声を詰まらせる、というんじゃなくて「ウェーン」という感じで!

『BPMビート・パー・ミニット』音楽

おお、見かけによらずカワイイ!と特に拍手が多かった。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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