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Category : パリ雑記

不審な白い粉

うちに入ろうとすると、ドアの前に瓶が置いてある。手書き文字でFleur de sel(天下塩)。
誰が置いていった?なんか気持ち悪い、と思うのは、“不審物”に敏感になっている(なりすぎ?)せい?
私は瓶をそのままにうちに入った。
間もなく帰ってきた娘も「ママン、見た?何コレ?」
彼女は瓶を持って入ってきた。
「ほんとに塩?」と私。
「ヘロインはずっと細かい粒子よ」
「よく知ってるわね」
と話していたら、ベルが鳴ってロベールが立っていた。
「それ、お土産」
「 お土産?」ロベールがベルを押すのは何かねだりに来るときと決まっていた。
「ホラ、留守の間、花に水をやってくれたでしょ。母と僕からのお礼」
「ありがとう!嬉しい!Fleur de selを使うと料理の味が違うのよ。バカンス、どこに行ってたの?」
「Ile de Ré/レ島」
なるほど。レ島の天下塩はゲランドと並んで有名だ。

フルール・ド・セル、サン=クレモン・デ・バレーヌ。Saint-Clément des Baleines はレ島の町。クジラのサン=クレモン。

フルール・ド・セル

ロベールはちょっと見ない間に背が伸びて、青年ぽくなっている。でも画期的に変わったのは中身のほうだ。
小さいときから反抗的で悪知恵があり、夫は「養子はやっぱり難しい。いずれ非行少年だ」と自信を持って言っていた。
ロベールのようなロシアからの養子に問題児が多いそうだ。
中学に入ったとき、それがただの非行ではなく、アスペルガー症候群とわかる。
母親はむやみに怒鳴るのをやめ、間もなく中学を変わった。

彼が通っていたシャルルマーニュ中・高校はうちの子供も行っていたけど、進学校として知られ、平均以下の生徒を持ち上げる努力をせず、逆に追い出そうとする。
息子の時代(10年以上前)で既に追い出し傾向はあったから、今はさらにエリート志向に違いない。
対人関係に問題ありで、集中力のないロベールが苦労したのは当然だ。
より人間的な公立中学に代わり、セラピストがつき、人が違ったようになった。
よかったね。
ロベールの手書き文字の塩は、より美味しい気がする。


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私がよく使うカフェはバスティーユ広場に面したカフェ・フランセ。

バスティーユ広場、カフェ・フランセ

高い、サービスがそんなによくない( “ルックスだけで選ばれた”と雰囲気の スタッフ。お尻すれすれのミニスカートを履いたウェイトレスはモデルのようなポーズで立ち、なかなかやってこない)、という短所はあるけど、だだっ広く、テーブル間隔が十分とってあり、椅子が座り心地いい。つまり長い打ち合わせにはちょうど良くて、考えてみたら今週は8時間近くここで過ごした、暮らしたといってもいい。

このカフェは有名なコスト兄弟カフェのひとつ。
アヴェイロンのレストランで働いていた兄弟はパリにやってきてカフェで働き始める。
80年代、フィリップ・スタルクと出会い、地元の融資を得てシャトレにカフェ・コストを開く。モダンなインテリア、美形のギャルソン&ウェイトレス、行きたくなるトイレ。つまりそれまでのカフェのイメージの逆をやって大当たり。コスト・ブランドが生まれた。その後、ホテル・コスト、カフェ・ボブールなど次々と40件、すべてメトロ1番線沿いに開く。とりわけホテル・コストは芸能人やモード関係が出入りするスノッブ・パラダイスとなった。

今、カフェ・フランセがある場所には昔(1990年代終わりごろまで)2件の伝統的なカフェがあった。コスト兄弟は2件とも買って、ぶち抜き、大きなカフェにしたというわけ。
私がこのカフェを選ぶもうひとつの理由は猫。カフェに住んでいる猫がいるからだ。

小柄で美しい猫は空いている席で眠り、

バスティーユ広場、カフェ・フランセ

「まあカワイイ、こっちにお出で」というお客を無視し、広いカフェを自由に歩き回っている。

バスティーユ広場、カフェ・フランセ

友人に大の猫嫌いがいて(前世はネズミだったそうだ)、当然うちには寄り付かず、このカフェに猫がいるのを知らずに(ほんとに)連れてきたら大変なことになった。
でも他にそのようなパニックシーンを見たことがないので、パリも猫好きが多いのかも。


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中年男の暇つぶし?

バス停に着いたら、中年のフランス男と韓国人らしき女性が路線図をのぞき込んでいる。
女性は20代そこそこの若さで、綺麗な子。
「ホラ、ここで降りればいいんですよ」と英語で中年男。
「サンキュー」
そこで会話は終わるかと思ったら、
「どこから来たんですか?」と中年男。
「は?」
フランス人の英語ってわかりにくい。
「ど・こ・か・ら・き・た・の?」
「ソウル」(やっぱり)
「ソウルのどこ?」
「北の方・・・」
「パリにはいつまで?」
目の端で観察していると、中年男は少しずつ距離を縮めて接近し、それにつれて女の子は少しずつ後ずさりして、私の視界から見えなくなる。
中年男は、誰と来たのか?パリのどこに行ったか?とかつまらない質問を次々にし、こいつ、お茶にでも誘うつもりだろうか?

arret de bus
image:les brèves d'ans

バスが来るまで後3分。ヤダ、男は女の子の肩に手をかけたりしている。
そこへやっとバスが来た。
女の子はグッバイと入り口に向かい、男は、バスに乗らず(つまりバスを待っていたんじゃなく)手を振っている。
ちょうど私の向かい側に座った女の子は「まったく、ヤレヤレ」という顔をした。
まったく。こういう暇でマメな男がいるんだわ。


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バスの喧嘩

オデオンに行く用事があって87番のバスに乗った。
最近のバス路線大変更で、これまでPorte de Reuilly⇔Champs de Marsだった87番は、Porte de Reuilly⇔Invalidesになった、のはまだ許せるけど、オデオン、セーヴル・バビロンを通らなくなり、セーヌ左岸を通る。
つまりオデオンへはサン・ミッシェルで降りて歩くしかない。

見づらいけど、ピンクの部分が変わった。

バス87番

バスがトゥルネル橋を渡ったところで運転手さんが突然、
「このバスはアンヴァリッドまで行かず、まっすぐ行ったとこで終点になります」とアナウンスした。
車内ザワザワ。
デモとか渋滞で、バスが急に路線変更するのは珍しくない。
すると中年のオジサンが運転席までやってきて、
「まっすぐ行かれると困るんで、ちょっとそこを右に曲がってもらえないかな」
あんた、タクシーと間違えてない?
「いえ、まっすぐ行って終点です」と運転手さん。
「でも原則として右に曲がるじゃない?」とオジサン。
たしかに通常のコースは右に曲がって河岸を走るんだけど、
「でも事故だか何だか知りませんが、曲がるなという指示なんで」
「でもちょっとだけだから」とオジサンはしつこい。
メトロにだって「そこを曲がれ」と言いそうだ。

そこへオバサンが2人が席を立ってきて、
「あの、ボン・マルシェに行きたいんですけど、行かないんですか?」
いかにもボン・マルシェで買い物しそうなマダム。
路線変更になってからセーヴル・バビロンは通らないの、ちゃんと路線図見てよ。
そしたら「右に曲がれ」のオジサンが、
「ちょっと僕が話してんだから」とオバサンたちを威嚇。この人、ヤバそう。
運転手さんもイラついてきて、
「“ちょっとだけなら”ここで降りて歩けばいいでしょう」
そして乗客全員に、
「ここで降りたい人は降りて、次のバスを待ってください」
「僕は降りない」と絡みオジサン。
「次のバスはいつ?」とボン・マルシェのマダム。
運転手さんは「知るか!」という顔。

そこへ思いっきりブランドで決めた中年マダムがやってきて、
「次のバスに今のチケット使えるかしら?」
金持ちほどケチなんだわ。
そこへバスの後部から、
「急いでるんです、早く出てください!」
一人も一人も自分勝手なこのやり取りを、私は最初面白がり、段々腹立たしく聞いていて、「オデオンに行くには降りるべきか降りないべきか」を検討していなかった。
降りるべき、と気がついたとき、乗客の大半は降り(結局、絡みオジサンも降りていた)扉は閉まっている。
「スミマセーン!降ります」と言うと、運転手さんから恐ろしい目で睨まれた。
アタシは四の五の言ってないのに・・・


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優しいご近所さんたち

小犬を散歩させているおばあさんにもよく出会う。上品で小柄なおばあさんはプラチナブロンドで(この髪の色だと白髪になってもわからない、ということに気づいた)犬も同じような色、多分マルチーズだ。
何度かすれ違ううちボンジュールと言い合うようになった。彼女をとりあえず“おばあさんA”と呼ぶ。

通りにある薬局に、時々座っているおばあさん(おばあさんB)がいる。丸っこい可愛い感じのおばあさんで、店の隅に大人しく座り何も言わない。その足元にうずくまっている犬は、おばあさんAの犬によく似ている。

ある日、薬局に行くと、犬だけがいた。
「あなたの犬?」と薬局のオジサンに聞くと、
「いや、エリザベットがお医者さんに行っている間、預かってるの」
「エリザベットって、ここで時々休んでいるご婦人?」
「そうそう、エピス!外に出ちゃダメだよ」
犬の名前はエピス(=スパイス)で-Epiceは女性名詞だから雌犬-おばあさんBはエリザベットという名前なんだ。
薬局のオジサンは仕事はそっちのけで犬を追いかけまわしている。犬好きなのね。

そこへ、おばあさんAが入ってきて「エピスを散歩に連れて行く」というので私は混乱した。
どーいうこと?
「エリザベットは脚が悪くてあまり歩けないんで、フレデリック(おばあさんAの名前)が散歩に連れて行くんだ」と薬局オジサン。
つまりおばあさんAの犬と、おばあさんBの犬は“同一人物”だったのだ。

彼の話によると、エリザベットは81歳、夫も子供もいない一人暮らし。頭ははっきりしているけど歩くのが困難なんで、近所のみんなが面倒を見ている。フレデリックは犬の散歩、別の女性が買い物。毎日のように薬局に来ては孤独を紛らわしている。
「ぼくは時々レストランに連れ出す。といってもこの近所だけどね」
20年来知っている薬局のオジサンは50代後半だろうか。彼も独身で子供がいないから、彼の孤独も癒されているのかもしれない。
この通りにそんな連帯があるとは!と私は感心した。

そういえば、最近ラジオで宣伝している『Petits-fils/孫たち:おじいちゃん・おばあちゃんへのサービス』

petit-fils450.jpg

老夫婦やひとり暮らしのアパルトマンに赴いて、家事や食事、散歩、泊まり込みもする、というサービスだ。
料金は、名前、住所を打ち込まないと出てこないので不明。
同じようなことをご近所の人たちがやってあげているというわけ。
優しいのね・・・見習わなくちゃ、と思った。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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