FC2ブログ
Category : パリ雑記

銀行の押し売り

会社の銀行口座の担当者が会いたいというので会った。
コロナのせいで、延び延びになっている企画があり-そのうちフェイドアウトするかもしれない-収入減なので、銀行も先行きを心配しているんだろう。
最近変わった担当者は若くて大柄な女性。入りたての人は概してやる気があり、メールの対応も迅速で気持ちがいい。
あまり心配させないように状況を説明したら「ふむふむ、今はどこも大変ですね」
会えば何か売りつけようとするのが銀行だけど-失業中なのにゴールドカードを薦められたり、預金があるのに「お金を貸してあげる」と言われた人多数-この状況なら売りつけるものはないだろうと思ったら、
「死亡保険には入っていますか?」
「は?死亡って、わたしが死んだときですか?」
「そうです」と彼女はにっこり笑う。
生命保険はまだ希望が感じられる響きけど、死亡保険なんて・・・
「一番安いので月々39€、死亡時に15000€(約190万円)が降ります」
「葬儀費として?」
彼女はまた笑って
「いえいえ、後継者探しや、その人の研修費などです。15000€で十分と思われますか?」
知るか。
「考えたことありません」
頼みもしないのに彼女は資料と申込書をプリントし、
「お考えになるといいですよ」だって。

その後はわたしが質問し、彼女が300近い商店や会社を受け持っていること、店が閉まっていたコンフィヌマン(隔離)期の無収入はもとより、隔離解除後の出足が悪くて頭を抱えているレストランやブティックが多いことを聞き出した。
「消費の仕方が変わったんですね。毎日のようにレストランに行っていた人が行かなくなったり」

隔離中は今まで料理しなかった人も余儀なくされ、レシピサイトのアクセスが爆発的に増えた。
ZARAやH&Mで流行の服を頻繁に買い、数か月後にはもう飽きていた人が、買わなくても生きていけるのに気づいた。
物が溢れている消費社会から、必要なもの、本当に欲しいものが取捨選択されていくのはいいことだ。
死亡保険なんか必要ない。紙の無駄です。

P.S.フランス語オンラインレッスンが10月7日まで30%オフだそうです。
隔離中にわたしもやって、教えるのもいいけど学ぶのは(いくつになっても)楽しいと発見。
例えば6カ月コース、378€→264.6€なのでかなりお得。迷っていた方もこの期間にどうぞ。

img_notif-1348x944.png


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



スポンサーサイト



新聞スタンドのオジサン

ある晩、メトロを出ると土砂降りの雨。
ちょっと雨宿りさせて!と駆け込んだ新聞スタンド、オジサンはちょうど店じまいしているところだ。
しばらく待っても雨は弱くならない、走って帰ろうか、と思っていたら、
「コレ、持っていきなさい」とオジサンは傘を差しだした。
「でもあなたは?」
「車まですぐだから大丈夫」
お陰で濡れずに帰れた。

それ以来、雑誌を買う時は(あまりないけど)必ずオジサンのスタンドに行き、道ですれ違えばコンニチハと言い合うようになった。
昨日、雑誌を買いに行ったら、本の話になり、
「何かお奨めはない?」とオジサン。
「うーん・・・好きな作家だったらピエール・ルメットルかな」
「ああ、映画になったやつね。今、ウェルベックを読んでるんだけど、好きになれないね。不健康だ」
ミッシェル・ウェルベックねぇ・・・
欧米人の孤独の癒しとしての売春ツアーをテーマにした『プラットフォーム』(2001)は、背景にイスラム原理主義へのアグレッシブな批判があり物議をかもした。間もなくアメリカの11.9同時多発テロで起こり、翌年のバリ島爆弾テロは小説中のテロと類似点があって「予言的」と言われる。
2015年1月に出た『服従』は、2022年の大統領選で、ムスリムがマリーヌ・ルペンを破って大統領になる話。本の発売日にシャルリー・エブドのテロが起こった。
近未来予言的な内容で、根底にシニカルな人間観があり「読むと鬱になる」という人もいるけど、わたしは嫌いじゃない。どころか2度読む本もある。

「ウェルベックが日本人と結婚したの知ってる?」
「!!!」
オジサンはポンポンとパソコンを叩いて、写真を見せてくれた。
去年の9月、すごく若い“日本人”と山高帽のウェルベック。

ミッシェル・ウェルベック 結婚
photo:parismatch.com

才能はあるけど、アル中でチェーンスモーカーで、鬱傾向の作家と結婚する女性がいるの?と思うけど、

ミッシェル・ウェルベック
photo:programme-tv.net

なんと3度目の結婚。しかも日本人女性と!なんで知らなかったの?とうちに帰って、調べたら若い女性は中国人、34歳年下ってことは今年30歳。
日本人と中国人(そして韓国人)、見分けるのは難しいかもしれないけど、オジサン、ちゃんと記事読んでよ!

ブティック経営の知人は、「日本人と中国人を100%識別できる」と自慢する。
「ナフキンと雑巾を一緒にしちゃいけないわよ」(質の異なる人や物を一緒にしてはいけない、という格言)とよく言うけど、彼女の頭の中で、日本人はどっちなんだろう?


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村


フランス式テレワーク

ラジオで、労働問題専門のジュリストがテレワークの問題について答えていた。

-プライベートの時間と仕事時間の区別がなくなりグチャグチャになる。
「それは自分でオーガナイズしなくてはいけません。例えば夜10時に来たメールは、よほどの緊急事態でないかぎり、返事しなくてよろしい。『明日の返事でかまいません』と書く良心的な上司もいれば、すぐ返事しろという上司もいます。後者は職権乱用です。」
ふむ。日本人ならすぐ返事してしまいそうだ。

-子供がうるさくて集中できず、仕事が進まない。
「子供の学校や保育園がコロナのせいで閉まっている場合は『仕事の能率が落ちるのは仕方ないので、上司は大目に見ること』という労働相のお達しがありました。どうしても無理な場合はパートタイムか部分的失業が適応されることがあります。」

-テレワーク中の事故は労災が認められるか。
「はい。例えば勤務時間中に階段から落ちたとか、熱いコーヒーをこぼして火傷したとかは仕事中の事故とみなされ、カバーされます」
へぇ、そうなのね。日本だと「業務に内在する危険有害性が現実化したと認められることが必要」だそうだけど、階段やコーヒーに「内在する危険有害性」があるとは思えない。
何につけ、フランスは従業員が守られている国だ。

20年以上前、勤務時間中に何かの用事で出かけ、バスに撥ねられたことがあった。
「もう少し小さいもの-自転車とか-選べなかったのか?」と周囲に言われたものだ。
肋骨2本、鼻と前歯3本が折れ、それらの修復は(肋骨はくっつくのを待つしかないけど)すべて労災がカバーしてくれた。
何の用事ででかけたか、聞かれることもなく、事故は勤務時間中に遭うのに限る、と思った。

ところでテレワークは通勤時間がないし、上半身だけ着替えればいいのでラクに思えるけど、
(ちょっと立膝はまずいんじゃない?)

テレワーク

実際にやってみるとけっこう疲れる。無駄口をきいたり動いたりする“余白”の部分がなくて、ずっと集中していなくてはならない。

いつになったらコロナ以前の生活が戻ってくるんだろう?


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村


MRIって何?

CTスキャンをしたのと同じ待合室で今度はIRMの順番を待っていた。日本語では核磁気共鳴画像法、またはMRI。
肝臓に結節があると言われてから、もう一か月以上経っている。
消化器&肝機能専門医を見つけるのに時間がかかり(ヴァカンス中のお医者が多い)やっと見つけたお医者さんは、行ってみるとサイトの写真とは似ても似つかぬ代理の医師。
医学校出たばかりという感じで、「スキャンは預かります(先輩の意見を聞くらしい)、コレコレコレの血液検査をしたください」

ラボはコロナの検査が殺到していて、外まで行列ができている。何度かUターンしたあげく、やっと検査したら、結果は
「2週間後?!」
「ほら、項目が多いでしょ。検査の一部は他のラボに送るし」
結果を待つうち、若い代理医師はヴァカンスに発ってしまった。でも結果をメールで送るとちゃんと返事が来た。
「念のためMRIをしてください」

というわけで待合室に座っている。受け付けの女性は韓国人か中国人。とてもてきぱきして感じよく、もう40分も待っていると文句を言う女性や、自動販売機でおつりが出てこないオジサンや、ところでIRMって何ですか?と聞くおばあさんに親切に答えている。
「Image par résonnance magnétiqueの略。磁気の共鳴による映像のことですよ」
おばあさんはわっかっていない顔で、でもそれ以上追求せず自分の席に引き上げた。
わたしも来る前にWikipediaを見たら、核スピンとか静磁場とか歳差運動(歳の差?)とかわからない言葉が並び、理解するのを諦めた。
1時間待たされてわたしの番。「初めてですか?」とお医者さんに聞かれ「はい」
バスに撥ねられたり、大腿骨を折って入院したことはあるけど、意外と病気はしていない。
「CTスキャンに似ているけど、時間は12分くらいです。機械の音がうるさいのでヘッドホンをつけますが、『息を止めて』の指示は聞こえます」
12分も続くわけだから息を止める回数が多く、秒数も長い。水泳でよく息継ぎができない-わたしのような-人はちょっとパニックになる。

MRI
photo:actu.fr

終わってからまた1時間待ち、と言われ、外に出てマスクを取りふーっと息継ぎ!
この暑さに長時間マスクはしんどい。口紅の消費はうんと減ったけど。

結果は「良性」、肝臓ガンではなかった!
血液検査で、肝臓関係の数値が高い理由は、
「かかりつけの専門医に聞いてくれ」
内科医の義理妹に聞いたら、
「理由がわからないこともあるのよ」
そうなの?わたしとしては理由が知りたいけど・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



日本語の生徒さんのひとり、マリエットは、お孫さんが2人いるマダム。
小柄でほっそりして背筋もピンとしていて、フランス女性の常に反し(?)歳より若く見えるタイプ。だけど60代後半?70代前半?

日本語教師養成講座の先生が「60歳過ぎて日本語をやるのは無理」と言っていたのを思い出し、最初は迷った。
でも彼女がモト高校の英語教師で、モト夫のアメリカ人と10年間アメリカに住みバイリンガルと聞いて、そういう人なら大丈夫なんじゃないかと。
日本に数回旅行し、日本語を学ぼうと決意。日本文化会館の日本語講座に2年通った。
でも「話す機会が殆どない」ので、個人教師を探していたそう。
始めてみると、確かに年齢は隠せない。進んでは戻り、繰り返し、また少し進む。
「あなたはとても忍耐強い」と彼女は言うけど、反抗期の子供に日本語を教えようとした時、5分おきに怒鳴りたくなるのを我慢したのに比べれば、こんなの忍耐と言えない。
どころか、毎日復習&予習をするモチベーションの高さにはただ脱帽。
彼女の爪の垢を煎じて、子供たちに飲ませたい。

隔離中に仏語のオンラインレッスンFrantastiqueの「Ortho/綴り編」を、ちょっと試しに、と始めたらやめられなくなったのを思い出す。
語学は面白いし、いくつになっても習うのは楽しい。
その上!何か国語か話す人に認知症が少ない、という記事をどこかで読んだ。

今はSkypeの授業だけど、うちに来ていた頃はタマがやってきて、テーブルの上にごろりと寝ることがあった。
猫は猫好きに敏感だ。

IMG_20190914_154110(1).jpg

ちょうどやっているプリントの上に寝ることもあって「悪いけどどいてくれない?」
そしたらマリエットが、
「ボードレールの話、知ってます?」
「?」
ボードレールの遺品の中に左上と右下だけテキストが書かれ、真ん中が空白の紙が何枚かあった。
「紙の上に猫が寝てたんですよ。邪魔しないように余白にだけ書いたんですって」
日本好き、猫好きマダムと毎週Skypeで出会うのが、私は楽しみになっている。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
08 | 2020/09 | 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
フランス語講座
おすすめコスメ
アーカイブ