Category : パリ雑記

ナタン君、週末何をしましたか?

彼がが来ると最初にする質問。芸はないけど、会話のネタになる。
「ともだちのうち行きました。帰りました」
「それだけ?」
「はい、近くなかったです。2時間」
「行くのに2時間、帰るのに2時間?遠くにすんでる友達なのね?」
「ともだちの彼女の家、とまりました」
“彼女”には”petite amie/恋人” の意味もあることを教えたらナタンはたちまち覚えた。
「友達の彼女の家に泊まった?友達も一緒だったの?」
そうじゃなかったらヤバいじゃない。余計な心配だけど。
「はい、彼女の誕生日です」
なるほど。パーティだったのね。「じゃ、たくさん人が来たの?」
「はい」
「お酒もたくさん飲んで」
「たくさんじゃない、前はたくさんでたおれました」
21歳でもうバカ飲みはしなくなったって、一体いつから飲み始めた?
「音楽かけて踊った?」
「いえ、ダンスしません」
「?!」

子供たちがうちでパーティをするときは、額や花瓶や壊れそうなオブジェは全部隠し、家具にはビニールシートという大準備がある。親は追い出され、建物の入り口に「今夜xx宅でパーティをします。騒がしいと思いますがご容赦ください」(午前2時まで許される)という張り紙。サロンはダンスホールと化する。
子供たちの友達がパーティするときも、同じような感じらしいけど。
「だれも踊らないの?」
「だれも」
「じゃ何するの?」
「かくれんぼ」
「は?」
「庭でかくれんぼ、ぼく大好き!」
とナタンはすごく嬉しそうな、マンガの顔になった。
お酒もあまり飲まずダンスもせず、庭でかくれんぼ・・・おかしいのはうちの子供たちのほう?としばし考え込む私。


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幽霊とセクハラ

これという映画もないし、たまにはアートな週末を、とマイヨール美術館に藤田嗣二展を観に行ったのが2週間前。
とても良かったので次の週末も美術館、夫と娘と彼女のボーイフレンドも一緒にMusée Quai Branlyの「Enfer et fantôme d’Asie/アジアの地獄&幽霊」展へ。
人が多いかも、並ぶのヤダよね、と言いながら着いたら、チケット売り場の前に誰もいない。おお、毎月第一日曜日は国立美術館がタダなんだ!その代わり、待ち時間45分。

待っている間、夫はどこかに座りに行き、娘は「『一枚、二枚・・・』の話して!」
番町皿屋敷ね。お屋敷に奉公している菊という下女が、ご主人が大事にしている皿を一枚割ってしまった。主人は怒って菊の中指を切り落とし(ヤクザは小指だけど)監禁する。菊は抜け出して庭の古井戸に身を投げた。それ以来、毎夜、井戸から『一枚、二枚・・・』とお皿を数える声が・・・

エクスポには、中国、韓国、台湾、タイ、日本の幽霊が結集。他のアジアの国にはけっこうカラフルで陽気な幽霊がいる。

悪魔の口?

アジアの地獄と幽霊展

両足を揃えて飛びはねるドラキュラ

アジアの地獄と幽霊展

やっぱり日本製が一番怖い。なにコレ、左の手!

アジアの地獄と幽霊展

アジアの地獄と幽霊展

「お岩って誰?」と娘。
四谷怪談は諸説あるけど、他に愛人ができた伊右衛門が妻のお岩を厄介払いしようとした話。歌舞伎で、毒を飲まされて顔が変形したお岩が鏡の前で髪を梳く場面(髪がごそっと抜ける)、お岩と、別件で殺された小平の死体を戸板の両面に括り付けて川に流す戸板返しの場面はかなり怖い。

他のブロガーの方も書かれていたけど、日本の幽霊は圧倒的に女が多い。なぜ?
「女性の方が造形的に幽霊に似合う」と私。髪が長くて華奢で出やすい。
「女は恨みが内向する?」と娘。確かに!江戸時代は今より男尊女卑で、女性は思っていることを言えなかったから、恨みつらみが募って死んでから化けて出る。

しかし。今の日本も根強く男社会、という気がしたのは、堤堯氏、久保紘之氏というジャーナリストが、テレ朝記者&官僚のセクハラ事件について対談している記事。
久保氏「この女性記者にはプロ意識や覚悟がなさすぎるんじゃないかな。・・・・政治の世界ではああいう手合い(福田氏のような)が掃いて捨てるほどいる。そんなの先刻承知のうえでこの世界に入ってきたわけでしょう。高校出たてのカマトト娘じゃあるまいし、甘ったれるなよ」
それに答えて堤氏は、
「先日2人の元新聞記者にこの件をどう思うか聞いてみたら、『取材現場は戦場で、戦場では通常の社会生活とは違うルールと覚悟が適応される。テレ朝の女性記者はそれを理解していなかったんじゃないか』」
あんまりびっくりして雑誌を取り落としそうになった。

この理屈が通るなら、ハーヴェイ・ワインスタインも「ハリウッドは戦場で、通常とは違うルールと覚悟が必要。映画の世界では私のような手合いが掃いて捨てるほどいる。女優たちはそれを承知でこの世界に入ってきたわけでしょ。甘ったれるな」とか言って切り抜け、逮捕されなかった。
自分の優位、権力を利用して猥褻な言動をするのは浮気より恥ずべき行為、取材現場やハリウッド以前の、根本的な道徳観の問題だ。
こういう発言していたら、誰か化けて出るわよ。


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ナタンの“結婚観”

食べたいです、行きたいです・・・という構文をやっていた。
「あなたは結婚したいですか?」という練習問題の質問。
ナタンと同い年の娘は“結婚”には関心がなく、恋人との子供がどんな顔になるか、モンタージュを作って面白がっている(私はギョッとした。そういう具体的な話になってるの ?!)。

で、ナタン君は?
「けっこんしたいです。でも神様の前ではしたくない」
“神様”なんて言葉、知ってるのね。マンガに出てきた?
「神様の前って教会ってこと?神様を信じてないから?」
「そう。でも彼女は神様の前でけっこんしたい」
「彼女のうちはカトリックなの?」
「はい。うちのおばあさん、おじいさんカトリック。おとうさん、おかあさん、ぜんぜんどーでもいい」
「でも彼女は教会で結婚したい・・・どうするの?」
するとナタンは突然もじもじして、
「彼女、いないからわからない」
「・・・・」
彼女と結婚の形で意見が合わない、というのはどうやら想像の世界。

ナタンにはお姉さんと妹がいて-たしかに女に囲まれた雰囲気-彼は、「ボクのおねえさんといもうとさん」という。
「妹、弟には“さん”をつけないのよ」といったら、怪訝な顔をされた。
今まで“そういうもの”と思ってきたけど、年下には“さん”をつけないのは年功序列な考え方だ。
もっとひどい(!)のは主人・家内という言い方。男女差別。時代に合わない。子供たちにはこの2つの言葉は「忘れなさい」といってある。ナタンにも教えない・・・

★『深イイ話』を見てくださった方、メールやコメントをくださった方、ありがとうございます。
現実の生活は(当然)あのようなものではなく、家の中は2日がかりで片付け、服が違うのは撮影が5日間に渡ったからでした。

日本語の生徒さんはナタン君ではありません。彼はちょうどバカンス中で、バカンスではなくても「テレビはちょっと・・・」だそうです。


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こんなおばあさんになりたい?

朝市の肉屋さんの店先。近づいてきたご主人のおじさんが、
「ラ・ヴィ・エ・ベル?」
ジュリア・ロバーツがイメージモデルの「人生は美しい」という香水を、私はつけたことがない。
「ハズレ!」と答えたら、
「アタシですよ、ラ・ヴィ・エ・ベルは」
声の主は80歳は過ぎている小柄なおばあさん。
「この香りがお好きなの?」と彼女。
「奥さんの香水とか?」と私。でも肉屋さんは答えない。
「この香りをつけている女性を知っているってことね・・・」とおばあさん。
おお、粋なセリフ!
「そういうこと」と肉屋さんはにっこり。
思わずおばあさんの顔を見たら、なかなか可愛い顔立ちでシワの中に目がキラキラしていた。人生は美しい・・・

同じ日、バスに乗っていたらRATPの検札係が4人も乗りこんできて車内に散らばった。無賃で乗っていた若い女の子はすぐ捕まって罰金。ああ、腹立つ、とひとりで毒づいている。
その時、バスの奥から「あたしゃ払わないよ!」という声。女性職員を睨みつけているのはショートカットのおばあさんだ。
「80過ぎて乗車券がいるの?」
「高齢者の無料はありませんよ。身分証明書を見せてください」
「そんなものはないよ」
「じゃ健康保険証」
「それもないね、あるのはケータイと孫の写真だけ」
横にいた友達のおばあさんが、
「次で降りましょう」
「ああ、そうしよう」
おばあさん2人が立ちかけると検札さんは
「座ってください!」
と言ったものの困り果てている。

そのうち私の降りる駅についた。
成り行きが気になったけど、乗り越して見届けるほどヒマでもなかったので仕方なく降りる。

元気なおばあさんたち。私はラ・ヴィ・エ・ベルのおばあさんのようになりたい・・・


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日本から来る友達の殆どはルーヴルとオルセー美術館に行き、ポンピドーセンターにはあまり関心を示さない。
なぜ? 
「チューブのお化け」とあだ名されていた建物が、古いパリの街並みに似合わないから?
建築家レンゾ・ピアノのコンセプトは「これまで中に隠していたものを全部外に出す」。
日の目を見たチューブたちは役割によって色分けされている(知りませんでした):青は冷暖房、緑は水道、黄色は電線、白は冷却塔、赤はエレベーター&階段で、コミュニケーションを繋ぐシンボルカラー。

近代・現代アートはわかりにくい、という先入観のせい?
ところがポンピドーはフランス人に人気の美術館(入場者の60%がフランス人)で、中でもパリジャン/ジェンヌが一番好きな美術館だそうだ。そういえば美術学校に通う娘や彼女のクラスメートはポンピドーは面白いという。
「じゃ、一緒に行こう」と、娘をパソコンから引きはがし、ポンピドーセンターに赴いた。

なるほどエスカレーターは赤。

パリ、ポンピドーセンター

ルーヴルは古代から1850年までの作品。オルセーは1850~1905。1905年から引き継ぐのがポンピドーだ。1905~1960が近代、その後から今日までが現代美術に分類されている。すなわち、私の好きなヴァンドンゲンやジャコメッティは近代アートなのだ。

エスカレーターで上っていくと“パリの屋根”が眼下に広がり、サクレクール寺院やデファンスの高層ビルの林が見える。最上階からの眺めに、みんな立ち止まって写真を撮り、「あ、美術館に来たんだった」と思い出したように展示室に入っていく。

5階の近代アートはマティスで幕を開ける。

パリ、ポンピドーセンター、マティス

オットー・ディクスの『新聞記者シルヴィア・フォン・ハーデンの肖像』

パリ、ポンピドーセンター

彼の作品の一部はナチに『退廃的アート』とみなされ焼かれた。
ポンピドーセンターがこの作品を買い取ったとき、シルヴィア・フォン・ハーデンが来て、肖像画と一緒に記念撮影をしたそうだ。

おお、ジャコメッティ!彼のモデルになった矢内原伊作氏の『ジャコメッティとともに』を読んで感動し、今は亡き矢内原氏に会いに行ったことがあった。

パリ、ポンピドーセンター

壁に貼りついたダニエル・スポエリの『蚤の市、ジャコメッティへのオマージュ』
強力接着剤へのオマージュ?

パリ、ポンピドーセンター

モンドリアン。コピーしたのはサンローランで、その逆ではない。

パリ、ポンピドーセンター

4階、現代アートではうーん・・・と首をかしげる作品や、「これなら私だって描ける!」と言いたくなるのがある。
中には、このニキ・ド・サンファルの『Mariée/花嫁』のように立ち止まる作品もあった。

パリ、ポンピドーセンター

遠目には、凝ったレースのウェディングドレスだけど、近づくとそれは戦場。ドレスは壊れたミニチュアの兵士 、倒れた馬、車輪でできている。
結婚への悲観的なイメージと、強制された結婚への反撥。日本でも「結婚は人生の墓場」という言葉があった・・・

ジョゼッペ・ペノーネ。1960年代にイタリアで始まったアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)のアーティスト。

パリ、ポンピドーセンター

“伝統的な画材を捨て工業的な素材、木、石などを加工せずに用いる”美術運動だけど、これは木の幹から彫った驚きべき作品、驚くべき忍耐力!

エスカレーターを下りながら、近代&現代アートのイメージが変わった気がした。私たちが生きている時代の反映で、好き嫌いは別として後に残る作品、考えさせられる作品がある。
「だからいいって言ったでしょう?」と娘。はい、おっしゃる通り。
(アララ、すごく長い記事になっちゃった!)


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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