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Category : パリ雑記

ストで得した人たち

誰でも思いつくのは・・・自転車屋。スト開始以来、レンタル、修理まで自転車関係は笑いが止まらない。
値段がブレーキになっていた電動自転車さえ2倍の売り上げ。
パリ市のレンタル自転車Vélib’はスト開始から毎日77.000人が利用。
レンタル電動自転車&キックスクーターのJumpも2.5倍だそうだ。

そしてもうひとり、笑いが止まらないのは現パリ市長、アンヌ・イダルゴさん。

パリ市長候補 アンヌ・イダルゴ
photo:FRI

彼女は評判が悪く、歩道と自転車用通路を広くする工事も胡散臭い目で見られていた。
パリの公害を減らし、持続可能な街へ、というスローガンはいいんだけど、あっちこっち掘り返すので渋滞し、バスは路線変更を強いられ、第一、パリから車を締め出そうなんて不可能じゃない?
できあがってみると広い自転車用通路はガラガラで「ホラ、見たことか」と。

ところが12月初めからこの通路は自転車で一杯になり、「おかげで安心して自転車通勤ができる」と好評。
そればかりか「自転車で移動するようになってから身体の調子がいい」「ストが終わっても続けるつもり」という人が続出している、と街頭インタビュー。イダルゴさんの7思う壺、ストに感謝・・・
そのタイミングで、先週土曜日、パリ市長再立候補を宣言した。パリ市の選挙は3月15-22日だ。

評判はよくないとは言え、対抗馬がパッとしないので勝ち目があるかも。対抗馬の代表と言えるのは:

バンジャマン・グリヴォー

パリ市長候補 バンジャマン・グリヴォー
photo:sudouest.fr

パリ市長立候補を決め、2019年3月にフィリップ首相のスポークスマンを辞める。現在はLREM(ラ・レピュブリック・アン・マルシュ)の議員(パリ5区)。自称「中産階級を代表」だけど、エリートのテクノクラートというイメージ。横柄、冷たいという評判。

セドリック・ヴィラニ

パリ市長候補 セドリック・ヴィラニ
photo:sudouest.fr

数学者、政治家。エッソンヌの議員。同じくLREMから立候補。
写真を見てもわかるように“変わり種”がウリ。でもこのネクタイと蜘蛛のブローチでパリ市を代表してほしくない。
エコロジーを掲げ、ヒダルゴに近い路線。

12月の投票意思アンケートではアンヌ・イダルゴがトップで22.5%。バンジャマン・グリヴォー17%、セドリック・ヴィァニ14%。
右派レピュブリカンのラシダ・ダチがグリヴォーと並んでいる。
このまま行くと現役市長が再選されそうだ。パリはずっと左派市長の街だし、この中から選べと言われたら、やっぱり経験のあるイダルゴさんだろうか。


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ストを恨む

毎日病院通いをした10日間は往復にひと苦労だった。病院に行く5番線は殆ど動いていない。
91番のバスは「4本に1本」。やっと来たバスはステップまで人が溢れて乗れず、次を待つことに。
タクシーは赤ランプばかり。待つより歩いたほうが寒くない。うちまで約45分。
オステルリッツ駅がある大通りを下り、サン・ベルナール河岸からシュリー橋を渡ると、彼方に7月革命の塔が見え始める。
橋から見る夜のセーヌ河は綺麗なことは綺麗だけど、ひどい渋滞。病院のマスクを捨てないで持ってくれば良かった。

やっと空車を見つけた日は「地獄で仏!」
しばらく走ったとこで運転手さんが、
「子供がひとりで留守番してるんで電話してもいいですか?」
お客に断りなく、友達や彼女と長々電話する運転手が多いので却ってびっくりする。
どーぞどーぞ。
「オスカー、パパだよ。今ひとり?」
「ウィ」
「〇〇は来なかったの?」
「ノン」
「ゲームしてるのかい?」
「ウィ」
「ご飯食べた?」
「ノン」
「パパは家の近くを走っているから何か届けるよ」
「ウィ」
電話を切ったあと、思わず
「息子さん、おいくつ?」
「12歳」
やっぱり。
息子がその年の頃、ゲームばっかりしていて返事は「ウィ」と「ノン」だったのを思い出す。

翌日はラッシュ時を避けて早めに病院に行った。日のあるうちに病院の姿を見るのは初めてだ。

本物の道路が通っている。

IMG_20200105_163404.jpg

えっ桜?気温は10度前後、だけどいくらなんでも早すぎない?

IMG_20200105_163734.jpg

思いがけない桜の花で、私は元気が出た。


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ストによる損失、ハウマッチ?

クリスマスプレゼント、ディナー、年越し、帰郷、スキー・・・12月は商店、レストラン、ホテルにとって書き入れ時。
デパートやショッピングモールはふつうの月の2倍の売り上げ、オモチャは年商の20%を12月で達成する。

・・・というのに、12月5日に始まったSNCF、RATPストのお陰で、

greves metro
photo:la croix

ホテルは30%減、レストラン40%~50%減、商店、デパート30%~50%減・・・
運悪くデモのコースに当たった店舗は警察から「店を閉めろ」とのお達しで、その日はゼロ収益。

マクロ経済学(「個別の経済活動を集計し、国の経済活動を表す」だそうです)によると、一日4憶ユーロ(約480憶円)の損失(!!)。
なんとこの半分の2憶ユーロがパリを取り巻くイル・ド・フランスで失われているという。

国の経済が不振になれば、払えるものも払えなくなるのがわからんか?
でも十把一絡げにしてはいけない。病院関係者の言い分はわかる。特に看護婦(夫)や救急医の過剰労働、薄給。
同じ理由で、教員の不満も理解できる。
しかし。石炭くべて走っていた時代と同じ特権的年金を主張し、「仕事のきつさ」「ストをする権利」などと言っている国鉄職員は、理解できないどころか、全く腹が立つ。

「フランス人は昔から権利にこだわり、経済はどうでもいいんだ」と夫。
「僕らの時代、水は使い放題使えた。今さら資源を大切にしろ、節水しろと言われても習慣は変えられない」
夫はよく水を出しっぱなしにして、「もったいない!」と家族に注意される。それを正当化しようとしていない?
状況は変わっても一度得た権利を守ろうとする、それじゃ国鉄と一緒じゃない!


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哀しいUターン

夫の従妹、バベットは末期がんで今年一杯持つか?と言われていた。
夫の母方の従妹は3人姉妹、バベットは真ん中。頭が切れて、ブラックなユーモアがあり、大好きだった。
10月初めに会ったとき、既に枯れ木のように痩せて今にも倒れそう。最後の直線コースに入った、と誰もが感じた。

そのバベットが危篤、と聞いて、すぐ私は駅に向かった。
向かったのはいいけど、RATPのストでメトロ14本のうちまともに動いているのはオートマチックで走る1番と4番線だけ。
地図を見ていただければわかるように、この2本でパリの東西は動けるけど、南北を繋ぐものは止まっている。
病院は北の郊外クリシーだ。
しかもちょうど帰宅ラッシュ時で、タクシーはすべて赤ランプ。
河岸を変えるしかない、と、1番線でチュイルリーまで出たら空車が見つかった・・・のはいいけど渋滞で動けない。
目的地とは対照的に華やかなイリュミネーションのコンコルド広場、マドレーヌをタクシーはカタツムリのように進んでいく。
一足先に出た夫も渋滞で「まだたどり着けない」。

環状線に近づくと、パリから出ようとしている車の多さ、すなわち郊外から通勤している人の多さがよくわかる。
ストの影響で「延べ400㎞の渋滞」と聞いてもピンの来なかったけど、毎日、この渋滞に閉じ込められているんだ。
それなのに半数以上がストを支持する、なんて、全く理解に苦しむ。

ちょうど17区の果てから城壁の外に出ると言う時、電話が鳴った。
「たった今、旅立った。ぼくも間に合わなかった」と夫。
「・・・・」
ああ、この渋滞がなければ、ストがなければ会えたのに・・・
「あたし、どうしよう?」
「悪いけど来てもしょうがないと思う」
運転手さんに「すみません、Uターンしてもらえますか?」
電話を聞いていた運転手さんは、
「ご家族ですか?ご病気だったんですか?」
そして「今日2人目です」
「え?一人目は近しい方ですか?」
「義理の妹の義理の父です」
「はあ」
義理の妹=奥さんの妹、その義理の父=奥さんの妹の夫の父親。
「いや母親だったかな?とにかく一度しか会ったことがなかった」
それならよかったですね、と言いそうになってやめた。

歩きたかったのでオペラで降ろしてもらう。「元気だしてくださいね」と運転手さん。
マスカラ(自称ウォータープルーフ)が流れて目の周りが真っ黒になっている。
ヴァンドーム広場を突っ切ってリヴォリ通りまで歩いた。

ヴァンドーム広場 ノエル

単色でシックなイリュミネーションは、バベットの旅立ちに似合う気がした。


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スト中が穴場、人気美術館

ポンピドゥーのフランシス・ベーコン展。人が多そうで行列しそうで、延び延びになっていた。
ふと、ストの間は穴ではないか?と。
近くに住む友人の新間美也さんと夫と3人、6日金曜日を予約すると(ポンピドゥーは予約が必要)果たしてどの時間帯も予約できた。
メトロ2駅ちょっとの距離なので歩いていった。夫は「こんなに歩くのは初めてだ」とブツブツ言いながらついてくる。

ポンピドゥーの入り口には、入場者より従業員のほうが多く、スイスイと入れる。
会場も然り。この理想的な空き方を見よ!

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

《Francis Bacon en toutes lettres/文字によるフランシス・ベーコン》と題され、アイスキュロス、ニーチェ、ジョルジュ・バタイユ、ミシェル・レリスらが影響をを与えた作品が集められている。

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

暴力的、奇怪、病的・・・という形容詞がつくベーコンの作品、寝室の壁にかけようとは絶対思わない。
観る人を不安にさせ、かき乱すような絵だ。
「人の顔や身体がこんなにデフォルメされて見えていたなら、しんどかっただろうね」と私。
「なのに、なぜこんなに評価されるのかわからない」と美也さん。

彼のトリプティック(3枚一組の作品)は世界一高い絵画のひとつと言われる(2013年、1億4240万ドル)

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

見たくない面を暴くから?
人間の存在に問いを投げかけるから?
わからなさと言えば、ジェフ・クーンスのほうがわからない。

ベーコンは色が素晴らしい。異常にデフォルメされた人物のバックがレモン色、深い赤・・・カーキやグレイの暗い色も綺麗だ。

インタビューで「なぜ常に病的な、異常なものを描くんですか?薔薇の花を描こうとは思わないんですか?」と聞かれ、
「今は美しい薔薇も、2日後には花びらが落ちて枯れる。死んでしまう。私が描くものと結局変わらない」と答え、ニッコリ笑う。

「なんでアトリエがこんな状態なんですか?」と質問されたアトリエの復元。散らかっていないと落ち着かないらしい。

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

1971年、ベーコンの初めての展覧会がグラン・パレで開催された。グラン・パレに迎えられたのは、それまでピカソだけだ。
ベーコンが晴れ舞台にいる間、彼の愛人であり、モデルであったジョージ・ダイアーがホテルの部屋で自殺している。
生と死は隣りあわせだ。

ベーコンの絵は残像が残る気がした。
それでも寝室にかけようとは思わないけど。

Francis Bacon en toutes lettres
ポンピドゥーセンター
2020年1月20日まで
休:火曜日

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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