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田舎の週末:夫の“緑の手”

義父は田舎の家でよく庭仕事をしていた。子供が庭でサッカーまがいのことをしていると、「芝生が傷む」「薔薇の枝が折れる」とうるさかったもんだ。
夫にも庭仕事を教えようとしたけど、
「親父の教え方が威圧的で全然やる気にならなかった」(義父は大学の先生だった)。

ところが義父が亡くなったとたん庭仕事に目覚めた。長すぎた反抗期に終止符。
そういえば夫の妹は、父親に「魚を残すな」と言われてから、一切魚介類を拒絶。お義父さんが亡くなった後も反抗は続いている。
とにかく。夫は、薔薇を植え、リンゴの木を害虫から護り、従弟に倣って菜園まで作り、一挙にavoir la main verte(緑の手を持っている=庭仕事が上手い)になった。

トマト、イタリアンパセリ、シブレット、ミント、タイム・・・
庭の菜園の香草を摘んできて料理する従妹を羨ましいと思っていたら、それも夢ではない。
あまり期待しないでトマトを齧ったら、びっくりするほど美味しい。朝市で買う1㎏6ユーロいくらのより美味しいくらい。

田舎の庭

見かけはtomate grappeに似ているけど味は遥かにいい。

田舎の庭

「なんていう種類を植えたの?」
「知らない・・・種の袋を捨てちゃった」

左はオゼイユ(スカンポ)。酸味と苦みがクリームとよく合って、一昔前サーモンのオゼイユソースはビストロの定番だった。
オムレツに入れても美味しい。右は異常繁殖したミント。

田舎の庭

右の隅に見える小屋は昔のトイレ。「子供時代、夜トイレに行くのが怖かった」と夫。そりゃそうだ。

田舎の庭

「コスモス(手前の花)って秋に咲くんじゃなかった?」
「え、何?この花の名前?」
“花の名前を知らない男たち”の例にもれず、夫も薔薇とチューリップしか知らない。
あと桜・・・日本の桜に魅せられて、庭の隅に桜の木を植えると言い出した。
「村はずれの花屋にもう注文してある」
「なんて種類の桜?」
「“日本の桜”」
「・・・・」

ジャン=ピエールが春に亡くなって未亡人になったマリー・フランス。時々電話をしているけど、意外と落ち込んでいない。
庭仕事、家の中の整理は限りなく、ブドウ畑の手伝いに駆り出され、家族や近所の人とご飯によんだりよばれたり。
「田舎の人ってそうなんだよ。悲しんでぼーっとしてたら畑は枯れるし、生きていかなくちゃいけない」
それに村の住人たちの連帯は都会よりずっと強い。
数カ月ぶりに会ったマリー・フランスは日に焼けて元気そうだった。


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田舎の週末:お墓巡り

「新学期が近づいてきました」「マクロン大統領はバカンスを早めに切り上げパリに戻ってきました」とニュース。
急かせないでよ、まだ10日間あるでしょ。

金曜日の夜、シャンパーニュ地方の田舎に行く電車に乗った。ほぼ満員。
パリは午前中土砂降りだったけど、駅に着くころはうっすら夕焼けが広がっている。果たして翌日は太陽が顔を出した。

夫と花屋さんで鉢植えの花を2つ買い、義父と、春に亡くなった従弟のお墓詣り。墓地はうちから歩いて3分の教会だ。
人口200人足らずの村の真ん中にある墓地だからいつも花いっぱい。

フランス田舎の教会墓地

これは造花。村の花屋さんには一目でわかる造花がたくさん売られている。
それが汚れてくると「ないほうがまだマシ」という状態に。

フランス田舎の教会墓地

おお、メッセージが並ぶ人気のお墓。村の名士一家だそう。

フランス田舎の教会墓地

その名士の先祖のお墓は19世紀のもの。ラテン語で書かれている。

cemetiere4.jpg

ベビーサークルのような囲いの中に雑草がぼうぼう。
「夏草や、兵どもが夢の跡」が浮かんだ。え、意味が全然違う?そうですね。

フランス田舎の教会墓地

墓石も墓碑銘もなく、知る人ぞ知るというオリジナル・バージョン。

フランス田舎の教会墓地

“放棄されたお墓”。委譲されてから30年以上経ち、最後の埋葬から10年以上経ち、誰も手入れに来ないお墓は“放棄”とみなされ、他の人に譲渡される。こんな目に遭ったら浮かばれない・・・

フランス田舎の教会墓地

ジャン=ピエールのお墓は曲線がニューウェーブ。埋葬は3月の終わりだったのに墓石が届いたのは数日前。
右端にちょこっと見える黄色い花が私たちから。

フランス田舎の教会墓地

ジャン=ピエールが村にもういないことがまだ信じられない。今にも、けたたましい音のトラクターに乗って一杯やりに来そうな気がする。彼の幽霊なら歓迎だ。



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出発:ミッション・ポッシブル

飛行機が10時半ってことは8時半に羽田に着かないといけない、ってことは?
「タクシーなら1時間・・・7時半に出ればいい?」
「いやぁ・・・朝は環八が混むから1時間半見たほうがいい」と友人M。

出発の2日前、タクシーを7時に予約しようと電話したら、最初の3社が「空車、ありません」
その後の1時間、かたっぱしから電話して、10社以上かけたけど全部満車。中には10日まで空車なしもあった。ボーゼン。
なんで ?! お盆はまだ先でしょ!
「台風のせいじゃない?」
台風が来ると電車が止まることを心配して、タクシーを予約するってこと?
大きいスーツケース2個+機内持ち込み1個があるからタクシーにしたかったけど。
宅急便で空港に荷物を送るのは、今からでは遅すぎる。
じゃリムジン?
品川から京急に乗る案も出たけど、この荷物で乗り換え2回はねぇ。
「それに渋谷から山手線の内回りは乗り換えが面倒なのよ。リムジンはマークシティの5階から出るから、井の頭線から簡単に行ける」と友人N。
羽田行きリムジンは予約ができず「先着順」なので、もし万が一乗れなかったら、急遽、京急空港線に変えればいい。

飛行機に乗り忘れ(数人の友人から「飛行機、間違えてない?」の注意あり)、乗り遅れ(1か月前)の前科があるので、
「綿密な時間割を作ってほしい」と娘。
そこで、
5時45分 出発
6時06分 浜田山発
6時26分 渋谷着
6時55分のリムジン
7時46分 羽田着
が出来上がった。混雑期だから早めに着いたほうがいい。文句あるか?

前日、友人Nと渋谷で会ったとき、予行演習までやる。
「このエレベーターで4階まで行って、その後エスカレーターよ、わかった?」
持つべきものは友達だ。
帰って、掃除機をかけ、お風呂場を洗い、残り物で親子どんぶりと野菜炒めを作り、キッチンを綺麗にし、スーツケースの重さを測り、「寝ないほうがいい」という意見もあったけど、1時過ぎから少し寝て、私は4時半に起きた。

すべて予定通り進み、渋谷到着。
改札を出て左、予習済みのエレベーターに赴くと・・・動いていない!下には行けるけど上に行けない。
改札に駆け戻って駅員さんに聞くと、
「あ、あれ早朝は動いてないっすよ」
「じゃどうすればリムジンまで行けるんですか?」
「右の階段を降りて、戻る感じで建物をぐるっと回ると、エレベーターがあります」
カイダン ?!この荷物で、それだけは避けたかったのよ・・・

周到に準備した・・・例えば銀行強盗も、こういう予期せぬ出来事でしくじるんじゃないか、と思ったのは推理小説の読みすぎ。
一番大きいスーツケースを持った逞しい娘に3m遅れて続こうとすると、アングロサクソン系の男子が2人現れ、手伝ってくれた。

たどり着いた発着所

空港リムジン

ちゃんとリムジンに乗れたか心配してメールしてくれたNに、エレベーターのハプニングを説明し、
「でも無事に6時55分のに乗った」
「Tout est bien qui finit bien(終わりよければすべて良し)ね」とN。
まったく。
反対車線は渋滞しているけど、リムジンはするすると走っていく。
あれだけ出払っていたタクシーたちは一体どこに向かったんだろう?
台風一過の熱気で霞む東京の街が窓を過ぎていく。


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今井浜海岸:波、波、砂、砂

波と砂の今井浜海岸
朝、7時半。熟睡しているとこへ電話が鳴り、
「朝食バスケットをお届けしました」
わたしはドアの前に置かれた可愛いバスケットを取り、ベッドに戻り、目が覚めると10時!バスケットは10時までにフロントに戻すように言われていた。
娘を叩き起こし、中身をテーブルに並べると、さすがこのホテルの名物。
コーヒー、リンゴジュース、サンドイッチ2種、ゆで卵、オレンジ、ヨーグルト(市販のじゃなくて)、サラダ&自家製ドレッシング

プチホテル・トゥインクル朝食バスケット

お昼ご飯にもなりそうなすごい朝ごはんに感激し、半分はお昼のお弁当にして海岸に降りる。
お天気だから人が多い。けど、私が日本にいたころの海岸とは光景がずいぶん違う。
テントがたくさん。ちょっと覗くと椅子やアイスボックス、浮輪、砂遊び道具一式などが揃っていて“おうち”になっている。

今井浜海岸

「あたしたち、SDF(住居不定者)じゃない」
砂浜にビーチタオルを敷きながら娘。
女性の多くが長袖、スパッツ。長袖の子供も少なくない。
「イスラムの海岸みたい」
娘はビキニになるのを躊躇っている。

今井浜海岸

一日中、パラソルなし日に焼くフランス人も無謀すぎるけど、ここまでガードするのもねぇ。
若い層にビタミンD不足が問題になっていると後で聞いた。
大学の友達とコート・ダジュールの海岸に行ったとき、彼らがビキニの女性に目を輝かせていたはずだ。

台風はそれたけど風が強くて、波が高い。だから泳ぐのは無理で、みんな波に乗ったり、押し流されたりして遊んでいる。
娘は最前線まで進んで高い波と戯れ、私は臆病に3mくらい離れたとこにいたけど、それでも数回なぎ倒された。

夕方5時近く、さすがに疲れて寝転がって本を読んでいたら、満ち潮の上、突然高い波が来て、あっと言う間もなく私たちはびしょ濡れ。
本もバスタオルも服もずぶ濡れで、携帯はなんとか無事。
私たちは最初ゲラゲラ笑っていたけど、砂と水をたっぷり吸ったビーチタオルの重さに笑いもひきつる。
ホテルまでの坂道を、何度か休みながら登った。
ホテルに着いたら女主人が、そんなものを持って、中に入らないで欲しい(ごもっとも)。
「外のシャワーで砂を取ってください」
気持ちはわかるけど、濡れた細かい砂が簡単に落ちてくれるはずもなく。ビーチタオルを外に干して少し乾くのを待つことに。

コート・ダジュールの海岸は小石で、歩いても寝転がっても痛く、砂浜にあこがれていたけど、こういうデメリットもあったのね。


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海に行きたい

と娘が言い出した時、すぐに“今井浜”が浮かんだ。
夏は箱根と決まっていて山にウンザリしていた私を海に連れて行ってくれたのは祖父。それが今井浜海岸だった。

東京駅からこだまで熱海に出て、そこから各駅停車の伊豆急で2時間。
たどり着いた今井浜海岸の駅は、駅前のカフェとカラオケ喫茶はシャッターが閉まり、周囲にはコンビニもない。台風はそれたと聞いたのに、今にも降り出しそうな空。2日間こんなだったらヤバい・・・

今井壮や東急ホテルの“大型”があまり好きじゃないので、プチホテル・トゥインクルというのを予約していた。
言われた通り、急な坂道を上がっていくと、うっそうと茂る緑の中に白い建物が現れる。メルヘンっぽいという形容詞が似合いそうだ。

今井浜 プチホテル・トゥインクル

「お風呂は何時になさいますか?」とオーナーの女性。
メルヘンホテルには、岩風呂、露天風呂、釜風呂(!)と温泉が3つもある。
ちょっと考えていると、
「まあ、貸し切りですから」
「は?」
このホテル、今日のお客は私たち2人だけなのだ。まさに書き入れ時だというのに・・・

夕方、海岸に降りていくと見渡す限りの美しい砂浜。波はけっこう荒く、誰もいない(ま、この天気、この時間帯だもの)

今井浜海岸

娘は裸足になって波打ち際を歩き、私は岩の上に座って、小さい時来たのはこの海岸だったのかしら?
名前は憶えているのに、情景は記憶にない。

今井浜には食事処が1件しかなく、そこも夜7時には閉めてしまうそうで、隣町の河津まで行った。電車で2分、でも電車は45分おき。
海鮮どんぶりや活き作り専門のお店で娘が頼んだのは「鶏のから揚げとフライドポテト」(これだから旅館には行けないのだ)。
フライドポテトはなかなか出てこない。
「隣町のマクドナルドまで買いにいったんじゃない」と言っていると、ほんとにマクドナルドとそっくりのポテトが運ばれてきた。

伊豆の踊子の銅像の前でデザート

河津



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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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