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この夏、EU圏に来ていい国

すなわちコロナが鎮静した、とみなされる国が7月1日に発表された。
アルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、日本、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイ。そして中国は、向こうがヨーロッパ人の入国を許せば、という条件つき。

このリストは2週間置きに見直される。

EU圏に来ていい国

アメリカ人、ロシア人はヨーロッパに来れない。
フランスの観光客1位はアメリカ人だから、観光業界にとって-とりわけ高級ホテル、星付きレストランにとって-致命的だ。

現在、パリのホテルの稼働率は10%を超えない。通常75~80%で、サロンや国際会議があると90%に達する。
これなら開けないで、従業員を失業扱いにして寝ていたほうが得策かもしれない。

コート・ダジュールのリゾート地も、この夏、ロシア富豪を当てにできないことになる。

でも日本人は来れる!わーい!と喜ぶのは早い。
ニュースに出てきた某ツーリストオフィスのボスは、
「日本人は非常に用心深い。“ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)”の時、パリは内戦状態と思われた。テロが続いた時は論外だった。今年は期待できない」
日本からのパック旅行は9月まですべてキャンセルになったそうだし。

逆に「日本に来ていい外国」はタイ、ヴェトナム、ニュージーランド、オーストラリアが第一弾の入国許可候補で「検討に入った」。
圧倒的に少ない感染者数、死者数(フランスの60分の1!)を誇る日本としては用心深くならざるを得ないでしょう。

中国が近くて中国人観光客も多いのに、どうして日本は感染を押しとどめられたのか?がよく話題になる。
「キスしない、握手しない、清潔好き、マスクの習慣あり」が必ず挙がる(『民度の違い』は挙がらない)
先週、薬学研究者の友人と会ったら「食べ物じゃない?」
他の国民は食べないけど、日本人が日常よく食べているものに免疫力がある、と言う説。モーリシャス島もその可能性があるんだって。
日本人がよく食べて他国では食べないもの・・・海藻?納豆??
仮説ではあるけど、ありうるかもしれない。やっぱり納豆かな?


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田舎に来た理由

のひとつは、娘が隔離中に手懐けたソーシスに会うため。

おお、君が噂の!

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小柄で、アイラインで縁取りしたようなアーモンド型の目。若く見えるけど、ご近所の話では「何度も子供を産んだ」高齢マダム。
ソーシス(ソーセージ)は可愛い名前だけど、そんなに丸々していない。

最初は警戒していたけど、すり寄ってくるまでそんなに時間はかからなかった。動物は動物好きをすぐ嗅ぎとる!

娘はソーシスに会うため、せっせと田舎に通ってくる。パリの猫、タマには内緒で。つまり本宅と妾宅を行き来しているようなもんだ。ま、ソーシスは雌だけど。
庭にはバラが咲き、

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隔離中に始めた菜園にはニンジンやトマトが育ちつつある。
オゼイユ草は、鮭のソースによく使われる。オムレツに入れても美味しい。

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オレンジの花はなに?
「害虫に食われているんで害虫除けのインド・カーネーションよ」
何でそんなこと知ってるの?

まだ小さいサラダ菜。ミネラルウォーターの逆さま瓶は留守の間、水をやる”システム”。

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娘は病気のバラを介抱したり、ひな鳥が巣箱から飛び立つのに立ち会ったり。
でも自然は美しいばかりじゃない。ハエが多くて、家中、何十匹も飛び回っている。
大胆にも顔や腕にとまるので、静かに本を読むこともできない。その上、すぐに卵を産む。
わたしがソーシスにやったキャッツフードの缶詰をテーブルの上に放置していたら、
「ダメ、すぐ冷蔵庫に入れないと、中に卵を産むから」
!!!
そして隔離中の恐ろしい体験を話してくれた。一緒に籠った友達のひとりがビールをよく飲んで、空き瓶を物置に並べていた。
田舎にゴミ集配車はなく、自ら村のゴミ捨て場に捨てに行く。
瓶が溜まったので、そろそろ捨てに行くか、と物置に行くと、
「瓶の中に白いモノがたくさんうごめいてるのよ」
ギャー!
「ハエがお酒好きとは知らなかった」
「お酒は糖分だから、糖に惹かれて瓶に入ったのよ」
パリでは酒瓶を少し溜めていてもそういう事態にはならない。
自然がコンクリートに閉じ込められず、むき出しで、すぐ近くにあるということだ。

でもハエの害を差し引いても、初夏の田舎の美しさは圧倒的。空は青さが違い、緑の濃淡のニュアンス、夜は満天の星。
外で食べるご飯の美味しさ。娘が「最高の隔離だった」と言うはずだ。

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99歳の逞しいおばあさん

小さいスーツケースを持って出かけるわたしを見て、猫たちは、
「ウソだろ、おまえもか!」「ぼくたち、どーなるんだ?」という顔になった。
隔離中、娘は田舎にいたけど、わたしはずっとパリにいたので安心していたのだ。
アタシだって田舎に行くのよ。2日間だけだけど。
その間、娘の彼が世話してくれることになっている。

東駅で夫と待ち合わせて電車に乗る(最初、”西駅”って書いてました!書きながら、何か耳慣れない言葉、と感じていましたが、あるわけないですよね。指摘してくださった方、ありがとうございます。)

スキャンダルで失墜したパリ市長候補、バンジャマン・グリヴォーは、この駅をどこかに移し、テーマパークにするというトンデモナイ計画を立てていた。
gare de lest3

電車は空いていて、通路の向こうの席に大きなスーツケースを持ったおばあさんが座っている。
彼女の電話がけたたましく鳴った。
「・・・うちに帰るとこよ。もう電車に乗ったわ。東駅までくるのに2度乗り換えで、シャトレの廊下は恐ろしく長くてもうクタクタ」
確かに。何線も交差するシャトレ駅の通路は果てしない。
「・・・うるさいこと言わないで。疲れたって言ってるでしょ。わたしは99歳なのよ」
!!!
わたしが99歳になったとき(生きていれば)、大きなスーツケースを持ってひとりで旅行できるだろうか?
おばあさんは話し方もはっきりしていて理路整然。えらい。
でもあのスーツケースを持って降りれるかしら?(持って乗ったからには大丈夫か・・・)
会話から察するに彼女はわたしたちより先の駅で降りる。誰か手伝ってくれればいいけど。

しばらくしておばあさんは、足元に置いていたスーツケースを、けっこう軽々持ち上げてテーブルの上に置いた。
目の隅で見ていたら、中をゴソゴソかき回して袋を取り出し、中身を食べ始めた。おやつの時間!
逞しいこのおばあさんにわたしはすっかり感心してしまった。

降りる駅が近づいて席を立つと、おばあさんはわたしの盗み聞きや要らぬ心配を知っていたかのようにニッコリ笑いかけ、
「さようなら」
「さようなら。気をつけて」

西日が照りつける田舎の駅には先に着いた娘が迎えに来ていた。

Gare_de_Bar-sur-Aube_202006261843306e0.jpg


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この夏、海にたどり着けるか?

「バカンスに行けます」とフィリップ首相が宣言したのはいいけど、100㎞という壁が残っている。
Vol d’oiseau/鳥の飛び方で(=直線距離で)100㎞。鳥はまっすぐ飛ぶので(言われてみると右折、左折している鳥は見たことがない)こういう詩的な表現をする。
でも首相が「行けます」と言うからには、100㎞制限はそのうち解除になるということではない?

ほぼ毎年借りている南仏のアパルトマンを予約したけど、まだ前金は払わなくていいと言われている。実現するためには3つの障害をクリアしなければならないからだ。
①はこの100㎞。

②海水は大丈夫か?
Covid-19は湿った表面で長生きするそうだし、海水には飛沫がたくさんありそうではない?
と心配している人は多い。ナントの海洋開発インスティテュートが20か所の海水と牡蠣とムール貝を調べた結果が21日に公開された:なんと「SARS-CoV-2(新コロナウィルスの科学名)の存在はなかった」
海水の浄化作用と塩のお陰とか。自然は素晴らしい!
「危険ゼロとは言えないけど、海水で感染する可能性は極めて低い」そうで、これで海に一歩近づいた。

③「活動的海岸」:あちこちの海岸が開いたものの、今のところ、泳ぐか、サーフィンするか、走るか、歩くか・・・つまり活動しなくてはいけない。座ったり寝転がるのは禁止なのだ。
大西洋側はサーファーも多いけど、地中海側は過半数が寝そべったり座ったりグダグダしている。

se baigner cet ete
photo:France Bleu

一日中浜辺に座って孫のお守りをしているおじいちゃんおばあちゃんに、泳げとか走れなんて言えないでしょ。

第一、Vacanceは空っぽという意味、“何もしない”のが正しいのに。
というわけで、現段階では①と③の障害が残っている。いや、①は解除になるだろうから③がネックだ。
ああ、海が見たい・・・


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太陽の恩恵

東京ではなぜか毎朝7時に目が覚めた。ふつうは時差で朝、目が覚めないはずなんだけどね。
それで7時からNHKのニュースをつけて、コーヒーを淹れたりシャワーを浴びたりしてたら、
「なぜインフルエンザは冬に流行するんでしょう?」というクイズ。
寒いから?(寒くて鼻風邪はひくけど、インフルエンザはウィルスだ)
空気が乾燥しているから?(フランスで「暖かくて湿気があるとウィルスが長生きする」と聞いた気がする)
答えは太陽!冬は日照が少なく、体内にビタミンDが合成されにくい。ビタミンDは抵抗力を増す働きがある。
へぇー知らなかった。

ビタミンDは骨を強くする、は知っていた。日照時間が少ないフランスではビタミンD欠乏症が多い。
特に40歳過ぎから骨粗しょう症を予防するため、一日に1時間日光を浴び、1か月に1度、ビタミンDのアンプルを飲みなさいと言われる。私も言われている。

日本では紫外線の悪影響のほうが前面に出ているけど、いい影響も認めてあげないと可哀そうだ。

東京にいた1週間は毎日晴れて、朝、窓からたっぷり日が差し込み気持ちよかった。

写真にすると大したことないけど、アパートメントの一画が光に溢れていた。

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ベランダに出ると、太陽の暖かさに包まれて幸せな気分になったものだ。
外に出ると日傘をさしている人までいて、なんともったいない。付け焼刃の知識で、インフルエンザになりますよ、言いたくなった。

パリに戻ったら、案の定、灰色の空、雨、時に土砂降り。
東京の青空と太陽が恋しい。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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