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セーヌのシンデレラ体験

セーヌ夕食に招待された。オルセー河岸のソルフェリーノ港。そんなところに船のレストランがあったかしら、と思いつつ行ってみると招待してくれた人の持ち船であった。テーブルにはお皿やグラスが並び、舳先のスペースにはアペリティフの用意。びっくりしていると船長さんが手を貸してくれて船に飛び乗る。暑からず寒からずの調度いい気温、9時近くでもまだ明るい。船の持ち主が息子とともに船室から出てきて、シャンパンが開く。それを合図に船が動き出した。娘と2人でバトー・ムーシュに乗ったことはあったけど、プライベートな船からシャンパンを飲みつつ眺めるパリは一味も二味も違う。いや、セーヌからパリを眺めつつ飲むシャンパンは一味も二味も違う!コンコルド広場を過ぎ、船は橋の中で一番豪華なアレクサンドル?世橋、そしてアルマ橋をくぐる。バトー・ムーシュやヴデット・ド・ポンヌフなど大型遊覧船とすれ違う。手を振っている人もいる。船の後部に移ってディナーになった。オードヴルのエビとアヴォカドのサラダを食べ始めると、いかにも料理の上手そうおばさんが現れて、メインのマグロを焼きだす。友人は息子と話し込んでいるので、私は父親とおしゃべり。バブルの時期に日仏貿易で一財を成した人だ。船は2隻、厩舎、お城まで持っていることが話のはしばしでわかる。長年の美食美飲がたたったのか、アペリティフにはコーラ、食事のときはミネラルウォーターをシャンパンのピッチャーに入れて飲んでいる。10時2分すぎにエッフェル塔の前を通過。ほら、日が暮れてから毎時ジャストにともるイリュミネーションで輝いている。川面から眺める巨大クリスマスツリーはことのほか綺麗。「2分の遅れ!」父親が船長を冗談交じりで非難する。「照明がともる瞬間に、エッフェル塔の前に着けてくれと言ったろう」船はラ・ヴィレットでUターンして帰路につく。川べりで寄り添う恋人たちが手を振っている。デザートは季節の木苺にフレッシュクリーム。12時近くにソルフェリーノ港に戻ってきた。パリの夜景と細やかなサービスに酔ったような夢心地で船を下りた。現実に戻って最初に浮かんだせりふが「またやりたい!」シンデレラなひと夜の体験だった。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから20年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書2冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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