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話のタネにいかが?

河瀬直美 カンヌ

27日に幕を閉じたカンヌ映画祭、その60年をエピソードで追ったミニ歴史、ニュースレターでもご紹介したけど、なかなか面白い(?)ので、掲載します。
写真:右から、河瀬直美監督、主演のうだしげき、尾野真千子

カンヌ映画祭60年史

1946:カンヌ映画祭誕生

1947:カジノがあった場所にパレ・デ・フェスティバルが落成。しかし、フェスティバルの最終日に強風が吹き、真新しい建物の屋根は、風と共に去った。

1953:“タキシード着用”のドレスコードを免除されたパブロ・ピカソ、羊革のコートで登場。グランプリは『恐怖の報酬』

1960:フェリーニの『ドルチェ・ヴィータ』がパルム・ドールに輝く。

1963:『鳥』がコンペティション参加。ヒッチコック監督は100羽の鳩をクロワゼット大通りに放つ。その1羽がヒッチコックに襲いかかった。

1966:28歳のクロード・ルルーシュの『男と女』がグランプリ。最年少受賞。

1968:5月革命がカンヌにも影響。ルイ・マルとロマン・ポランスキーが審査員を辞退、フェスティバルは中止。

1973:マルコ・フェリリの『最後の晩餐』がスキャンダルになる。食べる、という快楽を拷問にしてしまう男たちの物語。ホラー映画より怖い。ご飯を食べながらビデオを観よう、というノリでは絶対見てはいけません。

1979:フランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』にパルム・ドール。

1983:新パレ・デ・フェスティバル落成。その新パレのレッドカーペットに現れたイザベル・アジャーニは唖然、折り重なるカメラマンもフラッシュの雨もない!彼女の気まぐれで傲慢な態度にキレたカメラマンたちがボイコットしたせい。後にも先にも初めての出来事。個人的には好きな女優だけど、「大スターなら何でも許される」という態度を許さなかったカメラマンたちはエライ。

1988:『ル・グラン・ブルー』(ビッグ・ブルー)が酷評されて、ベッソンはブルーに。

1990:ゴダールの『ヌーヴェル・ヴァーグ』出演で、アラン・ドロンが15年ぶりカンヌ登場。

1993:ジェーン・カンピオンが『ピアノ・レッスン』でパルム・ドール。初めて女性監督が受賞。

1994:クェンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』にパルム・ドール。ユーモアとバイオレンスと色気ある男たちと撮り方のセンス・・・最高のタランティーノ。

1997:ジョニー・デップの監督作品『The Brave』にヤジの口笛の嵐。がっくりしたジョニーはそれ以来映画を作っていない。

北野武「菊次郎の夏」(1999)、大島渚「ご法度」、青山真治「EUREKA」(ともに2000)、吉田喜重「鏡の女たち」(2002)、黒沢清「明るい未来」(2003)・・・続々カンヌ登場、日本映画の明るい未来!

2004:政治色の濃いマイケル・ムーアの『華氏911』がパルム・ドール、という審査に議論炸裂。

2006:ケン・ローチ『麦の穂をゆらす風』にパルム・ドール。

2007:河瀬直美氏の『殯の森』(もがりの森)がグランプリ、パルム・ドールはルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督の「4ヶ月、3週間と2日」が選ばれる。松本人志『大日本人』の噂は聞かなかった・・・

グランプリとパルム・ドールは「どう違う?どっちがエライ?」の当然な疑問には、WIKIPEDIAがお答えします。
『当初は、最高賞を「グランプリ」(Grand Prix du Festival International du Film 、世界の映画のグランプリ)としていたが、1955年にトロフィーの形にちなんだ「パルム・ドール」(黄金のシュロ)を正式名称とし、「グランプリ」とも呼ばれる形とした。1965年に最高賞の正式名称を「グランプリ」に戻すが、1975年に再度「パルム・ドール」としている。長らくはカンヌにおいても「グランプリ」とは最高賞の正式名称もしくは「パルム・ドール」の別名であったが、1990年に審査員特別賞(前年までの名称は'Grand Prix Spécial du Jury'、直訳で審査員特別賞となる)にあたる賞に「グランプリ」の名が与えられる事となり、混乱を招いている。』
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サルコジの再構成家族

サルコジ

16日にカンヌの開幕は逃したけど、エリゼ宮でのサルコジ大統領任命式はニュースで見て面白かった。サルコジや任命式は大して面白くないけど、家族構成が今のフランスを反映している:サルコジにはコルシカ出身の前妻との間に男の子が2人(両側の長髪)、現妻セシリアは、前夫ジャック・マルタンとの間に女の子が2人、サルコジとセシリアの子供は男の子・ルイで10歳になる。総勢7人の“再構成家族”で、ルイが格式ばったセレモニーでも物怖じせず質問したりしているのが「前例のない」場面だった。セシリアは元モデル、前夫、ジャック・マルタンはテレビのバラエティ番組の司会者だった。去年サルコジとの不仲が噂され、セシリアは愛人のいるNYに飛んでいったが、選挙戦を控えたサルコジが連れ戻した。戻ってもらうために、かなりの金額が支払われたという噂。噂でしかないが、ありそうな話と、信じている人が多い。セシリアは夫が当選した夜も姿を見せなかったし、任命式の日も「人事」みたいな顔をしていた。それはル・モンド誌が言うように彼女の「控えめな性格」のせいかもしれない。

サルコジにバトンタッチして去っていくシラクの後ろ姿が印象的だった。政治能力に批判はあったけど、人柄は良かったようで、涙で見送るスタッフもいた。

取り残されて・・・

フランス 映画

雪に閉じ込められた家にスキーで帰ってくる夫婦。仲良く食事をし、一緒に食器を洗い、片付ける。妻がフライパンを、当たり前のように冷蔵庫にしまうのを見て、しばし立ち尽くす夫。結婚して44年になるグラントとフィオナ。アルツアイマーに侵されたフィオナが二人の生活を変えていく。彼女は、専門の施設に入ることを決断するが、夫は気が進まない。入院の当日も、何とか思いとどまらせようとするが、フィオナの決心は固い。施設に順応するために面会禁止の1ヶ月という時間が、果てしなく長く感じるグラントだ。

「明日への記憶」では、アルツアイマーになった主人公、渡辺謙の動揺や焦りが描かれていたが、この映画は逆の視点、つまり樋口可南子の物語であった、と映画館を出て気がついた。連れ添った配偶者の記憶から消され、取り残された者がどう感じるかにスポットが当たっている。ところが、フィオナを演じるジュリー・クリスティの存在感がすごいのでつい彼女を追ってしまい、フィオナの感情があまり描かれていない、と一瞬感じてしまった。この難しいテーマを、抑えたトーンで扱った監督が、若干28歳の女性(サラ・ポリー)と聞いてびっくり。印象に残る映画。原題は「Away From Her」。
フランス 大統領選挙

土曜日に日本食品店に大根と茶そばを買いに行ったら、内務省に務める友人が納豆を8パックも買っていた。彼の奥様は日本人。「やっぱりサルコジがなるんだろうね」と言うと「そういうことになるだろうね・・・」

翌日曜日の朝市はいつもより沢山の人が出ていた。みんな遠出などせず、ちゃんと投票に行くという姿勢だ。その通り、85%という非常に高い投票率。サルコジ53%、セゴレーヌ47%でやっぱりサルコジが6人目の大統領に。夜8時からの大統領選特別番組では、サルコジの乗った車を、ジャーナリストの何十台ものバイクが、何とか新大統領をカメラに収めようと危ないレースを展開。一方、社会党本部には支持者が押しかけ「セゴレーヌ、メルシー」と叫び続ける。セゴレーヌは、終始ニッコリ微笑んで手を振り、「始めた戦いはやめない、次の勝利につなげよう」と演説。Paule Ka(選挙戦中、殆どこのブランドの服)のベージュのスーツで、敗者と思えないあでやかな笑顔が印象的だった。

選挙戦特別メニュー!

フランス 大統領選挙

あと数時間でフランスの大統領が決まるが(もう決まってる、なんて言わないで!)1次投票から決戦投票の間、仕出屋のプルミエール・エトワールが、セゴレーヌとサルコジの特別選挙メニューを販売した。セゴレーヌはルシオパーチ(パーチ科の淡水魚)のソテー蜂蜜風味、ジャガイモのオーブン焼き、ライムとグレープフルーツ添えと、女らしい料理、酸味(辛らつさ)も忘れず。サルコジは、子羊のクミン風味ロースト、野菜の蒸し焼き、パプリカ風味(写真)。彼が好きだという、濃い味付けの肉料理で、パプリカはサルコジのルーツ、ハンガリーを象徴している。プルミエール・エトワールは「シェフの味を自宅で」というコンセプトの仕出屋で、必要な材料が入ったパッケージを配達してくれる。どれも30分以内でできるレシピだそう。この選挙特別メニューは「お友達をよんでのお食事に」と宣伝しているが、「わたし、サルコジの子羊なんか絶対食べない!」「セゴレーヌメニューなら食事抜いたほうがマシだ」という言い争いになるのは歴然。こういうメニューは一人でひっそり食べて応援するのが正しいと思いませんか?

TRES BIEN, MERCI - 元気です、ありがとう

フランス 映画

会計士のアレックスは、ある晩家に帰る途中、警官4人に囲まれて身体検査をされている男性に気づき、足を止める。その男性がどうなるのかと眺めていると、警官の1人に「見物していないで、うちへ帰れ」といわれる。警官の威圧的な態度に反発を覚えて、アレックスは言うことをきかない。すると、警官は取り調べていた男性でなく、アレックスをパトカーに押し込んで警察に連行してしまう。大した理由もなく寒い留置所で一晩過ごした翌朝、「もう帰っていい」と言われたが、「自分が拘置されたわけがわからない。警察署長に会うまで帰らない」と座り込みを決めるアレックス。訳のわからないヤツだ、と手錠をはめられ、車で連れて行かれたのは病院の精神科だ。妻のベアトリスが駆けつけると、夫は「不安定で動揺した状態なので」、精神安定剤を打たれて眠っていた・・・

『Tres bien, merci』(元気です、ありがとう)は、些細なきっかけから抜き差しならない状況に巻き込まれてしまうサラリーマンの話。反抗精神が旺盛なだけで、ごく普通のアレックスが、精神病院で薬を飲まされるうちに、段々おかしくなってくるところなどリアルで怖い。平凡な主人公が予期せぬ歯車に巻き込まれてどんどん堕ちていく様を描いた、奥田英朗の『邪魔』を思い出す。

地味な会計士はジルベール・メルキ、タクシー運転手をしながら淡々と夫を助けるベアトリスは、映画登場2年ぶりのサンドリン・キベルランが好演で、お薦めの作品。ただし結末だけがちょっと疑問・・・
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから20年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書2冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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