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アナイス、獣医を追い返す

anais malade

ビロードのような手触り、と身内が誇りにしているアナイスの毛並み。皮膚病になって背中の毛が抜けて、一部ハゲのようになっている。お医者に連れて行こうと思いつつ、日が経ち、昨日間近で見たら、ハゲが拡大している。これはいかんと、獣医のとこへ連れていくことにした。

ところがその考えが甘かったことが間もなく判明。檻にどうしても入ってくれないのだ。愛用の毛布やエビのぬいぐるみを入れて、誘導するけど、恐ろしい力で私の腕から逃げ出す。
獣医の先生に電話して「どうしましょう?」と聞いたら、“SOS獣医”という24時間態勢のサービスがあるからそれを呼べという。往診料は100ユーロ!獣医は、連れていったって高い(60ユーロくらい)、当然保険もきかない。檻に入れるための格闘を考えれば、まあしょうがないか。

“SOS獣医”に電話すると、40分くらいでシュワルツネガーみたいな大男が、キャンプに行くような大きなかばんを持って現れた。この大男はすごい靴音をさせて猫を追いかけ、ベッドの下に逃げれば、ベッドを軽がると持ち上げ、とにかく怖がらせることにかしないのだ。
アナイスは護りから攻撃態勢になった。歯をむき出し、今にも飛び掛ろうとする。「そっちがその気なら、こっちにも考えがある」とシュワルツネガー。「なんです、考えって?」と私。「網で捕まえてやる」と、彼はサディックな笑いを浮かべて言う。取り出したのは昆虫採集の網の5倍くらいあるやつで、それでアナイスを捕獲しようというのだ。

「やめてください!」と私は叫んだ。「そんなことしてアナイスのトラウマになって、神経症になったら困るから、やめてください」
というわけで、シュワルツネガーは何もせずに100ユーロのチェックを持って帰っていった。といっても必要なことは聞きだした。
Q:もし、取り押さえられていたら、どんな治療をしたか?
A:まず背中の毛を刈り取って(!)消毒、その後、毎日、抗生物質を飲ませる。
Q:このまま放っておいたらどうなるか?
A:皮膚病は、時間はかかるけど放っておいても治る。
Q:これ以上広がらないようにするには?
A:外に出さないほうがいい。ハエや虫と接触すると化膿することがある・・・などなど。

アナイスはハゲを気にする様子もなく、シュワルツネガーのことも忘れたような顔をしている。診てもらえたとしても、この猫に抗生物質を毎日飲ませるなんて不可能だから・・・と自分を慰める私だ。
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40歳、恋の行方

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ブシュロンの『貴重な一瞬』コンクール受賞作で、私が一番好きだったのは『希望/Hope』と題された次の作品。訳してみました。どうでしょう?

『私は40歳。気持ちは20歳だけど、残念ながらそうではない。
夫なし。子供なし。自分の選択を悪くないと思える日が多い。でも、つらい日もある。
先週、スーパーマーケットで、小さな男の子が駆けてきた。頭を下げて走ってくると、「ママン」と叫び、いきなり私の膝に抱きついた。長い間そのままの姿勢でいて、ふと顔を上げ、私が「ママン」でないことに気がつき、わっと泣き出した。私も泣きたくなった。
年月が経つのにまかせていた。私はもう誰かの「ママン」になることはないだろう。

ラッシュのメトロの中で、私は女性の手を見ている。本のページをめくる、携帯を持つ、髪をいじる手。私は指輪を見る。結婚指輪。ひとつずつ違うけど、繊細なカーヴに睦まじさが宿る。
何もない自分の手を見つめる。そして何故?と思うのだ。

先週、バスティーユ広場で男性を待っていた。一緒にカフェに行くのだと思っていた。道の向かい側に飛び跳ねるように現れた彼は、ひらひらと何かを振ってみせる。それはオペラ座のチケット、びっくりした。私に?本当?本当なの?

劇場の中で、私は、波が数多くの失望を洗い流すように、荘厳な場所に洗われるように感じている。暗がりの中で彼が私の手に触れる。指が絡み合い、彼は強く握る。私は思わず手を見つめた。壁の割れ目から漏れたのか、細い光が横切っている。その指に。
金色にそれは輝く。指輪のように。』

バスティーユで待ち合わせしているからパリ在住のアメリカ人かイギリス人?暗がりで手を握り合ったあとどうなったか気になるところ。
上の写真のリングを渡すときに、その後の経過を聞いてみよう!ということになった。
ピンク、イエロー、ホワイト、チョコレートの4つのゴールドを重ねたこのリングは男性にも似合う。私の隣に座っていた社長さんの右手薬指にも渋く光っていた。


初体験の審査員

boucheron150

6月は、マーケティングリサーチ会社やリロケーション(フランスに赴任する外国人のサポート)会社などと仕事をする機会があり、なかなか面白い体験だったけどかなり忙しかった。
トンネルのような6月を抜け出ると、明るい夏の陽光が降り注ぐ7月、遊ぼう!と思っていたら、ブシュロン150周年記念コンクール『貴重な一瞬』の審査員という、また初体験の仕事が待っていた。
『INSTANTS PRECIEUX/貴重な一瞬』というテーマで、詩、エッセイ、手紙、会話・・・と形式自由なテキストをご覧のブシュロンのサイトに応募、その中から最優秀のテキストを選び、筆者にはリング4orが贈られるという企画。応募してリングを狙うほうが魅力的ではあったけど・・・

審査員はフランス人2人、イギリス人2人、日本人1人に社長のジャン=クリストフ・ベドス氏らはじめブシュロンから3人の7人。
6月30日締め切りになってフタを開けてみると450点という予想外の応募数に私たちは青くなる。
当初はサイト上で、20点満点で採点する方法が準備されていたけど、そんなことしていたら優勝者の発表が秋になってしまうので、Wordsテキストで送られてきた。こうすればメトロでもベッドでも読めるというわけ。プリントすると厚み3センチのボリュームで、私はそれを、食事しながら、お風呂で、メトロの中で、寝る前に・・・とひたすら読んだのであった。

恋の『貴重な一瞬』が圧倒的に多く、フランス人ってやっぱり恋多き人たちなのね、と再認識。「炎の一撃のような出会い」「つきまとう君の面影」「あなたの熱い視線が・・・」、そしてジュテーム、ジュテームの連続に酔ったような気分になる。最初の出産について書かれたのも多かった。

11日の朝、審査委員会。それぞれが10点選び、一番多くの人から選ばれた作品が入賞となる。450点の中から選ぶのだから意見が分かれると思ったら、意外と同じテキストが選ばれていた。フランス語2点、英語2点が最後に鼻の差で残り、再投票。さらにフランス語と英語とでは優劣がつけられないということで、両方の最優秀作品それぞれにリングが贈られる事になり、めでたしめでたし。
入賞作は明日ご紹介します。

Mention assez bien!

bac grand

バカロレアについて色々と書いて、色々書いたのは息子が受けたからだけど、その後の結果を何もお話していなかったので、受からなかったのではと心配している方がいたら申し訳ありません。

発表は7月4日。さすがに息子は朝からイライラしている。発表は17時で、指定の高校に合格者の名前とmention(モンション)が張り出される。獲得点の合計が20点満点に換算され、半分の10点以上取れば合格、12点~14点取るとmention assez bien(良)、 14点~16点がmention bien(優)、16点以上mention tres bien(秀)、と3段階の評価がつく。進路によっては、合格だけでなくモンションつきが要求される。
8点~9,9点の「あと一息」だった生徒は、発表の後に口頭の追試が行われる。

夕方5時が近づくにつれて私もソワソワ。
5時15分に電話がかかってきた。「受かった!哲学が15点、地理・歴史が17点・・・平均が13,8でmention assez bien」「すごい!良かったね」を私もどなり返して、あとは周囲のワーワーという声でよく聞こえなくなった。

バカロレアは日本の大学入試とすごく異なり、受かるのは(比較的)簡単、大学に残るのが大変、とくに1年目に落第する学生が多いらしい。だから内心受かるとは思っていたけど、良かった!ひと安心。そこでハタと息子の電話を思い出した:哲学15点、歴史で17点で平均が13,8点?
じゃ何が足を引っ張ったの?答えは文学と数学だった。


試験問題は全部、記述式。歴史は「冷たい戦争について」か「大衆民主主義について」に解説せよ、だった。こういう教育を受けたかった、と悔やまれる。年代を覚えることに必死で流れなんか頭に入っていなかった私の受験勉強。年代を忘れた暁には見事に何も残っていない。
そういえば、バカロレア受験者は毎年65歳くらいまでいるから、遅くないかもしれない・・・なーんて、受験勉強はもういいなあ。

11歳のダイエット

pyramide2
息子はヒョロリと細長いけど、娘は肉付きがいいほうだ。友達はみんな背が伸びる時期なのに、彼女は横に広がっている。兄貴からは「オイ、デブ、その3段腹なんとかしろ!」とからかわれるけど、本人は全く気にしない。ちょうどアレルギー性鼻炎がひどかったのでお医者さんに連れていったときに、聞いてみた。
「育ち盛りだから、気にしないで好きなだけ食べていいですよ。背が伸びればバランスが取れてきます」といわれることを内心期待していた私。でも先生の答えは正反対。
まず一日に何を食べているか詳細に尋ねた。朝はぎりぎりまで寝ているからココア1杯だけ。昼は学校の給食、4時のおやつはスーパーのお菓子。夕食は私が作るのでさすがに把握している。デザートはアイスクリーム・・・
給食は時々友達からもらって2人前食べているとか、おやつはお菓子一箱(日本の一箱の3倍はある)食べちゃうことがあるとか、私の知らなかった真実も明るみに出た。
娘を生まれたときから知っている初老の女医さんが提案するダイエットメニューとは:
朝:ココアは廃止(ある年齢になると乳製品の消化酵素が減る)。果物とシリアル(チョコレートの入っていないもの)。
昼:給食(人の分は食べない)
おやつ:果物、プレーンヨーグルト、チーズのタルティーヌ(トーストしたパンにチーズ)
夜:野菜ポタージュ、肉か魚は大人の半分、野菜は食べ放題。
その上、アイスクリームは1週間に一度、ファーストフードは禁止、となかなか厳しいでしょう?でも今注意しないと、“贅肉が定着”してしまうそうだ。
お医者さんに行くときハーゲンダッツの前を通り、「あとで買って!」とはしゃいでいたけど、帰りはシュンとその前を通り過ぎた。食べるのが大好きな子なんで、かわいそう。
「その3段腹をすっきりさせたらビキニも着れるわよ。おしゃれなんだからがんばりなさい!」
ダイエット食品のCMみたいなセリフだけど・・・

ところで子供の最終的身長を予測できるって知ってました?小児科の先生に聞いた受け売りだけど、父の身長+母の身長÷2-7.5cmが女の子、+7.5cmが男の子だそう。

プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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