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サロン・ド・ヴィンテージ

vintage

今年の2月に始まったサロン・ド・ヴィンテージ。アトリエ・リシュリューに30のヴィンテージショップが出店し、8000人の入場者を数えた。8000人・・・大したことないような気がするけど、主催者側にとっては予想以上の入りだったようで、第2回目は、より大きな会場に、60店が集まった。
その会場は、エスパース・ピエールカルダン。コンコルド広場の一画、装甲車3台に物々しく守られたアメリカ大使館の向かいにある。今回のテーマはLES ANNEE ORANGES/オレンジの時代。アンドレ・クレージュのポップなドレスや、サンローランのモンドリアン、エミリオ・プッチやピエール・カルダンが色鮮やかに表現した1960年代。バナナの皮をむいたらオレンジがのぞいているポスターに導かれ、会場に入る。入場料8ユーロ。

入るとすぐにディディエ・リュドが大きなスペースを占めている。
ヴィンテージの王と呼ばれる彼に相応しいVIP待遇。にもかかわらず、リュドさんはトレードマークの愛犬を足元に、退屈そうに座っていた。

このサロンが第2回ということでもわかるように、ヴィンテージが一般にも注目され始めたのは最近のこと。その理由をリュドさんは「流行があまりにもめまぐるしく変わるんで、ヴィンテージを着ると安心する」、そして「最新のコレクションの半額で、誰も着ていない(例えば)シャネルのスーツが手に入る」と分析する。ナルホド。
しっかりした生地のピエール・カルダン風のワンピースは120ユーロ。最新コレクションだと大したブランドでなくてもすぐ200、300ユーロするから確かに安い。

その時、隣にマルク・ラヴォアンヌ(下の写真)がいるのに気づいた。歌手で、『男たちの心』とか、ヒットした映画にも出ている。すごく“出たがり”みたいで、いろんなパーティに顔を出し、雑誌の「セレブショット」の常連だ。携帯で「ジェラールはどこだ?」と話している。ジェラールってもしかして・・・?と思っていたら、家具を見ていた夫が「ジェラール・ダルモンがいた!」とコーフンした面持ちで戻ってきた。
ジェラール・ダルモンは『アステリックスとオベリックス』に出た、3枚目俳優。『男たちの心』でマルク・ラヴォアンヌと共演しているので、2人は“ヴィンテージサロンに一緒に行く”ような仲らしい。

marc lavoine

あんまりジロジロ見ているわけにもいかないので、家具コーナーへ行く。
『時計仕掛けのオレンジ』に出てきたようなポップなソファや椅子、ベークライトのような素材のテーブルや棚・・・
2階に行こうとすると、ロレックスのヴィンテージを集めた店があって、俳優のブノワ・マジメルがまさに買おうとしているところだった。最近では江戸川乱歩原作、バーベット・シュローダーの『INJU』に主演した人気俳優だ。ジロジロ。
この『INJU』も、ミッシェル・ウエルベック原作の『ある島の可能性』も悪評のマジメルだけど、案外うれしそうな顔で時計を選んでいた。

さて2階に行くと、ご覧のように服や毛皮やバッグがぎっしりで、ヴィンテージな熱気むんむん。この中から試着してお気に入りの古着をみつけるには、相当のエネルギーと情熱を要しそうなので、一回りしただけで退散。
結論はですね、古着ファンが確実に増えている、そして芸能人は古着で差別化を図ろうとしている・・・

うちに帰って、「ねえ!誰を見たと思う?!」とコーフンする私に、子供たちはテレビの画面から目も話さず「そう」と冷たく一言。




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ミレーヌ・ファルメール現象

MF

3月28日午前10時、ミレーヌ・ファルメールのコンサートのチケットが売りにだされた途端、オンラインにファンが殺到し16万枚が2時間で完売。コンサートはあのサッカー競技場、スタッド・ド・フランス、日にちは9月12日、といっても2009年の話なのだ。

この年齢不明の、カナダ生まれの赤毛の歌手は、1984年にデビューし、2年後、アルバム『Ainsi soit je….』がミリオンセラーになり、それ以来、ほぼ2年おきにアルバムを出す度に記録的ヒットを出し、1997年にベルシーを満杯にするコンサート、そのライヴは、ライヴアルバムとしてはこれまで最高の90万枚を売り、2000年は全国ツアー、2005年には再びベルシーでコンサート・・・そして2009年は、ベルシーでは小さすぎたとスタッド・ド・フランスに現れる。

ミレーヌ・ファルメールの人気の理由のひとつは、彼女が「出てこない」ことだ。テレビにも雑誌にも出てこない、インタビューに応じない、パパラッチにも撮られない。ファンのサイト、Mylene.netを運営するジュリアン・オティエですら「彼女が何も言わないのがいい。私生活は知りたくない」という。
現れるのは数年おきの大規模なコンサートと、ヴィデオクリップ。彼女のクリップは、短編映画並のお金をかけ、独特の幻想的世界が繰り広げられる。

忠実で熱心なファン、20年以上変わらない人気、テレビに出てこないでコンサートに集中・・・といえば、ユーミンが思い浮かぶ。決定的に違うのは、ミレーヌ・ファルメールがとてもセクシーで、それをウリのひとつにしていること。ユーミンが、みんなが感情移入できる身近な世界を歌にするのに対し、ミレーヌは死・セックス・冒涜などをテーマにして非現実な世界に引きずり込む。
この夏ヒットした最新アルバム『Poit de suture(縫合)からのクリップ『デジェネラシオン(堕落)』を見てみてください。

写真は、何しろ「出てこない」人なので、顔がちゃんと見えているのが少なく、これは20年前。だけど、殆ど変わっていない。彼女は1961年生まれの47歳だ。

秋のひまわり

週末、朝寝坊をしてコーヒーを飲んでいると、息子の部屋から男の子が一人でてくる。クシャクシャ頭と寝ぼけまなこで「ボンジュール、オルヴォワール」と、朝帰り。10分後にまた一人出てきて同じく「こんにちは、さようなら」
あの部屋に2人も泊まってたのか、どうやって寝たんだろう、と感心していると、さらにもう一人!やっぱり驚いている娘が兄貴の部屋を覗きに行って、「大丈夫、もう兄貴だけだよ」と報告してくれる。

毎週、土曜日は友達と飲みにいって、遅くまで騒いでいるみたい。最初は午前2時が門限だよ、といって頑張って起きて待っていたけど、段々慣れて、最近では寝てしまう。最終メトロを逃した友達がぞろぞろ押しかけているのも気が着かなかった。

先週は、ドイツ人の友達が数日泊まっていた。フランス語を第一外国語にしている高校生で、前にも泊まったことがある、スポーツマンっぽい明るい子だ。
どうしてこういうパンがドイツにはないんだろう、と嘆きながらバゲットをパクパク食べて、きゅうりと鶏肉のゴマサラダを作ったら、ゴマドレッシングが美味しいと、パンにふりかけて食べている。
日曜日のお昼のTGVでドイツに発つ間際、ちょっとそこまで行ってくる、というので、「急がないと遅れるわよ」と心配していたら、10分で帰ってきた。花束を抱えて。「これ、お礼」と私に。
思いがけないプレゼントは、夏の名残のような元気なひまわり。彼のイメージによく合っている。
花をもらうのは嬉しいってこと、夫は知っているのだろうか?

フランスのティーン・モード

eastpak

フランスはカルターブル(学校に持っていくかばん)は自由なので、娘が小学校のときはバービーやディドル(ネズミのキャラ)、男の子はスパイダーマン、ポケモンなど色々なキャラクターのリュックサックがあった。
ところが中学からは、「Eastpakでなければ恥ずかしい」くらいにこのメーカー一色。

Eastpak は1960年、USアーミーのカーキ色のナップザック製造からスタートしたボストンのメーカー。ミリタリーパックが学生にも受け始めたので、一般向けに新しいコレクションを出し、それが大ヒット。
ここ10年フランスでは、他の人気メーカー(Herve Chapelier、Millet・・・ )を押さえて独走状態だ。
その理由は:
①比類なき丈夫さ。ナイロンの4倍(7倍という説も)強いコーデュラで作られ、何と30年保証。
②スポーティでありながら都会的なルックス
③親がノンと言えない値段(35~50ユーロ)
ということだ。
フランス人って、人と違うほうがいいんじゃなかったっけ?・・・よく見ると、Eastpakのリュックに、バッジやピンスをつけたり、ティペックス(修正液)で落書きをしたりして、カスタマイズに苦労しているようだ。
娘の中学では10人中7人くらいがEastpak、残る3人はQuicksilver、Roxyだそう。

AA

もうひとつの女の子のMust Haveがアメリカン・アパレル。Tシャツやトレーナー、レギンス、バッグなどが、色のバラエティ豊かに揃っている。
Tシャツが22ユーロ、レギンス26ユーロと決して安くはないし、デザインも凝っているわけではないけど、お店はいつも若い子で一杯。
要するにフランスのティーンはアメリカのファッションが好きってこと?




La fille de Monaco/モナコの娘

monaco1

“出会わないほうが良かった”この3人が出会ってしまった。
ベルトラン(ファブリス・ルッキーニ):有名な重罪院の弁護士。頭脳的で、おしゃべり(弁護士なんだから当然か)、屈折した性格。女は、好きなんだけど、むしろ話すほうが得意。
クリストフ(ロシュディ・ゼム):ベルトランのボディガード。ダイレクトで、寡黙で、体育会系で、女は好きなんだけど、話すのが苦手。知的で口が達者な弁護士に賞賛の念を抱く。
オードレイ(ルイーズ・ブルゴワン):モナコのテレビの“お天気お姉さん”。野心的でセクシー。天気予報をずっとやっているつもりはさらさらなく、上昇のチャンスを狙っている。「タブー」とか「ためらい」という言葉は彼女の辞書にない。

殺人事件の犯人を弁護にモナコにやってきたベルトラン、テレビのスタジオでオードレイと知り合いになる。
オードレイの若いナイスバディ(いつも水着のような格好をしている)と、開けっぴろげなアプローチに、たちまち翻弄されるベルトラン。実は以前、オードレイと付き合ったことのあるクリストフは、地元で有名な“娼婦”と、敬愛する弁護士の間で板ばさみ・・・

シナリオには弱点があるものの(それを言っちゃうと結末がばれる)、3人の俳優がいい。それぞれのキャラとその絡み合いがこの映画の魅力だ。
個人的には、寡黙で、感情を秘めたロシュディ・ゼムがとてもカッコよかった。この人、行き着けのパン屋に隣に住んでいて、日曜日の朝市でも時々見かける。先日は私の鼻の先でローストチキンを買っていたので、娘と後で大騒ぎしてしまった。大人気ない・・・
おっと話がそれましたが、お薦め映画です。アンヌ・フォンテーヌ監督作品。公開中。

夏の最後の日、秋の最初の日

rentree

新年度の学用品の値段とか、今年流行のキャラクターの話がニュースで流れると、子供たちは9月が近づいたことを知って胃が痛くなる。9月は新しい学年が始まり、クラスも先生も変わるので、バカンスが終わるがっかりと、新しい生活への不安が一度に押し寄せる。

8月後半には、スーパーやデパートからビーチボールや『夏休み練習帳』が姿を消し、カルターブル(フランス式ランドセル)やペンケース、あらゆる種類のノートが一堂に会す『新年度コーナー』が大々的にオープンする。

そして9月2日の初日、生徒たちは『学用品リスト』を渡され、夕方からここで必要なものを買い揃える親子の、殺気立った光景が繰り広げられる。
なぜ殺気立つかというと、このリストはA4ぎっしりでうんざりするほど長い。
さらに「コンパス?去年買ったのがあるでしょ!え?壊れた?」「だめ、キャラクターのついたのは2倍も高いんだから」と、親と子の間で言い争いが始まる。
さらにレジには長蛇の列、ジリジリと自分の番を待ちつつ、ゴム草履をつっかけ日焼けした親子は、バカンスが終わったことを実感するのだ。

rentree2

パリではなくて地方だけど、午前中にリストを渡すと、夕方までに揃えておいてくれる文房具店が現れた。
「へえ、日本人の入れ知恵?」と思いたくなる。不景気のときは、こういうプラスαのサービスが差をつけるものね。

さて、フランスの公立学校で教科書は買わない。学校が支給してくれる。その代わり、3人くらいの子供の手を渡る。
学用品買出しに続く親の仕事は、これら中古の教科書に、ビニールカバーをつけることだ。ときにはボロボロになって表紙が取れそうな教科書をセロテープで補強しつつ、ビニールを大きさに切ってカバーを作る。かなりめんどくさい。去年なんて真夜中までかかった。
「3人くらい」と言われているけど、今まで新品に当たった試しがないから、本当は10人くらいの手を渡っているのではなかろうか。

新学期前日のモノプリは嵐の前の静けさ。子供たちは最後の一日を有効に使うべく、熱心に遊んでいる。



プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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