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日本ではみんな出かけるときマスクをしている、と聞いた。
ルイ・ヴィトンがロゴマークのマスクを作ったら、すごく売れるんじゃないか、と友達が言っている。

そういえば先日、友達大勢とレストランでご飯を食べているとき、魚のグリルに「お醤油をひとたらししたら美味しそう!」「ローストチキンには、山椒があったら」という話になって、(また)ルイ・ヴィトンがロゴマークの旅行用調味料入れを作ったら売れそう!という話になった。
「そのアイディアを本社に持ち込んでひと稼ぎしよう」と盛り上がったが、そういうバカな話は翌日にはしぼむ。

さて、新型インフルエンザの話でした。
パリではマスクは皆無といっていいくらい見かけないけど、メトロの中で咳をしている人がいるとみんな白い眼で見る。

新型インフルエンザ予防のポスター:
●一日に何回も手を洗いましょう(食事の前にも手を洗わなかったフランス人にの習慣が変わったので、新型インフルエンザの出現は良かった、という声も)。
●くしゃみや咳をするときはティッシュペーパーを口に当てましょう。そのティッシュは捨て(何度も使う人が少なくない)手を洗いましょう。
●インフルエンザの症状が見られたら、主治医か15番で電話しましょう(これは殺到した)。
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こういうポスターもあるけど、実際には見ないわねぇ・・・

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11月26日からワクチンの予防接種も始まった。
フランスで新型インフルエンザにかかった人の60%が18歳以下なので、まず子供から。
健康保険からBON(引換券)が送られてきて、それを持って指定された公共施設に行く。
中学・高校は学校でやってくれる。すべてタダである。

ところが、フランス人は懐疑的。副作用を恐れてか「私はパス」という人が多い。
とくに予防接種の副作用でギラン・バレー症候群が出たという噂(息子は「8人出た」というけど、私が探した限り「出た!」という記事は見つからない)がしり込みさせている大きな理由だ。

1976年アメリカで豚インフルエンザが発見され、予防接種を受けた4300万人のうち、400人がギラン・バレー症候群になり25人が死亡した。インフルエンザで死亡した人はゼロだった。

ギラン・バレー症候群は、筋肉を動かす運動神経に障害がおき、四肢に力が入らなくなる怖い病気なので、それを聞くと私もためらう。

娘が中学から「予防接種同意書」を持ってきた。アレルギーはあるか、他に薬を飲んでいるか、妊娠していないか(!? 高校まで共通の同意書だからって!)などの質問にチェックして、同意のサインをする。
夫に「どうする?」と聞いたら「タダなんだからしてもらえ」。
わりとこういう反応をする人だ。

翌日、娘に「友達はどうするって?」と聞いたら、「する人がいない」というのでびっくりした。

厚生相のロズリーヌ・バシュロー女史は自ら予防接種を受けているところをテレビで流して「みなさん、ドンドンやりましょう」と促しているが、うーん、迷いますね。
日本ではどうなんでしょう?


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前途多難な同居生活

2匹の猫の同居生活について、体験者からのメールを何通かいただいて嬉しく読んだが、その内容は楽観を許さぬものであった。
要するに、本妻と、あとから現れた妾が一緒に暮らすようなもののようだ。

アナイス(もとからいた中年猫)が一番なついている私は、子猫のタマを公に可愛がることができない。
獣医からも、嫉妬させる行為は控えるように言われている。

アナイスが周囲にいないのを確かめて、すばやく抱っこして頬ずりする、というスリリングな毎日。
若い愛人、いやタマは仕草も表情も可愛く、好奇心も食欲も旺盛だ。
私が料理していると横にきて片っ端から味見しようとする。夕食用の大きな魚の切り身をまな板の上において一瞬目を離したすきに、自分の倍はある切り身を持って、どこかに立ち去ろうとしていた。

このベッドはアナイスのテリトリーなんだけど、かまわず寄ってきて寝そべる。
デリカシーは欠けているみたい。
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アナイスの怖い顔に気づかないのか更に近寄り、「一緒に寝てもいい?・・・」

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アナイスがキレて歯をむき出した。

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しかし、私も暇ねえ。

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とってもマレな薬屋

他のに比べてフランスには薬屋が多いそうだ。大都市では住民885人に1件の薬屋、一番近くの薬屋までの距離は平均徒歩5分。薬の消費量はヨーロッパ一だそう。

実例を挙げると、バスティーユからサン・ポール、メトロ一駅の間に薬屋は6件、パン屋5件、肉屋2件だ。

私の住んでいる通りの1番地には、15年間、真面目で知識豊かでちょっと怖いユダヤ人のおばさんが経営する薬屋があった。
60歳過ぎて薬を売るのに疲れたおばさんは、子供が跡を継ぐ様子もないので、お店を売り渡した。
買ったのは、若くてカッコいい!と喜んだのもつかの間、ゲイのお兄さんだ。
いつも「人生楽しくてたまらない」という顔をした元気な人で、スタッフもゲイのおじさん(カップルではない)、ミステリアスな魅力のレズビアンのお姉さん、というマレらしいキャスティング。

店内を大改装して、ご覧のような巨大な薬屋マークをつけ、『MA PHARMACIE』(私のファーマシー)と名づけ、スタッフはみんなロゴの入った白衣、という決めようである。

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ところで、パリの街は、歴史的建築物がある半径500m以内は規制が厳しく、お店の看板の縦・横の寸法まで決められている。
あちこちに歴史的建築物があるので、パリの街全部がこの半径500mに覆われていて、いつ来てもこの街が変わらないのはそのためである・・・なーんて、前から知っているような口を聞くけど、つい最近、パリ在住の建築家・堀内功太郎さんに教えてもらったこと。
マレのような古い地区には歴史的な建物しかないから、この半径が何重にも重なっているというわけだ。
つまりこの超でかい薬屋マークは明らかに違法。

「あれって違法じゃない?」と聞いたら、
「パリ市の何とか局の人が来て、はみ出してるって言われたけどね、ハハハ」
陽気なご主人は小さくする気がないみたいだが、パリ市なんとか局の人は「ハハハ」ではすまないであろう。

その上、ウインドウにはパソコンのスクリーンがズラリ。副業でパソコンも売るのか?と思ったら、いろんなニュースを流すんだそう。
「薬関係のもあれば、そうじゃないのもある。フフフ」と意味ありげな笑い。

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以前のおばさんのときとは雰囲気がガラリと変わり、なかなか楽しい。
ただし、近所のご老人たちは、ニューウエーブの薬屋に戸惑っているようだ。


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フランスのクリスマスは日本のお正月と同じで家族で祝うものだから、食べるものも日本のお節のように定番ぽい。
夫の実家も“生牡蠣、フォア・グラに羊の脚のロースト”、毎年、 判で押したようなメニューだ。
個人的にはフォア・グラが好きじゃないけど、最近、ペリゴールでフォア・グラが作られる様を見てきた人の話を聞いたら、“好きじゃない”どころではなくなった。

フォア・グラになることを運命づけられた若い鴨やアヒルは、全く身動きの取れない檻に入れられ、毎日2kgのとうもろこし粥をメタルのチューブで口に流し込まれる。

フォア・グラ反対のポスター。「他の動物にはない一種の悲劇がここにはある」

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人間にすると、15kgのパテに水を加えたものを毎日食べるのに相当するそうだ。考えただけで気持ち悪くなりません?
これを数週間続けると、鴨さんたちははちきれそうに太り、肝臓は普通の大きさの5倍から10倍になり、脂肪肝の状態になる。
まさに拷問、残酷物語・・・

そこで、日本の鵜飼の鵜と、フォア・グラの鴨と、どっちかになれ、と言われたらどっちを選ぶ?という話になった。
鵜飼の鵜は、鮎を見つけてパクッと食べようとすると喉に巻きつけられた紐がきゅっと締まって、鮎を吐き出さなければならない。それを屋形船に乗った人間が塩焼きにして「美味しい美味しい』と食べるわけだ。
たしかに美味しそうね。

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どっちかを選べといわれたら、鴨より鵜になりたい、という人が圧倒的だった。
鵜だって“仕事”が終われば、ちゃんとご飯をもらえるのだ。チューブで口に流し込まれ続けるのよりはよっぽどいい。

カリフォルニアではフォア・グラの生産・販売を2012年までに禁止する法案が通ったらしい。
ブリジッド・バルドーは、犬や毛皮になる動物は擁護するけど、フォア・グラ反対というのは聞いたことがない。彼女の好物だったりして。


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中年猫の欝について

若く元気な子猫がやってきてから、背中の毛が抜け出し円形脱毛症になったアナイス
獣医に連れていく暇も勇気もなく、気休めにアロエ軟膏を塗ってやっていたが、円形は大きくなるばかり。
皮膚病かもしれないし、伝染するかもしれない。とうとう獣医に予約を取って連れていくことにした。
一日延ばしにしていたのは、アナイスを籠に入れるのがひと騒動だから。
今朝も夫・息子・私の3人がかりで-ひとりは軍手までして-挑んだが、猫の抵抗は激しく、息子は負傷し、
「無理だ!」「睡眠薬、飲ませるしかない」と諦めた。

ふと見ると、子猫のほうが籠に入って遊んでいる。
「せっかく予約取ったんだから、タマを予防接種に連れていこう!」
この画期的な考えはもちろん私。

予防接種のあと、獣医さんにアナイスの脱毛症の話をした。
「そのアナイスは、子猫に飛びかかったりしないんですか?」
「全然、子猫のほうは遊んでほしくて追いかけるけど、アナイスは逃げ回ってます」

なんでつきまとうのよ!
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「なるほど。相手に向かう攻撃性が自分の中に向かっているんですね。円形脱毛症は精神的なもの、子猫によるストレスと嫉妬からですね」
精神安定剤をもらって帰る。一日半錠、8週間!

それから食べ物。猫は一日10回~15回食べる動物なんだそう(朝と晩の2回、なんて言ったのは誰だ?)
アナイスはお腹が空けば台所に現れ、そこにはいつもキャッツフードが置かれ、なければ通りがかりの人にニャオと言えばもらえていた。一回の量はほんの少し。
ところが子猫が人の残したものまで全部平らげるので、デブになったら困ると、最近は食べ物を置かないようにしていた。
今まで10回食べていたのが、突然回数が減って、それも欝の原因になったらしい。人間だってなるかも。
「子猫がデブっても仕方ない。今まで通り、食べ物をおきっぱなしにしてください」

毛足が長いので隠れているけど、しっかりハゲている。
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つまり猫は一日の3分の2は寝ていて、一日10回ご飯を食べていい生き物なのだ。
それで欝になるなんて!


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ティエリ・アンリの“神の手”

今週、フランスで一番騒がれたニュースではない?サッカーはまるでオンチの私までが興味を持ったくらい。
18日の2010年ワールドカップの選出を決める予選(W杯欧州予選プレーオフ・セカンドレグ、と正式には言うらしい)のフランスvsアイルランド戦、アイルランドが1点入れて、フランスが焦っていたとき、ティエリ・アンリがついにシュートを決め、その直前に手でボールを触っちゃったのだ。
審判はこれを見逃し、フランスはW杯出場資格を得る。

触った瞬間
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もちろんアイルランドは黙ってはいない。反則勝ちだとして再試合を要求してきたが、FIFAはそれを却下。

コーチのレイモン・ドメネクは「試合では審判の判断が絶対だ。審判も人間だから間違うことはある。今回はフランスに有利に間違えたけど、逆の例も何度もあった」

スポーツ相のラマ・ヤド(政界の美しき反逆児)は審判の判断を支持。

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サルコジ大統領まで意見を求められた。
「私はスーパー大統領と言われるけど(ホント?)そこまでは関与できない。審判の判断に任せる」

ところが!世論は違っていた。
「ティエリ・アンリはその場で『あ、触っちゃった!』と審判に言うべきだった。そうしていたら公正なプレーヤーとして株を上げていた」
「クレームのついた選出で、ヨハネスバーグには行きたくない」
など、清い意見が多く、ティエリ・アンリはプレッシャーに苦しみ「一番フェアな解決策は再試合だろう」と言い出した。

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「ティエリ・アンリの“神の手”」という表現は、1986年、マラドナがW杯の準々決勝で、手で触ってゴールを決めたとき、「神の手」という言葉が生まれたそうだ。

そのマラドナはアンリに「君の今の辛さはよくわかる。がんばれ」というメッセージを送っている。
さて21日に、アイルランドFIFAは再試合要求を下ろし、一応丸く収まった。

サッカーは美しい。引退前のジダンが、薄くなった後頭部を見せながらボールを追いかける姿には見とれた。

でもスポーツは-特に球技は-苦手。
息子とサッカーゲームをしたとき、意外にもゴールを決めて、
「やった!私も捨てたもんじゃない!」と飛び上がったら、
「それ、敵のゴールだよ」
それ以来、遊んでもらえない。

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リヨンで現金護送車が1100万ユーロ(約15億円)とともに行方不明になり、運転していた警備員、トニ・ミュスランが指名手配になったことを、興奮ぎみに書いたのは11月7日のこと。

これだけの大金を、誰にも危害を加えず、単独犯(共犯者が浮かんでこない)でくすねた人は前例がないそう。彼は「世紀の銀行強盗」と名づけられ、ネット上で人気が上昇し、ファンクラブまでできてしまった。

ところが、数日後パーキングに乗り捨てられたレンタカーから900万ユーロが発見され、車を借りたのがトニ・ミュスランであることがわかった。
不可解な行動。よく計算したら、これから生きていくのに1100万ユーロもいらないことがわかったので、必要なだけとって返したとか?

返したお金、これで12億円・・・
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お金の大半は戻ったけど、トニ・ミュスラン本人は見つからない。
彼はユーゴスラヴィア出身なので、警察はそっちのほうを集中して探していた。
いくら出身地でも、まっずぐおウチに帰るだろか・・・と思っていたら、突然、モナコで自首してきたのだ。こうなると、応援していたファンクラブも訳がわからなくなり、ブーイングに転じる。

別れた元妻が
「自首したんだから、それだけでもエライじゃないですか」とコメント。
トニ・ミュスランを雇っていた警備会社は、
「背後にマフィア組織がいるかと思ったら、単独犯らしいので、ほっとしました」

自首したのはいいけど、何を聞いても黙秘で、残りの200万ユーロがどこにあるのかまだわかっていない。
やっぱりマフィアが操ってて、口を割ると殺す、と脅されているんじゃない?

夏からハマって立て続けに読んでいるジョン・グリシャムの推理小説には、横領したお金を持って逃げ回るストーリーがよくあるけど、逃走を続けるのはかなりシンドイ仕事のようだ。
たった11日間で根を上げて、やつれた顔で自首してきたというトニさん。ファンたちがっかりするのもわかるような気がする。


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“神の館”に入院する

Hotel Dieu、オテル・デュー。
訳せば神の館。神は人を救い癒すので、転じて病院。
なるほど。美しい名称ではないか。
シテ島にあるこのオテル・デュー病院に友達が入院しているのでお見舞いに行った。

中世の僧院を思わせる古い建物は、651年に当時のパリ司教によって建てられたパリで一番古い病院。
ルネッサンス期までパリ唯一の病院だったそう。
ノートルダム寺院のはす向かいという観光地のど真ん中にありながら、中はひっそりとして人も少なく、ますます中世を舞台にした映画のようだ。

中央に大きな中庭があり、左右に回廊がある。中庭の奥に、突然ウルトラマンのような銅像が立っている。
何アレ?古い色合いの風景をシュールにしている。

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人っ子ひとりいない回廊。長いスカートのシスターなんかが似合いそうだ。

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花壇もある。
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呼吸器系の手術をした友達は、「モルヒネのせいでずっと吐き気してマイッタ」という。
痛み止めにモルヒネの点滴、は日本でもするだろうが、ここでは患者さんが点滴のスイッチを持たされている。スイッチを押すとモルヒネが注入される仕組みだ。
「つまり打ち放題ってこと?」
「まぁね」
「痛みと吐き気とどっちが我慢できないの?」
「うーん、難しいところだね。一日何も喉を通らないってのも辛い」
「じゃ、スイッチ押すの減らしたら?」
サガンは、自動車事故にあって入院したとき薬中になったというじゃない。

「でも食欲があっても食事は不味いよ」と隣のベッドのオジサン。
このだだっ広い病院には調理場がなく、食事は14区にあるHopital Cochin、コッシャン病院から運ばれてくるそう。
「昨日なんて、インゲンとジャガイモだけで肉がなかった」
つまり付け合せだけが運ばれてきたってこと。コッシャンの患者さんが主菜を全部食べちゃったんだろうか。フランス人ならやりかねない。

友達がミネラルウォーター買ってきて、というので地下の売店に行ったらもう閉まっていた。
外に出ると、お土産物屋しかない観光地。クレープを売っているカフェを見つけて小さなミネラルウォーターを1本買うと「ハイ、2ユーロ60」
「はっ?」耳を疑った。
スーパーでは6本パックで2ユーロ20くらいだ。アナタ、6倍以上で売ってるわけ?

パリで一番高い水を持って病室に帰りながら、健康が一番大事、と思った。
早く良くなってまた一緒にご飯を食べようよ。

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子猫の出現と円形脱毛症

娘が子猫が生まれたうちを探して周り、アビシニアンとのハーフを連れてきたことは2週間前に書いた(猫に興味のない方はすっ飛ばしてください。)

可愛い雄猫で、私たちはすぐに魅せられたが、問題は、6年間ひとりっ子としてやりたい放題やっていた雌猫、アナイスとの関係である。

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最初アナイスは、同じ動物だとは理解していない様子、と言っても、手玉に取って遊んだことのあるネズミとも違うので、非常に警戒していた。
身体は4倍くらいある彼女のほうが逃げ出す始末。

一方タマ(と名づけられた)は一緒に遊びたくて追いかけ、アナイスがすやすやと眠っているのを邪魔したり、残したご飯を食べちゃったりと気に障る言動が多い。

なんでわざわざここに来て寝るわけ?
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子猫というのは文句なく圧倒的に可愛い。アナイスの公式飼い主である息子までが、帰ってくると「おータマタマ」と抱き上げて可愛がる。

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「アンタの猫じゃない。嫉妬したら可愛そうでしょ」
「だってタマのほうで僕が好きなんだもん。僕のせいじゃない」と相変わらずの屁理屈。

共同生活を始めて10日ほど経ったとき、普段は猫に興味がない夫が、
「アナイスの背中見たか?」
一部、毛が抜けて地肌が見えているのは私も気づいていたけど、ただの皮膚病かと思っていた。
「もしかしてタマと関係ある?」
「その可能性大だ」と夫。
さすが、フロイトの国に生まれた人は慧眼というか考えすぎというか。
「でもアナイスを精神分析に連れていくわけにはいかないじゃん」
「そりゃそうだが・・・」

そこで夫は息子を呼びつけ、
「タマとあんまりイチャイチャするんじゃない!6年来の彼女をふって若い男に走るようなもんだ」と、ワケのわからないお説教をしている。

気のせいか次第に大きくなる円形脱毛症を見るたび、アナイスが気の毒になる。わがままに穏やかに流れていた中年猫の日常が、突然かき乱された・・・
期待した年の差カップル形成は今のところ難しそうだ。


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恋ではなくて欲望

パレ・ロワイヤルのギャラリーにある有名な靴屋さんで2足のパンプスを買ったマルグリット。
いそいそとブティックを出てくるなり、ローラーブレードで疾走してきた男の子にバッグをひったくられる。
盗んだ男の子は現金だけ引き抜いてお財布を駐車場に捨てる。

駐車場で車に乗ろうとしたジョルジュは、赤いお財布が落ちているのを見つける。中には身分証明書、飛行機のパイロット免許書もある。
そこに貼ってあるマルグリットの写真をしばし見つめるジョルジュ。
電話して「お財布を拾いました」といえばいいことなのに、彼はそれができない。心がざわめくのだ。

アラン・レネの最新作『Les Herbes Folles』(気狂い草)はこんな風に始まる。

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レネがカンヌで今までの作品全体に与えられる特別賞を取り、アンドレ・デュソリエとサビーヌ・アザマの人気カップルが演じているので、前評判の高かった作品。
マチュー・アマルリックやエマニュエル・デュヴォスなど脇役も素敵なので、期待して観にいった。

映画界で有名なおしどり夫婦。デュソリエとアゼマ。
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とぼけてるんだか、イッテるんだかわからない警官。マチュー・アマルリックの得意な役どころ。
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マルグリットがお財布を拾ってもらったお礼の電話をかけてくると、
「それだけですか?・・・会いませんか?」とジョルジュ。「別にその必要はないと思いますけど・・・」と言われてストーカーになっちゃうとこなど、思春期の男の子のような言動はなかなか興味深い。
相手に関心を持つのは恋の始まりに似ている、と思うけど、これは欲望を描いた物語なんだそう。

オヴニーの批評に、常軌を逸したことがしたい欲望に火をつけた相手(マルグリット)に欲望を感じる、というようなことが書いてあり「ヒエー、すごい洞察」と感心したものの、観客はそこまで深く読むかな。
テンポがのろくて、自己自賛の感じが鼻につく。

バスティーユの映画館は補助椅子まで出る満員で、アラン・レネファンの50代、60代の人も沢山いたけど、みんな感情移入できなくて、シラーという雰囲気が漂った。

観た方がいたら、ご意見を聞きたいものです。


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プラザ・アテネの2時間

マルセイユに画廊を持つ知人に、京都の画廊の女性オーナーを引き合わせることになって、場所は彼女が泊まっているホテルのロビーになった。
「ではプラザ・アテネで夕方の6時に」
「!?」

プラザ・アテネは、パリに5つあるパラスと呼ばれる超高級ホテルのひとつ。普通のツインで750ユーロから。スイートは1200ユーロから20000ユーロだ。

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ロビー。トイレを見るのを忘れた。

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日仏の画廊オーナーのやり取りも面白かったけど、プラザ・アテネに出入りするお客を眺めるのは更に面白かった。
アメリカ人、アラブ人が多い。
毎週、スパやエステに通い、過酷なダイエットをしている、という雰囲気のほっそりした人が多い。
ミッシェル・オバマによく似た黒人のマダムは常連らしく、フロントのスタッフたちが親しげに声をかけている。
ジーンズにダウンというラフなスタイルもあれば(でもダウンの襟にミンクがついてたりする)、毛皮のコートも通る。
Dior やGUCCIの買い物袋を両手に計6個下げた男性が帰ってくる。
バッグは圧倒的にエルメスのケリーが多く、黒、キャメル、グレイ、エルメス独特のきれいなブルー・・・2時間の間にこれだけエルメスを見たのは初めてだ。
7時を過ぎると、オペラか夜会にお出かけのロングドレスに毛皮のコートのマダムも通り過ぎる。

初老の紳士が女性と手を組んでホテルに入ってきた。女性の顔は見えないが、小柄で痩せていて、黒いミニのコート、ガーターベルトがモチーフになったストッキングをはいている。
20代の愛人ね・・・と思って見ていたら、ミニの女性が振り向いた。私はギャッと叫びそうになった。
しっかりメイクされているが65歳は過ぎている顔だった。
すごく若いスタイルとこの顔の組み合わせは、もう怪談の世界。

2時間の間にこのテの怪談カップルが2組通り過ぎた。
年相応って大事なことなのね。相手の男性はどう思っているんだろう?

ミーティングが終わってマルセイユの知人と一緒にモンテーニュ通りを歩いた。
「彼女はあそこに泊まっているんだろうか?」
「IBIS(シティホテルのチェーン)に泊まって、プラザ・アテネで待ち合わせするってこと?そういうことする人には見えないけど」
「私がパリに仕事でくると、クライアントに印象づけるためにホテル・リュテシアで打ち合わせするんだ。スタッフに友達がいて鍵を貸してくれるんで、それをテーブルの上に置いておく・・・」
「ひえー芸が細かいのね!」

モンテーニュ通りは一番贅沢なブランドがぎっしり詰まった場所。法外な付加価値のついた値段に腹が立つものの、美しいウィンドウは夢を見させてくれる。
通りが終わってメトロにつくと、私たちは魔法が切れたシンデレラの気分になった。
彼は娘さんに会いに15区へ、私はお腹を空かせた家族と2匹の猫が待つバスティーユへとメトロに乗った。


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リヨンで消えた現金輸送車

木曜日の朝、リヨンのBanque de France(フランス国立銀行)を出た現金輸送車が行方不明になった。
45個の袋に分けられた1100万ユーロ(約15億円)も一緒に。
運転していた現金輸送会社LOOMIS警備員は、携帯もGPSも切って、数時間後に空っぽの現金輸送車がリヨンの郊外で見つかった。

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この警備員が怪しい、と誰もが思う。39歳、独身。

家宅捜査してみたら、アパートは住人が引越したあとのような状態。冷蔵庫は空っぽ(几帳面な人なのね)、手紙や請求書も、寝具もなくなっていた。
彼の銀行口座は10月末に預金が全部引き出されていた。つまり計画的犯行・・・ますます怪しい。

現金輸送会社LOOMISは、批難される前にフランス国立銀行の現金輸送の仕方を批難する、という自己防衛にでた:
普通、現金輸送車っで運ぶ金額は最高700万ユーロで、1100万ユーロは2回に分けて運ぶべき金額。
また輸送車の金庫を開けるには2人必要なので、(銀行内部に?)共犯者がいたに違いない。乗り捨てられた車の金庫は、こじ開けられたりせず、暗証番号を押して正しく開けられていた。

同僚たちは、容疑者のことを、無口で静かな人、でも
「ここ数ヶ月、様子がおかしかった」
「安月給だとぐちっていた」(現金輸送者の月給は約1200ユーロ、20年の経験者で約1500ユーロ)
「雇い主や銀行を恨んでいた」
「危険が伴う仕事なのにこの月給は許せない、このツケを払わせる、といっていた」
と、疑いが濃くなるような証言。

ほんと、おとなしそうな風貌。45個の袋を持った、この人に似た人を見かけたらすぐ通報!

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自分の私生活のことは殆ど話さなかったけど、車、とくにスポーツカーが趣味だったそう(動機はそれか?)

彼は今年の5月に車の盗難届けを出していたことが判明。フェラーリ403F1。2002年にもアウディA8の盗難届けをだしている(安月給なのに高級車!)。
捜査が始まって24時間以上経つのに、45個の現金袋とともに見つからない。容疑者は前ユーゴスラヴィア出身なので、東欧に逃げた(意外と南かもよ)と予測して、そっち方面に警戒が敷かれている。

よく映画の話をするので、また・・・と思われるかも。でもこれは本当のお話です、念のため。


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この男がモテる理由

娘の友達アリスの父親、ジェロームは音楽プロデューサー。
すごく可愛い奥さん(アリスの母)と別れてから、20歳くらい年下の、正統派美人のポーランド女性と一緒になった。彼女はバイオリニストなので、
「音楽を通じて知り合ったわけね」と娘にいうと、
「違うよ、アリスのベビーシッターだったの」
「ベビーシッター?!」
娘は“わかんない人ね、ヤレヤレ”という顔で、
「つまり、ジェロームが夜遅く帰ってきて、2人でおしゃべりとかするうちに、デキちゃったというわけよ」と説明してくれた。はーん、そういうわけなのね。

そのバイオリニストの正統派ポーランド美人とセーヌ川の船上で結婚式を挙げ、子供をひとり作ってから、別れた。
別れたと思ったら、また20歳年下の別の女性と一緒にいる、と娘が教えてくれた。
またしても「とっても可愛い」そうだ。
彼はハンサムでもないし中年太りで、お洒落でもない。一年中、カーキ色のブルゾンと形のないジーンズだ。なのに・・・
「なんで、そんなに次から次へ?」
「僕に聞かれてもわからない」と夫。

週末、娘がアリスのうちに泊まりにいった。駅まで送っていった私は、
「道、わかるよね?急いでいるから、ここで帰るね」とジェロームのうちまで行かずに帰った。
ちょっと気になって、メトロからジェロームに電話すると、「待ってたのに残念・・・」と言われた。

寄ればよかった・・・と少し後悔してから、「これなんだ!」と閃いた。
ちょっとした一言が、女心をホロリとさせる男性。気がついたら横に寝てた、というタイプなんだ。
そういえば、友達にもうひとり、4人の女性と4人の子供を作り、まだ遍歴の旅を続けているのがいたっけ。
魅力的?でも危険?


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11月1日は諸聖人の祝日(Toussaint)、2日は死者の祝日。
毎年、この時期は陰鬱な天気で、自動車事故が一年中で一番多い週末でもある・・・深く考えると怖くなる話だけど、とにかく今年もまた雨降り。こんな日は映画を観に行くしかない。

『メアリーとマックス』はアダム・エリオットの人形アニメ。大人のアニメ、というと勘違いされそうだけど、深いテーマの物語。1ヶ月前に封切りになってから宮崎駿なみの評判だ。

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オーストラリアの田舎町に住むメアリーは8歳。
「目は泥んこ色、顔のシミはウンコ色」と友達にバカにされている。

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お父さんは、工場で一日中ティーバッグを作り、お母さんは一日中タバコを吸い、アル中だ。

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マックスはニューヨークの喧騒の中に住む44歳のユダヤ人。超肥満で、アスペルガー症候群で、落ち込むとチョコレート・ホットドッグをやけ食いする。
アスペルガー症候群とは、『興味・関心やコミュニケションにおいて特異であるものの、知的障害が見られない発達障害』。マックスは、知的には人並みなのに、人間関係が極度に苦手で、人と同じ興味が持てない、したがって友達がいない。

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ひょんなことからこの2人の間で文通が始まる。
一見何の接点もないメアリーとマックスには“孤独”という大きな共通点があったのだ。
そしてチョコレートが大好き・・・

いつかアール・グレイという名の男性と結婚するのを夢見ながら、メアリーは成長していく。友達のいない隙間を、タイプ打ちのマックスの手紙が埋めてくれる。

メアリーの手紙で、ユダヤ人だからといじめられた子供時代や、女性との苦い体験が蘇り、それに苦しみながらも、手紙に支えられるマックス。

20年に渡って手紙が育てた友情を、モノクロのような暗い背景とユーモラスな人形たちが綴る。

ラジオの映画評で、簡単には感動しそうにない評論家が2人「泣いた」というのを聞いて、「ほぉ・・・」と思っていたら、果たしてポロポロ涙が出た。

人間は人の間と書くように、ひとりでは生きていけない生き物。心の繋がりの大切さ、忘れていた手紙という伝達手段の大切さも教えてくれる、観終わったあと、またすぐ観たくなる作品だ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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