Archive
2人が初めて会ったのはクリスチャン・ディオールのお葬式だ。
それは運命的出会い。2人とも“生涯の伴侶”を見つけ、それはイヴの死まで、半世紀の間続くのだ。
「尊敬していた大デザイナーが私たちを出会わせてくれた」、とピエール・ベルジェ。
イヴは、女性のワードローブを変え、彼女たちに力を与える。
実業家のピエールは、Yves Saint Laurentを世界的ブランドにのし上げる。

amourfouaffiche430.jpg

映画は、ピエール・ベルジェの回想と写真、代表的な作品で綴られる。
目を見張るのは、彼らの住む世界(パリ、バビロン通りのアパルトマン、ノルマンディのシャトー・ガブリエル、マラケシュの邸宅)の豪華さと美しさ。お金がかかっているというだけではなく、美術品の配置の仕方はもちろん、本の積み重ね方にまで真似のできないセンスが感じられる(しかし、デザイナーで世界的に成功すると、ここまで儲かるのね!日本にはサンローランのトイレカバーまでなかったっけ?)

そして一番心を打つのは、全編に流れる哀しさだ。
いかなる喝采も、これほどの富も埋められなかった深い孤独、這い上がれなかった欝。
「欝に苦しまないのは一年のうち2日だけだった」とピエール・ベルジェ。春と秋の2回、コレクションが喝采を浴びたその日だけ。翌日にはもう次のコレクションのプレッシャーで顔が曇っていたそうだ。
「彼は欝を持って生まれた」とベルジェは言うけど、そうだろうか。
20歳でデビューした当時は内気そうな青年で、はにかんだ笑顔が可愛く、時には陽気な表情も見せる。

amourfou2_400.jpg

それからイヴの顔は変貌する。忽ちの成功に、表情には自信と、世間に対する鎧のような膜が現れる。
彼のコレクションは成功を重ね、期待を裏切れない、というプレッシャーから逃れるため、アルコール、ドラッグに溺れる。一人で歩けない状態で友達に送り届けられる日が続いて、ピエール・ベルジェの忍耐も切れる。
「スーツケースを持って、プラザ・アテネに引っ越した」というセリフに観客は思わず吹き出した。
プラザ・アテネは一番安い部屋だって700ユーロ、そこに1ヶ月泊まっていたというから、“家出”も桁が違う。

そして深い鬱の時代。抗欝剤と安定剤を大量に飲んでいて、仮面のような表情におぼつかない足取り。
デフィレのバックステージで、スタッフを仕切り、最後にイヴの背中を押して、拍手の続くランウエイに送り出すのもピエールの仕事だった。
98年、スタッド・ド・フランスを満員にした回顧デフィレは鳥肌の立つ美しさ。2002年、引退声明の記者会見・・・映画は、2008年、グランパレでのオークションまで見せる。

これはピエール・ベルジェのバージョンだ、という批評もあるけど、2人の劇的な半世紀を垣間見れて、私は画面に釘付けだった。第一、イヴのバージョンは永久に知りようがないのだ。
でも彼の“メッセージ”は確実に残っている。私が一番大切にしているスカートは90年代初めのサンローラン・リヴゴーシュ。何年経っても古びず、動いたとき美しいフォルムは他のブランドに敵わない。

『Yves Saint Laurent-Pierre Bergé, l’amour fou』
パリでは、UGC Ciné Cité les Halles(フォロム・レ・アール内)、 Gaumont Opéraなどで公開中。


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください


スポンサーサイト
といっても、パリを“脅かしている”のが中国人テロリストの疑いがあるというのでは全然ない。
中国漁船衝突事件はフランスのニュースでも伝えられた。領土権の問題かと思ったら、そうではないようだ。
読売新聞の社説によると(正確にはそれを引用しているWikipediaによると)「(中国が)尖閣問題で「政府は弱腰」との印象を与えれば、国内経済格差などへの不平や不満に“引火”し、中国国民の矛先が共産党指導部に向けられかねない」
日本を悪者にして反日感情を高めることで、自分(政府)たちに向けられる批難の矛先をかわしているというわけだ。
ってことは日本の領海にわざと漁船をウロウロさせていた・・・それって当たり屋じゃない。石原慎太郎知事のいうように「やくざがやってることと同じ」だ。

・・・ということを、昨日お昼を一緒にした日本人に教えてもらった。なるほど。
ニュースもYAHOOなどで簡単に報じられているのを読んで満足してしまうけど、彼のように色々探して読むと全貌が見えてくるわけだ。

一方フランスでは。
2週間くらい前から、突然、“パリでテロの危険が高まっている”と報じられて、空港や主要駅に警備の人数が倍増されている。先週14日は、「予告の電話があったため」エッフェル塔にいた見物客全員が退去させられた。オルトフ内務相は、
「テロの恐れは現実で、警戒を強化した」とひどく漠然とした声明を発表した。

evacuation.jpeg
photo:Francesoir

このテロ騒ぎ、実は、ロマ人送還問題、政治家と富豪の癒着(ベタンクール・ヴァルト事件)、年金改革問題などで、支持率を落としまくっているサルコジ政権が、批判の矛先を他へ向けようという魂胆。
でっち上げでエッフェル塔の見物客を退去したとは思わないけど、かなりオーバーに騒いで、「スーパー大統領サルコジが国民の安全を守ります!」とアッピールして、失点の数々を霞ませようというわけだ。
でもその魂胆は、ニュース解説者が何か言う前から見抜かれていて、ニュースサイトのフォーラムでは、
「エッフェル塔に爆弾?サルコジさんも想像力ないね。次はゴジラでも出したら?」などとからかわれる始末。

東でも西でも政治家は同じようなことをやっている。
TF1のニュースで“真実しか報道しません”みたいな顔をしたキャスターに言われると、つい信じたくなってしまうけど、額面通りには取れないってことですね。


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
きっかけは田舎の結婚式だ。
夫の故郷がシャンパーニュ地方にあって、親戚の結婚やxx歳の誕生日のパーティで呼ばれることがある。肝臓の耐久力(シャンパンが自前なので水のように飲む!)と体力が必要とされる一日がかりのパーティ。
食事が一段落してダンスタイムになると、100kgくらいあるオジサンが軽々とステップを踏み女性をリード、くるくる回したりする。さっきまでただの田舎のオジサンやオバサンだった人たちまで、やけにカッコよく見える。
それもそのはず。映画館もクラブもない田舎では、村のダンスパーティが大切な娯楽。夏祭りだ、収穫のお祝いだ、と口実を見つけては踊っているので上手になるというもの。
私も誘われて踊ろうとするけど、振り回されるばっかりで、次からはお誘いもかからなくなる。フラストレーション。
「ダンスを習って次回はちゃんと踊ってやるぞ」と何度思ったことか。

もうひとつのきっかけはリハビリ。骨折のあと3ヶ月殆ど歩かなかったので脚の筋肉が著しく落ちた。
「プールに行きなさい」とリハビリの先生に言われるも、屋内プールというものが私は好きじゃない。泳ぐのはやっぱり熱い太陽の下じゃないと・・・
楽しみで行くんじゃないとわかっていても、好きじゃないことは続かないものね。

そこでダンス!
メトロで1駅の場所にダンス教室を見つけて「タダのお試しレッスン」に行ってみた。
サルサ、タンゴ、オリエンタルダンス・・・などあるけど、ロックから始めたほうが良さそうだ。
ロックと言っても、クラブで好きに踊っているようなのではなく、男女カップルになって、ちゃんとステップがある。

例えば『Dirty Dancing』のダンス。目標は高く持ったほうがいいけど、これはあまりに高すぎる・・・
dirty-dancing.jpeg

最初は簡単で地味なステップだけど、かなりの運動量。男性はすぐ汗ビッショリになって、シャツが肌に貼り付いている人もいる。2人組んで踊るので腕に手をかけると、こっちの手が濡れそうなくらい。それはちょっと気持ち悪いけど、後で手を洗えばいいことだし、続けることにした。
クラスは20名くらいで女性のほうがやや多い。そして女性のほうが上手い。年代は20代から50代までバラバラ。
ずっとダンスをやっている友達が、
「日頃会わないような人と出会えるからいい」と言っていたけど、「悪くない」と思う男性はカップルで来ていたりするんで、あまり期待できそうにない。
ま、不純な動機は持たないことにして・・・


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
校長先生の現実味のないアドバイスが終わると、各クラスに分かれて、各教科の先生が今年度のプログラムを説明する時間になる。
1クラスは約25人で1学年5クラス。親の数が多いのは、離婚したり別れたカップルが多いからだ。
一緒に住んでいれば、父親か母親のどちらかが出席して、あとで“業務連絡”をすればいいけど、子供が父と母の家を行ったり来たりしている場合は2人とも来るケースが多い。ちゃんと伝達してくれないのでは、という危惧があるし、ライバル意識もある。
各クラスに分かれて、といってもこの中学校に「何年何組の教室」というのはない。課目ごとに教室が決まっていて、数学の教室から歴史の教室へと、生徒たちは重いリュック(5kg!)を担いで移動する。
小学校から中学の大きな変化は、この“定住場所”がない、という点。最初は「次はどこへ行けばいいの?!」とウロウロしたそうだ。
担任の先生は存在する。去年は若い体育の先生(男)、今年は中年女性の数学の先生が担任だ。
「私が3年1組の担任、マダム・○×です。ただでさえ紹介する先生が多いのに、校長先生の話が長引いたので、先生たち、ひとり持ち時間は最長8分です。簡潔にお願いします!」
を合図に10人以上の先生が次々現れてしゃべる。

平均年齢は45歳くらい。女性のほうが多いのは、教員の給料が安いからと言われる。でも休みは長い。
8分と言われたのに長々しゃべる先生もいれば、潔く短い先生もいて、性格が窺えるというもの。
歴史・地理の先生はクマのぬいぐるみみたいな風貌だけど、話はピシッと簡潔だ。
ドイツ語の先生は、大柄で太った女性。袋に穴を開けたようなワンピースを着て、穴から巨大なブラジャーが丸見えであった。
「ドイツの中学と交換留学はないんですか?」とあるお母さん。
「私は就任したばっかりで学校に慣れなきゃいけないし、ほかの学年も持っているんで今年は無理です。来年はやるつもり。でもお子さんたちは高校ですよね」 それから思い出したように、
「落第しなかったら、ですけど」とニタリと笑う。
次に現れたスペイン語の先生は、対照的に若くて小柄で可愛いく、黒のキャミソールにスカート。お父さんたちの熱い視線が集まった。
外国語は、英語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語から第一、第二外国語をそれぞれ選べる。残念ながら日本語が選べる学校は、私たちが住む4区にはない。

月から金まで一週間の授業時間は30,5時間。月曜が一番ハードで8時から17時まで。水曜日が半ドンでちょっと一息つく。

日本と違うのは「理科」が「物理・化学」と「科学」に分かれていること。「テクノロジー」という課目があること-去年は風力発電や携帯電話の仕組みなんかやっていた。中学から外国語を2つやること・・・さらにラテン語をとっている子もいる。
うちの子供たちも始めたが2人とも途中で投げ出した。
「語学は覚えるんのがすごくめんどくさいけど、それを使えるようになると面白い。ラテン語は死語だから、苦労だけで使う楽しみがない」と、屁理屈が大得意の兄貴が言えば、
「それに私たち日本語までやってるもの」と妹。親は折れたのだ。

説明会が終わったのは8時すぎだった。知り合いの母さんと夜道を一緒に帰る。子供たちが通っていた小学校の前を通った。ついこの前までここに迎えに来た気がするのにね・・・


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。

気がつけば高校進学

中学(コレージュ)では新学年のはじめには盛大な父兄会がある。
校長先生のジェネラルな話が30分あり、その後各クラスに分かれ、各教科の先生が次々と現れて、今年度何を勉強するかを説明する。延々と2時間半。
「毎年同じような話なんで行かない」という親も少なくないが、「必ず行ってよ。遅れないでよ」と娘が言うので、私は行くことにしている。
今年はやけに出席率がいい。それもそのはず、中学の最終学年で、来年の6月にはBrevetと呼ばれる試験がある。この試験を突破するとコレージュ修了証書がもらえ、同時に高校への進学が許可される。
成功率80%以上だから、ここまでは全然狭き門ではない。問題は、最終学年1年間のテストの平均点で、どの高校に行けるか、が決まる点だ。

カンヌでパルム・ドールをとった『パリ20区、僕たちのクラス』の中学のように、勉強の遅れや不登校が目立つ中高がパリに増えていて、いきおいバカロレア成功率の高い学校に人気が集中するのだ。
「あれ?パリの学校って区によって決まってたんじゃなかった?」という方、その通りなんですけど、最近は越境が珍しくなくなった。
学校側も「勉強のできない近所の子よりも優秀な他区の子のほうが欲しい」と-口に出しては言わないものの-いうのが本音。そのため、ZEPと呼ばれる問題地域の学校と、いわゆる“受験校”の距離が開くばかりだ。

娘の行っている中学は高校もあり、一昔前は地元の子供ばかりで、大多数がそのまま高校に進めたんだろうけど、志願者が増え続け、足切りをするようになった。
長男のときは、平均点で20点満点14,5とっていれば同じ高校に行ける、と言われた。(そういえばフランスは試験も成績も20点満点だ)ギリギリが大得意の彼は、14,6かなんかで滑り込んだが、30%くらいは他の高校に行かされた。

それは6年前のこと。去年はコレージュ最終学年125人中、21人しか同じ高校に入れなかったと聞いて、集まった親たちはどよめいた。平均点15,5の子供が入れなかった、というのはすごい敷居の高さだ。

見かけによらず狭き門・・・
lyceeCharlemagne2.jpg

「・・・それだけに規則正しく毎日勉強することが肝心です」と校長先生の話は続く。
「授業は遅くとも5時に終わります。うちに帰って30分おやつと休憩、その後2時間復習、7時半に入浴、食事で9時半就寝・・・」
これには親たちの半分くらいが笑った。私も吹き出した。
もうちょっとリアリティのあるアドバイスをすればいいのに、これは現実とかけ離れすぎていて笑っちゃう。
朝8時から夕方5時まで授業があり、うちに帰って2時間勉強したら、かえって心配だ。
「大丈夫?少し遊ばないと身体にも頭にもよくないよ」と言いたくなる。
校長先生は「笑い」の意味がわからなかったように、
「子供の部屋にはテレビもパソコンもなし・・・」と語り続けるのであった。


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。

私はあなたの癌です

男は作家で、アル中。プールつきのシャトーのような館に、お手伝いさんと若い愛人と住んでいる優雅なアル中だ。一日中白ワインのボトルをつけた氷入りピッチャーを抱え、トイレにまで抱えていくほど。

ある日、館のテラスで一人飲んでいると表門のブザーが鳴る。お手伝いさんが防犯カメラで見ると、誰もいない。
しばらくしてまたブザーが鳴る。男がインターフォンで尋ねると、
「私はあなたの癌です。少しお互いのことを知っておいたほうがいいと思って伺いました」
男は拒絶するが、癌の執拗さに負けて扉を開ける。癌はちょっとくたびれた背広を着た40代の男。でもお手伝いさんにはその姿は見えない。主人が一人で怒ったり、取っ組み合いをしているように見える。密かに主人に思いを寄せる彼女は、とうとう脳をやられたか、と心配するのだ。

主人公の男はジャン・デュジャルダン。3枚目の役が多いけどシリアスも上手い。背後に佇む癌はアルベール・デュポンテル。

bruit1.jpg

男は癌を殺そうとするも上手くいかず、結局同居することになる。
癌は、男と白ワインを酌み交わしたり、プールで一人泳ぐ愛人に見とれたりの城の生活が快適でご機嫌だ。
一方男にとっては、酒を飲むときも、食事をするときも、愛人とセックスするときも、癌が隣にいるのが鬱陶しくてたまらない。

寝るのも一緒・・・
bruit2.jpg

美しいロシア人の愛人を演じるのは『LOL』のクリスタ・テレ。
あの映画ではまだ子供っぽさが残っていたけど、すっかりナイスバディの女。

bruit3.jpg

男は“作家”といえども、妻が一人息子を連れて出て行ってから1行も書けず、酒量が増えている(朝起きるとまず白ワインを1本、10時にもう1本開け(そして空け)、お昼になるとアペリティフに白、食事をしながら赤、食後は昼寝をして、5時に目覚めると“少々早いがアペリティフの時間!”・・・書いているだけで二日酔いになりそうな量)。
絶望を酒で紛らせ、生に執着がなさそうなので、癌にとっては“楽な仕事”だ。

ベルトラン・ブリエの最新作『Le bruit des glaçons』(氷の音)のお話。
これまでもブリエは死をテーマに映画を作ったが、こんな風に死が人間の形をして現れるのは初めて。そのせいか、または癌のキャラクターのせいか、あまり悲壮感がない。恐怖というのはその形が見えないときのほうが余計怖いのかもしれない。

最後の展開が上手いので、途中ちょっと冗漫に感じても居眠りしたり(してしまって後悔)席を立ったりしないで、終わりまで見て欲しい。
私が癌の訪問を受けたら、どんな付き合いをするだろうか、と考えてしまう。

『Le bruit des glaçons』
1時間27分
公開中


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。




デモは楽しい国民的スポーツ

ようやく2ヶ月以上の夏休みが終わり、学校が始まって「ホッ」とする間もなく、月曜日は「ストで給食がないから、お金ちょうだい」
さらに火曜日は「先生の殆どがデモに参加するんで13時に始まって15時に終わるの、ヤッホー」

そう、7日火曜日は定年制度の改革に反対する大掛かりなデモが行われた。
SNCF(フランス国鉄)や RER(首都圏高速電車)は間引き、学校の先生は3人に1人、郵便局は20%・・・デモ参加者は主催者(労働組合)側発表で全国250万人と、6月のデモの2倍を超える。

mobilisation-contre-la-reforme.jpg

何にこれほど反対しているかというと、60歳の定年が2年延びて62歳になる点だ。
さらにこの改革の首謀者である労働相エリック・ヴァルトが『ベタンクール事件』の中心人物の1人であること-つまり右派の政府と富豪の癒着-も反感を募らせている。

でもとにかくフランス人は2年余計に働きたくないのだ。
今の60歳はまだまだ若い。20歳前から工場などで働きだして「肉体的にきつい」という人達は理解できるが、2年くらいいいじゃない、と思うけどね。

日本ではデモとかストは全く見なくなったけど、世界的にもSo frenchな現象らしい。ポルトガル人の友達は、
「フランスはいいよね。こうやって不満を行動で表せる習慣があるんだから。うちの国では不満を抱えてみんな黙っている」
という意見もあれば、
「景気の後退に対処し、ドイツの経済システムに追いつくために年金改革は必然。フランス人は現実を直視していない」と批判するのはWall Street Journal。
「定年が62歳になっても、フランス人はヨーロッパで一番いい労働条件で働いている。とくに週35時間!」とはイギリスのTV局SKYのジャーナリスト。ドイツの定年は67歳だ。
アメリカのNew York Daily Newsは、
「平均寿命は延び、世界経済はぐらついている。どうして2年余計に働くのを拒めるのか?」
ごもっとも!
「定年60歳、有給休暇5週間、週35時間労働!フランス人は甘やかされている。泣き言をいうのをやめて働くべきだ」と、さらに厳しい意見も。

日本人にとって働くことは美徳であり、彼らは絶対働きすぎ。一方フランス人は「仕事は必要悪」と思っている人が少なくないものね。
概して外国のメディアは「2年余計に働くくらいでこれほど大騒ぎするヘンな国民」という口調。
「フランスで、デモは国民のスポーツ」と皮肉るジャーナリストの言葉は当たっている。

私は、大抵のデモのコースとなるバスティーユ界隈に住んでいて、よくデモ隊の間を縫って歩くはめになるが、参加者はみんな楽しそう。缶ビール片手に歩いている人もいるし、抗議デモというよりお祭りの雰囲気だ。
夕方、デモが終わって近くのカフェのテラスで一杯やる彼らは、ほんと、スポーツをした後のように晴れ晴れした顔をしている。
一度やってみたくなるほどだ。クセになったりして・・・


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。


変化の9月

私の朝はFrance Interというラジオをつけることで始まる。
ニコラ・ドゥモロンというキャスターが総合司会の3時間に渡る番組で、ニュース、その日の新聞の大見出しの抜粋、話題の映画や本など。
中でも政治家をスタジオによんで視聴者が質問できるコーナーが人気だ。減らず口では有名な政治家たちが、ニコラ・ドゥモロンの突っ込んだ質問でタジタジとなるのが面白い。大勢の中から選ばれた視聴者が得々として質問するのを聞いていると-全然どうってことない質問も多い-「フランス人って自分の意見を披露するのがホントに好きなんだ」と関心する。

そして何よりニコラ・ドゥモロンの元気な声で、少しずつ目覚めるのが快感だった。
7月、8月は夏にちなんだ特別番組になるので、9月になってまた彼の声が聞けるかと思ったら、別のキャスターだ。なぜなぜ?と思っていたら、ドゥモロンさんはEurope 1という別のラジオ局に引き抜かれて夜のニュース番組担当になったんだと。
その理由は、「1週間のうち5日間、未明に起きるのがしんどくなった」

この番組は2006年に7時-9時半だったのが、人気で7時-10時になり、ライバル局を出し抜くため今年1月から6時半-10時になった。そのためには毎日午前2時起きで、3時にはスタジオに入って準備を始める。
朝市に店を出す商店は3時起きだというからそれより凄い。早朝というより深夜だ。
「家族や友達とすれ違いばっかりで生活がない」という理由はよく理解できる。
一度だけ早朝の飛行機に乗るため3時半に起きたことをまだブツブツ言っている私だもの。
そんなわけで、ニコラ・ドゥモロンで目覚めていた私の朝は変わってしまった。

声に恋していたので、顔は見ないほうが良かったかも。

demorand.jpeg

もうひとつはニュースで聞いた話。
ブルターニュの町の小学校にヴァンサンという男の先生がいた。ところが9月、ヴァンサンはマルティーヌという女の先生になって現れた。夏休みの間、性転換手術を受けたのだ。
校長先生は父兄に事態を説明した手紙を送り、「混乱がないように日々の努力が大事」と語っていた。
インタビューされた子供の一人は「意思を貫いたのは勇気がある」と親が言っていたに違いないせりふを繰り返し、もう一人の子供は「なんか変・・・」
こっちのほうが真実味がある。

娘は中学4年生(フランスは小学校が5年で中学校は4年間)になった。この前中学に入って、科目によって教室が変わるのに慣れないでウロウロしていたと思ったら、もう最終学年、一番の年増だ。
夕方、モノプリに入ったら、友達数人とマニキュアや口紅を試しているのに出くわした。


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。


ヨーロッパ、女っぷり比べ

旅行すると色んな国の人とすれ違う。
このバカンス村の滞在客の7割はフランス人と、ベルギー、スイスなどフランス語を話す人たち。あとは、ドイツ、オランダ、イタリア、そして東欧の家族も目立った。言語だけでなく、見かけも特徴的だ。
綺麗でコケティッシュなのは圧倒的にフランス女だ。バストとヒップがあるので、ビキニが似合い、パレオの巻き方も上手い。美しさと文化は比例する、というようなことを言ったのは誰だったっけ?
もちろん平均的に、で、「ビキニじゃないほうが良かったんじゃない?」と言いたくなるオバサンも少なくない。
特に中学の高学年、高校生が綺麗で女っぽい。同じ年頃でも、ドイツやオランダの女子は子供っぽい。

フランスの次に女性が綺麗なのはイタリアだ。フランス人かと思って近寄ったら、イタリア語を話していた、ということもあるほど似ている。背中と肩に目立つ刺青をした逞しいオッサンと、負けない迫力のマダムが、マグロのように並んで日焼けしていた。「イタリアンマフィアのバカンス!」「スーツケースに銃が入ってたりして」と、夫と話していたら、フランス人だった。
こっちは「刺青お断り」はないものね。

ドイツ、オランダ人は比較的静かで(レストランで大声でしゃべったり笑ったりしない)、女性はあまりコケティッシュではない。ベルギー人はわりと騒がしく、ビール腹が多い。

何といっても判別しやすいのが東欧。女性が揃ってハンパじゃなく太っている。プールサイドに5歳くらいの男の子と、若いパパ。一緒の女性はすごいお腹で胸も垂れ下がっているので、パパのお母さんかと思って見ていたら、奥さんだった。間もなくお母さんらしき女性も現れたが、奥さんといい勝負。もうすぐお昼だというのに、アイスクリームを食べ出した。

プールサイドでダンスタイム。こういう「日ごろ絶対しないことをしちゃう」のが、頭空っぽバカンスの特徴だ。
piscine2_20100904192026.jpg

娘は18歳の女の子と仲良くなり、「一緒にディスコに行っていい?」
私は親が厳しかったので隠れて行っていたから、同じことは繰り返したくない。ためらっていると、
「同じ敷地内だし、みんなと一緒だし・・・何でも体験したいのよ」
「何でも体験!?」と夫が目をギョロギョロさせる。
結局、0時半までに、必ず友達と一緒に帰る条件で行かせたけど、もちろん起きて待っていた。夫は高いびき。

長い夏休み。子供たちは色んな体験をして、それを糧に成長する。
息子は日本食品店で一ヶ月アルバイトした後、友達グループと、ベルリン、アムステルダム、ブダペストを旅行した。男の子は多くを語らないけど、パス(ユーレイルパスのように一定期間電車乗り放題)とユースホステルを使って楽しかったらしい。
くどかれたり、ディスコに行ったり、めくるめく(?)大人の世界を垣間見た娘も、また大人っぽく変わっていくのだろう。

パリに向かう機内で「パリの天候は曇り、気温14度・・・」とアナウンスがあったとき、乗客が絶望にどよめいた。
なぜか、戻ってくるパリはいつも灰色で肌寒く、「夏は終わった」という寂しさをつのらせる。

飛行機が着地したとき、まばらな拍手が起こったのには驚いた。もしかしてこの航空会社、着地が苦手で有名だったりして!


にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ
↑ランキングに参加しています。お気に召したらクリックお願いします
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
08 | 2010/09 | 10
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ