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大手保険会社のLe Ganが営業スタッフを募集するにあたって、人材募集コンサルタント会社に委託し、コンサルタント会社は候補者10人を一度にまとめて“集団採用試験”を行った。
その一部始終を撮ったドキュメンタリーがテレビでかかった。
候補者は男9人、女1人の10人、新卒はいなくて年齢は30歳から48歳まで。みんな仕事経験があり失業中だ。

“面接官”はこの5人。一見にこやか、実はけっこうサディックだ。
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この10人はlettre de motivation(自分がこの会社に何をもたらせるか、なぜ入社したいかを書いた手紙。フランスではこのモチベーション・レターが横行していて、入学志願でも書かせる学校がある)だけで選ばれていて、面接官たちは“履歴書を見ていない”そうだ(ホントかね)。

さて最初のテストは「隣の人と2人組になり、相手を売り込んでください」。
まず相手のプロフィール(職歴、家族構成、特技・・・)を聞いて、売り込みスピーチを全員の前で披露する。

次のテストはやはり2人ずつになり「クリップ(紙を挟むアレ)を会社に売り込んでください」。
テストの間に面接官はネチネチと個人攻撃をする。一人ノーネクタイでやってきた男性がいた。
「どうしてネクタイをしていないんですか?健康上の理由でもあるんですか?」
「ネクタイはする時もあります」
「するしないは何で決まるんですか?」
「それはその朝の気分で・・・」とノーネクタイ氏は墓穴を掘っていく。
フランスは服装に関して自由で、以前、銀行の窓口の男性が立ち上がったらバミューダで、のけぞったことがある。それでも営業はスーツにネクタイが制服らしい。

番組は採用試験の模様に、候補者個別のインタビューを挟み込んでいるが、この当たりから候補者たちは「保険会社の営業なのに、なぜクリップを売らなくてはいけない?」「この採用方式は意味がない」と文句を言い出す。
一日目に2人が「こんなことやってられん!」と退場し、5人が落とされた。

20代後半女性ジュリー、30代前半男性ディディエ、最年長(48歳)ジェラールの3人が2日目の試験に生き残る。
2日目。「“人物”を一人選んでください」
ジェラールは「ナポレオン」、ジュリーは「ヴィクトール・ユーゴ」。
「困ったな、誰にしよう・・・」と迷ったディディエは「僕の兄」。
問題は「大災害が来るので“ノアの箱舟”で人類を救済しなくてはならない。箱舟の席がひとつだけ残っている。あなたが選んだ人物が船に乗れるように弁護してください」
当然、ナポレオンVSヴィクトール・ユーゴーの一騎打ちとなった。
「ナポレオンはあちこち侵略した独裁者だ」
「でもナポレオン法典は近代的法典のもとになった。ユーゴーはただの小説家じゃないか」
そこへディディエが「僕の兄は・・・」と口を挟んでも勝ち目はない。
これでディディエも落とされる、とみんな予感した。

この後、ようやく履歴書が開かれ個人面談。
意表をついたテストや個人攻撃で、動揺させ挑発し、出方を見るのが採用試験の主旨だというのが段々見えてくる。
「あなた質問に答えるとき、必ず一拍おきますけど、考えるのが遅いんですか?」
「正当化しないで、質問に答えてください」
侮辱的なことを言われても、苛立たず表情を変えなかったジュリーとディディエが最後に採用された。

しかし。屈辱的な神経戦で勝ち残っても、初任給はSMIC(最低補償賃金、税込みの時間給で9.22ユーロ)。この番組についてはフォーラムに「こんな試験をする会社、頼まれても入りたくない」「儲かっている会社なのにこの初任給は許せん」などの意見が寄せられた。
まぁどの会社もこんな試験をやっているわけではなく、過激な例だからドキュメンタリーにしたんだろうけど。
5月に失業者290万人に達したフランス、求職シーンがますます厳しいのは事実。今、新卒の人たちは、ほんとに大変だ・・・

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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