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56のアレルゲンを“背負う”3日間

紹介されたアレルギー専門医(allergologue/アレルゴローグ、発音しにくい)は孤高のインテリという風情の女医さん。
まずスクラッチテスト。両腕にペンで印をつけ、針で引っかき、ダニ、動物、花粉、カビのアレルゲン代表選手を数滴たらして15分待つ。たちまちすごく痒くなってきて、2箇所が蚊に刺されたようになる。一番腫れたのはダニ。
じゃ二番目は誰?「猫!」「ギャッ!」
「猫を飼ってるんですか?」(ダニを飼ってるんですか?とは聞かなかった)
「はあ、2匹」
「その猫と・・・」
「できません!」
猫たちは家族の一員(二員)。猫と別れるくらいなら腫れた瞼と一緒に生きていく覚悟だ。それにアナイス(先着猫)はもう10年同居している。
「でもアレルギーは突然始まるんですよ」と孤高の女医。

数日後にパッチテストをする。アレルゲン(38種!)+使っているデマキ、洗顔剤、化粧水、クリーム、ファンデーション、アイライナー、シャンプー、ボディクリーム、洗剤、マニキュア、香水・・・を数滴ずつたらしたパッチを背中に貼る。コスメに関して自分はシンプルな人間、と思っていたけどイヤハヤ。新製品のテストもするのでリストはかなり長くなった。背中がもっと広ければ良かった。

test.jpg

全部で56のアレルゲンの重荷を、72時間背負うことになった。
背中が部分的に痒くなる、でも掻いてはダメ。猫か、ダニか?それとも使っているコスメに反応している?
背中を濡らしたら「一からやり直し」と脅されているので、シャワーだって至難の業だ。

3日後、孤高の女医のもとに駆けつける。もう1時間もガマンできない。バリバリとパッチをはがした(ああ、快感!)女医さんは
「Rien !」「は?」
「どれにも反応していない」
「・・・ということは?」
「接触によるアレルギーではないってこと」
最近、香水・香料にアレルギーをおこす女性が増えているそうで、
「あなたはそうじゃなくてラッキーだわね」
それより猫が犯人でなくてラッキーだ。
結局、テストの結果を持って、ヒッピーの生き残り皮膚科医のもとに舞い戻ることになった。
たらい回しは続く・・・


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一年くらい前から、瞼が痒くて腫れるようになった。サングラスが必要なくらい腫れたかと思うとすーっと引くのがアレルギーっぽい。腹が立つのは、「すごく腫れてるでしょ?」と聞いて「そう?いつもと変わらないけど」と言われるとき。まあ、他人は、本人が思うほど注意して見ていないってことだけど。

人の写真だけど、こんな感じ。
アレルギー

とにかく。最初はコンタクトレンズのせいかも、と眼科に行った。
伊良部先生(奥田英朗の小説の主人公)に似た眼科医は、
「コンタクトのせいじゃない、アレルギーだね」
「じゃ、アレルギー専門医のとこで、アレルゲンを探したほうがいいですか?」
「そんなもの、いくつテストをしたって見つかるわけないでしょ」とアレルギー医が聞いたら怒りそうな発言で、軟膏だの目薬だの処方してくれた。

瞼の腫れや湿疹によく処方されるのがこのSterdex。一回ずつのチューブになっている。

300px-Sterdex.jpg

でも改善の兆しはない。痒みと腫れは波のように寄せては返す。「治りません!」と“伊良部先生”のとこに行くと、また別の目薬を処方してくれて、でも症状はあまり変わらい。我慢できないほどじゃないし、人前に出れないほどでもないし、眼科の予約は取りにくいしで、数ヶ月が経った。

伊良部先生に見切りをつけた私は、皮膚科に赴く。70年代ヒッピーの生き残りみたいな先生は、
「これはアレルギーではなくて皮膚真菌症かも」とコーチゾン系の軟膏を出してくれた。
フランスの皮膚病治療は(日本もそう?)、最初の1週間~10日間は薬を毎日つける、次の2週間は一日置き、次の2週間は3日置き・・・つまり、治ったかに見えても急にやめないで、フェイドアウトしていくのがキマリ。

私も忠実にキマリを守り、そうするうちに夏が終わった。でも痒み・腫れは終わらない!
ヒッピー皮膚科医のとこに行ったら、
「じゃ、アレルギー専門医のとこに行ったほうがいいかも」
私は最初から、そう言っただろうが!何という回り道、たらい回し・・・(続く)


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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