Archive
深刻に雨が降る中、映画館の前に長―い行列。『La vie d’Adèle』(邦題『アデル、ブルーは熱い色』)の封切り時よりさらに長い列は『Gravity』(ゼロ・グラヴィティ)。
宇宙を舞台にしたパニック映画でしょ、と思っていたが、封切り後の口コミ評判で「スゴイ!」と聞き、週末に行かねば!ネットで予約しようとしたら、レ・アールのUGCシネマ・コンプレックス《満席》、ベルシーのシネマ・コンプレックス《満席》、バスティーユのMK2《満席》!・・・こうなると何がなんでも観たくなる。
リヨン駅のUGCでやっと取れた。フランス語吹き替えだけど、ジョージ・クルーニーの声にこだわるほどファンじゃないし。
ゼロ・グラヴィティ

初めて宇宙に来た医療技師、Dr.ライアン・ストーン(サンドラ・ブロック)とベテランの船長、マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)はフワフワと宇宙遊泳をしている。音のない世界に、ヒューストンと交信する2人の声だけ。
突然、どこからともなく宇宙ゴミが飛んできて、シャトルは破壊される。ヒューストンとの交信も途絶え、命綱で繋がれた2人は、宇宙に取り残された。死の舞踏が始まる・・・

ゼロ・グラヴィティ

初めて3Dが正当化された作品。映画館の椅子に座ったままで地球の美しさに見とれる。宇宙ゴミが向かってきたら、はっと避け、気の遠くなるような空間に恐くなる。
そこで人間はなんとちっぽけでなんと無力・・・パスカル(大学でやった!)も恐れた「無限の空間の永遠の沈黙」だ。

監督のアルフォンソ・キュアロンは、一体どうやって撮ったんだろう?
この宇宙のリアリズムに、ジェームス・キャメロンは「宇宙を舞台にした最高の映画」と称えたそうだが、キュアロンは「すごく嬉しいけど、彼はキューブリックの『2001年宇宙の旅』を忘れていたんだろう」。
企画を思いついた4年半前、『グラヴィティ』は実現不可能だ、という声が多かった。「いや、実現可能だ。それに必要な“道具”を発明しさえすればいい」と励ましたのが、キャメロンだった。
キュアロン(紛らわしいわね)は宇宙を舞台にした映画を何本も観たが、『2001年・・・』だけは観れなかった。「観たら、体がすくんで映画が撮れなくなっていた」

ゼロ・グラヴィティ

主人公は女性でなくてはならなかった。「母なる大地と呼応するのは女」。
観る前は「なんで、サンドラ・ブロックなんだ?」と思ったけど(アンジェリナ・ジョリーはじめ、色々候補に挙がったらしい)、いや、悪くない。

とにかく、他のパニック映画とは完全に一線を画した作品。1時間半、広大な宇宙に漂い、その中で「一体、わたしは何をしてるの?」と形而上学的( !?)な思いに浸れる。小さなことにクヨクヨしても仕方ない、と。

Gravity
アルフォンソ・キュアロン監督
サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
フランスで公開中
日本では12月13日封切り


ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト
普通のフランス国民の電話が、アメリカ国家安全保障局(NSA)に大掛かりに盗聴されていた!
これはNSAの請負会社の元コンサルタント、エドワード・スノーデンという人が、Guardian 誌とWashington Post誌に暴露したレポートを、ル・モンド誌がスクープしたもの。スノーデンさん、よく暗殺されなかったと思うけど、1年間ロシアに亡命し、「人類史上、最も膨大な専制的スパイ計画」を告発した。
それによると、2012年12月10日から一ヶ月の間だけで、7030万件の電話通話が録音されていた。
電話だけでなく、NSAが決めたキーワードが入っていたSMSやメール、ソーシャルネットワークの内容も見張られていた。
その方法は、巨大サーバー(Google、 Facebook、 Microsoft・・・)からデータ収集するPrismと呼ばれるプログラム、電話とインターネットは海底ケーブルから直接収集するUpstreamというシステム。と聞くと、NSAの作業員が潜水服を着て海底に潜っている図を想像してしまうけど、そういうことではないのよね。膨大な予算をかけたNSAの情報収集テクノロジーは、私の想像力をはるかに超えている。

フランスでの“スパイ活動”は《US-985D》という番号がつけられている。この番号シリーズはフランス、ドイツ、ベルギー、ポーランド、オーストリアを含む《第三分野》の国につけられたもの。《第二分野》は、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソンの国、《第一分野》はアメリカの16のシークレット・サービスが含まれているそうだ(日本はどうなっているんだろう?)
《第三グループ》ではドイツとイギリスでの盗聴数がフランスより多いが、イギリス政府は、アメリカ政府との合意のもとだとか。
「フランスは同盟国であって、アメリカの敵国ではない。なぜこういうスパイ行為をするのか !?」というオランド大統領やファビウス外相の怒りを、アメリカのメディアは“あざ笑った”:世界中の平和と安全のためにやってるんですよ。

22日、パリで会見、硬い表情のファビウス外相と、余裕の微笑みジョン・ケリー国務長官
fabius.jpg

スノーデン氏は、ロシアに亡命したものの、このデータをロシアや中国政府に渡してはいないと断言し、「個人と民主主義のために利益のために警告を発信した」。ボディガードをつけないと、これから生き延びられないのでは・・・

魅力的な姿と機能で私たちの生活に深く入り込んでいる最新テクノロジーたち。それは通信やコミュニケーションを簡単に、自由にしたかに見えて、気がつけばビッグ・ブラザーの世界が出来上がっている・・・こわい話。娘はFacebookのページを削除する、と言いだした。

ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




睡眠が、起きている間に“学習”したことを定着させる、のは知っていたけど(それにしては定着してないような)、目覚めている間に溜まった毒素を排除する、という働きがあることが発見された。と、アメリカ、ロチェスター大学の研究者がサイエンス誌に発表したことを、フィガロ誌が書いていた。
「今回の研究で、脳は2つの顕著な機能があることがわかった:『目覚めている時、警戒態勢』『眠っている時、清掃中』。脳のエネルギーは限られていて、この2つを一緒にやったり、交代したりできない。」
「体は、リンパ系が毒素を排除するが、脳まではカバーしない。脳は出入りチェックの厳しいドアで守られていて、独自の«glymphatique»というシステムを持っている。これが睡眠時に、起きているときの10倍活動する。このシステムが毒素をろ過して、血管に送り込み、肝臓まで運ばれる(なんてよくできている!)」

こんなファンダメンタルなことが、今頃わかったの?と思わないでもないけど、特殊映像装置の発達のお陰で、人間の脳とよく似ている(!)ハツカネズミさんの脳を使って判明したんだと。

とにかく。よく眠らなかった翌日、ボーっとしてたり、何をしてもはかどらなかったり、その挙句、あー、ワタシって何てダメな人間、と悲観的になったりするのは、毒素のせいだったのね。
毒素が排除されないと、アルツハイマーや他の認知症の原因になるというので、この発見はこれからの治療に大いに貢献するはずだ。スバラシイ。
睡眠中無呼吸になる人(120kgある私の従兄妹!)は、脳が休まらないというから、気をつけないと。
私は夜中、猫たちに起こされる。あいつら、夜中に何の活動をしているのか知らないけど、4時頃「ハラが減った」と顔を前足でポンポンと叩きにくる。寝る前にやればいいじゃない、と思われるだろうが、そうすると若い雄猫がすぐに全部食べてしまう。ああ、猫たちのせいでアルツハイマーになりたくない!


ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

ミュージック・ホールで大人気の天才ピアニスト、リベラーチェ(1919-1987)。金ピカのスーツに、床を引きずる毛皮のコート、運転手つきのリムジンでステージに現れる・・・超派手でキッチュな彼のショーはラス・ヴェガスで大ウケで、当時のショー・ビジネス界で一番稼いでいるミュージシャンだった。
1977年、スコット(マット・デイモン)はリベラーチェ(マイケル・ダグラス)のショーの楽屋を訪れた。年の差も、環境の違いもぶっ飛ばし2人はひと目惚れ、一緒に暮らすことに。リベラーチェの家はステージと同じ、お金のかかった悪趣味ゴージャス。シャンパンを飲みながら一緒にお風呂に入り、2人は恋を語り合う。
ゲイであることを生涯隠し続けたリベラーチェとスコット(愛人、秘書、運転手・・・)の、波乱の5年間を描いた作品。

『恋するリベラーチェ』

主役の2人がすごくいい。これまでの渋めシリアスな役とはガラリと違うマイケル・ダグラス。監督のスティーヴン・ソダーバーグは『トラフィック』(2000)の撮影中に、マイケル・ダグラスに「君ならリベラーチェを演じられるんじゃない、というより、君しか演じられないと思う」
麻薬捜査官として密売人を追っかけていたマイケル・ダグラスは「冗談だと思った」
ソダーバーグはマジで「考えといて。心の準備ができたら連絡して」
その間、マイケル・ダグラスは闘病生活があり、13年経って実現したわけだ。
養父母との慎ましい暮らしから、突然エキセントリックなショービジネス界に放り込まれ、戸惑いながら染まっていくスコット、マット・デイモン、 “ジェイソン・ボーン”(大好き)の硬質で冷たい魅力とはガラリと違う。すごく上手い。
成金悪趣味のステージ衣装や、自宅のインテリアも、ここまで徹底すると許せて面白い。

「え!この金ぴかブレスレット、僕に!?」
『恋するリベラーチェ』

実物のリベラーチェとスコット。
リベラーチェとスコット

リベラーチェは、1952年にTVで始まった『リベラーチェ・ショー』の最初の2年だけで700万稼いだとか。エリザベス・テーラーの『クレオパトラ』のギャラが100万ユーロだったから、これは巨万の稼ぎ。これほどの人気エンターテイナーがどうしてフランスや日本で知られていなかったか不思議だ。同時代のフランク・シナトラは世界的に有名なのにね。
リベラーチェの派手でキッチュなステージ衣装は、エルヴィス、エルトン・ジョン、マドンナにも大きな影響を与えたといわれる。彼の衣装や、特注のキャディラック、メルセデス・ベンツやピアノはラスヴェガスの博物館に陳列されている。この博物館、今は訪れる人も殆どいなくて、閉館しようかという時、この映画が登場して元気になったそうだ。
そう、この映画は「ゲイすぎる」という理由で本国アメリカでは配給会社が見つからず、映画館上映されなかった。ずっとハードなもんがネットやTVでかかっているのに、どこが「ゲイすぎる」のか? 忠実な伝記映画じゃない。またまた不可解なアメリカの“ポリティカリー・コレクト”。

『la vie avec Liberace/恋するリベラーチェ』
スティーヴン・ソダーバーグ監督作品
フランスで公開中。
日本では11月1日封切り


ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

「良かったわね」なんて言われて、アレルギー専門医のとこを出たけど、接触によるアレルギーではない、からと言ってアレルギーじゃないと言いきれるの?
第一、一昔前に比べてアレルギーの人が恐ろしく増えている。なぜ?

友達に、太陽アレルギーの女子がいる。日に当たるとすぐに赤い湿疹が体中に出る可愛そうな人。夏でも長袖にジーンズ、運転するときは手袋。外では日陰を選びながら歩くドラキュラのような生活をしている。太陽燦燦の海岸に寝そべるという楽しみもなく、海に行くと夜泳ぐ。30歳すぐて急に現れたそうで、ステロイド系のクリームを持ち歩いている。

最近フランスで増えているのがグルテンのアレルギー。パン、お菓子、パスタ、シリアル・・・特に子供の食生活のメインが全部ダメ。
グルテン

・・・だけでなく、グルテンはいろんな食品に隠れている(ソーセージなどの豚肉加工品、調理品、ドライフルーツの一部・・・)ので、避けて通るのが難しい。最近、グルテンなしレストランもできた。

娘はダニ・アレルギー(クシャミ、鼻づまり)で、désensibilisation(デソンシビリザシオン)という治療を2年来やっている。毎朝、数的のダニ・エキスを飲んで、ダニさんに鈍感になろう、という治療だ。小さいクモが1匹いてもギャーギャー騒ぐ子が、ダニ・エキスなんかよく飲むなぁ、と感心しているけど、3年間(まじめに飲めば)鈍感化するらしい。ネットで見ると、日本では「経口減感作療法」と呼ばれていて、あまり行われていないようだけど、フランスではかなり一般的だ。

でもこれらのアレルギーは、アレルゲンに出会うとぱっと出る自己防衛システム。私の瞼のように、ガマンできないほどじゃない状態がダラダラと1年以上続くのとは出方が違う。
じゃ、ナンなのよ?と70年代ヒッピー皮膚科医に会いに行った。ヒッピーはガムを噛みながら、「失敗だったようですね」
アレルギーじゃない(特に猫が原因じゃない)のは、私にとっては朗報だけど、こいつは他の医者に押し付けられなかったんで“失敗”と言うのね。
「ナンなんでしょう?」
「皮膚炎でしょうね」
「は?」
「遺伝性アトピー性皮膚炎」
高い(35ユーロ)けど保険で返ってくるという塗り薬を処方してくれて、
「一日2回、1ヶ月。最初は焼けるような感触があるかもしれないけど、めげずにつけてください。はい、診察料70ユーロ」(ちなみに診察時間5分+処方箋を書くのと支払いに5分)
アレルギーでもなく、真菌症でもなく、なんか“その他大勢”に入れられたような気がしないでもなく、瞼が“焼けるような”とはどんな感触だろう、と想像しつつ、70年代ヒッピーに別れを告げた。


ランキングに参加しています。お気に召したらクリックしてください。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
09 | 2013/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ