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娘はバカロレアが2週間後に迫っている。その勉強をしているのかと思ったら、
「それどこじゃないのよ!」
確かにその後どこの学校に入れるかが大問題だ。バカロレアは大学入試資格試験で、入学試験ではないから。

3年前、娘がBoulleという美術高校に(思いがけず!)入れたときは、親も一安心だった。Boulleは、空間デザイン、家具、オブジェやジュエリーデザイン・・・など応用アートで有名だ。
「手に職を持てば失業知らずじゃない?」と友達にも言われて「これで私達の老後も・・・」なんて安心していた。
1年経ち、2年が経ち、高校でも進路を話すようになる頃、娘は、
「応用アートはどうしても好きになれない。絵が描きたい」
「えっ ?!」
「イラストとか漫画とか・・・」

娘は小さい頃から場所をかまわず絵を描いていた。紙がなくなれば、レストランの紙ナフキン、ティッシュの箱、タンスの扉(!)・・・私は絵が苦手だったので、隔世遺伝?
自分がやりたいこと、情熱が持てることと出会うのはなかなか難しいし、好きなことをやらせてやりたい、と思う一方、それで食べていけるか?という問題がありますよね。引き裂かれる思い。

結局、イラストレーションで定評のある美術学校2つに願書を出し、滑り止めに普通の大学の日本語科を選んだ。美術学校の願書は、風景、人物、自由課題の作品とlettre de motivation(自分のアッピール)、高校の成績からなる。
まず書類選考で次が面接。

第一志望の学校から「何月何日何時に面接にきなさい」という通知が届いたとき、娘は(親も)狂喜した。どういう基準で選んでいるんだろう?作品?学校の成績?lettre de motivation じゃないことは確か。謙遜の美徳がない国だから、天才か!と思う内容だ。
面接は作品を見せて説明するので、彼女は毎晩遅くまで描きまくり、私は深夜に“試験官”の役をやらされた。100人中9人採用という狭き門なので、あとは運を天・・・

面接の結果を待ちつつ、バカロレアの準備を始める。どの学校もバカロレア合格が条件だから、50%取れれば受かるとは言ってもおろそかにできない。
この頃になると、授業に出ないで勉強する子が多い。出席がうるさい学校なので、行かないとすぐ電話がかかってくる。
無視して無断で休ませる親もいれば、風邪だ、頭痛だと言い訳を考える親もいれば、「授業に出ている暇がないんで、うちで勉強させます」ときっぱり言う親もいる。
私はその日の気分で使い分けている。

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悪趣味と言われようとも・・・

「観たくない?」と息子に聞いたら「全然」とすげなく言われた『Well come to New York』。
たしかに悪趣味かもね・・・ところが、夫はすごく乗り気で「DSKが告訴するというから観れなくなるかもしれない。急げ!」

Canal+のVODに行くと、ダウンロードできる映画がゴマンとあって、テーマで絞り込めるようになっている。息子に言われて「Passion」というカテゴリーを選択すると、手錠をかけられたドパルデューのポスターがすぐに見つかった。

DSK ドパルデュー「Well come to NY」

この映画、「情熱」というジャンルになのね、「ビョーキ」じゃなくて。

映画は事件の前夜から始まる。NYのソフィテルにDSK(映画ではDevereax)が到着すると、スイートルームにはもう仲間と高級コールガールが着いていてシャンパンを飲んでいる。それからの20分はポルノ、すごく綺麗な女優だかモデルを使っているけど長すぎる。
翌朝、ルームメイドとの“格闘”シーン。何事もなかったようにチェック・アウトし、娘と昼食を取り、JFK空港に向かうDSK。飛行機に乗って5分も立たないうちに警察が乗り込んでくる・・・当時、報道された通りだ。

DSK ドパルデュー「Well come to NY」

映画の中で一番面白いのは奥さん(その後離婚)アンヌ・サンクレールとのやりとり。富豪の娘、アンヌは80-90年代、大臣や大統領を前にしても物怖じしない人気美人キャスター、インタビューで知り合ったDSKと1991年に結婚。権力嗜好のある彼女はDSKの女好きにも目を瞑り、財力と知名度で火事を消し続けた。でも手錠をかけられるなんて!堪忍袋の尾がぶっちぎれたアンヌの前で、イタズラを見つけられた子供のようなDSK。それでもチクリチクリと、財力や“ファーストレディになりたくて結婚した”ことを皮肉るとこなど、こういうやりとりがあったに違いないと思わせる。

「暴行なんて、ボクしてないよー」

DSK ドパルデュー「Well come to NY」

理性では抑えられない女好きと、自分の能力や地位への自信と余裕、独特のユーモアが混じりあったキャラを演じるドパルデューは大した役者だ。アンヌ・サンクレール役のジャクリーヌ・ビセットもうまい。この役、最初の候補イザベル・アジャーニが断ったんで、彼女になったんだけど、断られて正解。この2人は信憑性がある。だからこそ、告訴すると騒いでいるんだろうけどね。
DSKの政治・経済界の友人や側近が、彼をどう見ていたかが全然触れられていないのが残念だけど、観て後悔はしない。ダウンロードは7ユーロで48時間有効。その間なら何度観てもいい。
でも1度でたくさんの映画だ・・・

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ご存知の方はご存知のように、NYのホテルで、ハウスメイドに暴行した廉で逮捕されたドミニク・ストロス=カーン(DSK)は、当時(2011年)IMFの専務理事。左派の最有力大統領候補でもあった彼がそんなバカなことを!と誰もが唖然とした。
お金・権力・女、と話題になる要素が全部そろっていたので、当時は連日あらゆる角度で報道されたもんだ。

アベル・フェララの『Well come to New York』は、DSKの放蕩な生活-病気に近い女好き-と手錠をかけられるまでの経過を描いたもの。DSKをジェラール・ドパルデューが演じること、フランスで劇場公開されなくなりVOD(ヴィデオ・オン・デマンド)だけになったことで話題になっていた。
フランスで公開されない公の理由は『現在の事件だから』で、全然理由になっていない。「アベル・フェララの過去の作品の入りが悪かったので配給会社が足踏みした」という理由も読んだけど、これもウソっぽい。どんなひどいシナリオでも、ソフィー・マルソーやダニー・ブーンが主役なら映画館は必ず埋まる。まして(重量級!)ドパルデューじゃない。
太りすぎで顎もなくなった。
ジェラール・ドパルデュー

本当の理由は“DSKの弁護士団(団体なのね)と元妻アンヌ・サンクレールの圧力”と言われている。アンヌ・サンクレールのおじいさんはマチスとも面識があった有名な画商で、桁外れの財産をなした人。アンヌもマラケシュにお城を買ったり、ドミニックが元気がないと、そのお城に飛行機で財界人を呼びよせて盛大なパーティをしたり、彼が逮捕されれば保釈金をすぐ払ったりと、超のつくお金持ち。
だけど、禁止されれば余計観たくなるという私達の心理までは考えなかったみたい。

16日にカンヌに到着したドパルデューは、どのスターよりもたくさんのメディアに取り巻かれた。そして今夜21時、VODに先立って、カンヌの映画館での特別上映では席の奪い合いになったとか。その昔、ノーカットの『エマニュエル夫人』を観るパリツアーができたのを思い出した。
『Well come to New York』の一場面
ジェラール・ドパルデュー『Well come to NY』

公開前に話題になり、蓋を開けたら「なーんだ」という作品(『Grace de Monaco』はそうらしい)かと思っっていたら、上映後のジャーナリストの意見は:
『大胆でユーモラス』
『ドパルデュー炸裂』
『ドパルデューの奥深い才能、大胆な演技』
『勇気ある感動的な作品』
・・・“感動的”という形容詞は予想しなかったわね。これで余計観たくなった。
コンペティション作品には選ばれなかったけど、重量と才能でドパルデューに特別賞!

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田舎から従兄妹夫婦が出てきた。電車で2時間の距離なのにパリには滅多に来ない。
ブドウ畑に囲まれて暮している彼らにとってパリは、空気が悪い、人が感じ悪い、人が多すぎる、物価が高すぎる・・・諸悪の街(東京に比べたら静かでのんびりした街なんだけどね)。なので、“イベント”がないと出てこない。前回のイベントはクレージーホースのショー。そして今回はムーラン・ルージュ!
考えてみると行ったことがないので、喜んで一緒に行くことにした。

ムーラン・ルージュ

ムーラン・ルージュにはディナー+ショー+ハーフボトルのシャンパンかワイン(185ユーロ&215ユーロ)、ショー+ハーフボトルのシャンパンかワイン(112ユーロ)、ショーだけ(102ユーロ)があるけど、ディナーつきにして正解。
ディナーを取る人たちを優先的にステージに近い席につかせ、食べ終わる頃に、ディナーなしの人たちを入れ始めるからだ。
私達のテーブルの後ろに案内されてきた小柄な中国人のグループは、身長185cm、体重100kgを超える小山のような2人(夫と従兄妹)のおかげでショーがよく見えず、途中から立っていた。1人112ユーロ払って立ち見なんて!と腹を立てたに違いない。ごめんね。

1枚写真を撮ったら、どこからともなくスタッフが現れ「写真は禁止です」
ムーラン・ルージュ2

私達が選んだ(安いほうの)メニューToulouse-Lautrec は、
サーモンのフェスティバル(出てきたのはスモークサーモンとタラマ)
または
カレイのファルシ(テリーヌとよんだほうが正しい)クリーム添え

タイの蒸し煮、シャンパンソース、つぶしジャガイモ
または
子牛のポワレ、シュプレームソース、ピラフと小玉葱

オペラ“モーラン・ルージュ”(ふつうのオペラ)
または
イチゴの“タンドレス”、フランボワーズソース(ケーキ地はフルーツマシュマロ)

食いしん坊の従兄妹は「または」を「と」と見間違えて「スゴイ!」と一瞬喜んだ。
1人ハーフボトルつきx4人なので、シャンパン1本とシャブリ1本を頼む。

料理はDalloyau で美味しかったけど、最後の一口を食べ終わるか終わらないかで、お皿が下げられ、次のお皿が運ばれる。ショーが控えているせいだ。せっかち向き。

幕が開くと、銀ラメのパンツスーツの男女ダンサーがオープニングナンバー。途中で女子ダンサーたちが、ぱっとパンツを引っ張ると銀ラメのストリング姿になる。「おお!」とどよめく観客。男子も同じことをするかと(楽しみに)待ったが、それはなかったわ。
ダンサーは粒揃いで、衣装も豪華。途中に挟まれる曲芸や腹話術も高度のパーフォーマンスで、一瞬も飽きさせない。『Féerie』というタイトル通り、夢幻の世界が2時間弱。クージーホースより数段よかった。

昔からの定番のフレンチ・カンカン、現代バージョン。
ムーラン・ルージュ/Moulin Rouge

900席の会場は満席で、中国人が目立った。スタッフに聞いたら1位:中国、2位:アメリカ。
移住・出国が難しかった頃「ショーの途中でトイレに立ってそれっきり戻ってこない」中国人観光客がいると聞いた。ガイドさんは10分置きに頭数を数えたとか。今はガイドさんもピリピリしていないようだ。

さてショーが終わって900人がぞろぞろ出る頃、23時の2回目のショーを待つお客が列を作っている。10分の幕間に、従業員たちは猛スピードでテーブルナフキンを取替え、グラスを並べている。日本人並みのオーガナイズであった。


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「世界のベスト・レストラン50」の信憑性
世界中のシェフ、料理評論家900人が投票して決めるWorld’s 50 best Restaurants。1人7件-そのうち3件は外国のレストラン-に投票、過去18ヶ月以内に試食しているのが条件だ。
世界中から選ぶなら、ゼッタイ日本とフランスが上位に並ぶ、と信じて疑わなかった、ところが全然・・・
1位:NOMA(コペンハーゲン、デンマーク)
2位:El Celler de Can Roca(ジローナ、スペイン)
3位:Osteria Francescana(モデナ、イタリア)
「?!」とランキングを見ると、50位以内にフランスは5件のみ。
11位 : Mirazur (マントン、シェフ:マウロ・コラグレコ)
25位:L’Arpège (パリ 、シェフ:アラン・パッサール)
27位:Le Chateaubriand(パリ、シェフ:イナキ・エズピタルト
31位: L’Atelier de Saint-Germain(パリ、シェフ:ジョエル・ロビュション)
38位: L’Astrance(パリ、シェフ:パスカル・バルボ)
日本は、
14位:ナリサワ
33位:龍吟
だけ。ムムム・・・

1位のNOMAは過去3回(2010-2012)も1位になっていて、一体何を食べさせれば1位になるのか、と探したらExpress Styles (Express誌の別冊)に試食した人の記事があった。

デコレーションの盆栽ではなく、突き出しの“地衣類”。調べると「菌類と藻類からなる共生生物」・・・ますますわからん。これ、全部食べるの?

ワールドベストレストラン2014

スィート・オニオンと梨のキャラメリゼに、乾燥させた北極アリのふりかけ

ワールドベストレストラン2014

バーベキューで炭化させたポワロ葱の中に、タラの肝。焦げたものって発がん性じゃなかった?

ワールドベストレストラン2014

5週間“熟成”させた牛のスペアリヴに新鮮な香草をたっぷり。
試食者曰く「腐りかかった匂いが食欲をなくさせる」

ワールドベストレストラン2014
photos:Express Styles

デギュスタシオン・コースは200ユーロ。それぞれの料理に合ったワインつき(accord mets-vins)だと335ユーロ。
それだけ払って、菌類やアリのふりかけや腐りかかった肉を食べたいわ、と思いつつ、記事をちゃんと読むと、このレストランで2013年2月に食べた人63人が食中毒になったんだと。にも拘わらず1位に返り咲いたわけ?

実は、この「世界ベスト50」の審査員に選ばれたフランス人が次々と降りている。
去年、審査員になったatabula.com編集長によると、ベスト50の選考は「かなり不透明で、結果は前から決まっていた印象」。審査員の中に食品業界のメーカーもいて、袖の下が横行という噂。フランソワ・シモン(日本でも有名な元フィガロ誌の食評論家)、フランソワ=レジス・ゴドゥリー(エクスプレス誌の食評論家、ラジオ番組も持っている)も審査員を降りている。
やっぱり・・・
世界一のガストロノミー国はフランスと日本!私の真念に変わりなし。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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