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「去年の9月から、ひとりの男を待つ以外、私は何もしなかった」で始まるアニー・エルノーの小説。
自分の生きたことをもとにフィクションを書く作家だから、主人公は彼女自身。中年女性の“私”は、あるヴェルニサージュで、在仏外交官の男性と出会い、関係を持つ。それ以来、“彼が電話してきてうちに来るのを待つ”以外のことは意味を失った。

彼女は以前のように、スーパで買い物し、食事を作り、本を読み、レポートの添削をする(彼女は大学の先生)。でも心はここにあらず。出かけても、彼の電話を逃したら大変、と大急ぎで帰ってくる(まだ携帯電話がなかった!)
結婚している彼は、夕食や出張をでっちあげて時間を作り彼女に会いにくる。次の逢瀬はいつかわからない。彼が来たあとは、その余韻や抱擁や言葉を糧に生きる。彼の国のニュースを新聞で読み(彼は外国人)、次に会ったとき言うことをメモし、服やメイクを選び、彼の好きなウィスキーや食べ物を買い、次は、最初にどこでセックスするか想像する・・・

心も身体もその男のためだけに生きていた時期、激しい情熱とそれに伴う苦痛が、全然メロにならず、淡々とした文体で綴られる。最初読んだときは、Passionとは、喜びと苦痛が表裏一体になっていたんだ、と実感し、この夏読んだときは、
『子供の頃、贅沢とは毛皮のコート、ロングドレス、海辺の別荘だった。後に、知的生活を送ることが贅沢と信じた。今では、誰かへの情熱を生きるのも贅沢ではないかと思える』
という最後にはっとした。

『Passion simple(シンプルな情熱)』(1991年)当時

アニー・エルノー『シンプルな情熱』

今は75歳。先日亡くなったソニア・リキエルのニットをよく着ている。

アニー・エルノー『シンプルな情熱』

地方都市で食料品店を営む夫婦のもとに生まれたアニー・エルノー。両親は学歴がなく本も読まないのに突然変異で、文学少女から近代文学の教師になる。その傍ら小説を書きだした。父親、母親のこと、娘時代、恋愛遍歴・・・フランスでは、新作が出れば必ず話題になり、本屋で平積みになる人気だけど、日本ではあまり知られていない。この『シンプルな情熱』は角川から出たけど、絶版になっている。残念。70ページ足らずで、それこそシンプルなフランス語なので、お試しください。


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いずこも同じ、夫婦喧嘩

義弟のジャン=ルイの奥さんマルティーヌはかなり口うるさい。
車に乗っているときは、
「速く走りすぎる」「しゃべりすぎて危ない」
(ジャン=ルイは車好き、運転が上手いので有名)
食卓では、
「飲みすぎるな」「自分ばかり飲んでいないで人にもワインを注げ」
話に夢中になってジャン=ルイが椅子を揺すれば、
「椅子が壊れる」
大声で笑えば、
「近所迷惑だ」
(お隣さんはかなり離れている)
ジャン=ルイが出かけるときは
「車のカギ持った?お財布は?」
「やめてくれ!子供の時、出かける前に『オシッコした?』と言われたのを思い出す」
時々、ジャン=ルイがキレて大声を出す。元弁護士が怒鳴るとかなりの迫力、でもマルティーヌはビクともしない。日常茶飯事で“犬も食わない”。
10分後には仲良く話している。長く一緒に暮らしているカップルはみんなこんなモンだ。ウチと同じパターンの口喧嘩もあって可笑しくなる。夫婦喧嘩はちょっと距離を置くとユーモラス、子供たちが心配しない訳だ。

お隣の中庭に住んでいる野良猫。毎日ご飯をせがみにやってくる。
マルティーヌは「居つかれると困る」と反対だけど、この可愛さ!ご飯をやらずにいられない。

フィジャックの野良猫

地元で有名なフィジャックのブロカント。
ブロカントと聞くと目が輝くが、探しているものは-植木鉢やオブジェを飾れる梯子!-は見つからなかった。

フィジャック、ブロカント

フィジャック、ブロカント


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8月の長い週末:フォアグラとカモの町

「すごく美しい町」「絶対行くべき」と言われたサルラはフィジャックから150㎞の町。
朝市があるから間に合うように、と早起き(8時半!)したら、雨降りだった。今年の夏、私は雨女だ。

サルラ-正確にはサルラ・ラ・カネダ/Sarlat la Canéda-は、ペリゴール地方、正確にはペリゴール・ノワールの町。
ペリゴールと言えばトリュフ、フォアグラ、カモ・・・13世紀の建物もある旧市街は確かに美しいけど、バカンス客が溢れ、朝市はフォアグラとカモだらけ。どっちも好きじゃない私はどーする?

サルラの旧市街

サルラ朝市 フォアグラ、カモ

フォアグラやカモのコンフィは真空パックと缶詰もある。子供たちに買おうと思ったけど、真空パックは要冷蔵、缶詰はパリにもあるので諦める。
飴色の液体はクルミのオイル。エンダイヴやマッシュルームのサラダに美味しいというので買った。料理には使えない(加熱しちゃいけないってこと)そう。

サルラ朝市 フォアグラ、カモ

「この辺一帯に可愛そうなカモたちが飼われてるのね」と言ったら、「アメリカ人みたいな発言をするな」とジャン=ルイ。
身動きのできないカプセルホテルみたいな檻に入れられ、チューブでエサを流し込まれる・・・拷問じゃない。
日本の鵜飼いの鵜は、首に巻かれた紐のせいで、アユを呑み込めない。鵜匠はそれを吐き出させてアユ漁をする。
日本の鵜とフォアグラになるカモとどっちかになれ、と言われたら、私は迷わず「ウ!」と答える。

市場を取り囲むレストランは揃って、フォアグラ、カモの足のコンフィ+ジャガイモのサルラデーズというメニュー。カモの脂で薄切りのジャガイモをソテーしたポム・サルラデーズは子供たちの大好物。“サルラの”という形容詞だったのね。

パリはパリジャン、パリジェンヌ。リヨンはリヨネ、リヨネーズ、ニースはニソワ、ニソワーズ。町の形容詞形はそこの住民を表す単語でもある。クイズにもよく出るのが「モナコの住民は?」「モナコワ?」「はずれ!」正解はモネガスク/Monégasque。

フォアグラ、メロン、カモのコンフィ、ジャガイモのサルラデーズ、カベクー(チーズ)と地元名産オンパレードの一皿が15ユーロ(安い!)デザートの名物はクルミのケーキ。

ペリゴール料理

つまり恐ろしく高カロリーなものを食べているのに、この地方の人たちは太っていない。これぞフレンチ・パラドックス。


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フィジャックにはシャトー・ヴィギエ/Château Viguierというお城がある。
2008年、ロト(宝くじ)で1000万ユーロ(約11.5億円!)を当てた男性が、700万ユーロでこのお城を買い、改装工事をして4つ星高級ホテルをオープンした。部屋は当時で299ユーロ~699ユーロ。


シャトー・ヴィギエ、フィジャック

シャトー・ヴィギエ、フィジャック

この男性、ダヴィッド・フェーヴルは、ホテル業はシロウトで、「高いクオリティとおもてなしを提供すればお客は来る」と信じていた。場所がパリでもニースでもなく、フィジャックということを忘れていた。サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者たちの多くは、ジットと呼ばれる簡素な宿泊所に泊まり、フランス人はケチだ、ということを忘れていた。

結果、ホテルはガラガラ・・・フェーヴルさんは外国人をターゲットにすべきことに気づき、NY、東京、モスクワの旅行サロンに赴き、ネット上での宣伝にもお金をかける。「日本人が大勢来た」そうだけど(本当かな)長くは続かなかった。客室稼働率は最高で25%(自称)。
2010年、2年足らずでホテルは扉を閉め、売りに出された。売値は790万ユーロ。
しかし、2年間の間、フェーヴルさんは、“この町で高級ホテル経営は失敗する”を実証したようなもの。買い手はつかない。値段は少しずつ下がり、2016年、半分以下の320万ユーロに。でもまだ売れていない。1000万ユーロの残りはとっくに底をついているだろうに・・・

突然、巨額の富を手にし、通りがかったお城に“一目惚れ”すると、こういうことになる。
市場からの帰り道、義妹が「ほら、あれがシャトー・ヴィギエのオーナーの車よ」と言うので、振り返ると、とんでもないペインティングをした赤いクリオ。残念ながら、フェーヴルさんの顔は見えなかった。


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8月の長い週末:フィジャック

フィジャックは、南西フランス、ロット県にあり、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路にある町(ピレネー山脈を越えて、キリスト教の聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラに至る巡礼。フランスだけではなく、世界中から巡礼者が通過する)。
パリから車で8時間かけてやってきたのは、巡礼者と一緒に歩くためでは全くなく、義弟夫妻に会うため、彼らが始めたションブル・ドット(民宿)を訪ねるためだ。

夫の弟、ジャン=ルイは、もと弁護士。有能だったのに、遊び好きで稼いだお金を全部使ってしまい、税金を払わなかったりして、弁護士を辞め(させられ)、ドーヴィルの近くでクラブを経営を始めたが、飲みすぎと過労(夜更かし)で黄疸になった。

独身で、“正規の彼女”は数年ごとに変わり、並行して一時的な恋人もいた。ある夏など、2人の彼女に、同じ日にバカンスに発つ約束をして、出発当日、実家に隠れるはめに。お母さんが「さあ、どこにいるんでしょうね・・・」と電話応対をさせられた。

50歳のとき、かって弁護したコルシカ女性(未亡人)と一緒になり、パリにコルシカ料理のレストランを開く。プラザ・アテネにいた料理人をシェフにして料理は美味しく、開店翌年にはミシュランにも掲載されたのに・・・従業員の雇いすぎ(つまり、働かなすぎ)で大赤字になり閉店。
2年前、フィジャックに家を買って、ションブル・ドットを始めた。もと弁護士だから口が達者で、話が面白く、サービス精神があって接客業には向いている。しっかり者のコルシカ・マダムが同じ失敗を繰り返さないように目を光らせ、今度はうまく行っている。

セレ河のほとり、13世紀から15世紀の建物が多い。人口1万人の町、フィジャック

フィジャック

“民宿”という名称が似合わない立派な民宿。4階建て400平米の建物を38万ユーロで買った、という信じられない話。パリでは20平米のスチュディオの値段だ。

フィジャック、ションブル・ドット

最上階の部屋はバスタブが部屋の中にある。カップル向き。一泊朝食つき85ユーロ。

フィジャック、ションブル・ドット

この風景を見ながらお風呂に入れる!

フィジャック、ションブル・ドット


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スペインの街角に必ずいそうな60代の貫禄オバサン、カルミナ。
夜、夫のアントニオが帰ってくる。疲れて息を切らして、
「あまり気分がよくない」
「アンタ、お酒飲んだでしょ」
「一滴も!」
夫は心臓が悪くて毎日薬を飲んでいるが、ちょうど薬を変えたところ。新しい薬のせい?

スペイン映画『カルミナ!』

カルミナは夫をテレビの前に座らせ、魚のスープを温め持っていくと・・・夫は息絶えていた。
駆けつけた娘と抱き合って泣きながら、カルミナに考えが:今日は金曜日、月曜日には夫のボーナスが出る。月曜日まで生かしておかないと・・・
「そんな!お母さん !!」
「お金が欲しくないの?」
「・・・・」
娘のマリアは美容院を開いたばかり、お金は必要なので渋々納得。2日間、アントニオは“具合が悪くて休んでいる”ことに。しかし週末だ。アパートのお隣さんや、女友達が次々にやってくる・・・

『Carmina !』というタイトル通り、カルミナのキャラが圧倒的な主役:ぶっ飛んだ度胸、抜け目がなく、押しが強く(『私が本当と言えば、本当なの!』)、愛情深くて憎めない。

バイクに乗せてもらったら、「ワンピースが飛んで行っちゃった」の図。

スペイン映画『カルミナ!』

娘をこよなく愛し、夫には「死んでも迷惑かけて!」(自分で招いた迷惑なのに)と言いつつ、愛着が感じられる。笑って最後にホロリとする作品。

スペイン映画『カルミナ!』
photos:allociné

『Carmina !』
パコ・レオン監督作品
主演:カルミナ・バリオス、マリア・レオン
1時間33分

ナンセンスなユーモアと温かさのある作品と言えば、9月3日から日本公開になる『アスファルト』。人間はみんな可笑しく、孤独では生きられないなあ、と。
こういう仏映画が日本でかかるのは嬉しい。お薦めです。


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公開になったとき、この映画を観なかったのはタイトルのせい:les Délices de Tokyo/東京の美味。グルメ映画みたいじゃない。
フランスでは今年1月末に封切りになり、けっこうヒットした。「見逃した!」と思ったときはもう遅く、映画館から消えていた。

大した新作のない8月、ヌーベル・オデオンという小さな映画館でかかってる。夫は昼寝してるし、友達はみんなバカンス、オリンピック中継にかじりついている娘を誘うと、意外なことに『行く行く!』

『あん/les délices de Tokyo』

封切り当時、予告編(日本のより短い、前半だけ)を観て、永瀬正敏が、樹木希林のお陰で餡子作りのプロになる話かと思ったら、もっともっと深いお話。それぞれ違う理由から、社会の“日陰”で生きる2人の出会い。その言動の、限りない優しさとは対照的な苦悩を背負う徳江、言葉を選びながらゆっくりしたしゃべり方、樹木希林がすごくいい。映画自体のゆっくりしたテンポ、ゆっくりだけどのろくはない。表情を探り、風景で止まる、河瀬直美のテンポ。観てよかった。

18時すぎに映画館から出ると、まだ日差しが強く30度。
「アイライン落ちてるよ、泣くから・・・」と娘。
「自称ウォータープルーフなのにいい加減!」
またどこかでデモをやってるらしくバスがないので歩いて帰る。
今日は、Assomption(聖母被昇天)の祝日。聖母マリアは処女でイエスを産み、魂と肉体を伴って(つまり生きたまま?)天国に召されたという大変な人物だ。その被昇天を祝う日、なのにサン・ミッシェル通りのお店は軒並み開いている。

近年、とみにグレードアップしている元ローコスト・ランジェリーブランド、Etamでブラジャーを試着、しただけで買わず、

エタム、ランジェリー

「あの行列はなに?」
サン・ルイ島のベルティヨンでアイスクリームを買い、

ベルティヨン、アイスクリーム

パリは、歩ける距離は歩くのが一番面白い。道草ばっかり。1駅でもバスを待つ夫とはこういうことはできない。

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娘2人を学校に迎えに行き、うちに帰りつくと、宿題、お風呂、晩ごはん、お話を読んで寝かせるまで、マリーの夕刻は慌ただしい(子供が小さかった頃、私もこうだった!)夕食の支度をしながら、宿題のノートを広げさせたとこへ、奥からのっそり現れる父親のボリス。マリーの表情が強張る。
「何してるの?」
「早く帰ったから・・・」
「今日は私の番よ。約束は守って」
この夫婦、別れることになっているけど事情があって、同じ屋根の下に住んでいることが、この最初のシーンでわかる。

映画『Economie du couple』

事情とは、他所にアパルトマンを借りるお金がボリスにはないこと。今、4人が住むこのアパルトマンはマリーが買ったものだ。
でも大掛かりな改装工事をやったのはボリスなので、
「改装して家の価値が上がったから、見積額の50%を払ってくれたら出ていく」
「あなたは一銭も出していないのに、そんなに払えない」
そこから『l'Economie du couple/このカップルの経済』という味もそっけもないタイトル。もう少しマシなタイトルにできなかったものか?
2人の口論はいつも平行線。愛情が冷めた上、お金が絡むと最悪だ。
その上2人の娘(双子)。彼女たちは口論が絶えない両親を心配し、動揺し、“聞き分けが悪い”ことでそれを表現する(父親と一緒のときは『ママンに会いたい!』、逆も同じ)

映画『Economie du couple』

映画『Economie du couple』

会話がすごくリアルで、観ているほうがしんどくなる。身につまされる。別れる予定があるわけではないけど、夫婦喧嘩のメカニズムは一緒だ。長年一緒に暮らした2人は、どうしたら相手を傷つけるかよく知っている。

不況のせいで、別れたいけど一緒に住んでいるカップルが増えている現実を描いた作品。無理して一緒にいると、少し残っていた愛情やいい思い出まで台無しにしてしまう。何より子供が被害者だ。

監督のジョアキム・ラフォースはベルギー人。前作は、孤児を助けるためにソマリアにやってきたNGOグループの話『Les chevaliers blancs/白い騎士たち』(2015)だった。

余談ですが、ベレニス・ベジョの服装-シンプルな白いシャツや紺のプルオーヴァー-に注目。白いシャツって難しいのに、とても素敵。

l'Economie du couple
ジョアキム・ラフォース監督作品
主演:べレニス・べジョ、セドリック・カン、マルト・ケラー
1時間40分
フランスで公開中

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鼻にピアス ?!

娘が、鼻の穴と穴の間に穴を開けてワッカをつけたいと言い出した。セプタムと呼ばれているヤツ。
「牛みたいじゃない」
「ひどい!可愛いんだから・・・ホラ」
とFKA twigsの写真を見せる。ファンで、パリのコンサートにも行った。

FKAツイッグス

「全然危なくないし、アタシに似合うと思うけど」
と、娘は小さなワッカを鼻につけて見せる。確かに似合わないことはないけど、やっぱり牛みたいだ。
「私は反対」
「なぜ?」(子供の“なぜ?”は要注意。考えて答えないと突っ込まれる)
「鼻のピアスは、耳たぶよりずっとスタイルの主張があるでしょ、先住民スタイルだかネオヒッピーだか知らないけど。それに軟骨に穴を開けるのはやっぱり怖い。鼻が変形したらどうするの?」
「・・・・」
議論はそこで終わったが、どうしてもやりたければ隠れてやるだろうね、ヤレヤレ・・・

翌日、娘が突然
「やめたわ」
「?」
「鼻ピアス。ポーリーヌ(友達)が、親の反対を押し切って鼻ピアスをやっちゃったら、それ以来、母親は彼女の鼻しか見ないんだって。強迫観念みたいに。それで母親との関係が悪くなっちゃったって。だからやめた」
「あ、そう」と私はまじまじと娘を見た。
骨に穴開けるのが怖い、とか、自分のスタイルに合うかどうか?が問題ではなくて。この子は、親との関係が悪くならないほうがいいと思ってるんだ。お見それしました。
子供との付き合いは、こういう嬉しい驚きと不測の驚きの繰り返し。

数日後、娘宛に小包が届いた。「ネットで買った」という鼻ワッカが3つ。
「ね、似合うでしょ?」
髪を三つ編みにすると、確かに似合う。認めない訳にはいかない。
「見かけは全く同じじゃない。痛い思いして穴を開ける必要がどこにある?」
「まぁそうだね」
鼻ピアスは今のところ一件落着、次は・・・タトゥーかな?

『ワカメちゃんがパリに住み続ける理由』のKindle版がでました。大幅に書き下ろしていますので、ブログを読んでくださっている方も是非!よろしくお願いします。


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8月の長い週末:ベルリン VS パリ

その大きさ:ベルリンは、どこまで行っても、“ここは郊外に違いない”という風景になっても、まだ市内だ。パリの8倍の面積、と聞いて納得。東京がパリの7倍と言われるから、初めて負けた。

メトロ&電車:改札というものがない!駅構内に入り、そのまますーっと電車に乗れてしまう。みんな月間とか年間パスを持っているってこと。持っていなくても乗れるから、それだけ無賃乗車が少ないってこと?信頼関係の国・・日本みたい。
パリでこれができるだろうか?パリ郊外でバスに乗ってチケットを買おうとしたら、運転手さんにびっくりされたことがあった。
旅行者は一日か一週間の周遊券を買い、最初にのるときタイムレコーダーで日時を入れる。グルグル回っているRingという線があって、右回りか左回りか確かめて乗らなくては。山手線のベルリン版。

道中ビール:ビール瓶を持ってメトロ&電車に乗ってくる人が多い。特に若い男子。時々一口ずつ飲んでいる。ぬるくなって美味しくないだろうに。余計な心配。彼らはアルコール依存症ではなく-確かにそうは見えない健康的な若者たち-“道中のビール”という習慣なんだって。酔いつぶれている人はひとりもいなかった。

電車で出会ったバチェロレットパーティ(独身さよならパーティ)の一行。ポンッとシャンパンを開けて飲んでいた。結婚するのは誰だ?
ベルリン電車

自転車:歩道に自転車レーンがあり、かなりのスピードで自転車がぶっ飛んでくる。よく見ると、地面に自転車の絵、でも慣れないと危ない。2度、危うく正面衝突しそうになった。

信号:ドイツ人は信号を守る。車が来ないんで赤で渡ろうとしたら、隣にいたおじさんに叱られた。よく考えると、こっちがふつうであった。

食べ物:ドイツと言えばソーセージ、シュークルート・・・夫は以前来たとき(壁ができる以前)の思い出、ヴァイスヴルストというソーセージを食べたいとうわ言のように言っていたけど、ドイツ料理のお店はどこにもない。イタリアン、フレンチ、メキシカン、日本、中華、オーストラリアン(カンガルーのステーキ!)、アルゼンチン(肉料理)、ギリシャ・・・となんでもあるのに、ドイツだけない。仕方なく私たちはイタリアンとか中華を食べた。食費はパリに比べて安い。一皿の量が1.5~2倍くらいある。

失われたソーセージを求めて。見かけはブーダンブランに似ているヴァイスヴルスト。

ドイツ ソーセージ


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8月の長い週末:ベルリンの壁

着いた日の午後、さっそく壁の残りを見に行く。
ベルリンにはS(電車)とU(メトロ)が走っている上、トラムウェイとバス。一日何でも乗り放題券が7ユーロだ。ところが自動販売機はマスターカード(持っていない)とコインしか受け付けない。7x2=14ユーロもコインはないよ。自動販売機の前に並んだ旅行者たちもみんな必死でコイン探し。仕方なく駅から出て、近くのサンドイッチ屋でミネラルウォーターを買い、コインをゲット・・・このコイン争奪戦、去年の夏もやらなかったっけ?あれはクロアチア、ここはドイツの首都ではないか、メルケルさん・・・

Nordbahnhof(ノルドバーンホフ)という駅を降りると、見物人もあまりいない、寂しい風景の中に壁の名残り。
歴史的建造物になっている。
ベルリンの壁

ベルリンの壁

その前にある“壁メモリアル”でフィルムを観た。1961年、東ドイツによる壁造りの映像から始まって・・・でも説明がドイツ語なので全然わからん。夫は自分が観るのに夢中で訳してくれない。仕方ないから映像だけ。東と西の境界ゾーン、No man’s land(無人地帯)の見張り台では始終、兵士が見張っていて、誰かが壁に触ろうものなら、すぐトラックが駆けつける。1989年の崩壊まで、愚かで悲しい歴史の一コマ。
「東から西に亡命しようとした約1600人が殺されたんだって」最後に夫が訳してくれたのはこれだけ。後でウィキペディアを見ると、「射殺されたのは192人で以外と少ない」。後者を信じたほうがよさそうだ。この国では全く”Lost in translation”・・・

この後に行った、ベルリンのあちこちに壁の記憶が残っていた。
お土産物屋で壁のかけらが売られていた。なんの変哲もない2㎝四方のセメントが4.5ユーロ。すでに壁の4倍に当たる“かけら”が売られたとか!しかも《made in China》・・・買わなくて正解だった。

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8月の長い週末:ベルリン

息子と娘がそれぞれ友達と滞在して、大好きになったという街、ベルリンを、
私は「壁のある時しか知らない」
夫は「壁のできる前に行った」
子供たちは、まるで紀元前の生き物に出会ったような顔をした。
そこで壁が崩れた後のベルリンへ。進化した生き物になるために。

パリから1時間15分。正午にTegel空港に着いた。ヨーロッパ一の経済大国首都の大空港を想像していた私はちょっとびっくり。

ベルリン空港2

寒い上に雨が降りだして、いつも南へ南へと行きたがる私が、北の都市に来たんだわ・・・そこへ、借りたAirb&bのオーナーから電話。カギの受け渡しを心配していたところだ。なかなかちゃんとしている。
「今、着いたとこです」(英語)
「じゃアパートメントに着くのは1時半くらいだね。カギを〇〇の中に入れておくから」
〇〇は”セーフ”のように聞こえるけど、セーフって何だ?聞き返すと、同じ言葉を繰り返し、
「誰か英語の話せる人はいないの?」
「!?」私が話したのは何語だっていうの?
突然、夫がドイツ語を話すのを思い出し、電話を押し付ける。彼は流暢なドイツ語でけっこう長く会話していた。
「何の中だって?」
「わからん」
「・・・・」
ま、行ってみればわかるだろう、とバスとメトロを乗り継いで、アパートメントにたどり着いた。
扉の前には、よくある隠し場所の植木鉢もないし、電話して聞くしかない、と言っていると、隣のお店のおばさんが、柱の陰に隠れている黒い箱を指さす。その箱を彼らは”safe”と呼んでいるのだ。そのとき、SMSで4桁のコード番号が送られてきた。コードを押すと、魔法のように箱がパカッと開き、中にカギが入っている。スパイ映画みたい!

興奮して中に入ると、コミュニスト時代の建物によくある、広くて殺風景なホールだ。なるほど、この地区は元東ベルリン。

アパートメントのサロン、明るい。

ベルリンAirb&b

真っ白な寝室。

ベルリンAirb&b

広くて清潔で、ロケーションもいい。一泊90ユーロ。欠点は、鎧戸がないので朝6時に目が覚めること・・・

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完璧に間違っている?テロ対策

テロ対策についての、Richard Rechtmanという人の意見が面白い、と聞いた。
リシャール・レクトマン?精神科医で人類学者。知らなかったけど、私が知らなかっただけかも。
「政府やメディアの態度は、ISの策略に貢献している」というタイトルだ。

「テロリストの目的は、カオスを起こして社会を分裂させることだ。そのために彼らは大規模な“広告宣伝”が必要だが、ネットワークはあるものの、欧米の宣伝力は持ち合わせていない。自分たちの犯罪、大量殺人を世界に宣伝するため、ダーイシュ(IS)は、欧米のメディア力が必要だ。それは新たな兵士のリクルートに繋がる・・・」

ニース、サンテティエンヌ教会のテロの直後、ニュースの大半はそれに割かれた。ニュースチャンネルFrance Infoは“特別番組”と称して、テロのことしか報道しなかった。今でも、 犯人の名前や、生い立ちや、どうやって過激派になったかを一日中報じている。

“社会を分裂”は、すでに目的を果たしている。与党・野党は責任のなすり合いばかり、教会テロの後、フランス人のムスリムに対する懐疑心は高まっている。多くのふつうのムスリムはいい迷惑だ。

つまり、欧米のメディアと政治家がしていることは、まさにダーイシュの思うつぼってこと。彼らの思惑通り対立し、世界中に宣伝してあげているということだ。戦士たちは、負のヒーローとして世界的有名人になっている。

ではどうすればいいかというと、
「ISの兵士たちは、無名で死に、完全に忘れられる、ということを、声を大にして言わなくてはいけない。“名誉の死を遂げたヒーローになる”という志願者たちの期待を打ち破らなくてはいけない」
卑劣な無名の犯罪者として忘れ去られれれば、志願者たちも「?」と立ち止まるだろう。

では、なぜ政治家たちはこの策を取らなかったのか?
「彼らは、ISの危険がどこに存在するのか掴めなかったから。今でも、殺人者たちの過去やモチベーションを理解すれば、テロが防げると思っている。事態はもっと複雑。
殺人者が、今日の社会問題の産物だ、と思うのは大きな間違いだ。ISの呼びかけに応えて発っていく人たちは、あらゆる地区に住み、以前からの信奉者もいれば、急速になった人もいるし、精神的に不安定な人も安定している人もいる。最小の手段で最大限の殺戮をし、自分も死ぬ。その代償として『1週間、メディアで名誉あるヒーローとして扱われる』という条件に応じた人たちだ」
言われてみると、なるほど!と思う。どうしてそんなことに気づかなかったんだろう?

でも一方で、政府とメディアが突然態度を変えて、犯人のことを一切報道しない、名前すら明かさない、なんて可能だろうか?難しい・・・

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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