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香りは2秒で人を魅惑できる

12月末にオープンしたGrand Musee du Parfum/香水大博物館に行きたいと思いつつ延び延びになっていた。
友人の調香師、新間美也さんに「もう行っちゃった?」と聞いたら、ラッキーに「まだ」で一緒に行くことに。

パリ香水大博物館/Grand musee du parfum

地階の[香水の歴史]はイマイチ。古代エジプトまで遡るので、範囲が広すぎて一貫性がない。まぁ、言うは易しだけど。

パリ香水大博物館/Grand musee du parfum

嗅覚や調香についての上のフロアは面白い。調香師のことをフランス語ではnezというくらいだから、美也さんは鼻が鋭く、私が「何の匂いをしない」香りを嗅ぎ充てる。
象の嗅覚は人間の5倍、犬は2倍とか。フランス語で記憶力のいい人のことを“象の記憶力”というけど、見かけによらず五感の鋭い動物らしい。
香り当てクイズも美也さんのをカンニングして全問正解。賞品は何も出なかったけど。

匂いを嗅いで・・・

パリ香水大博物館/Grand musee du parfum

こちらに回答

パリ香水大博物館/Grand musee du parfum

調香師のインタビューの中で、ジャン=クロード・エレナ氏(エルメス、ブルガリ、フレデリック・マルなどの香水を多数作った)が、
「香りは2秒で人を魅惑することができる、言葉は2秒で何も伝えられない」というようなことを言っていて「ほーなるほど」
香りの瞬発力・・・香水選びを考え直さねば。

あっと言う間に2時間が経ち、閉館時間。私たちは追い出されるように博物館を出た。
五感の中で二の次にされがちな嗅覚は、場所や人の記憶を呼びこす感覚だった、と再認識。
一昔前、パリに着いたときの“匂い”はメトロの匂い。当時は禁煙じゃなかったので、タバコと過熱されたレールの匂い、決して嫌な匂いではなかった。
最初、サン・シュルピスの屋根裏に住んでいて、サン・シュルピス通りにあったBeauté Divine(神々しい美しさ)というお店を時々覗いた。薄暗い店内に、ごちゃごちゃとアンティークのオブジェや香水瓶なんかが並んでいて、タンスに入れるビーズの香料が気に入って買った。微妙で特徴のあるその香りが、パリのイメージになった。
今はお店もなくなり、メトロは禁煙になったけど、“メトロとビーズ”の匂いに出会えば、30年前に引き戻されそうだ。

メトロと言えば、10年以上前、RATPが[サンジェルマン・デ・プレ][モンパルナス][オペラ]などメトロの名をつけた香水(!)をRATPブティックで売り出した。でもその頃すでに“メトロは臭い”という先入観だか事実が行き渡っていて「え?シャトレ駅の匂い?そんなのやだー」と人気が出ず消えてしまった。無理もない。

香水大博物館の情報はこちらをどうぞ。


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田舎の日曜日

シャンパーニュ地方の小さな駅に着くと、憲兵が5人、出口に並んでいた。やだ、身分証明書を忘れてきた、と一瞬ビビったけど、私は完全無視された。少し離れて観察していると、“白人男性”が調べられている。
一足先に田舎に着いていた夫が迎えに来た。憲兵の話をすると、
「囚人の脱走だろ」
10㎞離れた村にある刑務所から、時々脱走するんだそうだ。
物騒な話をよそに、のどかな風景。木はまだ裸だけど、春の色。

Spoy、田舎の春

庭仕事を始めた夫に「手伝おうか?」
私は“緑の手”を持っていないので断られると期待したら、
「じゃ、枯れてる枝を半分に切って」

Spoy、田舎の春

「枯れてる枝って全部枯れてるじゃない」
「今に蘇る」
ホントかね。手袋をし、長靴に履き替え、携帯の音楽をつけて切り始める。
「これ、コスモスじゃなかった?」
「知らない」
男たちが、バラ以外の花の名前を知らないのは何処も同じ。

切ったぜ!

Spoy、田舎の春

枯れ枝の中に隠れていた・・・

Spoy、田舎の春

次はリンゴの木。

Spoy、田舎の春

「枝の、三つ目の芽まで残して切って」
「ミッツメノメ?せっかく伸びたのに可愛そう・・・」
「切らないと葉ばっかりで実が生らないんだ」
と言われて心を鬼にして全部切った。
庭のリンゴは見かけは不細工で、甘みの少ない“営業用”じゃない味。
夫が子供の頃はもっと盛大にリンゴの木があって、義父はシードルを作っていたそうだ。

私が切ったんだから沢山実をつけてくれ!

Spoy、田舎の春


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重くて激しい『沈黙』

日本より3週間遅れで封切りになったマーティン・スコセッシの『Silence/沈黙-サイレンス-』

スコセッシ『沈黙-サイレンス-』

1633年.ポルトガルの宣教師、ロドリゲスとガルペは、彼らの師であるフェレイラ神父を探しに日本に旅立つ。キリスト教を布教するために日本に滞在したフェレイラ神父が、棄教したという噂を2人は信じられない。
密かに九州の村に辿りついた2人は、隠れキリシタンに匿われ、彼らがヒステリックなほどに告解と罪の許しを請うのに驚く。

スコセッシ『沈黙-サイレンス-』

そして踏み絵を拒んだ信者たちが拷問のあげく死んでいくのを目のあたりにする。
これらの死は無駄ではないのか?神は彼らの叫びを聞かれたのか?これほど苦しんだ人々を前に神はなぜ沈黙しているのか?
揺らぐ信仰に必死でしがみつくロドリゲス。彼も捕らえられ、檻に放り込まれる。

スコセッシ『沈黙-サイレンス-』
photos:allociné

日本政府にとって2人のしていることは、布教というより“植民地開拓”なのだ。既に確立している仏教を、他の宗教に取り替えようとしている狂信者なのだ。
『日本には偉大な自然以外存在しない。人間を超越するものはないのだ。キリスト教の神の概念は、日本人には理解できない』とロドリゲスはやがて気づく・・・

この映画、キリシタンの拷問や処刑のシーンがかなりショッキング。踏み絵は歴史の教科書にあったと思うけど、こんな残虐なことをしていたんだ、と。
でも考えるとユグノー戦争などヨーロッパの宗教戦争でも多くの人が虐殺されている。終わりなきパレスチナ問題、今日では、イスラム教の名のもとに殺戮を続けるジハードたち。宗教をめぐる戦いは過激だ。

スコセッシはこの作品で善悪の判断を示さず、日本人をカリカチュアもしない。
私は日本で僅か1%と言われるクリスチャンの家庭で育った。特に熱心だったおばあちゃんがこの映画を観たら何と言うだろう?
結局、信仰は自分の中にあるもの、踏み絵を踏んでも、信仰を変えることはできない、という気がした。

登場人物の中で、井上筑後守(イッセー尾形)が特に光っていた。狡猾で、ユーモアがあり、憎めない。夫もさかんに『あの俳優はすごい!』。イッセー尾形さんは『意地悪ばあさん』などテレビドラマに出演していて『長谷川町子物語』では、私が生まれる前に亡くなった祖父の勇吉役。私は見てないけど、なんか親近感。

Silence
マーティン・スコセッシ監督作品
主演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、リーアム・ニーソン、イッセー尾形、浅野忠信、窪塚洋介
2時間40分
フランスで上映中

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“オープンスペース”のオフィスは珍しくなくなった。私もやった。仕切りのないスペースを3つの(小さな)会社が共有していた。
最近の新傾向はオフィスに“自分の机がない”。大きいスペースに机が並んでいて、一番早く来た人が好きな机を獲得する。
Danone、AXA(保険会社)、Bouyguesなど大企業がこのシステムを導入していて、日本にも支社があるSanofi/サノフィの例がラジオでレポートされていた。
パリ郊外にあるモダンな新本社ビル。

Sanofi/サノフィの本社ビル

社員は毎朝、自分のロッカーに入れておいたパソコンや書類を抱え、机取りに奔走する。遅く来た人は空いている机がなくて、カフェテリアに行ったり、うちに帰ったり(!)。上司も平社員も研修生も同じ条件。

Sanofi/サノフィの本社ビル

なぜそんなことをするのかと言うと、
メリットその1:場所の節約
“出張や休暇や外回りで、通常60%のポストしか使われていない”という現状が発想の源。これはスペースの無駄である、とサノフィでは10人につき8つの机しか置かず、節約したスペースは他の用途に使われる。大コンサルティング会社accentureに至っては4000人に1000の机、しかない。
「毎朝、プールみたいにロッカーに取りに行って、自分の場所をゲットするのに10分はかかる」とサノフィ社員のひとり。帰る時も机には何ひとつ残してはいけない。飛ぶ鳥、跡を残さず・・・
メリットその2:協調精神を養う(フランス人は個人主義だからね)。
メリットその3:順応性を培う。

こちらはaccentureのオフィス。人に聞かれたくない電話の時はこの箱に入る!

accenture_dans_une_bulle_de_confidentialite.jpg
photo: radio france

外回りの多い社員や若い社員はこのシステムを面白がる。
「ヒエラルキーが薄れて、話しやすくなる。敷居の高かった上司が隣に座ってたり、他の課の人から思いがけないアドバイスをもらえることもある」
「集中できない」「落ち着かない」と愚痴るのは外に出ない社員と年配。ほら、フランス人ってオフィスに子供の写真とか絵を飾ってカスタマイズするのが好きでしょ。それもできないってこと。
会議室も同様で早い者勝ち。なのでコートやカバンを置く“お取り置き”テクを使う人も。
「取るか取られるかの緊張感、領土争いの西部劇の中にいるみたいだ」と社員。
確かにプラスαのストレスになる、と労働基準監督官は警告しているとか。早い者勝ちだから、より早く出勤しようという、という傾向はないみたい。そこまでして机取らなくても・・・ということらしい。


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床の穴、眠れぬ夜

金塊はなかったけど、より現実的な希望は残っている:ここにマンホールがあるんで床を壊さなくてもいいのでは?
「それはワタシラにはわかんない」と建具屋さん。ごもっとも。
後でマンホールを見に来た工事主任は、いや、やっぱり床を壊さないとダメだね、とすげないお返事。2つ目の希望もはかなく消えた。
間もなく、ドリルの騒音とともに床壊しが始まる。音だけじゃなく、埃もすごかったわね。周囲の家具や本は巨大ビニールの覆いがかけられ、工事の人たちはマスクをしていたけど、してないこっちはゴホゴホ。台所まで薄っすらと埃で覆われた。

・・・音が鎮まったときは、こういうことになっていた。

travaux.jpg

その夜。どこからかカサカサ、シューシューという音。夫のイビキじゃない。
気のせい?いや聞こえる。発信地はどこ?・・・と考えるうち恐ろしい事実に気がついた:うちの中に開けられた穴は、中庭の穴と繋がっている。外にドブネズミが出たからには、同じ道を通って、より暖かく食べ物の匂いがするうちの方にやってくるのではないか?ネズミの身になって考えればいかにもやりそう・・・鳥肌が立ってくる。
唯一の安心材料は足元に寝ているタマが反応しないこと。リュリュが興奮して走り回っている気配もない。
私は階下に降りる勇気もなく、ネズミは階段を上がってはこないだろう、食べ物は台所だし。もし出たらタマとリュリュが何とかするだろう・・・と言い聞かせながら、そのうち眠ってしまった。

翌朝、職人さんたちに「ネズミに出会いませんでした?」
「 ??」
「中庭を掘り返したとき、2匹も出たんですよ、このくらいのドブネズミ」と私は両手を30㎝くらいに広げる。
職人さんたちはゲラゲラ笑いだし( ?!)、
「マダム、そりゃネズミじゃなくてウサギじゃないですか?ゲラゲラ」
「マジで、ほんとにいなかった?」
「マジでいなかったね」
ああ、今夜は安らかに眠れる。


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20年間知らなかった床下の上げ蓋

私たちが住んでいるのは1世紀前の建物。さすがに水道管が古くなって取り替えることになり、中庭を掘り返し始めたのが4月。
深さ2m弱、ちょうど棺桶2つ分くらいの長さの穴ができ、その上に板が渡された。住民や自転車が通る度にかなり大きな音がする、のはまだいいけど、穴からドブネズミが2匹出てきて、敷板の上をウロウロし、私と娘は外に出られなくなった。

そのうち、水道管の続きはうちのアパルトマン(地上階)を横切っていて、なんと!うちの中を掘り返さなければ工事が進められないことがわかった。
「つまり、床板をはがして穴を掘るってことですか ?」
「はぁ、つまりそういうことに」と工事主任。
はがすのはちょうどテレビの前。
工事中は1週間続き(つまいテレビは観れなくなり)、1日か2日水が使えなくなり、工事の人が出入りするのでドアは一日開いているので、誰かがいなくてはいけない( !?)。
工事には、配管工、水道管の技術会社、床板を剥がす建具屋も必要で、みんなの都合が合うのが難しく、グズグズするうちバカンスになり、じゃ新学期にしましょうということになった。

9月になったら、今度はみんなが立て込んで延び延びになり、そのうち諸聖人の休み(秋休み)に入り・・・。板の上を行き来する音が「ゾウの群れが通るみたい」にうるさいと娘がキレ、工事が進まないのはうちのせいみたいに言われる、と夫と私がキレ、そのうち12月になり、クリスマスが近づくと全員都合が悪くなり、工事中途で年を越すことに。

1月。永久にこのままなんじゃない?と私が絶望する頃、それを聞きつけたようにバタバタと決まり、2月に入ってすぐの早朝、けたたましい音を立てて床板がはがされた。
「こんなとこに上げ蓋が!」と職人さん。
あら、ほんと。床下にマンホールがあるなんて20年住んでて知らなかった。まあ、床板を剥がす趣味はないから知る由もない。
「金塊かも・・・」と夫。
「その場合、見つけた人と家の所有者が折半ですから」
あんた、マジ?
「あれ、国が取っちゃうじゃなかったっけ?」と建具屋さん。
「でも先住の家主の先祖が隠したのなら・・・」と私。
建具屋さんは「よござんすか?」という顔で私たちを見て、エイッと蓋を上げると・・・水道管の一部が通っているだけだった。
一瞬の希望は儚く・・・

trappe1.jpg

建具屋さんが帰ると、さっそく猫たちが偵察に駆けつける。

trappe2.jpg

続きは次回!

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大統領はこの中のひとり

火曜日にフィヨンは記者会見をして、自分は法に触れることは何もしていない。自分を失墜させようとする陰謀の犠牲者である。しかし今回、国民は政治家が家族を雇うのを評価しないとわかった。そのことは国民にお詫びしたい(問題になっているのは家族を雇うことではなく、マダム・フィヨンが本当に仕事をしたか、だ)。大統領候補を降りるつもりはない。私は国民大多数の支持を得て選ばれたので裏切ることはできない・・・という主旨の演説をした。

でも支持率落下を食い止めることはできない。
翌日トロアに選挙運動に赴き、ブーイングで迎えられた。安い給料で毎日あくせく働いている人たちは、政治家の立場を利用して家族を富ませていたのが我慢できない。
他の政治家に比べて、フィヨンがクリーンで公明正大をウリにしていただけに。

8日に行われた「第一次選挙で誰に投票するか?」のアンケート調査で、マリーヌ・ルペン、エマニュエル・マクロンに抜かれてた。

フランスの次期大統領はこの中のひとり
ルペン25%、マクロン22%、フィヨン20%、国民全員に毎月500ユーロのアモン15%
でも二次選挙で「マリーヌ・ルペンは敗れる」が大多数:マクロンに負ける(34%)、フィヨンに負ける(38%)。
お父さんのジャン=マリーはシラクに負けたし。私もこのアンケート結果を信じたい。

第一次選挙(4/23)まで10週間あるから、フィヨンの巻き返しなるか?(右派の政治家は左派ほどクリーンさが重要視されない。政治家は灰色でいいみたい) マクロンが更に伸びるか?

そのマクロン、Radio France社長のマチュー・ギャレが恋人で二重生活を送っている、という噂を立てられ、
「私は妻とずっと一緒に暮らしている。もしレストランやクラブで私とマチュー・ギャレを見たのなら、それは私のホログラムだ」

radio-france-mathieu-gallet.jpg

マチュー・ギャレは独身、マクロンは24歳年上の元高校教師と結婚している。2人ともけっこう美男だし、ゴシップが生まれる好条件だったってこと。


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まずララランド。
久々のライアン・ゴスリング、ゴールデン・グローブ賞を独り占め(7部門)で、前評判がすごかった。
封切りの週は、映画館の前に長蛇の列で諦め、翌週の夜、めでたく観れた。
舞台はロサンジェルス。女優志願のミアはオーデションの合間、カフェで働く。
冴えないクラブでピアノを弾くセバスティアン、彼の夢は本物のジャズクラブを開くこと。
それぞれ情熱を持つ2人が出会い、愛し合う。でも彼らの現実は夢とは遠いものだった。

ラ・ラ・ランド

ライアン・ゴスリングは相変わらずカッコよく、エマ・ストーンの目は相変わらず普通サイズの2倍だった。
セリフも全部歌っちゃうミュージカルは苦手だけど、これは普通に話して、時々歌い踊り出すパターン。

ラ・ラ・ランド

音楽はというと、オリジナルより、セバスティアンの弾くジャズがよかった。音楽&ダンス&キャストの魅力のエンターテイメントで、批評が悪くても観ただろうけど、賞を総舐めにするほどかな、と。ゴールデン・グローブの最優秀シナリオ賞もとっているけど、作品の3/4はもう何回も観たようなストーリーだ。
でも批評、前評判が良すぎたので、普段こういう映画を観ない人も来ていて、私の近くに座っていたおばあさんは後半で「なんて長いんでしょう!」 全然好みじゃなかったみたい。

監督のデイミアン・チャゼル監督は『セッション/Whiplash』(ドラム教師と生徒の殆どサドマゾの練習)で有名になった。この監督、フランスではダミアン・シャゼルと発音され、ゴールデン・グローブではまるでフランス人が受賞したみたいに騒ぐんで、フランス人なのかと思ったら、父親が仏米ハーフというだけだった。まったく・・・

日本では去年公開になった『ブルーに生まれて』。50年代のジャズ・トランペット奏者、チェット・ベーカーの人生の一コマを描いた作品は、上映館も少なく、長蛇の列もなかったけど、すごくよかった。

ブルーに生まれついて
photos:allociné

自伝映画の撮影中、チェット・ベーカーは駐車場で滅多打ちに殴られる。借金があったディーラーの仕業。チェットはヘロイン所持でムショの出入りを繰り返していた。
顎や歯を打ち砕かれ、撮影は中止。どころか、再びトランペットを吹けるだろうか?絶望するチェットを、撮影で知り合い愛し合うようになったジェーンは励まし、立ち上がらせようとする。でも、ヤクと手を切ることも、プロデューサーの信頼を取り戻すのも難しかった。

ジャズは特に好きなジャンルではないけど、チェットのトランペットは熱く切なく、演じるイーサン・ホークは限りなくセクシー。そして彼の才能と人生を滅茶苦茶にしたドラッグの怖さ。この作品は絶対2度目観るだろうな。

La La Land/ラ・ラ・ランド
デイミアン・チャゼル監督作品
主演:エマ・ストーン、ライアン・ゴスリング
2時間8分
あちこちで上映中。日本では2月24日公開
ロバート・バッドロー監督作品

Born to be bleu/ブルーに生まれついて

主演:イーサン・ホーク、カルメン・イジョゴ
1時間37分

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大統領選3か月前というタイミングにスキャンダルが出てきたのは、誰かが告発したからだ。
フィヨンも「これは左派の陰謀だ」「自分を陥れるための中傷だ」「クーデタだ」と騒いでいるけど、犯人を“左派”というのは、自分の陣営のせいにはできないからじゃない?

右派予備選挙のフィヨン圧倒勝利で、一番傷ついたのは誰?
ニコラ・サルコジだ。
“大統領の私が決断したことを実践していただけ”のフィヨンに負けるなんて。
候補者テレビ討論でのフィヨンの一撃「ポンピドー元大統領が、警察の取り調べを受けるなんて想像できない」(サルコジは選挙資金粉飾のなどいくつかの容疑で取り調べを受けている)も飲み下せない。
・・・ので、サルコジ派の逆襲、ありそうだ。じゃ誰?
ラシダ・ダチが怪しい。
サルコジお気に入りの元法相、パリ7区の区長は、フィヨンとは犬猿の仲。
「外見にはつい騙されるものだ。経費と協力者についてフィヨンは透明だろうか」と2014年にツィートしている。
TVのニュース番組で、「垂れ込んだのはあなたですか?」という直球の質問に笑い出し、
「言いたいことがあったら直接言う。そういう真似はしない」

ラシダ・ダチ 垂れ込んだのは彼女?

最近ボトックスして顔が変わったダチは、執念深くアグレッシブ。ますますありそうだ。

一方、フィヨンの失墜で誰が得をするか?
極右マリーヌ・ルペンと“左派でも右派でもない”エマニュエル・マクロン。
現に後者は、土曜日の支持者ミーティングで1万4000人を集め、会場に入れない人がたくさん出る大盛況だった。
インタビューされた参加者のひとりは「フィヨンがあんなことになったから、マクロンに投票する」
でもいまのところ、ルペンもマクロンもタレコミの疑いはかけられていない。

どっちにせよ、左派はバラバラだし、右派はフィヨンの代わりに誰か候補者を立てなくてはいけない。アラン・ジュッペはピンチヒッターはイヤだというし、大統領の器が他にいない。
フランス政治界は対外的にも自慢できる状態ではなくなっている。困ったことです・・・


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奥さんペネロープに50万ユーロを超える架空人件費を払っていたことが暴かれたフィヨン。
翌日TF1の20時のニュースに登場し、
「妻は、常に私のために働いてきた。彼女の協力なしに今日の私はありえない」
「弁護士である私の子供たちに仕事を頼み、報酬を払ったこともある」
「なぜこのスキャンダルが選挙の3か月前に炸裂するのか?」
「妻が架空雇用だったというメディアを告訴する」
「私の潔癖を司法の前で証明する」
・・・と熱く抗弁した、つもりが墓穴を掘る結果に:フィヨンが“仕事を頼んだ”という2005-2007年、2人の子供はまだ弁護士になっていなかったのだ。すぐにバレることなのに、どうして?

更にカナール・アンシェネの2/1号は「マダム・フィヨンに払われた額は実は831.440ユーロだった」
つまり、フィヨンが「最初はボランティアだった」と言った時期も払われていた。
これにマダム・フィヨンの2つ目のお仕事、出版社の報酬10万ユーロ(実際に働いたことを証明できない)+2人の子供に払われた8400ユーロを合計すると100万ユーロを超える。

更に、昨日(2/2)のEnvoyé spécial/特派員(France2のスクープ番組)は、2007年のペネロープ・フィヨンのインタヴューを見つけ出し放映した(このスキャンダルではメディアの速さにびっくり。フランス人もやろうと思えばできるじゃない・・・)
Sunday Telegraphのジャーナリストに、
「夫のアシスタントや、その種のことはやったことがありません。コミュニケーションだってしたことがないの」

ペネロープ・フィヨン インタビュー

番組は21.5%の視聴率で(私も観た)フィヨン夫妻に致命的だった。
政治家が家族を雇うことは禁止されていないし、奥さんや子供がアシスタントはよくあること。フィヨンの場合は、奥さんが実際に仕事をしたか?が実証できないこと。そして桁違いの額。
「お城に住めるわけだ」と夫。
「スーツも全部オーダーだもんね」と私。

ロワール地方、サルトにあるフィヨンのお城

フランソワ・フィヨンのお城


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フランス国民全員に毎月500ユーロ!

大統領選左派予備選挙で選ばれたブノア・アモン。

モト教育相。オランド&ヴァルスの政策に反対して左遷された。
よく見ると、オランド大統領を痩せさせて髭を濃くしたらこうなる?という風貌。

ブノア・アモン 政策

彼の政策で、もっとも論議を呼んでいるのがrevenu universel/万人適用の収入だ。

何それ?
フランス国民全員に、貧富に関わらず、条件なしで、一生一定額を毎月支給する。ブノア・アモンは月額535ユーロを提案。

そのメリットは?
貧困の人たちが最低限の生活費(食・住・医療)を払えるようにするのはもちろん、より自由に、よりプレッシャーなく生活設計ができるようにする。例えば、535ユーロのお陰で週5日のフルタイム勤務から週3日にし、生まれた時間で趣味を伸ばす、子供と遊ぶ、スポーツをする、個人事業をする・・・等々。つまり色々な形での”消費”を伸ばす。
(毎日のように終電で帰り、子供や妻との時間が持てず、だんだん家庭の中に居場所を失い、定年後に何をしたらいいのかわからない、という日本人が少なくないことを考えると、これは悪くないアイディアに思える。同時に、元来働き者の日本人には可能だけど、フランスでやっちゃっていいの?という疑問。)

さらに近い将来に起こるロボット化社会では、みんなに仕事がない状態になる。万人適用収入は、現在の社会保障に取って変わり、合理化する手段である。
(確かに。郵便局の窓口、スーパーのレジは既に機械に取って代わっている。今は笑っちゃうGoogle翻訳も数年後には-文学を除いて-使えるものになる見込み)

反対者は?
万人適用収入は人々を怠け者にするという意見。
この制度は1970年からいろいろな国で試され、その後の調査で、このために仕事をしない、という結果にはなっていない(第一、月500ユーロでは生活できない)。仕事の時間を減らし、他の活動(必ずしも収入につながらない)をしている人が大多数。人間は無為では生きられないことを証明している。
先ほどの「フランスでやっちゃっていいの?」は撤回したほうがいいらしい。

そのお金はどこから?
月535ユーロを国民全員に払うと、1年に20億ユーロかかる(2500億円?)
ブノア・アモンは、これを住居手当、家族手当、最低保証などをフュージョンすること、脱税(年間6~8億ユーロ)を減らすことで調達すると言っている。
フランス語に「Déshabiller Pierre pour habiller Paul/ピエールを脱がせてポールに着せる」という表現があるけど、どっかを削らなくては不可能だ。
コンセプトに説得力はあるけど、実際に6600万人に”着せる”には、”脱がせる”ほうも大変じゃない!

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから20年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書2冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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