Archive

ロシアに行けなくなった訳

「えっ?サンペテルスブルグに行くんじゃなかったの?」と息子。
「それがヴィザのせいでダメになったのよ!」
夫に「自分のヴィザ、ちゃんとやってよ」と言っていたのにグズグズして、いざ申請しようとしたら、ロシアは入国後6カ月有効なパスポートがないとヴィザは取れない、ということが判明。
「ぼくのパスポートは8月に切れるんだよ」
それを聞いて切れるのは私。ヘルシンキに着いて、そこから電車でサンペテルスブルグまで行くという予定で、飛行機やAirB&Bを予約したんじゃない!けっこう時間かかったんだから、とキャンキャン言う私に、
「北欧1週間の旅にすればいいじゃない」と夫は罪の意識がない。

彼は、ロシアに行った旅好き友人から「あの国はガイド&通訳がいないと路頭に迷う」と聞いて、私に「旅行会社に聞いてみてくれる?」
Voyageurs du mondeにサンペテルスブルグ丸三日のガイドの見積もりを頼んだら、ひとり1500ユーロ!
「ガイド&通訳がいないと路頭に迷うって本当ですか?」と聞くと、
「そんなことありませんよ、皆さんナシで行かれてます」と電話の相手は笑う。
そうだろうね、ケチなフランス人がこんな額払うわけがない、と私も却下。

私は怒りながら、チケットのキャンセルや変更をして“ヘルシンキとストックホルムの1週間”にした。
今度は、発つ3日前になって、3つあったキャビン用スーツケースの「2つが壊れて使えない」と夫。出版社をやっている夫は、サロンがある度、重い本を入れて転がしているから“壊した”んじゃない?
出発の前日、レピュブリックにある大きなカバン屋Rayon d’orへ。“軽くて頑丈”と店員さんがお奨めのスーツケースは小(キャビン用)44.9ユーロ、中54.9ユーロ(1週間の旅)。ところが大中小を買うと99ユーロ・・・3つ買うと2つより安くなるシュールな価格設定で、迷わず3つ買った。

「どうやって3つ持って帰ってきたの?!」「入れ子になるのよ、重かったけどね」

スーツケース

ご機嫌な新しいスーツケースを持って、初めての北欧へ!


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




スポンサーサイト

ワインは“私たちを繋ぐもの”

父危篤の知らせを受けて、ジャンはオーストラリアからブルゴーニュの実家に帰ってきた。
ワンマンな父親に反抗して、ワイン造りの実家を飛び出してから10年。妹のジュリエットは再会を喜ぶけど、弟のジェレミーは怒りを隠せない。
「僕たちがあくせくワインを造っている間、どこで何してたんだ?お母さんが亡くなったときも帰ってこないで!」

ジャンの帰りを待っていたかのように父親は亡くなり、若い3人の子供は重大な決断を迫られる:相続税を払うためにはブドウ畑の一部か、家を売らなければならない。

真ん中の俳優は副業(本業?)がブドウ栽培

セドリック・クラピッシュ『Back to Burgundy』

奥から、ジェレミー(フランソワ・シヴィル)、ジャン(ピオ・マルメイ)、ジュリエット(アナ・ジラルドー)の3兄妹

セドリック・クラピッシュ『Back to Burgundy』

大体、3人は家業を継いでいけるのか? ブドウ畑は600万ユーロの価値がある。全部売って新しいことを始める?ジャンはオーストラリアに妻と息子とブドウ畑が待っている。いずれ帰らなくてはならない・・・妹と弟は、ジャンも決して能天気な放浪生活をしていたのではないのを知る。

3人は話し合い、喧嘩になり、気を取り直してまた話し合い、決断は二転三転。
その間にブドウ収穫が始まり、広大なブドウ畑の上で季節が変わっていく。

セドリック・クラピッシュ『Back to Burgundy』

セドリック・クラピッシュの新作『Ce qui nous lie/私たちを繋ぐもの』(lieはワインの滓の意味もあって、かけている)。この作品は日本でかかりそうだ。タイトルは『Back to Burgundy』?

セドリック・クラピッシュ『Back to Burgundy』
photos: allociné

ストーリーが“読めてしまう”嫌いはあるけど、ワイン製造者の価値観がよく描かれている:彼らにとって土地(ワイン畑)は何よりの財産、一等級の畑は何にも代えられない。
シャンパン造りをしていた従弟は、ブドウ畑オーナーの娘と結婚させられそうになり、それを蹴って村のミス・コンテスト(!)で優勝した美人と結婚した。2人の娘が家業を継がなかったのを最後まで悔やんでいた。
クラピッシュは、大勢でワイワイというシーンが上手い。ブドウ収穫が終わった日の打ち上げは、何度か収穫に駆り出された息子が話していた通りだ。
これまでバルセロナやパリの大都会を舞台にした作品が多かったけど、今度は見渡す限りの田舎。クラピッシュの撮るワイン畑の表情は美しく、家族を繋いでいるようだ。
シャンパーニュの田舎の風景を思い出し、3か月前に亡くなった従弟が、映画のお父さんに重なった。

Ce qui bous lie
セドリック・クラピッシュ監督作品
主演:ピオ・マルメイ、アナ・ジラルドー、フランソワ・シヴィル
1時間54分
フランスで公開中


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



進化した?フランス人の衛生観念

パリに住み始めたころ、メトロに乗ってきたオジサンが、持っていたバゲット(裸の!)を無造作に座席に置くのを見て仰天したもんだ。最近はさすがに“不潔は病気感染の原因になりうる”のがわかってきたようで何より。
日曜日に朝市で買うジュルナル・デュ・ディマンシュに「もう、しません!」という記事。ふだん、何気なくやっていることで、これはやめたほうがいいのは:

地面に落ちたおしゃぶりを舐めて洗う
赤ちゃんが落としちゃったおしゃぶりを拾って、舐めて“消毒”して、再び赤ちゃんに与えるお母さんやお父さん(うちの中で落としたときはやったかも。地面に落ちたのを舐めたら、私が病気になるじゃない!)
2013年のスウェーデンの調査によると、「親の唾液と接触することで、赤ちゃんの免疫力が強化される。その結果、アレルギー、喘息などになりにくい。」
一方、フランス小児科団体は「親の呼吸器系ウィルスやヘルペスに感染する危険あり」。どっちが正しい?
結論は、やむ負えないときはやっていいけど(Tシャツなんかで拭くより消毒になる)習慣にしてはダメ。
おしゃぶりを数個持って出かけるとか、チェーンつきのがあるでしょう?

病気になったあと、同じ歯ブラシを使う
歯を磨くたびに、口の中のバイキンが歯ブラシに残るので、流感、風邪、胃腸炎などに罹ったあとは歯ブラシを変えるべき。変えたくない(つまりケチな)人は食器洗い機(一番高温)で洗う。

一日一回以上身体を洗う
水+石鹸は皮膚の水分や皮脂を奪うので、洗いすぎは、乾燥(その結果)痒みや炎症の原因に。逆に洗わなすぎ(3日に一度とか)は、真菌症や毛穴が詰まって吹き出物の原因に(さらに他人の迷惑・・・)
中性石鹸(シャワージェル)で一日一回洗うのが一番。汗をかいたら夜洗うこと(この暑さで、汗びっしょりで、そのまま寝る人が少なくない。まだ進歩が足りない)

トイレの蓋をせずに水を流す
水洗は“流すもの”をスプレーのように空気中にまき散らし( !!)、それがタイルやタオル、歯ブラシ(バスルームにトイレがある場合)の上に落ちる( !!!)
2012年のイギリスの調査によると、蓋をしないで流すとトイレ(バスルーム)のバクテリア数が12倍。

これを読んだ夫が「トイレに張り紙をしよう!」
“うちに帰ったら手を洗う”習慣をつけるまでひと苦労したこの人が、なんという進歩!私は感慨をもって夫を見た。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



結局、映画館を出ちゃった・・・

黒沢清監督の『Creepy/クリーピー偽りの隣人』がフランスで公開に。最近、コレという映画がないのですぐ観に行ったら、なかなか面白かった。

フランスのポスターには主役(西島秀俊)がいない!

クリーピー偽りの隣人

フランスの批評で『日本社会を風刺している』というのがあった。
「どこが風刺なんだ?」と夫。
「だって奥さんほっぽらかしにして」
「あ、そう・・・」
「心に空洞があるからあんな男について行っちゃうんじゃない」
「なるほど」
あなた、居眠りしてなかった?

翌日、日曜日。夫は田舎にトンボ帰りするという(「この暑さ、庭の花やトマトが心配だ」)。何をするにも暑すぎるので、私はひとりで『Nothingwood」というアフガニスタン&フランス合作作品を観に行く。110本の映画を撮った監督&俳優&プロデューサーが111本目を撮るために、ぶっとんだ俳優たちを連れてカブールにやってきた、というナンセンスコメディ。

「ハリウッドじゃない、ボリウッドでもない、ナッシングウッド」

Nothingwood

ところが座るなり、コンタクトレンズを入れ忘れたことに気づいた。私は片目はけっこう視力があるので、例えばパソコンの前ではコンタクトが必要ない。でも出かけるときに入れ忘れるってどうかしてない?これじゃ字幕が読めない。暑さのせい?それとも・・・

CM&予告編は約15分なんで、走って帰れば戻ってこれる、と席を立とうとしたとき、隣に座っていた男子が、
「あのぉ 僕、すぐ戻ってきますから・・・」
反射神経が欠落している私はとっさに「私も出るんですが」と言えず、その男子を見返すと、
「ほんとにすぐ戻ってきますから」とリュックを置いて出て行った。ヤダ、今出ないと間に合わないのに、荷物番するはめに・・・まったくドジ。
予告編は進み、残り時間は減ってくるのに、男性は戻って来ない。隣のリュックが気になりだした。
ふつう「荷物見ててください」というのに、彼は「すぐ戻ってくる」を繰り返した。リュックが怪しいものではない、と言いたかったから?そんなこと強調するのは、逆に・・・
そこまで考えて、私は立ち上がって映画館を出た。通路でもリュックの男性とはすれ違わなかった。
外を歩きながら、考えすぎ、パラノイア・・・でも前はこんなこと考えなかった。

ベルリンのクリスマス市のテロの直後、日本から来た友達が、
「ご老人の運転する車が歩道走ったり、病院の玄関に突っ込んだりして死者や怪我人が出るんだよ。テロより頻繁。前は歩いてて怖いなんて思わなかったのに」
そして、人間、どこにいても死ぬときは死ぬんだね、今を楽しまなくちゃ、という結論に。
映画館を出るべきじゃなかった。それ以前にコンタクトを忘れるべきではなかったのだ。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



バカロレア哲学の試験の選択問題のひとつ、『幸福は探さなくては見つからないか?』の答えで、フランスのラップグループPNLの『Recherche du bonheur/幸福の追求』を例に出した生徒が何人か(何十人?)いて、「えっそんなのあり?」というツィートが飛び交ったそうだ。

PNLのふたり。「えっ!俺たちが哲学の解答に??」と言ったかどうか。

ヒップホップ/ラップグループPNL

パリの某高校の哲学教師がそれに答え、
「歌、映画、バンドデシネなど大衆文化を例に出すことは禁じられていないし、減点対象にはならない。問題は、それが適切に使われているか。つまりPNLを例に出したら、そこから建設的な意見に発展させる必要がある」
なるほど。
「でも、バカロレアの哲学試験は、論証する能力を試すと同時に知識を測るもの。だからデカルトとかソクラテスの例を出せば、PNLに差をつける」
Recherche du bonheurを聞いてみたけど、
「・・・・・汚い場所で幸福を探す
ヨー、嵐の中を航海して、
地面に額をくっつけても、俺は借金だらけ
飛び立つための羽根をくれ・・・・」
のような歌詞から“建設的な意見”を4時間に渡って書くのは至難の業に思える。

ディズニーの『ジャングルブック』でクマのバルーが歌う「ちょっとしたことで幸せになれる」は、「幸福」がテーマになる度に登場するそうだ(このアニメ、息子のお気に入りで何十回観たことか!息子だけじゃなかったのね)

ジャングル・ブック

「例と論証を混同している生徒が多い」と先生。
「『ジャングルブック』でモーグリの親友バルーが言っているように“ちょっとしたことで幸せになれる” 、では答えにならない。独断でしかない」(私だって書ける)
目下採点の真っ最中でこの手の解答に苛立っているらしい。
「この謙虚さ(日常にちょっとしたことに幸福を見つける)が幸福への鍵なのか?という展開が必要」
ふむふむ・・・

大学の頃、哲学科の学生が“現実離れしたことを勉強している雲の上の人”に見えたもんだ。若気の至り・・・
日常の色々なシーンで、哲学の知識の切れっ端や考え方が役に立つ、と最近思う。だから高校で、幸福、人間のルーツ、芸術の存在理由・・・などについて自分の意見を述べる訓練をするのは、羨ましいなぁ、と。
PNLや『ジャングル・ブック』の例を、「フランスのバカロレアも地に落ちたもんだ」と嘆く意見があるけど、身近な例で論証できたら、それこそ”身に着けた”ことになりません?



ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

バカロレア哲学、何を書けばいい?

この時期になると子供たちのバカロレアを思い出す:
あまり勉強しているようには見えなかった息子が発表を見に行き「受かってた!」 電話の声がまだ耳に残っている。
けっこう勉強していたのに「落ちたらどうしよう・・・」と繰り返していた娘。こっちも「落ちる方が難しいって(合格率は90%近い)」と繰り返すしかなかった。

木曜日、恒例の哲学の試験でスタートした2017バック。

2017バカロレア
photo:Europe1

問題:
バカロレアL(人文系)
1. 観察するだけで知ることができるか?
2. してもいい権利があることはすべて正しいか?
3. ルソー『人間不平等起源論』の抜粋を解説

バカロレアS(科学系)
1. 自分の権利を護ることはすなわち自分の利益を護ることか?
2. 自分の文化から自由になることは可能か?
3. 『ミッシェル・フーコー思考集成』の抜粋を解説
・・・から選んで、4時間で展開する。

この中で少しでも書けそうなのは「自分の文化から自由になることはできるか?」(ノンだ)
ちょうどラジオで、哲学の先生がこの問題にどう答えるかの一例を解説していた。
1. 前提として、私たちは自分の文化に“幽閉”されているか?“自分の文化”とは何を指すか?
2. いや、幽閉されてはいない。私たちは旅をし異国に滞在することで、他の文化に触れ、その中で生活することができる。
3. しかし。文化(民族、宗教、階級・・・)は今日の自分を形成しているもの、自分のルーツである。従ってそれを切り捨てることはできない。
4. 文献の参照、例えばモンテスキュー『ペルシャ人の手紙』
*宮廷の政争にうんざりしたペルシア人ユスベクが友人リカとともにパリに住み、そこから故国の友人や愛人と手紙を交換する。ユスベクとリカの手紙には、当時のフランスの風俗、政治、思想への批判や風刺が綴られる。

なるほどねぇ・・・私が書いたら20行で終わってしまいそうだ。
今年の哲学は「“幸福”が出る」という前予想で、果たしてバカロレア・テクノロジーに
「幸福を見つけるためには探さなければいけないか?」
試験会場から出てきたところインタビューされた女子は、
「簡単だったわ( !?)幸福は恋と同じで、探しても見つからないのよ」
それで何枚書けたんだろう ??


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村


エマニュエル・マクロンが大統領になったのは、一重にマリーヌ・ルペンを阻止するためのデフォルト投票のお陰。
それだけに続く総選挙で、マクロンの新党『La République en marche/共和国前進』が過半数を取れるかは賭けだった。

ところが11日の第一回投票で32%を獲得。右派Les Républicains(LR)21.2%、極右Front National(FN)13.9%、メランションの急進左派La France Insoumise10.9%、社会党(PS)10%。

地元トゥーケで投票したエマニュエル&ブリジット。このジャケットもルイ・ヴィトン?

エマニュエル&ブリジット・マクロン

「誰に入れた?」「教えないわよ」

エマニュエル&ブリジット・マクロン
photos:Parismatch

信じられないのは社会党の激衰退:社会党書記長ジャン=クリストフ・カンバデリス、元文化相オーレリ・フィリペティ、こともあろうに元教育相、左派大統領候補だったブノア・アモンまで、あっさり一回目で落選している。

眼を疑う、という顔のオーレリ・フィリペティ。彼女はオランド大統領の政策に反対して、経済相アルノー・モントブールと辞任。一緒に辞任しただけでなく、一緒に子供を作り、別れている。

社会党衰退
photo:lepoint

一方喜ぶべきはFNの後退。大統領選の決選投票まで行ったというのにどうした ?!
理由は、決選投票前マクロンとの討論でのマリーヌのメチャクチャ、支持率の高かった姪マリオン=マレシャル・ルペンの一時引退・・・

さて「共和国前進」勝利の理由は、まず大統領になったマクロンの国際シーンでの快挙:G7で、自分の権力を思い知らせるようなトランプ大統領の握手に負けず(事前に練習したとか)、プーチン大統領をヴェルサイユに招待し、トランプがパリ協定離脱を発表し、再交渉を提案したとき「再交渉の余地はない。・・・・・環境問題に代替プランはない。地球に代替えはないのだから」と返答。マクロンの弱点だった環境問題でポイントを稼ぎ・・・

そして「せっかく大統領に選んだんだから、足を引っ張るよりチャンスを与えてやろう」という風潮。文句を言うばかりが能じゃない。
就任1か月後のアンケートでマクロンに満足が68%だった。

50%という記録的な棄権率は、従来の政党への失望・怒りの反映。これもマクロン新党に有利に働いた。

さて『共和国前進』の立候補者447人のうち、半分以上の273人が「政治経験全くなし」の弁護士、経済学者、医者、農業従事、警察特別介入部隊のモト隊長・・・
これもプラス要因かもしれない。右派だろうが左派だろうが、権力志向とエゴの塊で、私腹を肥やすことしか考えていない政治家たちにウンザリした国民にとって、今までにない人選は新鮮で「やらせてみよう」という気になるんじゃないかと。やらせてみよう・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村





韓国版 “真昼の悪魔”

明け方、ひとりで朝ごはんをかきこんでいるBongwan。そこに寝間着姿の奥さんが現れる。
「どうしてこんなに早くに行くの?」
「眠れないから」
「あなた、なんか変よ」
「変?・・・」

ホン・サンス『The day after』

「愛人がいるんじゃない?」
男は笑ってご飯をかきこむ-汁かけご飯に漬物(キムチ?)をのせてズズッと食べるんだけど、食べ方がなかなかうまい。
「答えなさいよ」
「ズズズ・・・」

彼は小さな出版社を経営し、唯一の女子社員とできていた。彼女が去って1か月になる。オフィスに向かいながら、Bongwanはまだ彼女のことを考えている。
オフィスが彼らの愛の巣だった・・・

ホン・サンス『The day after』

その日は、新しく雇った社員の第一日目。若く綺麗でやる気満々の女性がやってくる。

ホン・サンス『The day after』

差し向いでお昼を食べ、本が山積みになった小さいオフィスに2人。そこへ奥方が躍り込んでくる・・・

ホン・サンスの『Le jour d’après/The day after』。
この表情がまさに中年のメランコリー!

ホン・サンス『The day after』

今年のカンヌ、コンペティション参加作品、賞は取らなかったけど評判はよかった。

人生の後半に差しかかり妻とは倦怠期、もう一花咲かせたいと焦る50男が、モト愛人、一日目の女子社員、嫉妬に狂う妻の板挟みになるお話。
フランス語ではDémon de midi/真昼の悪魔と呼ばれる、中年過ぎ現象-若さへの執着、性的誘惑-をユーモラスに細やかに描いている。
エリック・ロメールが引き合いに出されるけど、ロメールより自然でリアル。
しょっちゅう差し向いでお酒(韓国のお酒は強いの?)を飲んでいるとこは小津の映画のようだ。
でも何より、フィリップ・ガレルの『L'Amant d'un jour/一日の愛人』を思わせる。ともにモノクロで、50男+すごく若い2人の構図・・・
恋愛において、優位に立つのは女なのだ

Le jour d’après
ホン・サンス監督作品
主演:Kim Min-Hee(キム・ミニ) Hae hyo Kwon、Kim Saeybuk
1時間37分
フランスで上映中

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




5月27日から始まったラマダン、イスラム教徒の断食期間。夜明けから日没まで飲まず食わず(水もダメ)、でも仕事はするので、大変だなぁと眺めていたら、この断食期間に太る人が多い、食費は+30%、総額3億5000万ユーロと聞いてのけぞった。

売り上げトップはブリック(小麦粉の皮)、デーツ(ナツメヤシ)、発酵乳、断食明けの夜食に欠かせない3食品。ツナの缶詰も普段の4倍以上の消費。そういえばこの前作ったブリックとチュニジアサラダ、どちらにもツナが入っている。

ラマダンは聖なる月で、お祝いでもあるから、日没後の食事は盛大で大量だ。3時間前から料理に取り掛かり、日没と同時にヨーイドンで延々と“食い溜め”をする。朝と夜しか食べないお相撲さんが太るのと同じだ。
娘は、ラマダンの時期にチュニスの友達(イスラム教徒)宅に滞在した。その年はラマダンが夏休みと重なったので、若い子は夜明けギリギリまで食べて、日中は寝ていたそうだ。日中、断食せず、夜は果てしない夜食に付き合っていた彼女は当然太って帰ってきた。

この“ラマダン中の食費増加”に目をつけたのが大手スーパー。ラマダンはここ5-6年、バカンスと被っていて、期間中にお里帰りするイスラム教徒が多かった。今年は丸ごとバカンス前、つまり3億5000万ユーロはフランスで消費される!
Intermarché/アンテルマルシェは「オリエントの市場」
Leclerc/ルクレール「オリエントの美味」
Auchan/オーシャン「オリエンタルの味をお手頃価格で」

ラマダン

おお!これは客寄せになるであろう・・・

ラマダン

ラマダンを謳っていないキャッチで、一般のお客にもアピールしようとしている。
ムスリムファッションを始めたブランドもあるし、すべてはビジネスに・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

「アディシオン、お願いしまーす!」といくら叫んでも、ギャルソンはわざとのように目を合わせず、なかなかやってこない、ということがよくある。
単に、食べ終わった人は後回しになっているんだろう、と思っていたら、意図的にグズグズしているらしい。お勘定がなかなか来ないと、じゃもう一杯飲もうか、とかデザート(を取っていなかった人は)頼もうか、になるのを期待して。

仏レストラン

パン籠をなかなか持ってこないレストラン。これも意図的とか。パン(無料)でお腹を一杯にせず、チーズやデザートを取らせる・・・

さらにワイン。ワインリストで「これ」と頼む場合はいいとして、
「グラス(またはカラフ)の赤は何があります?」と聞くと、
「コート・ド・ローヌのなんじゃら、ロワールのかんじゃら、ボルドーの・・・」と早口で並べ立てる。過半数の人は、始めに言われたのを覚えていないので、最後のワインを頼む・・・ので、最後に一番高いワインを持ってくる!敵もよく考えたわね。

ま、こういう画策は高級レストランではやらないだろうけど。
従って、お客としては:
-ワインの名前を羅列されたら「では、もう一度最初から」という勇気を持ち、
-パンが来たらむさぼり食い、
-お勘定が来なかったら、立ってレジに赴く、
という対策で臨まなくてはならない。そうするとサーブした人へのチップはナシだもの!


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

やっぱり大勢が楽しい

毎年、私の誕生日は母の日(フランスの)の数日後。
「近すぎる」と息子。
「どっちも私が決めたんじゃない」
毎年、12月27日とかに生まれた人の苦労を実感する。
「母の日に贈った薔薇だけど」
「?」
「4本は母の日で、6本は誕生日ということで・・・」
・・・ということで誕生日。今年は友達をよびたい気分、でもペンテコステの3連休だから予定があるかも、と思いつつ声をかけたら、殆どみんな来てくれた。家族も入れて16人。

一度作って好評だった2つのサーモンのテリーヌ。簡単なんでレシピを書くと、
材料:生鮭350g
スモークサーモン150g
卵3個
生クリーム(液体状、Crème fleurette)250cc
シブレット1/2束
塩 2つまみ
エスプレット(トウガラシ)ひとつまみ

1.生鮭は皮と小骨を取り、一切れを3つか4つに切る。
2.シブレットは3-4㎝に切る。オーブンを180°にセット。
3.生鮭、クリーム、シブレット、塩、エスプレットをミキサーにかける。かけすぎるとムースになるので、粒々状で止める。
4.テリーヌ型に3の半量を流し、スモークサーモンの薄切り-花びらくらいの大きさ-を並べる(ここでスモークサーモンが沈むかと思ったら沈まない!)。残りの3を流しいれる。

鮭のテリーヌ

5.オーブンのプレートにお湯を入れ、アルミ箔で蓋をしたテリーヌ型を入れ(つまり湯煎状態)1時間。10分前にアルミ箔を取る。

友人のひとりが「だし巻き卵みたいで美味しい」。確かに、お総菜屋のテリーヌはずっとコンパクトだ。リキッド状のクリームを使うから?
娘の作品、チュニジア春巻き、ブリック。中はツナ、ゆで卵、玉ねぎ。シンプルでいくつでも食べられる。今回は鶏バージョンと2通り。兄貴に手伝わせて作った50個がまたたく間になくなった。

ブリック

Spotify を聴きながら野菜を切ったチュニジアサラダ

チュニジアサラダ

ワタシ定番の大鍋料理、オッソブーコのカレー。フランス人に味見させたら「これ以上辛くしないほうがいい」。ところが日本人は「これ、子牛のナヴァラン?(カレーなしの煮込み)」。味覚の差、歴然。

子牛カレー

ワインも随分空いたわね。最近ダイエットで飲んでいなかった夫が、ここぞとばかり飲んでいたくせに、空き瓶の林を見て「みんなよく飲んだね」だって。
楽しかった!来年が待ち遠しい?


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村


モノクロのパリ、奇妙な三角関係

大学の廊下で出会う教授と女子学生。2人は事務的な感じで一緒に歩き、教授用トイレに入り、激しく愛し合う。彼50歳、彼女23歳。
「最初の哲学の講義で、あなたは『哲学は生活と対立するものではない』と言って、私を見たの。覚えてる?」
「いや」
「その時、あなたを好きになったの」

彼(エリック・カラヴァカ)と彼女(ルイーズ・シュヴィロット)

フィリップ・ガレル『一日の愛人』

ある晩、婚約者に追い出された彼の娘が目を泣きはらしてやってくる。

彼と娘(エステル・ガレル)

フィリップ・ガレル『一日の愛人』

父は慰め、泊まっていくように言う。テーブルの上に花柄のペンケースがあるのを見た娘、
「誰かいるの?」
「うん・・・」

翌朝、顔を合わせる彼女と娘。
「私たち同い年なの、イヤじゃない?」
「別に・・・いつから一緒にいるの?」
「3か月前から。あなたのお父さん口説くのに時間かかったんだから」
「あなたが口説いたの?」
「そうよ」
突然、2人の若い女と暮らすようになったオジサン教授。彼は、若い彼女との生活が続けばいいと願う。
彼女は、落ち込んでる娘に服を貸し、一緒に料理を作り、外に連れ出そうとする。連帯感もあれば嫉妬もある。彼が帰ってきて、まず娘にキスすると癇癪を起すのだ。

彼女と娘

フィリップ・ガレル『一日の愛人』

フィリップ・ガレルの『L'Amant d'un jour/一日の愛人』。
この監督は、いつも同じテーマ“愛”を、ごくシンプルに描いて-モノクロ、一人称、飾り気のないパリの日常、アパルトマン-どっぷり感情移入できて、後を引く。
ストーリーはすべて彼の経験から生まれているそうだけど(そんなに若い愛人がいた?)そぎ落とされ、「愛に苦しみは不可欠?」という普遍的な問いかけが浮かび上がる。

お父さんが名優のモーリス・ガレルで、13歳のとき最初の短編を撮った。息子のルイ・ガレル、娘のエステル・ガレル(この作品の娘役)も俳優で、映画と人生に境界がないみたいな人。ゴダールやロメールと比較される。
私はガレルのほうが好きかな。『ジェラシー』(2013)、『女の影』(2015)も、もう一度観たい。

ところで、この映画で男50歳-女23歳=27歳差で、誰も驚かないのに、逆(ブリジット-マクロン=24歳差)だと世界中が騒ぐのね。

L’Amant d’un jour

フィリップ・ガレル監督作品
主演:エリック・カラヴァカ、エステル・ガレル、ルイーズ・シュヴィロット
1時間17分
フランスで公開中

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



フランソワ・オゾン 『ダブルの愛人』

クロエはずっとお腹が痛くて(お腹と言っても下腹。食べ過ぎてお腹が痛くてもフランス語はmal au ventreで同じ)婦人科に行くけど、何も異常はない。精神的なものでは?と言われて、精神分析家に会いに行く。
回を重ねるうち、分析家ポールはクロエに「職業倫理に反する感情を覚え(早い話、彼女が好きになった)これ以上続けていけない」と告白する。同じ感情を抱いていたクロエは喜ぶ。
数か月後、一緒に住み始めた2人。引っ越しの段ボールを開けていたクロエは、ポールのパスポートに別の姓が記されているのに気づく。 数日後には、いるはずのない場所でポールを見かけ、一緒に暮らしている男性に、秘密の部分があるのを疑い出す。

「何か隠してるでしょ」「そんなことないって・・・」
クロエ(マリーヌ・ヴァクト)とポール(ジェレミー・レニエ)

フランソワ・オゾン『L'Amant double/ダブルの愛人』

フランソワ・オゾンの最新作『L’Amant double/ダブルの愛人』。

フランソワ・オゾン『L'Amant double/ダブルの愛人』

この監督、毎年のようにカンヌのコンペティション作品に選ばれるのに、賞が取れない。でも彼ほど、毎回ガラリと違った作品を作る監督は珍しい。彼ひとりかも。
『Frantz/フランツ』(2016)の舞台は第一次大戦直後のドイツの村。婚約者フランツを戦争で亡くしたドイツ女性と、フランツと戦地で知り合ったというフランス男性の物語。
『彼は秘密の女ともだち』(2015)ではロマン・デュリスを女装させ、『17歳』(2014)は高校生売春のお話。
遡って『8人の女たち』(2002)は、殺人をきっかけに家族の秘密が次々に暴かれる心理劇をミュージカルコメディ(!)で。

この『L’Amant double』はジャンルで言えばエロティックサスペンス。クローネンバーグの『戦慄の絆』やポランスキーの『ローズマリーの赤ちゃん』、ヒッチコックの作品の雰囲気もある。
とにかくクロエ役のマリーヌ・ヴァクトが綺麗、中性的な裸を惜しげもなく見せる。ジェレミー・レニエもカッコいい。背景も美しく、特に精神分析家の家の豪華さ(分析家が概してリッチだけど、ちょっとやりすぎで現実味がない)。
しかし。ジャクリーン・ビセットとの最後が、夫も私も「????」。帰って批評を見たけど、ネタがばれるのでどの批評も言及していない。
若いころのジャクリーヌ・ビセット。ミステリアスな雰囲気がマリン・バクトに似てない?

ジャクリーヌ・ビセット

信憑性には欠けるけど、俳優が魅力的&官能的でサスペンスがあるので、一見の価値あり。

チケットを買う時「“愛人”2人」と言ったら、横にいたマダムが「まあ!」と目を輝かせ、
「しかも『ダブルの愛人』だから計4人!」とうっとりした顔になった。

L’Amant Double
フランソワ・オゾン監督作品
主演:マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット
1時間47分
フランスで上映中


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ