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絶滅の危機にあるカップルたち

ニースの夜、結婚したばかりの若い2人、ジョセフィーヌとトマは幸せに酔い、シャンパンに酔っている。

映画『Especes menacees/絶滅の危機にある生物たち』

ところがその夜から、ジョセフィーヌは夫の性格に不安を抱き始める:苛立ちだすと抑制がきかなくなる。
ワルの役が多いヴァンサン・ロティエ。

映画『Especes menacees/絶滅の危機にある生物たち』

果たして1年後、彼女は夫の暴力に怯えて暮らし、心配する両親を遠ざけて閉じこもっていた。

同じ街のどこかで、インテリ風の中年男が大学生の娘メラニーと電話で話している。
「パパ、私、結婚するの」
「そりゃすごいニュースじゃないか」
「でも言いにくいことがあるのよ。怒らないで聞いて」
「なんだ?」
「彼は・・・63歳なの」
「・・・」
「パパ?」
「メラニー!おまえ、自分の父親より18歳年上の男と一緒になるっていうのか !?」

同じ街のどこかで。母親が突然おかしくなり精神病院に入り、実家に帰ってきた研究生のアントニー。
父親は別の女と出ていき頼りにできない。アントニーは滅茶苦茶に散らかった居間に座って呆然とする。
「ひとりじゃ片付けきれない。お手伝いの女性に来てもらってる」
「その女と寝たの?」
「いいや、でも寝ればよかった。後悔してる」
病院でシュールなやりとりをする母と息子。

3つの”カップル”、3つのドラマ。それをハイフンのように繋げるニースの風景。
『Espèces menacées/絶滅の危機にある生物たち』
監督は『Renoir/ルノアール 陽だまりの裸婦』(2013)のジル・ブルドス。

映画『Especes menacees/絶滅の危機にある生物たち』

一番深刻なのは“ジョゼフィーヌとトマ”のカップル。親が介入したらその後の暴力がもっとひどくなるのを恐れて、殴ったりものを壊したりしたあと、夫が泣いて謝るのを愛情の印と信じて、歪んだ関係の中に閉じこもるジョセフィーヌ。観ているほうは「なぜさっさと逃げ出さないの!」とイライラするけど、暴力を受ける妻の多くが助けを求めないという現実が見える。

トマ役のヴァンサン・ロティエは上昇中で、先週封切りの『Money』にも主役で出ている。現金が詰まったアタッシュケースを盗んだら、それがとんでもない曰く付きのお金で、政治家がらみの事件に巻き込まれていく話。

娘の婚約者の年齢に仰天する父親は、気持ちはわかるけど可笑しく、演じるエリック・エルモスニーノがすごくいい。

映画『Especes menacees/絶滅の危機にある生物たち』

うちの娘も年頃だから重なって、
「暴力夫と63歳の夫、どうしても選ばなくちゃいけないとしたら後者だね」と私。
「どっちも嫌だ」と夫。
たしかに。

Espèces menacées
ジル・ブルドス監督作品
主演:アリス・イザーズ、ヴァンサン・ロティエ、エリック・エルモスニーノ
1時間45分
フランスで上映中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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