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二日酔いの鶏

イヴの翌日、つまり本当のクリスマスの日。普通なら空の酒瓶やプレゼントのラッピング残骸や食洗器に入りきれなかった皿が散乱し、こっちは二日酔いで寝ているところ。
今年は義妹のパートナーのミッシェルが「コック・オ・ヴァン・ジョーヌを作りたい」と言い出した。
宴の翌昼にそんなハードな料理!?と言いそうになったが、最近トロワグロの料理教室(200ユーロ)に行ったミッシェルはやる気満々。
息子に言うと「昼 ?! 夜にできないの?」
彼は日本的な胃袋の持ち主。お酒を飲むとすぐ赤くなるのも日本的。娘は「クール!」と喜んでいる。
というわけで24日は午前3時までかかって、宴の残骸を片付けた。
翌朝ネコに起こされ、キッチンに行くと見慣れぬ男子が私のエプロンをかけて立ち働いている。
義妹は5年前に離婚し、数年のパートナー探し期を経てミッシェルに出会った。
彼が家族のクリスマスに加わるのは初めてなので、まだ馴染んでいないのだ。

コック・オ・ヴァン・ジョーヌはジュラ地方の料理。
材料(6人分)
雄鶏半羽
乾燥モリーユ茸50g
コート・ド・ジュラ(シャルドネ)1.5本
ヴァン・ジョーヌ 半本
生クリーム500g
フレッシュパスタかご飯
横目で見ていた作り方は:
1.ぶつ切りにした雄鶏をコート・ド・ジュラ1本弱とヴァン・ジョーヌ/黄色のワイン1/3本でマリネし(24時間)
2.鶏を取り出し、軽く小麦粉をつけてココットで両面をソテーし軽く塩。余分な油をシャルドネで洗う。
3.マリネ汁を加え、残ったワインを鶏が隠れるまで足し、ココットごと150度のオーブンで4時間。

ソースに入れるモリーユ茸。希少なキノコで、干したものが瓶詰めで売られている。これを水で戻し、「その戻し汁も大事」とミッシェル。干しシイタケと同じだ。

モリーユ茸

4.戻したモリーユ茸をバター少々でソテーし、ココットに加え煮詰め、生クリームを加えて再び煮詰めて出来上がり。

コック・オ・ヴァン・ジョーヌ

ヴァン・ジョーヌは独特な香りのジュラ地方のワインで、シェリーに似てる 。そう言っても誰も同意しなかったけど、後で調べたらシェリーと同じソトロンという芳香剤を使っている。ホラ見ろ。
それだけ飲むとあまり好みじゃない味だけど、コック・オ・ヴァン・ジョーヌとはバッチリの相性。コンテチーズとは「ぶっ飛ぶ相性」とミッシェル。

「二日酔いで食欲がない」「夜にできないの?」と言っていた人も美味しい美味しいとパクパク食べ、ココットは空になり、ミッシェルは喝采を浴びた。
彼が置いていってくれたレシピのタイトルは「二日酔いの鶏」。24時間ワイン漬けだもんね・・・


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イヴの夜は、ディジョンに住む義妹とその彼、息子2人、長男の彼女がやってきて、プラスうちが4人だから計9人。さて何を作ろう?
義妹は魚介類を一切食べない。子供の時に父親に「魚を残さずに食べろ」と言われてから反抗して食べなくなった。以来半世紀近く、しかも父親は亡くなったのに反抗は続いているというすごい話。彼女の家にいくと、ローストポーク、ステーキ、ローストチキン、ローストなんとかがローテーションで現れる。
彼女の長男は3年前、ヴェジタリアンになった。動物愛護とか肉に飽き飽きしたという理由ではなく、子供たちに言わせると「“チャレンジ”とか“ゲーム”みたいなもん」だそうだ。
義妹の反抗と甥のチャレンジのお陰でメニューに苦労することになる。

クリスマスには子羊のナヴァラン(野菜と煮込み)をよく作る(作り方はこのページの下のほうです)。

navarin-d-agneau-printanier.jpeg

それでは甥が食べられまい、と肉と野菜を分離することに。すなわち、/Gigot d’agneau/ジゴ・ダニヨー/羊の脚。
クリスマス前に朝市の肉屋に注文しておいた2.5㎏ある脚の、ところどころにニンニクを埋め込み、タイムを散りばめ、オリーヴオイルをかけてオーブンで1時間弱。ロゼが好きな人が多いのでオーブンに入れるタイミングが大事。

羊の脚

ジゴには白インゲンの煮込みが定番コンビ。定番はやりたくないのでトマトピリ辛煮込みにして、インゲンのソテーも作る。

白インゲンの煮込み

白インゲントマトピリ辛の作り方は:
材料
ピカールのflageolets (白インゲン)1㎏
玉ねぎ大1個
ニンニク2かけ
トマトの水煮缶詰
野菜ブイヨン
Piment de cayenne カイエンヌのトウガラシ 3-4つ

1.鍋にオリーブオイルを適宜入れ、薄切りニンニク、角切りにした玉ねぎを5分くらい炒める。
2.そこへflageolets1㎏、ざく切りにしたトマト水煮、種を取って小口切りにしたトウガラシを入れ、かき混ぜる。
3.野菜ブイヨン、塩適宜を加え、インゲンが隠れるくらいに水を足し、時々かき混ぜながら中火で約30分。

乾燥白インゲンを水につけて戻す人もいるけど、冷凍で十分美味しい(私には違いがわからない)。缶詰は避けたほうがいい(明らかに違いがわかる)。
娘に味見させたら「アタシはもっと辛いのが好きだけどフランス人はねぇ・・・」
夫に味見させたら「これで十分辛い」と果たして娘の予想通りであった。

甥にはその他にズッキーニとチーズとタマゴのグラタンを作った。それなのに・・・テーブルに着くなり「Takako、今日は例外にする」とオードヴルのスモークサーモンもフォアグラも羊の脚もパクパク食べる。
なぜ事前に言ってくれなかったの !!


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「あんまり大きいの買わないでよ」
「わかってる」
「1m60くらい」
「もう3回聞いた」
やることはたくさんあるし、重いし、ツリーは娘とその友達に買いに行かせた。

フランスのツリーはノールマン/Nordmannと エピセア/Epicéaの2種で、前者が70%を占める。理由は持ちがよく、何より葉(フランス語ではaiguille/針と呼ばれる。なるほど針葉樹だものね)が落ちない。毎日掃除しなくてすむ。そのせいかやや高い。

20分後、果たして巨大なツリーを抱えて2人が戻ってきた。ドアから入れるのに苦労している。
「形が完璧なんで一目ぼれしちゃった。1m75だからそんなに大きくないよ。60ユーロだった」
15㎝高いと横幅も比例する。置いてみるといつもの倍くらいあるかんじだ。
「部屋が小さすぎるんだ」と娘の友達。
「ちょっと!部屋を大きくするより、もう少し小さいツリーを買う方が簡単と思わない ??」
怒っても後の祭り。それに確かに形がいい。“葉並び”がきれいで隙間がない。2人ともボザールだから美的センスは認めよう。

珍しく娘が手伝って飾り付けをした。私がツリーのてっぺんに星をつけようとすると、
「ダメ!それは最後」
「どーして?」
「星は神様だから」
「 !! アンタの口からそのセリフを聞くとは思わなかった」
娘は宗教にひどく懐疑的、宗教の名のもとに繰り返されるテロや、カトリック神父の小児愛スキャンダルで、それは深まる一方だ。突然、星は神様なんて・・・

ツリーが輝き出すと、たちまちクリスマス気分、楽しくなる。

クリスマスツリー

猫たちがデコレーションに飛びついて遊ぶかと思ったら意外と静か。タマは「そんなのは若いもんがすること」という顔。

tama noel

去年までガラス玉を壊していたリュリュもツリーの前で寝ている。猫たちが爪とぎに使って無残なソファ!
イリュミネーションを消すと、むっくり起き上がって「なぜ消した?」という顔で私を見る。

クリスマスツリー

・・・または上から眺めている。

クリスマスツリー

どうぞ楽しいクリスマスを!


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パリのYSL美術館はプロローグ

「まずヴィデオをご覧ください」
展示室に入ろうとすると、にこやかな美青年に押し返された。
ヴィデオは、突然のディオールの死でメゾンを任された神経質そうな21歳の青年から引退まで、サンローランの軌跡を主にディアポで綴ったもので、なかなかよくできていた。もう一度観てもいいくらい。
展示スペースは小さくて-美術館になる前にも来たけど、建物は小さい-代表的な服、ジュエリー、デッサンなどがぎゅっと詰まっている。

パリ、YSL美術館

パリ、YSL美術館

一番面白いのはサンローランのアトリエ。さっきまで仕事をしていたような散らかり方で、彼の世界に入ったような気になる。
本棚には日本語の本もあり、思わず手に取りたくなるけど、“境界線”を超えると警報が鳴る。

パリ、YSL美術館

パリ、YSL美術館

ベルナール・ビュッフェが描いたサンローランの肖像画、カトリーヌ・ドヌーヴの写真・・・

パリ、YSL美術館

えっこれだけ?前売り入場券をとるのはけっこう大変だったのに・・・と拍子抜けしたら、最後にまたヴィデオがあった。
ピエール・ベルジェがサンローランとの出会い、YSLの設立、彼らの愛の絶頂期、モロッコ時代・・・2人の歴史を語ったもので、これもなかなかよかった。座席数が少ないので、階段で待たされ15人くらいずつ映写室に入れる。

作品の殆どは、マラケシュの砂漠の中に建てた巨大なYSL美術館に持っていき、狭いスペースのハンディをヴィデオでカバーした、という印象だ。もちろん観て後悔はしないけど。

マラケシュ、YSL美術館
photo: museeyslmarrakech.com

11月、飛行機代の高さに諦めたマラケシュに何が何でも行かなくちゃ!と思わせる、パリの美術館はプロローグ、予告編だ。

Musée Yves Saint Laurent Paris
5, avenue Marceau 75016
入場料:10ユーロ
開:火曜~日曜11h~18h


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人生の最後を歩き続ける人

朝起きるとまずタバコに火をつける。身体を拭き髭をそり、残り少ない髪をとかし、柔軟体操(に見えるけど自称ヨガ)をする。
ラッキーの一日の始まり。冷蔵庫には牛乳パックだけ。クローゼットには同じチェックのシャツが3枚。
着替えてブーツを履き、カーボーイハハットを被り、行きつけのコーヒーショップに行きクロスワードパズルをする。
砂漠の中にある小さな町。ひとりで暮らし、町を徘徊し、骨と皮に痩せ、タバコを止めない90歳のラッキーを、住民はみんな知っている。
ある朝“ヨガ”の途中で眩暈を起こしラッキーは倒れる。
「どこも折れていないし、心臓もしっかりしている。タバコは?」とお医者。
「一日ひと箱。毎朝ヨガをして、たくさん歩く」
「今さらタバコを止めろとは言わん。止めるほうが身体に悪い」
「じゃなぜ倒れたんだ?」
「年だよ、年取ったことを認めなくちゃ」
「・・・・」
「孤独は良くない。家政婦さんを頼んだらどうだ?」
お医者の言葉をラッキーは笑い飛ばす。
「ひとりでいるのと、孤独を感じるのは別のことだ。わたしはひとりがいい」

頑固だけど、人嫌いではない。好奇心もある。スーパーのオバサンが息子の誕生パーティに誘うと出かけていくし、日が暮れるとバーに行き、ブラディメアリーをちびちびと飲む。

唯一の友人だった陸ガメが逃げ出して落ち込む紳士は、デヴィッド・リンチ!

映画『Lucky/ラッキー』

第二次大戦中、海軍にいたラッキーは、元海軍の人に出会うと思い出話。ハリー・ディーン・スタントンも海軍にいた。

映画『Lucky/ラッキー』

9月に亡くなったハリー・ディーン・スタントンの最後の作品『Lucky/ラッキー』

映画『Lucky/ラッキー』

何も起こらない、シナリオがないじゃん、と思ったけど、間もなく気づいた:シナリオはラッキー、いやスタントン自身。
欲望がそぎ落とされたような表情には、戻って来ない日々へのノスタルジーや、明日への恐怖、自分との和解・・・が横切り、ときに深く陰り、ときに穏やかで、たまに笑顔になると限りなく優しい。
『パリ テキサス』で一番印象に残っているのは、彼が歩き続ける冒頭のシーンだ。

30年後、彼自身の人生に重なるこの作品は遺書のようだ。

Lucky
監督:ジョン=キャロル・リンチ
主演:ハリー・ディーン・スタントン、デヴィッド・リンチ、ロン・リヴィングストン
1時間28分
フランスで公開中

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「アッパレな完全犯罪!」

と捜査官が感心する。シャルル・ドゴール空港のゴミ箱で食料を探していたSDF(住居不定者)、たまたまターミナル2Fにあるドアに寄り掛かったところ、なぜかドアが開き、そこは現金輸送会社Loomisで、たまたま「ご自由にお取りください」という状態だった。

roissy sdf

17時20分、2つのカバンを下げてドアを出てくるのを防犯カメラが捉えたのを最後に、男は行方をくらます。2つのカバンには計30万ユーロ(約4千万円)が入っていた。

警察は最初、Loomis内部に共犯がいる計画的犯行かと思ったけど、どうやら偶然が重なった“棚ぼた”。
10日早いサンタクロースのプレゼントをゲットした男は50代で空港のお馴染だ。
捜査官もLoomisも「なぜこのドアが開いたかわからん」と頭をひねっているそうだけど、今頃頭をひねっても後の祭り。

でも、大金を持っていても住居不定だとアパルトマンを借りることもできないし、重い現金袋を下げて逃げ回らなくてはいけない。
ドロボーの身の上を心配するのもなんだけど、富裕者はますます富裕になり、貧困者が増える昨今。誰も傷つけず、何も壊さず現金袋を持ち去ったSDFに「逃げ切ろ!」と言いたくなる。

シャルル・ドゴール空港に“住んでいる”SDFは70~80人、冬場には90~100人になるそうだ。空港は暖冷房があるし、持ち切れない食品や、持ち込めない飲み物を捨てる人も多いはず。
今頃、みんなドアに寄りかかって試していたりして・・・

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娘がアングレームから帰ってくると途端に洗面所がぐちゃぐちゃになる。アイシャドウやチークや保湿パック、細くて長い髪の毛が散乱して「洗面所、片付けなさい!」を連発することに。
いつかこの散乱状態を懐かしむ日が来ると思っているけど、まだほど遠い。

そして、身体の半分くらいある大きなバックパックを背負ってに発っていく。
「“いつでも止めていい”と思いなさい」と言われてから安心したのか、やや前向きになった。私だって、「いつでも別れられるでしょ」と言われて(最初の)結婚を決意した。実際に別れるのはそんなに簡単じゃなかったけど。
さて、ほぼ1週間に一度、3日間帰ってくるのになぜこんな大荷物かと言うと、まず絵の道具(けっこう重い)、洗濯した衣類、そしてタッパーウェアが4つか5つ(かなり重い)。
今回も、鶏もものカレー、子牛のクリーム煮、麻婆豆腐、ポタージュなんかがアングレームに運ばれて行った。
彼女はちゃんと洗ったタッパを持って帰ってくるからいいけど、回収できないのは息子の方だ。去年から友達と2人でアパルトマンを借りていて、よく食料調達に現れる。
一度は、「夜中にお腹が空いて何も食べるものがなかったんでギョーザを食べに来た。起こさなかった?」
目を覚ましてたら心臓マヒになってた・・・

「タッパ持ってきて !!」と何度SMSを送っても、「外にいたから」「時間がなかった」などの理由で手ぶらでやってくる。
時間がない?キッチンのどこかに積み重なっているタッパを紙袋に入れるだけでしょ??
しかし息子ののアパルトマンに行ってみて訳が判った。彼だけじゃなくて同居人の男子も実家からタッパを持ってくる。それぞれのガールフレンドもタッパに入れた料理を持ってくる。その結果、大小様々、出所不明のタッパたちが、トイレ( !!)の戸棚から溢れそうになっている。私は「手ぶらじゃ帰らないわよ」とタッパの識別をして5-6個回収した。
「洗った」というけど、トイレの戸棚でしょ・・・洗いなおさないと。

その次に寄ったとき、なんと息子は空のタッパをモノプリのエコバックに入れて準備していた。
すごい進歩!と満足してウチに帰ってエコバックから取り出したら・・・

tappa.jpg

身と蓋が全く一致しない。一致したのは2つだけ。リュリュが匂いを嗅いでいるってことは洗えてない。
息子にメッセージを送ると、
「君って絶対満足しない、それはよくない」
と逆に怒られた。

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“超インテリ”と国民的スターの死

バス停で若い男子たちがアカデミーフランセーズの話をしていた。「インテリのクラブみたいなもんさ、すごーくレベルが高い」と手を高く上げる。
5日に作家・哲学者、アカデミーフランセーズ会員のジャン・ドルメソンが亡くなり、テレビラジオネットで何度も報道されたせいだ。最古のフランス学術団体アカデミーフランセーズが超インテリクラブねぇ・・・

ジャン・ドルメソンは“名前と顔は知ってるけど、本は読んだことがない”人が多い作家で、いいことが書いてあるだろうけど難しそう、と私も読んだことがなかった。

ジャン・ドルメソン
photo:ouest-france

ドルメソンの追悼が終わらないうちに、5日夜中にジョニー・アリデーが亡くなった。6日朝からメディアはジョニー一色、過去の番組の抜粋、政治家・著名人のインタビュー、ジョニー邸に詰めかけたファンの声、代表的ヒット、女性歴(ジョニーと5人の妻)・・・と深夜までやっていた。

一番長く一緒にいた(20年)最後の奥さん、レティシアと。

ジョニー・アリデー
photo:gala

私は、フランスのロックなんて・・・と思っていたけど、今回、歌をまともに聴いたら「この人、すごい声してる!」
ちょうどラジオに声楽のスペシャリストだか先生が出てきて、「オペラ歌手のように日々練習した人の声。声を鍛えるだけではなく、それを“出す”身体も鍛えいた」。すぐにジョニーがロサンジェルスのジム通いのことを話しているインタビューに繋がれた:専属コーチについて毎日3時間、今日は腕、明日は腹部、と集中的に筋肉を鍛えてコンサートに備えている・・・努力家だったんだ。
彼はコンサートのパフォーマンスが見ものだったらしく、チケットは発売とほぼ同時に完売。バイクで登場したり、しまいにはヘリコプターで降り立ち、ファンが「鳥肌が立つ」演出だった。

ファンのひとり、70歳の女性はコンサートでジョニーにサインしてもらい、その型をとってタトゥーを入れた。「私が死んだときは火葬にしてジョニーの『Allumer le feu/火をつけろ』で送りだしてもらうことになってるの」

この週末エッフェル塔は「メルシー・ジョニー」と輝き、土曜日は凱旋門から出発してシャンゼリゼ大通りを下る葬列『Hommage Populaire/大衆の追悼』が予定されている。バイク好きだったジョニーのために500台のバイクが棺の後を走り、葬列はマドレーヌ寺院に着き、そこでミサがありマクロン大統領がお別れの言葉・・・という国を挙げての国民葬ショー。
これほど大掛かりなのは1885年5月に亡くなったヴィクトール・ユーゴー以来。凱旋門を11時半に出発した葬列はシャンゼリゼを下り、サンジェルマン大通り、サンミッシェル大通りを歩いて19時にパンテオンに到着。よく歩いたもんだ。

可愛そうなジャン・ドルメソン、彼の死や献辞のセレモニー(8日金曜日)がすっかり霞んでしまった。。
ジョニーのことを語る時“Populaire/大衆の”という言葉が頻繁に使われる。国民に近い大衆スターで(フランスの美空ひばり?)、パリマッチの表紙に頻繁に登場し、ファンのために自分のベストを保とうと努力をしていた。肺がん末期なのに、次のコンサートの予定をしていたそうだ。
ドルメソンの著作を読み、彼の死を悼む人たちの数とは桁が違う。

でもニュースをつけるとジョニーばっかりで「大衆がみんなファンだったわけじゃない」と息子。
「デヴィッド・ボウイが死んだときはショックだった。君のお陰でボウイを聞いて育ったから」

それにしても、こうやっていきなり特集番組を組めるということは予期して準備してたってこと。シラク前大統領の追悼番組は“前から準備できている”という話を聞いたっけ。


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日曜の昼過ぎ、モンパルナス駅の転轍機システムが故障して、電車は出発することも到着することもできなくなって完全にマヒした。
モンパルナス駅は、ボルドー、トゥールーズ、ブルターニュ、ロワール地方へのTGV、ノルマンディへの特急列車が発着していて、週末地方の実家に帰っていた人、逆にパリに来ていた人、観光客などみんな立ち往生。

モンパルナス駅マヒ

平均3時間遅れで、TGVが到着し始めたのは夜の9時過ぎだった。
払い戻しは2~3時間の遅延で50%、3時間以上75%というけど、他の線やバス、車の乗り合いでなんとかたどり着こうとした人たちには大いに不十分だろう。
モンパルナス駅は故障の前科があり、運輸相は「ありえない!」と激怒、翌朝SNCFフランス国鉄の社長を呼びつけたとか。

ニュースでは日本の新幹線が引き合いに出された。
「フランスのTGVは1時間に5分の遅れから“遅れ”とみなされる、つまり3時間の旅なら15分から“遅れ”とみなされます。一方日本のシンカンゼン(SひとつだからZと発音する・・・気持ちはわからないじゃないけどキャスターならちゃんと発音しろ)は1秒から“遅れ”になります。そしてプラスマイナス1分以内の定時運行率が95%!どうしたらこんなことができるんでしょう?」
フランス人にとっては殆どSFの世界。
鉄道専門家のような人がそれに答えて、
1.耐震設計で最新化の線路。
2.乗客がちゃんと整列して待ち、乗り降りの時間が最短ですむ。
3.ホームに車掌さんがいて発車の合図をする。
・・・からだそうだ。

11月半ば、日本のつくばエクスプレスが20秒早く発車し、鉄道会社が「大変ご迷惑をおかけして申し訳ない」と謝罪したことがニュースがフランスまで伝わった:9時44分40秒に発車すべきを44分20秒に発車してしまった。でも乗り遅れた人はいなかった・・・
この話を友達にしたら、「早く出た?それは困る」
たしかに、フランスだったら乗り遅れる人が出るだろう。

Twitterの反応で、
「9時44分じゃなくて9時44分に発車したことを謝るの?行きすぎ」
「みんなもっとリラックスしたら?」
は同感。
フランス人のいい加減さと、足して2で割ったらちょうどよさそうだ。


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冒頭の会話、妻に髪を切ってもらいながら、ネチネチと文句を言う夫。エゴで意地悪でサイテーのヤツ!
私だったら-しかもハサミを持ってるんだから-脳天の髪を一束バッサリ切っていただろう。なのに、妻は同じレベルで言い返すことなく、寛容にかわす。彼女に代わって、私は暗闇で腹を立てていた。
でもこの冒頭シーンは上手い。ほんの数分の会話がこの2人のキャラを見事に浮かび上がらせる。夫が売れっ子の作家、衣笠幸夫であることも。

夜行バスで友人とどこかに行く妻が出ていくのを待ちかねるようにして、夫は愛人を呼び寄せる。ホットな夜を過ごし、翌朝の電話で妻を乗せたバスが崖から転落したことを知らされる。
妻の死に涙も流せない幸夫は、同じバスに乗っていた妻の友人の夫、道夫と知り合う。彼は2人の子供と残され、幸男とは正反対に悲嘆に暮れていた。幸夫は週に2日、長男が塾に行っている間、妹の子守を申し出る。

『永い言い訳』フランスで公開

幸夫がリッチな生活をしていて、道夫が長距離トラックの運転手、という対称が、是枝監督の『そして父になる』を思い出させるけど、幸夫は父にはならず、自分がいかにダメな人間であったかを思い知っていく。

フランスでのタイトルはそのまま英語で『The Long Excuse』

『永い言い訳』フランスで公開


幸夫役の本木雅弘が繊細な演技で上手いのにびっくり(最近、日本映画の俳優の名前を殆ど知らないけど、さすがにモッくんは知っていた。)しっかり者で反抗期にさしかかっている長男、小さいのに頭の回転が早い妹、子役の2人も自然で上手い。

フランスで日本映画ファンは多く(小津、溝口、黒沢で止まっている人もいるけど)、ル・モンドやテレラマでいい批評が載るのに、この秀作がイマイチなのは不思議。第一、パリで2館しか上映していないし、私たちが観に行ったボブールのMK2は小さな上映室だった。
テレラマの批評は4段階評価:『情熱的に好き』『すごく好き』『少し好き』『好きじゃない』の下から2番目。
「主人公のスーパーベビーシッターぶりが、ハリウッド映画が贖罪を描くレシピに似ている」(そんなことない。でも“人気作家の嫌なヤツ”と“子供もなつくベビーシッターオジサン”の落差がちょっと激しい気はした)
「単なるメロドラマになるところを俳優たち(子役も)のデリケートな演技が救っている」
近親の死に直面した4人の、それぞれ違う立ち向かい方。決して“単なるメロ”なんかじゃないのに!
残念ながら長くはかかっていないかも。在住者の方、お早めに。

The Long Excuse

西川美和原作・監督作品
主演:本木雅弘、竹原ピストル、藤田健心、白鳥玉季、深津絵里
2時間4分
フランスで上映中


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笑って怒ったニュースザッピング

ボルドーで“Serial creveur/連続切り裂き魔”と呼ばれていた男(45歳)が捕まった。切り裂いていたのはタイヤで、6年半で6000台12.000個のタイヤをパンクさせた疑い。一カ月に77台、一日2.6台。こうなるとお仕事だわね。損害額200万ユーロ(2億7000万円)。
防犯カメラで顔が割れ、数日前から警察に監視され、29日午前2時、スーツにネクタイ姿でウロウロしていたところを捕まった。
男の手口は、駐車している車の歩道側(見つかりにくい)のタイヤ(前輪と後輪)を先の尖ったものでパンクさせる。動機は「社会に復讐するために」と捜査官に語ったとか。
ボルドーのキャピュシーヌ地区はタイヤのパンク被害が絶えず、被害届1100件。2014年から犯人捜しの署名運動が始まっていた。
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28日前オランド大統領が、政治ユーモア大賞に輝いた。
有名な”ジョーク”は大統領就任後、最初の農業市。牛を「見たことがなかった」と騒ぐ子供たちとおしゃべりし、
「ニコラ・サルコジも見たことない」という男の子に、
「もう二度と見ないよ」
大多数は(私も)笑ったセリフをマジに取って反論したのは(もちろん)サルコジ派。
「それはオランドが決めることじゃない、国民が決めることだ」
「悪いジョークだ。大統領が口にすべきではない」
ムキになることないじゃない・・・

オランド前大統領、政治ユーモア賞
photo:Jean-Marc Haedrich/SIPA

「私のとる決断は、私ひとりで私と決める」
「クリスティアーヌ・トビラ(“すべての人に結婚”法案を通した法相)に敬意を表する。彼女は発言力がある、黙っていてもある」
などは、訳すとあまり面白くないけど、オランドさんの顔で言うと可笑しかった。

エマニュエル・マクロンが”La République en marche/共和国前進”を立ち上げたときは、
「歩く?(marche=歩行、行進)私は走りますよ!」

そういえば先週の日本の新聞で、自民党の竹下亘総務会長が、天皇、皇后両陛下主催の宮中晩さん会に参加する国賓の同性パートナー出席に「私は反対だ。日本の国民性に合わない」と発言したのを読んでぶっ飛んだ。
竹下氏は例として、オランド前大統領がヴァレリー・と来日したとき、
「奥さんではないパートナーだという女性が天皇、皇后両陛下と並んで座るわけだから、どう対応しようかと宮内庁は悩んだ」
「 !!??」
だってこの2つは並べられないじゃない。同性のカップル云々は性的少数者への差別であり、後者は自国の法律に即した事実婚の国賓が問題だ。
カッカしていたら2日後に「言うべきじゃなかった」
「私の周辺にも同性のパートナーを持った人はいるし、普通にお付き合いしている。皇室を考えた時に日本人のメンタリティーとしてどうかなという思いがあり、言葉になって出た」
つまり批判されたから釈明したけど、本音は変わってないのだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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