FC2ブログ
Archive

アパルトマン物語3

中庭の、雨に濡れた敷石にA4の紙が貼りついていた。落としたら何で拾って捨てないの?両手が塞がっていた私はブツブツ言いながら通り過ぎた。
その後で、娘が「ママン、こんなのが落ちてた!」と、さっき私が拾わなかった紙を持ってきた:子供の字で「誘拐されてる!4階」
ロベールの筆跡?」
「さぁ・・・でもロベールのいたずらじゃない?」
「あたしもそう思うけど、でも、もし万が一ほんとだったらどうする?」
と言われると、私も揺らぐ。第一ロベールが4階か5階かも定かじゃない。

私たちが4階のアパルトマン(この棟は1フロアにアパルトマン1つ)のベルを押すと、
「どなた?」
名前を言うとロベールの「あ、タイミング悪い!」という声が聞こえた。
なんだ、無事じゃない。
ドアを開けたのは、いつもより更に怖い顔のお母さん。
「これを拾ったので気になって」と言いかけると、
「私も限界で、ソーシャルワーカーの人を呼んだんです」
2人の女性に挟まれたロベールは、母親とは対照的にあっけらかんとして、
「ほんの冗談だよ」
「あなたには冗談でも、読む人には違うわよ!」と私。
ロベールはソーシャルワーカーの女性たちに連れていかれるとこで、何があったかはそれ以上聞けなかった。

どこに“連行”されていくんだろうと心配で、帰ってネットで調べると、子供が手に負えないと、親や先生が、区の担当者に援助を頼めるそうだ。担当者はアドバイスや定期的な面接などの対策をしてくれるらしい。
少し安心した。最近、少し落ち着いたように見えたのに・・・でも第三者が介入したほうがいいんだろう。

後日、ロベールに「何したのよ?」と聞くと、キックスケーターでパリの城壁の外を一周する計画をしたんだと。出かけようとしたら母親に「ダメ」と言われた。家から出てはいけない、と。
そりゃ私だってダメって言うわよ。あなた12歳でしょ?
「だからちょっとヒステリー起こしただけだよ」
「“ちょっと” ?!それで『誘拐された』の紙を落としたの?」
ロベールはニヤニヤ笑って、大したことじゃないという顔で去っていった。

禁止されると徹底的に反抗する子なのね。私もそれに近かったけど。これからアドレッサンの反抗期になるし、先が大変だ・・・
「また買い物手伝ってね!」とロベールの背中に叫ぶと、ハイハイというように手を上げた。

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村







スポンサーサイト
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
01 | 2018/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 - - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ