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タカさんと食す脳死の魚

「シュマン・ヴェール通りに仏人がやっている活〆の魚屋さんがあって、なんとランチのちらしが10ユーロなんですって!」とタカさんに誘われた。
番組で知り合ったタカさんは、実はブログで順位争いをしていた『あたしだってパリジェンヌ』の筆者。
「チッ、また抜かれた」と言いながら、面白いので必ず読んでいた・・・つまり旧知の仲だった。

あたしだって噂に聞いていたEbisuというこの魚屋さん、Ikejimeをウリにしているけど、ところで“活〆ってなに?
生け簀で泳いでいる魚をお刺身にするのは“活き造り”だから別物よね、とネットで調べたら、果たして全く別物(何年、日本人やってんの ?):
魚を脳死状態にしてから血抜きをする。この方法で90%のバクテリアを駆除できる。さらに糸で神経線維を切り、腐敗の一部を食い止める。
・・・と聞くと恐ろしいけど、魚の身になってみると、船の上で何時間ものたうち回るよりはるかにラクであろう。この方法で魚は生で食べる前に2週間保存でき、血の味がしなくてまろやか、だそうだ。
さてEbisuに着くとタカさんは先に来ていて、メニューを見ると、今日のちらし10ユーロ、オーガニック鮭ちらし、オーガニック鮪ちらしが14ユーロ。
「一種の魚のちらしのほうが高いわけ?」
「オーガニックだから?」
「ちらしはやっぱり色んな魚が乗ってるのがいいわよね」
とヒソヒソ話していると、隣のフランス人2人連れにちらしが運ばれてきた。
「!?」
通常お丼に入っているちらしが、ここではそんなに大きくない深皿。
「量が少ない・・・」
「2杯は行けちゃいそう」
そこでアントレから、タカさんはあん肝のタルティーヌ、私は鮭のリエット。

初めて飲むKaguaビール。ボトルもお洒落。

パリ活〆魚屋&レストラン Ebisu

分け合って食べたところ、鮭リエットが正解。

パリ活〆魚屋&レストラン Ebisu

朝市ニシン・バーのサバのリエットに似ているけど、鮭だから味はより上品。しかも脳死の鮭・・・
今日のちらし。美味しい、海老がプリプリ。でもご飯と魚の比率がイマイチ・・・しかし10ユーロじゃ文句は言えない。

パリ活〆魚屋&レストラン Ebisu

売り場はお昼時カバーがかけられていて魚の顔が見れずに残念。
オーナーのパトリック。8区の高級和食レストラン『奥田』のシェフ、奥田さんに活〆を教わったそうだ。

パリ活〆魚屋&レストラン Ebisu
photo: leparisien

お店の人に、いろいろ聞きたいと思っていたのに、タカさんとおしゃべりに忙しく聞き忘れた。

Ebisu
30 rue du Chemin Vert 75011
営:水~土、8h30~13h 16h~19h30
レストランは12h~14h30

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朝市のニシン・バー

ビストロの定番オードヴルに“ニシンの油漬け、ジャガイモ添え”というのがある。オイルの中に泳いでいるようなニシンはすごく塩辛くて好きじゃない。青い魚は好きなんだけど。
そこへ。「フランス人はニシンの食べ方を知らん。ひとつポーランドのニシン・マリネを広めてやろう」と思い立ってくれたポーランドのオジサンがいて、パリの朝市にニシン・バーの屋台を出した。Bar à Harengs。
最初に見つけたのは夫、それ以来、毎週通うようになった。

朝市のニシン・バー

バスティーユは(木)(日)で、その他の日はポパンクール、ナシオン、ヴィレットの朝市に出している。

玉ねぎ、にんにく、ドライトマト、粒マスタード、フヌイユ(フェンネル)・・・などとマリネにしたニシンはどれも美味しくて、安くて(1kg 19.9ユーロ、 4種類買って10~12ユーロ)行列ができる人気だ。

朝市のニシン・バー

胡麻やクミンシード入りの黒パンに合う。

朝市のニシン・バー

マッシュルームや大根、エンダイヴなどのサラダに混ぜると、目先の変わったオードヴルになる。
「ポーランドではそういう食べ方はしない」とオジサン。
「ニシンと黒パンを一口食べて、冷えたウォッカをキュッとやる。だから太るんだ」
フランスではヴィネガーの入った料理にワインを合わせないけど、なるほどウォッカの“酒の肴”なのね。だから「バー」なの?

いつも買うサバのリエットが今日は売り切れ。見かけはツナのマヨネーズ和え、マスタード、玉ねぎ、ゆで卵入りで、パンやエンダイヴの葉にのせてアペリティフに出すとみんな喜ぶ。
「あなたが作ったの?」
「ふふふ・・・」

ポーランド式スモークサーモンは高温処理、低温処理の2通りがある。私は前者が好き。脂が乗っていて、塩加減もちょうどいい。

朝市のニシン・バー

写真撮ってもいい?と聞くと、わたしなんか・・・と躊躇ってから、ポケットから手鏡を取り出してチェックしてニッコリ。

朝市のニシン・バー


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シュールな人違い

夏休みが4か月もある娘は、アングレームで運転免許を取ると言い出した。パリの教習所みたいに待たされないし、交通量は多くないし、楽勝であろうと。ふむふむ。
東京の教習所で毎日のように車をぶつけ、「あんた、外に出たら一日にひとり殺すよ」と教官に言われて諦めた私は、その日以来、運転できる人を自動的に尊敬してしまう。つまり尊敬する人数がすごく多い。
だから娘の話を聞いて「また尊敬する人がひとり増えるわね」。

こんな感じで、法規はネットで勉強できるので、

notre-pedagogie-cours-code.jpg

登録しようと、娘が申込用紙や身分証明書のスキャンをメールで送ったところ、
「拒絶された!」
「なんで?」
「“あなたは既に免許を持っています”だって」
ITシステムの間違い?
「『持ってない』とメールを送っても返事は来ないし、このサイト、生きた人間と話ができないようになってるの」と娘。
「新しいメールアドレス作って試してみるとか?」

ようやく問い合わせの電話番号が見つかり、10分以上待たされてようやく“生きた男子”が出てきた。
「“そんな話は聞いたことがない”って驚いてた」(しょっちゅうあったら大変だ)
「で、どうすればいいって?」
「調べてみるって」
いい加減な返事に不安を感じた娘は、翌朝また電話。電話の応対は午前中のみ朝7時45分から。
「一番乗りしようと7時40分からかけ始めたら一発で出た。まあ聞いてよ」と娘。
なんと娘と同姓同名、生年月日まで一緒の女の子がフランスのどこかにいて、その子は既に免許を持っている!
「シンジラレナイ!」
うちの娘は世界にひとり、と思ってたのに。同じ名前はあり得るけど、同じ年の同じ日に産むなんて!親の顔が見たい。

そういえばAdam Biroという名前の友人が、自分の名前でメールアドレスを作ろうとしたら、すでに3人の同姓同名がいて、アドレスはbiro4になった。
「こんな珍しい名前は世界にひとりと思っていたら」と憤慨していた。
それにしても2つ目の名前が違い、住所も違うのに、なんかアバウトな情報処理。でもめでたしめでたし。


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映画ザッピング:『En guerre/戦争中』

アジャンにあるPerrin Industrieの工場。3年前から工員たちは35時間分の給料で週40時間働き、赤字解消に貢献してきた。
その代わり5年間はリストラなし、という条件で。昨年、黒字に転じ少なからぬ利益をだしたのに、幹部は工場閉鎖を決める。
約束不履行。ローランを頭に1100人の工員たちは、この一方的決断に反対。仕事ボイコット、交渉、工場占拠・・・戦争状態になる。
ステファン・ブリゼ監督の『En guerre/戦争中』。今年のカンヌのコンペティション参加作品。
ムショ帰り、失業者などの役をやるうち、目が座ってきたヴァンサン・ランドン主演

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』

同監督の『La loi du marché/ティエリー・ドグルドーの憂鬱』で、やはり主役のヴァンサン・ランドンがカンヌ最優秀男優賞を取ったのは2年前と思ったら2015年。時の経つのは早い。
自分の能力に合った再就職先が見つからず、やむなく大スーパーの警備員になるティエリー。ハンディキャップのある息子を抱え、職を得なければ最後の砦、アパルトマンも手放さなくてはならない。スーパーでお客の万引きを取り締まるうち、ティエリーの価値観と仕事の必要性のバランスが崩れていく様が見事に描かれていた。

そのブリゼ&ランドンコンビの、やはり社会派作品。カンヌ試写でスタンディングオベーションと聞いたけど、そうなの?
株主たちへの配当を良くしようと利益の少ない部署を切り捨てようとする経営陣と、仕事を死守しようとする社員たちの戦いは珍しくなく、ドキュメンタリーを観ているようだ。

こういうシーンばっかり

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』

ステファン・ブリゼ『En guerre/戦争中』
photos:allociné

「経営側も工員側もない、私たちはみな同じ船に乗っている」と工場長が言えば、
「同じ船だとしたら我々はネズミのいる船底、あんたたちは上の船室だ」と工員。
やり取りはリアルだけど(出演者の多くは俳優ではなく労組員)、なんの感動も産まないのだ。
労組もイデオロギーの違いでいくつかあるので(CGT、CFDT、 CGT-FO・・・)工員たちの中で分裂も起こる。テンション上がる話し合いは出口が見えない。

ステファヌ・ブリゼの作品では、スイスで安楽死を選ぶ母とムショ帰りの息子(ヴァンサン・ランドン!)の話『Quelques heures de printemps/母の身終い』も、とてもよかったのに。

En Guerre
ステファヌ・ブリゼ監督作品
主演:ヴァンサン・ランドン、メラニー・ロヴァー
1時間53分
フランスで上映中

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3年に一度のネコ供養

日本ではついに犬を抜いて一番愛される猫が、中世のベルギーでは“悪魔と魔女の共犯者”とみなされていた。イーペルの町では、衣料会館の鐘楼から猫を投げて殺す、というブリジット・バルドーじゃなくても激怒するようなことが、1817年まで行われていた。
何匹の猫さんが広場に落下して亡くなったか知らないけど、彼らの冥福を祈り、3年に一度行われる猫祭り、カッテンストゥッツ。
その話を聞いてから一度は行きたいと思っていた。

初めて乗る『みゅう』のバスはギャラリー・ラファイエットの前を9時半に出発。
参加者にはフランス在住者もかなりいるみたいだ。フランス人は夫のほかに一人だけ。
バスは程よく暖かく快適で、日曜にしては早起きした私はウトウトすること3時間半。13時にイーペルの町に着く。

人口3万5000人という小さな町は、どこでも歩いて行ける大きさ。パレードの通るメインストリートは既に場所取りが始まっている。
パレードの前座はスポンサーの山車、猫メイクをした人たちがキャンデーやチョコレートを大量に投げ、子供だけじゃなく大人まで争って取っている。中にはビニール袋に一年分くらいのキャンデーをゲットしている人もいた。
もともと球技が苦手な私が、こんな小さいものをキャッチできるはずがないだろうが。このスポンサー部分はパスして、カフェにでも入っていたほうがよい。

やっとキャンデーの雨が終わり、猫パレードが始まった。

ベルギー、イーペル猫祭り 2018

ベルギー、イーペル猫祭り 2018

ベルギー、イーペル猫祭り 2018

ベルギー、イーペル猫祭り

ベルギー、イーペル猫祭り 2018

背景に見えるように、レンガ造りの建物が並ぶ街並みは美しい。

入ったレストランは骨董屋のよう。食べ物もクラシック、ベルギービールは美味しかったけど値段はパリ並み。

イーペル 猫祭り

「なぜレンガ?」
「石がないから」と夫。「でもレンガも頑丈なんだ」
知ってます。『3匹の子豚』で読みました。

山車はプロっぽいのとシロウトっぽいのが(3年間あったんだからもっと練習してくれ!)のが混じっていて面白い。
3時間もするとさすがに寒くなって、人混みをかきわけて周囲を歩いた。

猫祭りを見る猫に出会う。やっぱり本物に勝るものなし。

イーペル 猫祭り

18時に衣料会館の上からピエロが猫のぬいぐるみを投げ、拾えた人に幸運をもたらす、という、ちょっとこじつけっぽいフィナーレ。時間通りには始まらず、バスの出発時間になった。
うちには2匹、生きた猫がいるから幸運をもたらしてくれるだろう。
いつもは朝市に行って、作り溜めなんかしている日曜日、ポッカリと脱日常。
夫もすっかりバス旅行が気に入ったみたいで「また行かないか?」


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ナタンの“結婚観”

食べたいです、行きたいです・・・という構文をやっていた。
「あなたは結婚したいですか?」という練習問題の質問。
ナタンと同い年の娘は“結婚”には関心がなく、恋人との子供がどんな顔になるか、モンタージュを作って面白がっている(私はギョッとした。そういう具体的な話になってるの ?!)。

で、ナタン君は?
「けっこんしたいです。でも神様の前ではしたくない」
“神様”なんて言葉、知ってるのね。マンガに出てきた?
「神様の前って教会ってこと?神様を信じてないから?」
「そう。でも彼女は神様の前でけっこんしたい」
「彼女のうちはカトリックなの?」
「はい。うちのおばあさん、おじいさんカトリック。おとうさん、おかあさん、ぜんぜんどーでもいい」
「でも彼女は教会で結婚したい・・・どうするの?」
するとナタンは突然もじもじして、
「彼女、いないからわからない」
「・・・・」
彼女と結婚の形で意見が合わない、というのはどうやら想像の世界。

ナタンにはお姉さんと妹がいて-たしかに女に囲まれた雰囲気-彼は、「ボクのおねえさんといもうとさん」という。
「妹、弟には“さん”をつけないのよ」といったら、怪訝な顔をされた。
今まで“そういうもの”と思ってきたけど、年下には“さん”をつけないのは年功序列な考え方だ。
もっとひどい(!)のは主人・家内という言い方。男女差別。時代に合わない。子供たちにはこの2つの言葉は「忘れなさい」といってある。ナタンにも教えない・・・

★『深イイ話』を見てくださった方、メールやコメントをくださった方、ありがとうございます。
現実の生活は(当然)あのようなものではなく、家の中は2日がかりで片付け、服が違うのは撮影が5日間に渡ったからでした。

日本語の生徒さんはナタン君ではありません。彼はちょうどバカンス中で、バカンスではなくても「テレビはちょっと・・・」だそうです。


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猫が4日食べないと・・・

まずリュリュがご飯を食べなくなった。
食べること、寝ることが2大活動である猫が食べない、というのはよほどのこと。外でなんか悪いモノを食べた? 
よく観察していると、硬いキャッツフードが食べにくそうな様子なので、もしかして口内炎?ムース状のキャッツフードを買って与えたらこれは食べるけど、いつもよりずっと少なく、グッタリしている。

リュリュ

2日後、今度はタマがご飯を食べなくなった。ムースも、いつもは狂喜する缶詰のサーディンも・・・何を勧めてもプイと横を向く。
寝てばかりいて(これはいつものことだけど)、やたら膝に乗って来る。夫の膝に乗ったとき「これはヤバい!」
猫が人懐っこくなるのは自分が弱って保護を求める時、というから、8年間、一度も乗ったことのない夫の膝に乗るというのはふつうじゃない。
タマの“飼い主”である娘はアングレームにいるので知らせず、土曜日、夫と2人で獣医さんに連れて行った。
アナイスが同じ籠に入れられて2度と帰って来なかった日から、タマは籠に入るとパニックになる。道中ずっと鳴き続けるので「タマ、大丈夫」「もうすぐ着くよ」「その後、おうちに帰ろうね」と言い続けた。全然聞いてなかったみたいだけど。

私もドキドキした。アナイスのように癌であと何か月、なんて言われたら・・・
獣医さんがあちこち触ったり、血を採ったりしてもタマはおとなしくて、獣医さんに飛びかかって負傷させたアナイスとは性格が違う。

お腹にあるのは脂肪の塊で腫瘍ではなく、血液検査の結果、肝臓も腎臓も膵臓も正常と聞いて、私は心からホッとした。
「ただし」と獣医さん。
「白血球が減っている、ということはヴィールス性の病気に罹ったということ」
「ヴィールス性の病気?」
「そう、私たちがインフルエンザに罹るみたいに。でも何の病気かはわかりません」
想像するに、リュリュがどこからヴィールスをもらってきて、それをタマにうつした。若いリュリュは早く立ち直り、タマのほうが重かった。
重いといえば、タマは体重を減らせと言われているので、
「数日食べなかったら少し痩せるのでは?」と言ってみたら、
「猫が4日食べないと肝臓が肥大して、フォアグラみたいになります。それで死ぬ猫もいるんですよ」
「!?」
「とにかく美味しいもの、好きそうなものをあげてください」
猫が4日食べないと命にかかわるなんて知らなかった。
フォアグラにはなりたくない、というようにタマはその日の夜から食べだした。

そして、「ああ、ちゃんとうちに帰れた」とホッとしているように見えた。

タマ

追伸:5月14日(月)夜9時、日本TV『深イイ話』に出ます。自分を画面で見ると「穴があったら入りたい!」ですが・・・そう、タマも登場します。リュリュは出演拒否でした。お時間あれば。


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こんなおばあさんになりたい?

朝市の肉屋さんの店先。近づいてきたご主人のおじさんが、
「ラ・ヴィ・エ・ベル?」
ジュリア・ロバーツがイメージモデルの「人生は美しい」という香水を、私はつけたことがない。
「ハズレ!」と答えたら、
「アタシですよ、ラ・ヴィ・エ・ベルは」
声の主は80歳は過ぎている小柄なおばあさん。
「この香りがお好きなの?」と彼女。
「奥さんの香水とか?」と私。でも肉屋さんは答えない。
「この香りをつけている女性を知っているってことね・・・」とおばあさん。
おお、粋なセリフ!
「そういうこと」と肉屋さんはにっこり。
思わずおばあさんの顔を見たら、なかなか可愛い顔立ちでシワの中に目がキラキラしていた。人生は美しい・・・

同じ日、バスに乗っていたらRATPの検札係が4人も乗りこんできて車内に散らばった。無賃で乗っていた若い女の子はすぐ捕まって罰金。ああ、腹立つ、とひとりで毒づいている。
その時、バスの奥から「あたしゃ払わないよ!」という声。女性職員を睨みつけているのはショートカットのおばあさんだ。
「80過ぎて乗車券がいるの?」
「高齢者の無料はありませんよ。身分証明書を見せてください」
「そんなものはないよ」
「じゃ健康保険証」
「それもないね、あるのはケータイと孫の写真だけ」
横にいた友達のおばあさんが、
「次で降りましょう」
「ああ、そうしよう」
おばあさん2人が立ちかけると検札さんは
「座ってください!」
と言ったものの困り果てている。

そのうち私の降りる駅についた。
成り行きが気になったけど、乗り越して見届けるほどヒマでもなかったので仕方なく降りる。

元気なおばあさんたち。私はラ・ヴィ・エ・ベルのおばあさんのようになりたい・・・


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日本から来る友達の殆どはルーヴルとオルセー美術館に行き、ポンピドーセンターにはあまり関心を示さない。
なぜ? 
「チューブのお化け」とあだ名されていた建物が、古いパリの街並みに似合わないから?
建築家レンゾ・ピアノのコンセプトは「これまで中に隠していたものを全部外に出す」。
日の目を見たチューブたちは役割によって色分けされている(知りませんでした):青は冷暖房、緑は水道、黄色は電線、白は冷却塔、赤はエレベーター&階段で、コミュニケーションを繋ぐシンボルカラー。

近代・現代アートはわかりにくい、という先入観のせい?
ところがポンピドーはフランス人に人気の美術館(入場者の60%がフランス人)で、中でもパリジャン/ジェンヌが一番好きな美術館だそうだ。そういえば美術学校に通う娘や彼女のクラスメートはポンピドーは面白いという。
「じゃ、一緒に行こう」と、娘をパソコンから引きはがし、ポンピドーセンターに赴いた。

なるほどエスカレーターは赤。

パリ、ポンピドーセンター

ルーヴルは古代から1850年までの作品。オルセーは1850~1905。1905年から引き継ぐのがポンピドーだ。1905~1960が近代、その後から今日までが現代美術に分類されている。すなわち、私の好きなヴァンドンゲンやジャコメッティは近代アートなのだ。

エスカレーターで上っていくと“パリの屋根”が眼下に広がり、サクレクール寺院やデファンスの高層ビルの林が見える。最上階からの眺めに、みんな立ち止まって写真を撮り、「あ、美術館に来たんだった」と思い出したように展示室に入っていく。

5階の近代アートはマティスで幕を開ける。

パリ、ポンピドーセンター、マティス

オットー・ディクスの『新聞記者シルヴィア・フォン・ハーデンの肖像』

パリ、ポンピドーセンター

彼の作品の一部はナチに『退廃的アート』とみなされ焼かれた。
ポンピドーセンターがこの作品を買い取ったとき、シルヴィア・フォン・ハーデンが来て、肖像画と一緒に記念撮影をしたそうだ。

おお、ジャコメッティ!彼のモデルになった矢内原伊作氏の『ジャコメッティとともに』を読んで感動し、今は亡き矢内原氏に会いに行ったことがあった。

パリ、ポンピドーセンター

壁に貼りついたダニエル・スポエリの『蚤の市、ジャコメッティへのオマージュ』
強力接着剤へのオマージュ?

パリ、ポンピドーセンター

モンドリアン。コピーしたのはサンローランで、その逆ではない。

パリ、ポンピドーセンター

4階、現代アートではうーん・・・と首をかしげる作品や、「これなら私だって描ける!」と言いたくなるのがある。
中には、このニキ・ド・サンファルの『Mariée/花嫁』のように立ち止まる作品もあった。

パリ、ポンピドーセンター

遠目には、凝ったレースのウェディングドレスだけど、近づくとそれは戦場。ドレスは壊れたミニチュアの兵士 、倒れた馬、車輪でできている。
結婚への悲観的なイメージと、強制された結婚への反撥。日本でも「結婚は人生の墓場」という言葉があった・・・

ジョゼッペ・ペノーネ。1960年代にイタリアで始まったアルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)のアーティスト。

パリ、ポンピドーセンター

“伝統的な画材を捨て工業的な素材、木、石などを加工せずに用いる”美術運動だけど、これは木の幹から彫った驚きべき作品、驚くべき忍耐力!

エスカレーターを下りながら、近代&現代アートのイメージが変わった気がした。私たちが生きている時代の反映で、好き嫌いは別として後に残る作品、考えさせられる作品がある。
「だからいいって言ったでしょう?」と娘。はい、おっしゃる通り。
(アララ、すごく長い記事になっちゃった!)


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白い花束と黒い壊し屋

毎年5月1日、駅前や街頭に現れるスズラン売り。

スズラン売り
photo:Charente Libre

“谷間の百合”、日本では“君影草”という詩的な別名がある可憐な花を贈り合うのは、スズラン振興会(そんなものがあればの話)が考え出したものではなく中世から続く伝統。
ケルトにはこの花が“幸運をもたらす”という言い伝えがあり、1561年5月1日にスズランを贈られたシャルル9世は、宮廷の女性全員に贈ることを決めた。
この習慣が一般的になるのは1900年。当時の有名なクチュリエたちがお針子全員にスズランを贈ったのがきっかけ。

さて歴史のお勉強はこのくらいにして、5月1日は労働者の祝日だから恒例のデモが行われた。
夕方、映画を観に行こうと夫と外に出たら、バスティーユ広場には“祭りの後”の雰囲気が漂い(デモの出発点だったので、デモ隊はとっくにイタリー広場に着いていた)、スズラン売りはまだたくさん出ていた。
「買ってよ」と夫に言い、小さな花束を取ろうとしたとき、黒づくめの男たちが20人くらい、私たちのほうに走ってきた。覆面をしている人もいてアグレッシヴな雰囲気、思わずよける。
「壊し屋だ」と夫。デモや占拠の抗議集会がある度に、お店のウィドウや銀行の窓ガラスを壊すプロの壊し屋でBlack Bloc/ブラック・ブロックと呼ばれている。そこへ今度は憲兵のトラックが何台も到着し、黒い群れを追っかけて行った。

夜のニュースによるとBlack Blocの数は1200人あまり、その約1割が逮捕された。オステルリッツ駅そばのマクドナルドやカフェが滅茶滅茶に壊された。

メーデーデモ、壊し屋
photo:Slate

極右マリーヌ・ルペンは「壊し屋は極左派」という声明を出し、急進左派ジャン=リュック・メランションは「あれは極右だ」
子供の喧嘩みたい。
ブラック・ブロックは1980年代ドイツで生まれた反政府、反キャピタリズムのアナーキスト団体、極左派とも極右派ともイデオロギーを共有しない。逮捕者の中にはドイツから出張してきている人もいた。彼らは、マルチナショナル企業や銀行などキャピタリズムの建物を選んで壊し、小さな小売店は(なるべく)触らない。

あまりニュースで繰り返すので、翌日通ってみたら・・・ガラスを全部壊されたマクドナルド(左)は既に板囲い。新聞スタンドもやられている。これ、小さな小売店じゃない?

5月1日メーデーデモ

こちらは大きな歯科医院。歯科医=金持ち=キャピタリズム?

5月1日メーデーデモ

とにかく、スズラン売りたちの可憐な白い花束と、黒く物騒な壊し屋たちのコントラストが印象的だった。

スズラン


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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