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古いのに古びない小津の作品

フランスの映画批評で「オズの世界」「オズを彷彿とさせる」というセリフに時々出会う。
最初、なぜオズの魔法使いが出てくるの?と思ったけど、小津安二郎のことだった。

小津作品を知ったのはフランスに来てから。「え?オズ観たことないの ?!」と驚いた友人が連れて行ってくれた。
小津がフランスで(日本より?)人気があるのは、エリック・ロメールの日本版だからではないかと思う。2人ともふつうの人たちの人生の一コマを切り取り、人間関係や感情を細やかに描く。背景には時代を感じても、登場人物たちは少しも古びていない。

今年もいくつかの映画館で小津回顧特集をやっていて『彼岸花/Fleurs d’équinoxe』を観た。

左から有馬稲子、山本富士子、久我美子

小津安二郎 『彼岸花/Fleurs d'equinoxe』

大企業の常務、平山(佐分利信)は、適齢期の長女・節子(有馬稲子)の相手に頭を悩ませていた。
次女が「お姉ちゃん、自分でいい人見つけるわよ」と言うと「そうだといいけどねぇ」と鷹揚に返事をしていたくせに、谷口(佐田啓二)が会社に現れ、節子とつき合っていると言うと、途端に拒絶反応を示す。
一方、馴染の京都の旅館の女将(浪花千恵子)も、娘・幸子(山本富士子)の縁談にヤキモキしている。「お母ちゃん、あの人はどうか、この人が良さそうだ、と勝手に選ぶけど、自分の相手は自分で決めたい」と幸子に相談されると、「そりゃそうだ、幸子ちゃんの結婚だもの」(セリフはすべてアバウトです)と理解を示す。なんという矛盾!

この作品は1958年公開だから60年前。東京の風景やちゃぶ台の食卓に時代は感じても、人間の気持ちは変わっていない。

小津安二郎 『彼岸花/Fleurs d'equinoxe』

マッチョ夫(佐分利信)を巧みに懐柔する妻(田中絹代)

小津安二郎 『彼岸花/Fleurs d'equinoxe』

男たちは、形だけでも自分で決めないと気が済まない。「大事な娘をやるのに親の意見も聞かずに決めて!私は反対だ!」
女たちは真っ向からは反論せず、父親の顔を立てながら、小気味よくしたたかだ。

当時の名優が顔を並べ、女性たちがとても素敵。平山の妻(田中絹代)や浪花千恵子、山本富士子の着物が決まっていて、裾を少しも乱れさせず走る姿に見とれた。有馬稲子の“洋装”はそのまま真似したいくらいエレガント。

この映画、夫に見せたい。娘のボーイフレンドに懐疑的で「いい子じゃない」と言っても、ブスっとしている。“大事な娘”には、どんな男子も相応しくないと思っているらしい。ヤレヤレ・・・

彼岸花/Fleurs d'Equinoxe(修復バーション)
監督:小津安二郎
主演:佐分利信、田中絹代、有馬稲子、山本富士子、久我美子
1時間57分
パリのMK2Parnasse、MK2Bastille、その他インディペンダント映画館で9月4日まで


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暑すぎ巡礼地、ロカマドゥール

なぜ巡礼者たちはサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩くのか?というと、聖ヤコブの遺骸があるとされているからだ。
ローマ、エルサレムと並んでキリスト教の三大巡礼地になっている、とウィキペディア。

“サンティアゴ・デ・コンポステーラへの道”上にあるフィジャックでもバックパックに2本の杖を持った巡礼者と時々すれ違う。
“道”の出発点のひとつがスペイン国境の近くのサン・ジャン・ピエ・ド・ポールで、そこからサンティアゴ・デ・コンポステーラまで約800㎞、歩くと31日~33日。ということはフィジャックで出会う巡礼者は出発点にたどり着こうと歩いていることになる。
もちろん一気に歩く人は稀で、毎年何十㎞か制覇し、各拠点で巡礼手帳に証明のスタンプを押してもらう。つまりスタンプラリー。

巡礼者の数は年々10%ずつ増え、20万人を超えるそうだ。その理由のひとつに宗教的な理由なしで、歩きたくて歩く人が増えているとか。

“サンティアゴ・デ・コンポステーラへの道”の拠点のひとつ、ロカマドゥール。20年くらい前、息子がロカマドゥールというチーズが好きで、私はチーズの名前かと思っていた。

ロカマドゥール チーズ


後に、崖っぷちに建てられた教会と黒い聖母で有名な町の名前と知って、一度行ってみたかった。
義弟ジャン=ルイに聞くと、
「まあ、風景は素晴らしいけど」
「けど?」
「人が多すぎる」
巡礼は4月からボチボチ始まり、8月がピークなのだ。
「少し離れたところから観たほうがいい」つまり一緒に来る気はなさそなので、夫と2人で出かける。

遠くから見ると「おお、壮観!」150mの断崖にしがみつくように建てられた教会とシャトー。
しかし、どうやったらあそこまでたどり着ける?

ロカマドゥール

道がみつかった。平坦な道なのに既にバテている。暑すぎ。

ロカマドゥール

城門をくぐるとそこは“モン・サンミッシェル状態”(=聖地グッズや全然関係ないもののお土産屋ばかり)

ロカマドゥール

ここから上の聖域(12世紀に建てられ、19世紀に修復された7つの教会、12世紀に遺骸が見つかった聖アマドゥールのお墓、黒い聖母・・・)へは巡礼者用の道(もちろん上り坂、最後の216段の階段は膝をついて上る・・・人もいる)と、救いのエレベーター!
巡礼者たちが何分かけて上るか知らないけど、この暑さでエライ、同じ人間とは思えない。信仰の力だろうか。
信心深かった祖母なら、歩いて上ったでしょうね。
私たちは軟弱に2つのエレベーターを乗り継いで、3分くらいで頂上に着いた。

ロカマドゥール

帰ってからジャン=ルイに「黒い聖母がみつからなかった」
「 ??!!」
よく話し合ってみると、大きな聖母像を思い描いていた私たちは、聖堂で小柄な聖母像を見て、それがあの有名な黒い聖母とは思わなかったのだ。

ロカマドゥール 黒い聖母

「もう一度行ってこい!」とジャン=ルイ。
はいはい、涼しい時にもう一度・・・


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女性遍歴から猫好きへ

そこから私たちは、夫の弟カップルがシャンブル・ドットを経営しているフィジャック市内に向かう。
すなわち、私たちのヴァカンス前半は“怠惰な海辺の日々”、後半は“南西フランスご招待ツアー”となった。

弁護士だった義弟ジャン=ルイは結婚せず親元で暮らし、女性遍歴を続けていた。ラテン系風貌、よく気がつきユーモアがあり、モテるタイプだわね。
“モテるのは男の甲斐性”と母親は自慢し、浮気をしたこともなかった父親は密かにあこがれ・・・50歳近くなっても実家にいるのを少しもヘンとも思わないヘンな親たちだった。
それが15年前、弁護したコルシカの未亡人に“がっしり首筋を掴まれ”、以来一緒に暮らしている。ジャン=ルイのモト彼女たちの共通点は:
①南(イタリア、コルシカ、南仏)の出身
②嫉妬深い
③小柄で可愛い
④義弟のことがすごく好き
だったのに、コルシカ未亡人マルティーヌには①と②しか当てはまらない、ばかりか文句ばっかり言っている:(義弟が)飲み過ぎる、食べ過ぎる、服を買い過ぎる、声が大き過ぎる(弁護士だったから仕方ないでしょ)・・・なぜ続いているのかほんとに不思議。

2人はフィジャックに素敵な館を買い、全4室の高級シャンブル・ドットを始めた。部屋は広く各室バスルーム&トイレがあり、日本の民宿より高級感あり。

フィジャック、シャンブル・ドット

朝食用の食堂。フィジャックにはレストランがたくさんあるので夕食は出さない。

フィジャック、シャンブル・ドット

フィジャックはサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路にあり、4月~10月はお客が絶えない。シャンブル・ドット(一泊65-85ユーロ)に泊まるのは旅行者とハイソなMarcheur (お遍路さん)、ふつうのお遍路さんは地上階にあるGîte(簡易宿泊所)に泊まる。共同シャワー、トイレ、キッチンにシングルベッド6つ。一泊17ユーロ。

フィジャック、巡礼者用宿舎

フィジャック、巡礼者用宿舎

さて、女性遍歴をやめたジャン=ルイの新しいパッションは・・・猫。2年前に来た時は、裏庭の野良猫にエサをやっていて「へぇー、動物好きとは知らなかった」と見直した。
今回行ったら、その中の一匹を“養子”にしていて、ミミ(雄なのに!)という名づけられた猫は家の中を自由に徘徊している。
ミミにはマイクロチップが埋め込まれていて、それで台所の彼専用の小さなドアが、開くようになっている。専用自動ドア!マイクロチップとドアにそれぞれ100ユーロかかったとか。

ジャン=ルイのお腹の上で安心しきって寝るミミ。

IMG_20180816_225832_resized_20180817_075442480.jpg

いつもイライラ文句ばっかりのマルティーヌが「猫が膝にいるときだけ鎮まる」とジャン=ルイ。
ここでも猫が鎮静効果を発揮していた。
昔、トルコでは長い航海にでるとき、船に猫を乗せ、船員の怒りやホームシックを鎮めていたそうだ。フランスでも最近、認知症の老人ホームで猫を飼うところが出てきた。
そろそろタマとリュリュの待つ“猫の家”に帰りたくなってきた。


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精神分析家のウラ話

「家が5件もあって掃除が大変でしょ。お手伝いの人が来るの?」
「定期的にお手伝いさんが来るけど、泊まった人が掃除していくのよ」
ははぁ、これは「帰る前に掃除して」というメッセージである。了解。

ちょうどその前に「今まで来た親戚・友人の中で、イギリス人が一番片付けないし汚す」とヴィヴィアンヌが顔をしかめ、「日本人が泊まると、チェックイン前よりきれいにして出ていく」というパリのホテルの噂を私がしたところ。
そのセリフがわが身に降りかかるとは!夫と私はプティット・メゾンの隅々まで掃除するはめに。

精神分析家だった2人は、引退して時効になったのか、患者さんの話をする。
ヴィヴィアンヌのもとには日仏ハーフの女性2人が通っていたそうで、
「2人とも母親(日本人)の愛情表現の少なさに悩んでいたわ」
Mon amour、Mon trésor(わたしの宝物)、チュッチュッというフランス式に比べたら、日本人の親は表現しないものね。

中国人の患者さんは4人いて「価値観がお金だけなんでびっくりした。そのうち2人はフランス人男性と暮らしているんだけど、大切なのは年収、車、持ち家・・・愛情とか相性はぶっとんでるの」
へぇーと思うのと同時に、日本もバブルの頃はそうだったのでは?

お昼寝が終わった子供たちがプールに飛び込みだす。
裸にアーム浮輪、末っ子のサロメ(右)がめちゃくちゃ可愛い。

piscine560.jpg

ヴィヴィアンヌ&ロラン夫婦は、自分たちの生活スタイルや趣味がほとんど制度化していて、以前はよくイラついた。
今は、お互い年とともに丸くなったのか、馴染んだのか、いい友達になり、定期的に4人でご飯を食べる。
彼らにしたって“子供のベビーシッターの友達”だった私と30年以上付き合うようになるとは思わなかっただろう。

帰る時、2人は私を抱きしめ、その抱きしめ方に歳月が作った暖かみを感じた。


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山道で出会った猫、名前は“嵐”

敷地の周囲を歩いてみる。何分かかるだろう?
これが林。管理は樵さんに任せているそうで、誰も入らないみたい。じゃなぜ買ったの?

trados foret

木陰でガサゴソと物音がした。門も囲いもないこの敷地、どこかに変質者が隠れていても不思議じゃない!隠れるべきか逃げるべきか、一瞬迷っていたら、小さな猫が現れた。
脅かさないでよ!猫が3匹いると聞いていたけど、あなたがその一匹なの?

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シマシマの猫は、用心深く私を見ていたが、近寄ってきた。撫ぜるとグルグル言い出し、脚にすり寄って来る。しばらく私の手にじゃれついて遊んでから、突然用事を思い出した、というようにどこかへ走り去った。

その晩、母屋からプティット・メゾンまでの帰り道、昼間の猫がまた現れ、一緒に家に入ってきた。また用事を思い出して出ていくだろうと思ったら、ベッドに飛び乗り、先に寝ていた夫の足元で、脚を舐め始める。
外泊していいの?ヴィヴィアンヌたち、心配しない?

tempete2.jpg

夜中に目を覚ますと、子猫は夫に蹴飛ばされたのか私の横に寝ていて、撫ぜるとグルグル。猫の温かい重みは子守歌のようだ。

翌朝、一緒に寝た話をすると、「誰とでも寝るのよ」(?!)とヴィヴィアンヌ。
私だけと思っていたら、ちょっとガッカリ。名前はTempête/嵐。
5ヘクタールの“庭”を駆け回っているせいかほっそりしていて、幅はタマの半分もない。若く見えるけど2児の母。
2匹の息子たちも時々見かけるけど、懐っこいのは“嵐”だ。
「猫って鎮静作用があるわね。私、いつもせかせかしてるでしょ(自覚はあるんだ)。猫が膝にいるとなんか落ち着くの」

その晩、留守番している娘に電話。
「昨日SMS送ったのに返事がないから・・・」
「殺されたかと思った?」
「誘拐されたかと」
「それで誰が猫の世話をするか心配になった?」
「・・・・」


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雨の日の遊び方

「朝食は8時半からよ」と言われても、ヴァカンス中は9時前には起きないわよ。9時半に行くと、夫婦は庭の景色を眺めながらコーヒーカップの前に座っていた。
その日は珍しい雨で肌寒い。コート・ダジュールの33度から一挙に20度!持っていた服を重ねて着ても寒く、ヴィヴィアンヌの大きすぎるセーターを借りる。
霧に霞んだ山の景色を見ながらおしゃべりし、「さて、シャワーを浴びるとするか」とロランが立ち上がるのは10時過ぎ。
夫は“朝寝”にプティット・メゾンに帰っていく。朝ごはんを食べてまた眠り、昼ごはんの後は昼寝。彼はよく猫に「君たちの生活はなんだ!食っちゃ寝、食っちゃ寝じゃないか」
猫たち、これを見たら「アンタには言われたくない」と言うだろう。

私はコンポ―ト用のリンゴの皮むきを手伝う。
彼らはどう見たってかなりの資産家で、食料もいいものを買うけど、食べ物はひとかけらも無駄にしない。ヴィヴィアンヌは庭に生った、あまり美味しくないリンゴやナシやプラムでコンポートやジャムを作り、ラタトゥイユに入れなかったトマトの種や皮でトマトジュースを作る。残ったパンはプディングになり、生ゴミはより分けられ、林のそばの“コンポスト場”で堆肥になる。

食事のメニュー、時間、町への買い出しはヴィヴィアンヌが決め、何でも-パンの切り方まで-自分でやらないと気が済まない。手伝うことない?と聞いても、私に託されるのは、果物の皮むき、その後、皮をコンポスト場に捨てに行くくらい。

午後は、ロランご自慢の書庫の“ガイド付き見学”があった。
2年前に来た時はがらんどうのモト穀物蔵。「ここを書庫に改造する」と聞いて半信半疑。
「私が彼の年(80歳!)になったら、そんな膨大な計画をするだろうか(しないでしょうね)」と思ったもんだ。

思わず「アッ!」

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いくら建築家に任せたとは言え、財力があったとは言え、そのエネルギーと、この出来上がりに驚くばかり。
本の整理がロランの新しい“オモチャ”。彼らは2人とも精神分析医で、ヴィヴィアンヌの両親は研究者と教師だった。インテリ家族の蔵書は段ボール230個になり、トラックでパリから運ばれた。

ここを訪れた友人たちがよくする”アホな質問”が「これ、全部読んだの?」。
「読んだわけないじゃないか!」とロラン。中央がヴィヴィアンヌ。

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螺旋階段から地下に降りると、

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モト家畜小屋。奥の石にエサが置かれていた。

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本は科学、人文科学、宗教、哲学、歴史、精神分析、美術書・・・そして文学。私が知っている本は・・・文学だけ。
夫と私はあちこちから本を引き抜いてパラパラ読んだり、オーダーメードの樫の本棚や照明装置に見とれ、「これだけの工事、一体ハウマッチ?」という質問を何度も呑み込み、ヴィヴィアンヌが角笛を吹くまで書庫で遊んだ。


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時間を気にしない、頭は空っぽ

スーパーで買った10ユーロのパラソルで顔だけガードし、ビーチタオルの上に寝転がって本を読む。
本に飽きると海を眺め、身体が火照ってきたら海に飛び込む、という繰り返し。全然飽きない。
ほかのヴァカンス客も同じようなことをしている。子供は海の中にいる時間が長く、大人は圧倒的に日焼けに精を出す。裏と表、均等に焼くのはけっこう大変なお仕事だ。
夕方になって海岸が日陰に入ると、タオルを畳んで、水着をちょっとめくって“今日の日焼け”を確認し、スーパーで夕食の買い物をする。
ヴァカンスの語源はVacant=空いている、自由。時間を気にせず、頭は空っぽ。

もっと空っぽでいたかったけど、アパルトマンは6日間しか借りられず、私たちは南西フランスのフィジャックに向かった。と書くと簡単だけど、高速で反対方向に走り、降りる場所も間違え、夫はGPSに向かって怒鳴り・・・8時間かかってたどり着いたのは友人夫婦の別荘だ。
フランスで一番古い友人、ヴィアンヌとロラン。知り合ったとき6歳だった娘さんのジュディットが40歳、3児の母!
フィジャックから更に山道を上り、お隣の家まで2㎞という人里離れた場所に彼らは納屋を買い、大掛かりに改造した。
「最初は私の両親が2件買って、自分たちと私たち夫婦の家にしたの、もう40年くらい前よ」とヴィヴィアンヌ。

trados vue

納屋を買って、ヴァカンスごとに改装して、希望ののセカンドハウスを作るのはフランス人がよくやるけど、彼らのは桁が違っている。
行く度に家が一件増え、プールができ、林が加わり・・・今では敷地約5ヘクタール、家6件の“領地”になった。

trados piscine2

納屋は2件で2500ユーロ(約30万円)とタダみたいなもんだけど、石壁をぶち抜いて窓を作り、床を貼り、シャワーやキッチンを作り・・・と改装費はその何倍、何十倍?

敷地には彼らの家を中心に、娘さん家族の家、息子さんの家、ゲストハウス2件、そして書庫。
広すぎるんで、食事の時間になるとヴィヴィアンヌは角笛を吹いて知らせる。

グランド・メゾンと呼ばれるゲストハウス。

grande maison

私たちが泊まったプティット・メゾンの居間

petite maison1

バスルーム。ステンドグラスの色に合わせたタオル、と凝っている。

petite maison2

彼らはここで2か月を過ごす。山の景色に囲まれてテラスでご飯を食べ、昼寝をし、庭仕事をし、孫と遊び、プールサイドでアペリティフを飲み・・・の毎日。
「2カ月でも足りない。雑草を抜くだけでも何日もかかる」とロラン。
そりゃそうだろう、5ヘクタールだもの・・・

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コート・ダジュール海岸ウォッチング

コートダジュールに詳しい友人から、ボーリュー・シュル・メールの隣町、ヴィルフランシュがいいと薦められた。
「プライベートビーチがあってそこのバーがいいんだ」
隣町だし行ってみる?ほんとに良かったら、次回はそこにアパルトマン借りてもいいし。

コートダジュールには私が海岸電車とよんでいるローカル線があり、カンヌからイタリアのヴェンティミーリアまで海岸線を走っている。それに乗れば5分なのに車で行ったのが間違いのもと。
ヴィルフランシュの海岸はボーリューの3-4倍の長さで、海辺に寝転がっている人たちの数も車の数も勢い3-4倍で、駐車が一苦労。町の端っこにようやく車を停められた。

海岸は長いけど幅が狭くすぐに道路で、人工的な感じ。
プライベートビーチもひしめき合い、バーは友達に聞いた名前と違う。

コートダジュール海岸

私たちは風情のない海岸線を、汗だくになって中心地まで歩き、そこから裏道に入った。
そしたらサーモンピンクの建物に囲まれた細い道に、お店やピザ屋が並び、イタリアの町みたい。

コートダジュール海岸

コートダジュール海岸

夫が撮るとこういうことになる・・・

コートダジュール海岸

人の趣味は色々だけど、わざわざ来るほどの場所ではないわね。
結局、ボーリューに戻ってきた。

イタリアン・ファミリーの井戸端会議。海岸で聞こえるのはフランス語、イタリア語にロシア語。

コートダジュール海岸

偶然のように、女性一人の近くに陣取った男性一人。残念ながら“続き”を見届けることはできなかった。

コートダジュール海岸


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バカンス地、モノの値段

借りたアパルトマンのキッチンには電子レンジ、オーヴン、トースター、コーヒーメーカー、食洗機まであり、お皿、コップはもちろん、前のお滞在客が残していった調味料も揃っている。

ボーリュー、アパルトマン

ボーリュー、アパルトマン

では食糧調達!近く大スーパーSuper Uに赴いた。中は日焼けした“見るからにバカンス客”が右往左往し、駐車場も一杯だ。
そしてびっくりは生鮮食品の値段。季節の桃類(白桃、黄桃、白&黄ネクタリン、平たい桃)がすべてパリより高い。1㎏5.9ユーロ。パリの朝市では3.9ユーロくらいだから、30%以上高いってこと。
魚売り場も然り。あまり生き生きしていない鮭やタイが軒並みパリより高い。
年に一度の書き入れ時はわかるけど、暴利むさぼりすぎ。
前に来たときは、パリと同じ値段!と憤慨したけど「あの頃は良かったね」
「けしからん!」夫は私以上に憤慨し、でもスーパーはここだけ。仕方ない。

バス停で言葉を交わした地元マダムが、シーズン中は高すぎるので、「海岸のない他の町まで買い出しに行く」と言っていたのを思い出す。

翌日、近くにタイ料理のテイクアウトがあるから、あそこでお昼を買ったら?と夫。おお、そうしよう!

ボーリュー、アパルトマン

お店には牛肉や鶏の炒め物、チャーハン、春巻き・・・つまりタイというより平凡な中華が並んでいる。
私の前にいた女性2人連れが「高すぎる」と買わずに出ていった。嫌な予感。ま、フランス人はケチだけど。
私は小エビ入りの焼きそばに引かれ「2人前お願いします」
女主人はにっこり笑って容器に盛り始める。でもソバばっかり。
「あのぉ、エビ焼きそばなんだから、エビも入れてください」
「最後に入れます」
もう容器の縁まできているのに、女主人はソバを押し込み続け、やっと-ためらいがちに-エビを並べ始めた。
「あなたにはサービスします」
だって、よく言うわよ。
伸びたソバは優に3人分はあり、小エビは「ひとり6個よ!」と取り合う羽目になった。
値段?2人前24ユーロ。


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トンネルを抜けると地中海だった

オルリーからニース空港まで1時間40分。
空港のレンタカーオフィスで待つこと1時間。
目的地の海岸の町まで40分。
「たった15kmの距離、なんでパリ-ニース(930㎞)と同じだけかかるのか !?」と怒る夫。

汗だくでたどり着いたBeaulieu sur Mer/ボーリュー・シュル・メールは、人口4000人足らずの小さな町、今回で3回目だ。
でも今回借りたアパルトマンが一番きれい、だから一番高い(一日125ユーロ)。
この奥にシャワー、トイレと寝室2部屋。

コートダジュール、ボーリュー・シュル・メール

スーパーで買ったキッシュとサラダを大急ぎで食べ、私たちは海岸へ向かう。

ナニコレ?シックな建物の角に「立ちションしないでください。罰金対象」
ここでしたくなる人が多いってこと?

コートダジュール、ボーリュー・シュル・メール

海がある方向はわかっていても(見えるから)泊まるところが違えば道も違う。
人に聞きつつ坂道を下り、トンネルを抜けると・・・そこは紺碧の海だった。

コートダジュール、ボーリュー・シュル・メール

海岸の名前はla Baie des Fourmis/蟻の入江。なんで蟻 ?
ニースには la Baie des Anges/天使の入江という美しい名前があるのに。
遠くに見える白いパラソルは有料プライベートビーチ。

コートダジュール、ボーリュー・シュル・メール

夕方になると、子供はアイスクリーム、大人はアペリティフ、と去っていき、小さな女の子がひとりで遊んでいる。

コートダジュール、ボーリュー・シュル・メール

最初ここに来たとき、娘はあのくらい小さかった。それが今年の夏は彼と日本に行く。息子はマレーシアに行く。
親は大人しく国内で。でもこの光、この海の色、私は満足。


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温故知新の建築『石上純也展』

「地面に穴を掘って、そこにコンクリートを流して、それをまた掘って部屋を作ってるんだ」
「ふーん」
あの若い建築家はすごい、発想が独創的、と友人は絶賛するけど、地面に穴、コンクリート・・・ちょっと想像できない。
“あの若い建築家”とは石上純也氏。百聞は一見、とフォンダシオン・カルティエの展覧会を夫と観に行った。

これが噂の・・・
「仕事場(レストラン)と住居が、カーヴに似たひとつの空間で」というシェフの要望に応えて。山口のレストラン「ノエル」は目下建築中。

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

それにしてもこれだけの工事費、ゼロがいくつ?ノエルのシェフはすごい資産家なんだろうか?レストランの繁盛で元が取れるという計算?・・・余計なお世話ですが。

早回しの建築現場ヴィデオも面白い。ベドウィンの穴居を思わせる。

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

神奈川工科大学のKAIT工房
2000㎡という広大なスペースはガラス張り、仕切りがなく、300本の細い柱に支えられてる。「自由の抒情詩でありハーモニーの考察」とパンフレット。

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

子供の屋内広場SOLA、アミュー厚木の8階。空は雲で仕切られる。

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

認知症の高齢者のための施設、グループホームは特に印象に残った。

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

全国各地から取り壊し予定の家をそのまま持ってくる、昔からある“曳家”の手法。つまり色々な家のパッチワークでひとつの建築にするという試み。
「認知症の方が空間を覚えやすいように、それぞれの空間は個性的にしてほしい」がクライアントの希望。それなら違ったデザインの空間を作り出すより、木材や古び方がそれぞれ違う家を組み合わせて作ろうと。
「認知症の方が『施設』に入れられたという違和感を持たず、むしろ新しい家に引っ越してきたような暖かい感じの建築」と石上氏。

この企画は予算がかかりすぎて目下中断されている、とフォンダシオンのガイドさん。日本中から家を“曳いてくる”のは新しく建てるより時間もお金もかかるでしょうね。でも、歳月を経て色んなものを見てきた家と高齢者の方を重ね合わせたとこが素晴らしい。まさに温故知新。

ホテル、アートビオトープ那須の『水庭』のマケット

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

石上純也展、フォンダシオン・カルティエ

すごく美しいけど、これだけ水溜まり(?)があったらボウフラが繁殖して蚊が多いんじゃないかと。蚊に刺されると蕁麻疹のようになりやすいので、ヘンな心配をする。
雪景色が綺麗そうだ。

昔からあるものから探して、新しい形を作っていく。自然や周りの環境との繋がりを大切にする・・・たしかに「あの若い(若く見える44歳)建築家はすごい」!
9日9日までなのでお急ぎを。

Junya Ishigami
Fondation Cartier
261. boulevard Raspail 7014


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暑すぎて停電!

おとといの夜、息子と彼のガールフレンドとご飯を食べて、おしゃべりしていたら突然真っ暗になった。
洗濯機も食洗機も使ってないし煮炊きもしてないし、なぜ停電?
携帯の明かりを頼りに-いろんなものにつまづきながら-配電盤を見に行ったら、何も落ちていない。
外に出た息子が「建物全部真っ暗だよ。でも隣の建物は明かりがついてる」
私も外に出ると、上の窓から女性が顔を出し「お宅も?」「全館停電みたいですよ」

中庭とか廊下の公共の場の電気はつくけど、タイマー なんで1分足らずで消え、すぐ闇になる。
「ローソクはあったか?」と夫。
「・・・・」
「ほら、誕生日の!」と息子。ケーキの上に立てるヤツ?あんなの何本あったって・・・。

上の階から“電気に詳しそうな”雰囲気の男性が降りてきて、夫と建物の配電盤を見に行った。でも落ちていない。
こういう停電は初めてではないけど、大概15分くらいで復旧する。今度のは30分経っても暗いまま。
詳しそうな男性がEDF(フランス電力)に電話したら「これから復旧作業して夜中の3時ごろまでかかる」というお返事。原因は“暑さ”・・・パリでは、いやフランスでは大半の家にクーラーがないから、その関係がイマイチわからんが、まあ暑さのせいで色んなことが起こるんでしょう。

電気がないとネットは通じない。テレビも観れない。冷凍庫の中身は大丈夫だろうか?
トイレに行くにも携帯の明かりが頼りで、何もできない。
豪雨で何所帯が停電、というニュースを聞くけど、その苦労の100分の1くらいわかる気がした。

夫は「もう寝る」
私はやっと1本見つけたローソクで本を読みはじめたけど、けっこう眼が疲れるんだわ。
4時ごろ、家中に煌々と明かりがついて目を覚ました。こういうことにならないように全部消したつもりが、逆に点けてたみたい。ドジ。
翌朝外に出たら、こんな大掛かりなことが行われていた。

左の青い箱が応急の供給源?

パリの停電

コードは建物の中まで続いて、扉は開けっ放し。

パリの停電

コードの行きつく先には「電圧設置、死の危険」!というテープがグルグル巻き。慌ててその場を離れた。

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コードの束は2件隣りまで延々と続いているので、停電はうちの建物だけではなかったらしい。

パリの停電

夜中にこれだけ作業したのね、ご苦労様。
2日経った今日も、「死の危険」のままだ。


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イヤと言えない不幸

セクハラの話ではない。
イタリアのどこか、汚れたコンクリートの建物が続く貧しい一画で、マルチェロは犬のペットショップをやっている。
妻とは別れたけど一人娘をお姫様のように大切にし、近所の人たちとも仲良く、好きな犬の手入れを仕事にし・・・つまり、貧しいながら文句なく暮らしていた。

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

そこへ友達のシモーネがムショから出てきた。元ボクサー、コカイン中毒、暴力的なシモーネ は界隈の悩みの種になるが、報復が怖くて誰も警察に訴えようとしない。“殺し屋”を雇ったらどうか、と言い出す人も。
か細い体躯、イヤと言えない性格のマルチェロはシモーネのいいカモだ。コカインの調達に始まり、もっとヤバい犯罪に巻き込まれていく。
イタリア映画『Dogman』

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

シンプルなシナリオを背負う主役は2人:今年のカンヌで最優秀男優賞をとったマルチェロ役のマルチェロ・フォンテ。
シモーネの脅しに負け、悪の深みにはまっていく“善人“の心理状態。上手い!

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

そして、ここがイタリア ?と思う、裏ぶれて寒々しい海辺の風景が、マルチェロの運命に重なる。

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ
photos:allociné

監督は『ゴモラ』のマッテオ・ガローネ。ナポリの実在マフィア・グループ、カモッラを描いたロベルト・サヴィアーノの『死都ゴモラ』の映画化だ。サヴィアーノはこの作品を書いたことでカモッラから殺すと脅され、警察の保護下で暮らしている。

『ゴモラ』の日本版と言えるのがジェイク・エーデルスタインの『Tokyo Vice』。読売新聞の初の外国人記者エーデルスタインは、ヤクザ後藤組とFBIの取引をスクープしようとして、後藤組にばれ、記事を公開したら命の保証はない、と脅された。
そのいきさつを書いたのが『Tokyo Vice』で、超面白い。仏語版は出たのに日本語版が出ていないことにヤクザの怖さを感じる。
あ、これ以上書くと、私も狙われるかもしれないので、話を戻して『Dogman』。
マルチェロの表情と灰色の風景が残る名作、お奨めです。

DOGMAN
監督:マッテオ・ガローネ
主演:マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペスケ
1時間42分
フランスで公開中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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