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イヤと言えない不幸

セクハラの話ではない。
イタリアのどこか、汚れたコンクリートの建物が続く貧しい一画で、マルチェロは犬のペットショップをやっている。
妻とは別れたけど一人娘をお姫様のように大切にし、近所の人たちとも仲良く、好きな犬の手入れを仕事にし・・・つまり、貧しいながら文句なく暮らしていた。

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

そこへ友達のシモーネがムショから出てきた。元ボクサー、コカイン中毒、暴力的なシモーネ は界隈の悩みの種になるが、報復が怖くて誰も警察に訴えようとしない。“殺し屋”を雇ったらどうか、と言い出す人も。
か細い体躯、イヤと言えない性格のマルチェロはシモーネのいいカモだ。コカインの調達に始まり、もっとヤバい犯罪に巻き込まれていく。
イタリア映画『Dogman』

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

シンプルなシナリオを背負う主役は2人:今年のカンヌで最優秀男優賞をとったマルチェロ役のマルチェロ・フォンテ。
シモーネの脅しに負け、悪の深みにはまっていく“善人“の心理状態。上手い!

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ

そして、ここがイタリア ?と思う、裏ぶれて寒々しい海辺の風景が、マルチェロの運命に重なる。

映画『Dogman』マッテオ・ガローネ
photos:allociné

監督は『ゴモラ』のマッテオ・ガローネ。ナポリの実在マフィア・グループ、カモッラを描いたロベルト・サヴィアーノの『死都ゴモラ』の映画化だ。サヴィアーノはこの作品を書いたことでカモッラから殺すと脅され、警察の保護下で暮らしている。

『ゴモラ』の日本版と言えるのがジェイク・エーデルスタインの『Tokyo Vice』。読売新聞の初の外国人記者エーデルスタインは、ヤクザ後藤組とFBIの取引をスクープしようとして、後藤組にばれ、記事を公開したら命の保証はない、と脅された。
そのいきさつを書いたのが『Tokyo Vice』で、超面白い。仏語版は出たのに日本語版が出ていないことにヤクザの怖さを感じる。
あ、これ以上書くと、私も狙われるかもしれないので、話を戻して『Dogman』。
マルチェロの表情と灰色の風景が残る名作、お奨めです。

DOGMAN
監督:マッテオ・ガローネ
主演:マルチェロ・フォンテ、エドアルド・ペスケ
1時間42分
フランスで公開中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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