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74歳の老人になりきる39歳

母は1970-80年代に人気があった歌手、ギイ・ジャメの大ファンで、僕のからかいネタになっていた。去年母が亡くなり、家の整理をしていたら僕宛の手紙が見つかった。それには、ギイ・ジャメが僕の父親だと書かれていた。

まだ歌手活動を続けているギイ・ジャメは74歳。ドキュメンタリー映画作家の“僕”は、現在のギイを撮ろうと決める。
アレックス・リュツ監督・脚本・主演の『Guy』

アレックス・リュッツ『Guy』

折しもギイ・ジャメは昔のヒット曲を録音し直したCDを出し、地方公演を始めるとこだ。
ゴティエはギイのOKを得て、日常を撮り始める:プロヴァンスの田舎の家、自分の娘ほど年の離れたパートーナー、趣味の乗馬、地方公演・・・

39歳のアレックス・リュッツが74歳のギイを演じる。

アレックス・リュッツ『Guy』
Photos:allociné

・・・というだけの話なので期待しないで観たら、驚くべきパーフォマンスで、思いがけず感動した。

アレックス・リュツはお笑いタレントで、映画にも登場するけど、一番有名なのはCanal+の『カトリーヌ&リリアンヌ』。OL2人が週刊誌をパラパラ見ながらおしゃべりするミニ・コント。

左はリリアーヌ(ブリューノ・サンチェス)

アレックス・リュッツ:カトリーヌ&リリアンヌ
photo:BFMTV

本物のアレックスと視線がセクシーなカトリーヌ

アレックス・リュッツ:カトリーヌ&リリアンヌ
photo:le monde

つまり変身は得意なタレント。毎日4時間半かかったという老けメイク(手の甲のシミまで)も抜群によくできている(ハリウッドではありうるけど低予算のフランス映画)。だけでなく、歩き方、声、口の開け方、空を見る視線・・・すべてが信憑性100%。予告編を観たとき、この人見覚えある・・・「アレックス・リュツじゃない!」と言ったら夫は信じなかった。

別れた妻、アンヌ=マリー(ダニ)と。会えば愛おしく、会う度に喧嘩・・・

アレックス・リュッツ『Guy』
photo:allociné

ゴティエのカメラは、過去の栄華、女たちを振り返るギイ、昔のヒット曲を引っ張り出す“悲壮さ”は感じながら、同じ世代のファンで埋まった地方のステージに立つギイ-自分の父親-を追いかける。

カメラを回してるんで画面にはほとんど出てこない”隠れ息子”ゴティエ

アレックス・リュッツ『Guy』
photo:allociné

ギイ・ジャメという歌手は存在せず、アレックスが作り上げた人物。観る人はそれぞれクロード・フランソワやジャック・デュトロンを重ねる(デヴィッド・ボウイを重ねるのは難しかったけど)
「誰もがアイドルを持っているから固定しなくなかった」とアレックス。「人生のオードを撮りたかった。」
でもシニカルなユーモアでメロドラマにしていない。老いと向きあう往年スターの、時に厭世的、時にメランコリー、笑うと子供の無邪気さになるポートレートに終始する。ブラヴォー!
脇役ばかりの三枚目タレントにこんな才能があったとは。歌も吹き替えなしで彼が歌い、若い時の声と74歳の声を使い分ける。この人スゴイ、次のセザール最優秀男優賞、取ってほしい。

もっと早く書けばよかったのに「一般的じゃない?」と迷い、遅くなってごめんなさい。
まだ上映館あり。

Guy
監督・脚本:アレックス・リュツ
主演:アレックス・リュツ、エロディ・ブシェーズ、ダニ
1時間40分

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ナタン君:「バイトはヘンです」

夏中バイトしていたナタン君と日本語を再開した。
バイトは大手の段ボール会社。前半は山積みの書類をスキャンすること、後半から倉庫で注文の発送準備が仕事。来年日本に3か月滞在するため、バイトは12月まで続けるそうだ。
エライわね。
「残業はあるの?」
「あります。でもヘンです」
「ヘン?」
ナタンの説明(「日本語じゃ言えない。ごめんなさい」)によると、タイムレコーダーはあるけど、同僚に押してもらって早く帰るというズルがあるので、担当主任がサインしないと“残業”として計算してもらえない。主任に頼むと「あ、わかった。するする」と言うだけで全然してくれない。
「だからもっとお金もらえるはず。ヘンです」
「じゃ残業しなければいいじゃない?」
「ダメ。残業しないと契約やめるっていう」
そりゃヒドイ・・・ま、おしゃべりはこのくらいにして何課だったっけ?

これまで「です・ます」の丁寧形だったのが普通形が登場した。
「“乗ります”の普通形は?」
「乗る」
「消します?」
「消す」
「何を“消す”の?」
「でんき・・・?」
「そう、あと“火事を消す”、消しゴムも知ってるでしょ。“殺す”という意味にも使うの」
「?!」
「例えば、ナタンが殺し屋に『主任を消してくれ』って」
ナタンは嬉々としてそれだけノートしている。知らなくてもいいことを教えるのが私は好きだ。


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森の中に住む父と娘

朝露を水代わりに飲み、穴を掘ってかまどを作り煮炊きをし、小さなテントの寝袋で眠る。父が「演習!」と叫ぶと、2人は駆け出し、灌木や草むらに身を隠す。誰かが来た時の予行演習なのだ。

デブラ・グラニク『Leave no trace』

イラク戦争に行った父親はそのトラウマで人間や文明社会が耐えられなくなり、娘を連れて森に逃げ込んだ。娘のトム(トマシンの略称)は15歳。背は高いけど、体つきはまだ少女。

デブラ・グラニク『Leave no trace』

育ち盛りの彼女には草やキノコのソテーでは全然足りない。ときどきリュックをしょって町のスーパーに買い出しに行く。
ある日、警察が森に入り込んできて、“演習”の甲斐もなく2人は捕まってしまう。そして家と食糧、父には仕事が与えられ、トムは学校に登録できることになる。
新しい生活にトムはすぐ馴染み、友達もできそうだ。でも父親は落ち着かず、人々の善意も息苦しく感じ、逃げ出そうとする・・・

眼が座っててふつうじゃないので、「お父さんは乱暴しない?」とソーシャルワーカーは聞くけど、ふつう以上に優しいパパだ。

デブラ・グラニク『Leave no trace』


『ウィンターズ・ボーン』のデブラ・グラニクの最新作『Leave no trace』。跡を残さず。

デブラ・グラニク『Leave no trace』
photos:allociné

この映画、一緒に観た夫は「美しい物語」といい、私は「辛い話じゃない!」
父と娘の愛情、連帯、自然の描き方が美しい、と夫。
戦争のトラウマがあるからと言って、学校にも行かず友達もいなくて、いつもお腹を空かせ夜は寒さに震える生活を娘に強いるのは可哀そすぎる、と私。
早い話、夫は男性(父親)に、私は女性(娘)に感情移入したってこと。自分がすごい寒がりなもんで余計可哀そうと思ったのだ。
でも夫の言うことも一理あり。お父さんがトムの勉強を見てきたお陰で、彼女は同学年以上のレベルがあるし、何より助け合い、支え合う2人の間に強い愛情が感じられる。
お父さんのトラウマの原因は説明されない。ありきたりの戦争シーンのフラッシュバックとかがない。その結果-殆ど口をきかず、娘以外には全く“閉じている”-だけが描かれる。
傑作とはいわないけど、後に残る作品。

Leave no trace
デブラ・グラニク監督作品
主演:トマシン・マッケンジー、ベン・フォスター
1時間49分
フランスで公開中

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エマニュエル&ブリジット・マクロンのボディガードだったアレクサンドル・ベナラ。5月1日のデモで警官の武装をし、デモ参加者を殴っているヴィデオがスキャンダルになった。

上院調査委員会でのベナラ喚問が火曜日にあり、ラジオでちょっと聞こうと思ったら、面白くてやめられなくなった。

左端のあごひげ青年がアレクサンドル・ベナラ

アレクサンドル・ベナラ
photo:franceinfo

なぜ警官でもないのに警官の服装をしていたのか。上級公務員官舎に住み、車を与えられる恩恵はなぜ?
弁護士と練習したとはいえ、ベナラはどんな質問にも落ち着いて答え、質問を巧妙にはぐらかし、頭と度胸のいい青年だな、と思わず感心。
例えば、なぜ武器を所持していたか?の質問に、エリゼ宮職員の武器所持の決まりについて長々と語り、自分は大統領選のミーティングや演説に同行し、いつも危険にさらされていたため、自衛のために自ら武器所持の許可を頼んだら、持たせてくれた。

さらに、自分はマクロン大統領のボディガードだったことは一度もない。集会やイベントがある度に保安のミッションを受けていた。
・・・と報道とは食い違うお答え。
「今の役職は?」の質問には、すかさず「失業者です」(彼はスキャンダル後、クビになった)
とにかく饒舌で煙に巻く。フランス語でいうとNoyer le poisson、魚を溺れさせる=大量の言葉で相手を混乱させる(フランス人のお得意!)

このベナラ事件、野党はマクロン叩きの絶好の道具にし「国家的事件」と騒ぎ、ちょうどニュースが少なかったメディアは毎日何か見つけて、“夏の連載小説”にした。異常に膨れ上がった責任はメディアにもある。

18歳で社会党マルティーヌ・オブレイのボディガードになり、柔道選手のようなボディと頭が切れるのを認められ、どんどん昇進した青年が舞い上がっって・・・本人が言うように「バカなことをしました」

アレクサンドル・ベナラ
photo:franceinfo

ラジオで政治評論家が「バットマンの衣装を与えられたら、自分がバットマンだと信じた」と評していた。
まったく。
その“バットマン青年”を政治家、警察の重鎮が何人も取り巻いて質問するのも、”異常に膨れ上がった”結果ではない?

この委員会の後のアンケートで、回答者の半数が「国家的事件なんかじゃない」
そして「ベナラの答弁の全部は信じられないけど、落ち着いていてインテリでびっくりした」
ほらね、国民のほうがちゃんと見てる・・・


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エリゼ宮の半日

「この週末はヨーロッパ文化遺産の日、通常未公開の建造物17000が一般公開になります」
毎年このニュースを他人事として聞いていた。だって3時間待つなんて・・・
ところが今年は「エリゼ宮に待たないで入れるんだけど、一緒に来る?」と友人から誘われた。当然「行く行く!」
日曜の朝、フォーブール・サントノレのエリゼ宮に前に行くと、既に《招待客》が列を作っている。アヴニュー・ガブリエルには一般の人の長蛇の列ができているらしい。
前日の最高待ち時間は「8時間 ?!」
友達とその友人、私と夫の一行は、招待客100人抜き!で中に入る。持つべきものは友達だ。
入りつつ「順路の矢印があるんですか?」と警備の人に聞いたら、
「ハハハ、そんなものありませんよ。ほかの人に着いていけばいいんです」

中に入ってもスーッと行けるかと思ったのは甘かった。エリゼ宮までの道はまだ長い。警備の人が笑ったはずだ。

jardin3_201809190330474ca.jpg

お天気はいいし、水飲み場、仮設トイレもできていて、おしゃべりしながら待つ。
大分進んだ。ここまでたどり着くのに約1時間半。

大統領官邸、エリゼ宮の中

ついに宮殿に突入。入って2間目がSalle Pompidou/ポンピドゥーの間。
1969年に就任したジョルジュ・ポンピドゥーは「国民に“当世風”のお手本を見せよう」とエリゼ宮の一部を超モダンなインテリアにした。

大統領官邸、エリゼ宮の中

50年前にこんな天井を作らせるとは、ポンピドゥーはなかなか未来派。

大統領官邸、エリゼ宮の中

でも大統領は「わたしは宮殿で暮らすようにはできていない。自分で選んだウチが一番居心地いい」とできる限りサンルイ島のアパルトマンに住んでいた。

ブリジット・マクロンのオフィス

大統領官邸、エリゼ宮の中

インテリアはナポレオンⅢスタイル-金(お金じゃなくてゴールド)を多く使ったかなりゴテゴテ-が基調で、そこにモダンな家具やタブローを配した間がある。

大統領のオフィス。TV中継で見るし、映画にも登場する。

大統領官邸、エリゼ宮の中

Salle des fêtes/パーティの間。天井が高く豪華!

大統領官邸、エリゼ宮の中

大統領官邸、エリゼ宮の中

特注のグラスたち。一番小さいのは、おちょぼ口じゃないと、グラスごと口に入ってしまいそうなほど小さい。

大統領官邸、エリゼ宮の中

こんなんで何飲むんだろう?
「ウォッカです」スタッフが速やかに答えてくれた。「ロシア皇帝は飲み干すと、グラスを後ろに投げていました」
アララ、もったいない。後ろに隠れてキャッチしたかった。

磨きこまれた銅製の鍋が並ぶ厨房。テフロン、使わないのね。焦げ付かないかしら・・・それに両手で持ち上げられないくらい重い。

大統領官邸、エリゼ宮の中

年間9万食を準備する。

大統領官邸、エリゼ宮の中

9万食?いくら招待客100人以上の会食があるとはいえ、この数字は多すぎる、一体一日に何回食事するの?と悩むあたし。
エリゼ宮で働く人は850人と聞いて納得。
この日はそれに加えて警官、憲兵、消防士も警備に出ていて、スタッフの数がすごかった。

権力とはこういうものだ。
ここで働く人たちの多くは何人かの大統領を経験したはず。政治的立場、賛否は別にして、大統領という”国の顔”と伝統を護るために働いている。
しかし。ジョルジュ・ポンピドゥーじゃないけど、ここに住むのは疲れそう。ウチのほうが居心地いい。別に選択肢があるわけじゃないけど。


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医師、歯科医、助産婦(夫)、薬剤師の医療関係に進みたい学生たちは、最初の1年、共通のカリキュラムで勉強し、2年生になるときの試験でふるいにかけられる。

アントワーヌは3回目の“一年生”、バンジャマンはバカロレア取得からストレートに一年生になった。
いかにして2年目に残るか、という熾烈な一年間、同級生との、自分との闘いの一年間だ。
オリエンテーションのとき、隣同士に座ったことで2人は仲良くなる。バンジャマンは医者の息子で、大学の近くにスチュディオを借りてもらっている。郊外に住むアントワーヌは時間の節約のため、バンジャマンのスチュディオに居候することに。

1時間前に行かないと席が取れない大階段教室での授業、その後はBU(大学図書館)で勉強、

映画 『Premiere annee』

休みの日は「頭のフレッシュな午前中は○○、昼休み40分、午後は××、17時休憩、その後は▽▽・・・」(○○や××が何だったか忘れました)

開けても暮れても復習し、暗記し、いつ掃除したかわからない部屋はポストイットが貼り巡らされ、友達づきあいも娯楽も切り捨てた1年。

映画 『Premiere annee』

その果てには、無味乾燥なヴィルパントの倉庫で行われる試験。そして発表の日・・・たった一日の試験で一生が決まる不条理を可笑しく哀しく描くいた『Première Année』(一年生)

映画 『Premiere annee』

監督は自らお医者さんのトマ・リルティ。
『ヒポクラテスの子供たち』(2014)、『Médecin de compagne(田舎のお医者さん)』(2016) に続いて3作目も自分の経験をもとにした作品。
非人間的な受験生活、そのストレスを演じる2人、ヴァンサン・ラコスト(アントワーヌ、右)とウィリアム・レブギル(バンジャマン)が上手く、

映画 『Premiere annee』

御伽噺のような結末もそんなに気にならない。予想以上によかった。

うちの子供たちの友達で、医学部を選んだ子が“まったく姿を見せなくなった”理由が、この映画を観てわかった。
でもこんなに医師不足が問題なのに、ヌメルス・クラウズス(定員制限)でふるい落とすんだろう?
2017-18年の定員制度は医学部8205席、歯科学1203席。志願者は5万7700人という狭き門。
まあ、医者に向かない人やデキの悪い人がなっても困るけど。

ところが偶然のように、この映画が封切りになって(9月12日)数日後、この定員制度を間もなく廃止する、と政府が発表。
この一年間は、医学を目指す学生たちにとって地獄である、と。いいことです。でも、もっと早く気がつけばよかったね。

Première Année
トマ・リルティ監督作品
主演:ヴァンサン・ラコスト、ウィリアム・レブギル
1時間32分
フランス全国で公開中


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リッチな国の航空会社

マレーシアにヴァカンスに行く息子の飛行機は、
「エミレーツ?!」
ローコストの航空会社の飛行機は危ない、と思っている私を、息子はウンザリした顔で見る。ネットで評判を調べたら、どっこいすごくいい:飛行機は新しい、遅れない、座り心地がいい、食事はまとも、乗務員が感じいい・・・存じませんでした。

ヴェールのようなスカーフのような・・・

エミレーツ

一方日本に行く娘の航空会社は、
「エティハド?!」
聞いたことがなかった。
エミレーツがアラブ首長国連邦のドバイなら、こちらはアブダビの航空会社。まあアラブの国はお金があるから同じようなものだろう。

エティハド

別々に発った2人は申し合わせたように9月11日の便で帰ってきた。「9・11」を恐れてないのね。私も気にしなかったけど。
テロリストは自分たちの行為を誇示したいから、同じ日にはやらないと思う。混同されるとイヤだから。

娘の便は朝の7時40分。果たして時間通りに着き、道が渋滞して30分も待たせることになり、帰りの道はもっと混んで往復3時間!
夜は8時到着の息子を迎えに再びロワシーに向かった。
私は運転できないから夫ひとりで行けばいいはずが、
「標識がよく見えない」
「 なんで?そういえばメガネどうしたの?」
「メトロの中で落とした」
「そんなこと聞いてない!」
というわけで、私が標識読みとして2回とも随行することに。居眠りもできない。

「(2階建てだった!」(ただし2階はビジネス&ファーストクラス)「テレビ画面がでかい」「映画の選択肢が多い」「WIFIが2時間無料(エミレーツ)」と2人はアラブの飛行機を褒めたけど、

エミレーツ

映画には検閲あり。
アクション、ヴァイオレンスには寛容で、恋愛物はカットの連続。
「2人がキスするか・・・と思うともう終わってスタスタ歩いてる。きわどいセリフも“ぼかし”がかかって聞き取れない」
かえって想像力かき立てられていいかも。

さて肝心のハウマッチ:エミレーツのパリ/クアラルンプールは512ユーロ。エティハドのパリ/東京(成田)は619ユーロ。
次回はアブダビ経由で日本に行きたくなった。


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自然は日本に優しくない・・・

「ニュースを聞いて、あなたのことを思ったんですよ」と朝市のチーズ屋オジサン。
「災害は日本にばっかり。ひどいじゃないですか」
ほんとにこれでもか、これでもかという感じだ。
日本に行っている娘が大阪を離れた2日後にあの激しい台風。車が横倒しになり、屋根が吹き飛ぶ荒々しい光景に唖然となった。
関西空港の水が引かないうちに、今度は北海道の地震。
なんでこんなに次から次へと・・・自然は日本に優しくない。
そこへチーズ屋の息子さんもやってきて、
「ほんと、日本は昔から災害続きだ。ホラ、広島だって!」
「・・・・」
「そりゃおまえ、ちょっと違うだろう」私が口を開く前にお父さんが言ってくれた。
“ちょっと”どころかすごく違う。

10日前に環境相ニコラ・ユロが突然辞職した。
政府にとって環境問題は二の次三の次、自分は孤立している、環境運動家である自分がこのポストにいることで、環境問題に善処しているという幻想を、国民に与えたくない。ウソはつけない・・・
“人生で一番辛い決断だった”というユロは“反対されるのを恐れて”ラジオでいきなり辞職宣言。

環境相 辞職
photo:JDD

マクロン大統領、フィリップ総理には寝耳に水だった。

この数日後、リベラシオンの寄稿欄に、科学者や俳優の有名人が連名で、
「環境門問題、明日では遅すぎる、政治家たち、目覚めなさい!」

さらに8日(土)は《Debout pour le climat/環境のために立ち上がれ》と名付けられた行進がフランス各地で。
パリは市庁舎前広場。主催者発表で5万人(警察発表18500人)

環境保護デモ行進 パリ
photo:AP

マルセイユ。「地球のために投票します」

環境保護デモ行進 マルセイユ
photo:AP

ニコラ・ユロの辞任が、国民を覚醒させる“瓢箪からコマ”の結果になった。
日本を襲う自然災害が、温暖化と直接関係あるかはわかっていないそうだけど、世界各地で「気象台始まって以来の暑さ」「異例の降雨量」・・・があり、地球が怒っているのは確かだ。その怒りが日本で噴出している・・・

関西の台風、北海道の地震の犠牲者の方たちのご冥福をお祈りします。
被害に遭われた方々、避難所での生活の不安や不便は想像することしかできません。一日も早く元のような生活が戻りますように。

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源泉徴収への移行を喜ぶのは誰?

私が大好きな眼科の先生は、去年の年末をもってリタイアする、と宣言した。家族全員がかかっているので、「目の病気になるなら年内に!」と慌てた。
そしたら「考え直した。もう一年やる」ホッ。
理由は後任者が見つからないこと。なかなか休みが取れない、責任、経済的負担が大きい・・・と、自分の医院を持ちたがらない医者が増えている。彼らがどうするかと言うと、産休やヴァカンスの医師の穴埋めとして、あちこちの医院を渡り歩いている。

まあ、そのおかげで1年の執行猶予になったわけだけど、時の経つのは早い。
「ほんとに今年の年末でやめるんですか?」
おととい言ったときの最初のセリフ。
「それがね、今夜のマクロンの発表次第。もし源泉徴収が実施されることになればもう1年やろうかって」

源泉徴収(prélèvement à la source)への移行は2019年元日と決められていたけど、システムにバグがあったり、マクロン大統領が直前でためらいを見せたりでサスペンス。火曜日の20時のニュースで「する」「しない」が発表されることになっていた。
「ぜったい実施するでしょう」と私。
「そうかな?」
ベナラのスキャンダル、環境相ニコラ・ユロの辞職で失点続きのマクロンには、“言ったことを実行する”というウリしか残ってないじゃないですか」
そんなに簡単な話じゃないだろうけど。
でもそれと“あと1年やる”の関係は?
先生の説明によると、開業医や医療・健康関係の自由業など、給料ではなく自分で申告する職業は、計算がめんどくさいので納税が延ばされ、
「来年は税金を払わなくていい!」
そんな夢のような話、ほんとかね。
「やめたら退屈しそう、ゴルフばっかりやってるわけにもいかないでしょ。でもボク、あなたよりかなり稼いでるから、フフフ(言われなくてもわかってる)税金で半分持っていかれると腹立つわけ」
先生の医院は予約が2ヵ月先という繁盛だ。まあ、眼科の予約はどの都市でも大変らしいけど。
「知ってる?源泉徴収やってない国、世界でスイスとシンガポールとフランスだけ!(知らなかった)ほんとにフランス人、遅れに遅れてうんだから・・・あ、このジョーク知ってる?」
”神様は世界を創り、世界の中にフランスという国を創った。山あり海あり、四季があり、風景は美しく、食べ物は美味しい国。それを見た大天使ガブリエルが、
「これは良すぎます。不公平で他の国が嫉妬しますよ」
ふむ・・・神様はしばし考え、「よし、この国にフランス人を入れよう!”
「ハハハ・・・」
フランス人ってマジで非難されると怒るけど、冗談だと笑って済ませる。

その晩、「源泉徴収、予定通り実施」を聞いて、先生にメッセージを送った。
「言ったでしょ?あと1年、税金払わず続けられますね!よかった」
すぐに返事が来た。マメな人なんだ。
「ありがとう。続けていきたいとは思ってる。でももう少しスローにしたいわけ。ボンヌニュイ」


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フランスは先進国のはずが

田舎の親戚と電話すると必ず「いつ来るの?」と聞かれる。
秋冬寒く、春が遅く、夏が短いシャンパーニュ地方の田舎が、私はあまり好きじゃない。
息子はマレーシア、娘は日本なので猫の世話を誰かに頼まないといけない・・・でも「いつ来るの?」と言われているうちが花。たまには行かないともう言われなくなる。
SNCF(フランス国鉄)のサイトに行くと、バグでチケットが買えない。
一足先に行った夫もサイトで予約できず窓口で買い、その上電車は3時間遅れた。
「出発が1時間半遅れ、走り出してからもしばしば止まって、車内でサバイバルキット(水と不味いビスケット)が配られた」と夫。
3時間の遅れ!日本だったら関係者全員辞職?のところ、翌日田舎の駅に払い戻しを請求に行くと、
「遅れた?聞いてません。請求を郵送してください」と言われたそうだ。

Bar sur Aube駅、土日はもちろん、それ以外も夕方から無人駅。

Gare_de_Bar-sur-Aube.jpg

私も窓口に出かける。8月最後の週末前。さすがに人は少なくてすぐに私の番になる。
サイトで予約できない、と言うと、オタクっぽい職員が、
「もう1か月くらいちゃんと機能しないんですよ。お金がないから直せない」
4~6月、3か月ストやってお金がないから直せない!ヴァカンスピークの8月にサイトで予約ができない。それを当たり前のように言う職員!
私の驚きをよそに、オタクお兄ちゃんは続ける。
「もし機能してもサイトで予約しないほうがいいっすよ。乗らなかった場合、払い戻しができないっていうから」
唖然。
とにかく。木曜日の夜のBar sur Aube行き、と言うと、
「アレ、予約不可になってる!ほかの電車は・・・この日、全部予約できない」
と画面を見せてくれた。たしかに全部「Indisponible à la réservation」

このChampagne Ardenne TER(地域急行電車)はメジャーな線ではない。主要都市やヴァカンス地から外れている。
電車もちょっとダサい。

ter champagne

ブランド・シャンパンで有名なランスへはChampagne Ardenne TGVが走っている。だからって・・・
「この日は電車がないってことですか?」
「いや、そうとも限らないんです」
と嬉しそうにオタク職員。
「木曜の夜、駅に行ってみたらどうですか?電車走るかもしれません・・・きっと走りますよ」
「は?」
荷物持って駅まで行って、出るかどうかわからない電車を待てって言うの?
ここはアフリカの僻地か?と言いたくなるけど、アフリカの人に怒られるかもしれない。「フランスほどひどくはない」って。
じゃ金曜日、見てみてください、というと、1本だけ予約可能。それを買うしかない。

隣の窓口では、サイトで買ったチケットの払い戻しができない、と文句言ってるオジサン。
これはもう、政府が仄めかすように民営化するしかないでしょう・・・


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“迷惑なエコロジスト”は懲りない

それから数日後うちから出ると、坊主刈りの女子が男友達と中庭に穴を掘っている。
「アナタたち、何してるの ?!」
坊主刈り女子はにっこり笑い、
「コンポスト作ってるんです」
見れば彼らの横には生ごみの山。
「この前、言ったでしょ?コンポストは色々規則があって、アパルトマンのすぐ前には作っちゃいけないって」
「ええ、だから深く穴を掘ろうと」
「深いからいいってもんじゃないの。あなたエコロジーに関心持ってるなら知ってるでしょ?」
「ええ、だから大学でコンポストを専攻しようと思って」
そんな学部があるかどうか疑問だけど、専攻してから出直してほしい。
「とにかく前にも言ったけど、ここは住人みんなの庭なんだから勝手なことはしないで」
「でも地球を護るためだし、ここを通りかかる人みんなが『いい考えだ』って言うんですよ」
まったくノラリクラリと主張を通そうとする。段々顔が引きつってきた。
「じゃ、その人たちの名前と署名でももらっておいて。この建物の一部はAir bnb になっていて、数日しかいない人も多いのよ。自分に関係ないことなら私だって“いい考え”って言うわ」
「もう止めようよ」
やりとりを聞いていた男友達(彼女よりさらにネオヒッピーな風貌)が初めて口を開いた。
女の子は穴を掘る手をとめる。彼のほうが少し話がわかるみたい。
これ以上彼らに拘わっていると約束に遅れる。私は見届けずに出かけた。

帰ってきたとき、穴は埋められていた。
夫が蔦を植えようと耕した場所だ。

jardin3_20180903070651b0b.jpg

しかし。あの生ごみがこの中に埋められていないという保証はない・・・
その話を息子にしたら、
「いるいる!突然エコロやヴィーガン(絶対菜食主義)になって、翌日から説教垂れるヤツ。えっそれがCanal+の娘なの?」

その一家が住むアパルトマンの窓のひとつが私の部屋の正面にある。翌朝、カーテンを開けると、あのネオヒッピー男友達が一糸まとわぬ姿で窓の前に立ち、私を見ていた。
ギャッ!反射的にカーテンを閉めたけど、一気に目が覚めた。
エコロジストでヌーディスト・・・来年の6月(に引っ越すと言っていた)が待たれる。


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迷惑な“エコロジスト”

パリに戻って間もない日曜日、朝市に行こうとしたら中庭の真ん中に大きなビニール袋が2つ。中に土が入っていて、土が掘られた形跡が。土で汚れた靴下も脱ぎ捨てられていて、近眼の私はネズミの死骸と間違えて飛び上がった。
「なにコレ?」「土ドロボー?」と夫と立ち止まると、2階の窓から若い女子が顔を出し、
「ごめんなさーい、後で片付けるから」
何も言わない夫に、
「あの子、庭の土を取ってるのよ。そんなことさせていいの?」
「ムムム・・・」

中庭は、アパルトマンの家主が集まった組合で管理されている。つまりみんなのもの。たまたま庭仕事が好きな夫が、組合から“庭師”に任命され、日当たりが悪くても育つ草木を植え、水撒きをしたり土を買ってきて足したりしている。

猫たちのジャングルでもある。

タマ

彼のテリトリーなんで私は黙っていたけど、あの女の子が土を取り、ほかの住人が「私は花をもらう」「ぼくは木を一本」なんてやりだしたら収拾つかないじゃない。

私たちの会話を聞いていた娘が出てきて、
「その子、坊主刈りでメガネかけてる?」
「まさに」
「その子よ、コンポスト作ったの!」
ヴァカンス前にうちのドアの真ん前に10㎝くらい穴を掘り、果物や野菜の皮を捨て、蓋もせず、自慢げに「Composte」と立札を立てた人がいた。その後、夫が埋めてしまったけど、犯人はあのネオヒッピー!

しばらくしてベルが鳴り、その子が裸足で立っていた。娘より若そうだ。
「土を取ってるというより、リッチな土と混ぜてるんです」
「??」
「今から種を買いに行って、キュウリやハーブを植えようと」
キュウリ ?!
「それはダメよ。中庭はみんなのもので、勝手に菜園作ったりできないの」
女の子は私のセリフが聞こえないかのように、
「その横にコンポスト作って・・・」
コンポスト ?!
「この前はうちの真ん前に作るからハエが増えていい迷惑だったわ。コンポストって臭いもあるから、住居から200m(確か)離れてとか、蓋をするとか色々決まりがあるのよ」
「でも私たち一人一人が地球を護らないといけないのはジョーシキでしょ?それに菜園作れば住人が喜ぶし・・・」
ジョーシキ !? 段々腹が立ってきた。
「地球を護るのは賛成だけど、同じ建物に何世帯も住んでいるから、ひとりひとりが勝手なことできないの。家主ミーティングの時、みんなの意見を聞いて投票しないと何も決められないのよ」
「そのミーティングいつあるんですか?」
そんなこと聞いてどうすんの?どっちみちアパルトマンから1mも離れてないとこにコンポストは作れないの!
「夫が知ってるかも。今、昼寝してるの」
「いつ昼寝から起きます?」
「起きたくなったら起きるでしょう!とにかく穴掘ったり種蒔くのはやめてね」

彼女の家族は6月に引っ越してきた。私は知らなかったけど(誰に聞いても「知らない」)父親はCanal+のモト司会者。何でも郊外に家を建設中で、工事の間、1年だけ借りているそうだ。
家が建ったら、好きなだけナスでもキュウリでも育てたらいいのに。
「ところであなたのご両親、お留守なの?」
「田舎に行ってる」
ああ、早く帰ってきてくれ!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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