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“ボロボロ”からの生還

2015年1月7日、シャルリー・ヘブドを襲ったテロリストたちは11人を殺し、4人に重傷を負わせる。もっとも重傷だったのがジャーナリスト&作家のフィリップ・ロンソン。銃弾が顎を貫き、顔の下半分がぶっ飛んだ。

10カ月の入院、17回の手術。顔と魂の“修復”を綴った『Le Lambeau』が5日、フェミナ賞を取った。
ズタズタ、ボロボロ、という意味。

フェミナ賞『Le Lambeau』フィリップ・ロンソン
photo:franceculture

“すっかりは死んでいないので生き延びなければならない”“事件前の自分が別人であるような感覚”・・・でも、個人的な苦悩を訴える内容ではなく、今の時代を生きる人たちが共有できる次元に引き上げられている、と選考委員のコメント。ほとんど全員一致で選ばれた。
数日後に発表されるルノドー賞でも最終選考に残っているが、ゴンクール賞は「対象になるのは小説だけ。ドキュメンタリーはダメ」
アカデミックな人たちは頭が硬いのだ。

フェミナ賞『Le Lambeau』フィリップ・ロンソン
photo: liberation.fr

テロ前のロンソン。手術後は何か月も仮面をかぶって顔を隠していた。
ピエール・ルメートルの『天国でまた会おう』のエデュアールを思い出す。

ペンが持てるようになると、手にペンを縛り付けて書き始めた。
病室は繭のようで出たくなかった。そこに入れたのは両親、兄弟、妻。でも、顔が修復されるにつれ、妻との関係は壊れていく。苦痛は分かち合えない。
その代わり、彼の生活を埋めていった女性はクロエ、彼の外科医だ。

最初は自分の記憶として書き始めたが、次第に読まれるべきと思い出し、”小説の形をした記憶”になった。
シャルリー・ヘブドのテロは国民を襲った悲劇。分かち合われるべきだから。

授賞式でテロ後初めて公に姿を現したフィリップ・ロンソン。

フェミナ賞『Le Lambeau』フィリップ・ロンソン

「この3年間、一番支えてくれたのは父。でも本が出る前に亡くなった。死んだ人たちを思いながら書いた、生きている人たちのための小説」は512ページ!本も内容もずっしり重そうだが読みたい。想像すら難しいテロ犠牲者の心身の苦痛や戦いが少しでもわかれば、と。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(単純計算しても歳は出ません!)
訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とヴィンテージの服、デビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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