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88歳で監督・主演!

園芸家アール・ストーンの情熱は仕事。妻や子供は二の次三の次で、花や植物の世話をし、園芸コンクールに出品し、夜は同業者とバーで過ごす。

園芸祭ではオバサンたちにモテていた。

クリント・イーストウッド『運び屋/La Mule』

娘の結婚式にさえ来なかったのだから日本のお父さんよりヒドイ。
それ以来、娘は口をきかず、妻からは離婚され、ひとりで仕事と暮らしていた。

その仕事もインターネットの発展でしぼみ続け、このままだと会社は差し押さえられる。

クリント・イーストウッド『運び屋/La Mule』

80歳を過ぎてアールは孤独と金欠に直面し、家族に会いに行くが、シカとされる。

そこへ見知らぬ男がアルバイトの話を持ってくる:トラックで荷物を遠くへ運ぶだけ。なのに報酬はいい。
安全運転はお墨付き。古い歌を聴きながら、自分のトラックでアメリカを走るうち、家族を顧みなかったことを後悔しはじめる。
何を運んでいるか知らず(または、知らないふり)2回3回と繰り返し、ある時、運んでいるのがメキシコのカルテルへのドラッグだとわかり驚愕する。
しかし、そこで止めるかと思いきや、これが最後と言いつつ運び続けるのだ。

88歳になったクリント・イーストウッドが監督・主演の『La Mule/運び屋』
自分の監督作品に出るのは『グラン・トリノ』以来。

クリント・イーストウッド『運び屋/La Mule』
photos:allociné

これを見た直後、テレビで『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』がかかった。
第二次大戦の硫黄島の戦いをアメリカ側、日本側の視点で撮ったクリント・イーストウッドの作品。
公開当時に観てから10年以上ぶりで観たらやっぱりすごい。
「日本軍兵士もアメリカ軍兵士と変わらないとわかったから、日本側ヴァージョンも撮ることにした」というクリント・イーストウッドの言葉とは裏腹に、世界もメンタリティーも全然違う。夜と昼のように違う。

何日も食べるものがなく心身とも限界に来た日本兵士たちには非壮観があり、負けるとわかったら自決を強いられる。
一方、ステーキを食べて育ったアメリカ兵たちは明るく、持久力があり、生きて戻った“硫黄島のヒーローたちが戦勝ビジネスのマスコットにされる。

こんな大作を立て続けに撮った12年前のクリント・イーストウッドはなんとエネルギッシュ。そしてなんという才能。

『La Mule』は観て後悔はしないけど、『ミリオンダラー・ベイビー』や『グラン・トリノ』に比べても薄味な気がした。
夫は、映画が終わった時隣の男性に「老後の仕事のヒントになりました?」と言われたそうで、
そんなに年取っちゃいない、と怒っていた。

La Mule
監督&主演:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュボーン他
1時間56分
フランスで公開中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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