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2010年のベタンクール事件に遡る。ロレアル相続人の超富豪リリアンヌ・ベタンクールから2007年の大統領選資金をもらった疑いに「受け取ってない」と主張していたサルコジ元大統領。確たる証拠がなくてそのままになっていた。

2014年、別件(リビアの故カダフィ大佐から500万ユーロの選挙資金を受け取った疑い)でサルコジの携帯電話を盗聴した司法警察は、思いがけずベタンクール事件の証拠をつかむ(瓢箪からコマ!):彼がポール・ビスミュットという偽名で携帯を契約し、ベタンクール裁判の経過を聞き出し、情報提供者の弁護士には代償としてモナコの司法ポストを約束していた(でも結局“約束は守られなかった)。
それ以来、何度かの訴願が却下され、「汚職」「収賄」「守秘義務違反」で刑事裁判にかけられることに。
有罪判決になればムショ入りもありってこと。第五共和国の大統領では初めてだ。

それなのに右派のドンとして珍重され、27日に出た著書『Passions/情熱』は版元がベストセラーを見込んで初版20万部。

ニコラ・サルコジ『Passions』

政治家は灰色でいい?でも灰色のニュアンスによりますよね。


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終身刑の求刑で、26年ムショ暮らしをしたジャン=クロード・ロモンが28日、条件付き釈放になった。

ジャン=クロード・ラモン 一家5人殺害犯
photo:Yahoo actualités

ジュネーヴのWHO(世界保健機関)に勤める医師、と15年間偽り、家族や友人に「スイスに有利な投資がある」と言ってまとまった額を預かり、それを“給料代わり”にしていた。(そんな巨大なウソが家族に15年間バレなかったのも非常に不思議)
1993年1月、ついにバレそうになったとき、妻を麺棒で撲殺、ついで2人の子供(7歳と5歳)を銃殺し、実家に赴き両親も銃殺した。(義父母ではなく、実の両親でした。指摘していただいた読者の方、ありがとうございます!)
映画や小説にもなった有名な事件だ。

事件当時のラモンと殺された家族

ジャン=クロード・ラモン 一家5人殺害犯
photo:faitsdivers.org

フランスの終身刑は原則、禁錮22年目から条件付き釈放を申請できる。ジャン=クロード・ロモンは2015年から“釈放可”だったけど出してもらえず、今回、GPS足首ブレスレットつきで釈放になった。と言っても、どこで行ってもいいわけではなく、イル・ド・フランスやブルゴーニュなど立ち入り禁止、被害者の家族に接触禁止、メディア登場禁止・・・
アンドルの修道院が受け入れ、庭の手入れとパソコン指導をするそうだ。

この条件付き釈放には「ええ!」という声が少なくない:殺した人数もハンパじゃなく(しかも自分の子を)、15年間巧妙にだまし続けた性格は変わっていない。つまり判事や裁判官も丸め込まれたんじゃないか。
確かにこの人からパソコン指導を受けたくないわね。


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脱帽!『パラサイト』

湿っぽい地下室に親子4人が折り重なって暮らすキテク一家。
部屋の壁には内職で作るピザの箱が積み上げられ、窓の前は通行人の立ちションコーナーになっている。
運転手の父親は失業中、母も目下仕事がなく、息子はもう学校が続けられない。一家心中してもおかしくない状況なのに、キテク一家は仲が良く、機嫌もいい。

『パラサイト』ボン・ジュノ監督

ある日、息子ギウに美味しい話が舞い込む:富豪の娘の家庭教師をやらないか。
パーク一家のモダン&ミニマルな邸宅に着くと家政婦が迎え、シックでいかにも良家風の母親が現れる。
疑うことを知らない母親はギウをすぐ信頼し、末息子が「幽霊を見てから情緒不安定になった」と嘆く。
「そういえばアメリカでアートテラピーを学んだ知人がいます」とギウ。
”知人”は妹。キテク一家は金儲けのチャンスを嗅ぎ取るのに長けているのだ。

『パラサイト』ボン・ジュノ監督

カンヌ映画祭でパルムドールをとったポン・ジュノの『Parasite/パラサイト』

『パラサイト』ボン・ジュノ監督
photos:allocinés

ユーモラスに貧しい“一家”を描く出だしは、去年のパルムドール『万引き家族』を思わせる。
でも『パラサイト』は後半、富裕層VS貧困層の社会派スリラーになっていく(だからこれ以上言えない)。

人間や社会が、意識の奥や地下に押し込めている“見せたくない部分”を、シンボルの形で暴き、ユーモア、風刺、サスペンス、ヴァイオレンス・・・の多岐にわたるジャンルをまとめていくボン・ジュノの手腕にただ唖然。

ボン・ジュノ監督は『おそらく、海外の観客はこの作品を100%理解することはできないだろう。この作品はあまりにも韓国的で、韓国の観客が見てようやく理解できるディティールが散りばめられている。』
と語ったというけど、いえいえ!テーマは国境を越え、深い余韻を残す。
パリでは封切り(6月5日)直後、満席で観れず、次の回もすでに満席だったほど。3週間経った今でも週末は殆ど満席。20分前に着いて正解だった。絶対のお奨めです。

Parasite
ボン・ジュノ監督作品
主演: ソン・ガンボ、イ・ソンジュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク
2時間12分
フランスで公開中

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ヴァン・ゴッホが自殺に使った拳銃

が19日、パリのドゥルオーのオークションにかかり13万ユーロ(約1600万円)で落札されたとか。Lefaucheuxという銘柄で、推定価格は4~6万ユーロ。

ヴァン・ゴッホが自殺に使った拳銃
photo:lemonde.fr

1890年7月。ゴッホがオーヴェル・シュル・オワーズ(今のヴァル・ドワーズ)のラヴー旅館に滞在し2か月が経とうとしていた。
彼のてんかんの発作は悪化していた。
7月27日、宿の主人アルチュール・ラヴーに拳銃を借り(なぜ貸した!)、麦畑に赴き、シャツを脱いで、喉元に向けて銃を撃った。
でも死にきれず、拳銃を放り出して気を失う。気が付いたら夜になっていた。ゴッホは宿まで歩いてたどり着き、2日後に死亡する。

ドゥルオーで売れた銃は1960年、農婦がオーヴェル・シュル・オワーズの麦畑で見つけ、持ち主の宿に返されたもの。
この銃が、本当にヴァン・ゴッホを撃ったあの銃なんだろうか?
100%の確証はないけど、ヴァン・ゴッホに詳しい歴史学者によると“かなり確実な推定”。
その歴史学者曰く、拳銃が発見された場所が、当時の証言「ゴッホはその日、彼が最後のタブローを描いていた場所、オヴェール城の後ろの麦畑に行った」に一致する。(同じ銃を同じ麦畑に捨てた人がいた、という確率の低さもあり?)
また7mmの銃口とヴァン・ゴッホの傷が一致するらしい。
でも1890年のこと。証言するのは拳銃を貸した宿の主人の息子、傷口を手当した医師の息子。この息子たちだって相当の高齢のはず。

5月にアルルに行き、ゴッホ・ファンの友人たちと一緒に、この天才夭折画家の足跡を辿った。

オーヴェル・シュル・オワーズに行く前にいたサン・レミの療養所のゴッホの部屋。

ヴァン・ゴッホの病室

週一回、入院患者が入浴した浴槽。なぜ頭だけ出る板が?入浴のとき髭剃りもしたので、患者が刃物を使わないように?

ヴァン・ゴッホ、サン・レミ

とにかく。“こんなとこにいたら余計鬱になりそう”な場所だった。

《芸術至上最も有名な武器》と名づけられたヴァン・ゴッホの拳銃は、ポール・ヴェルレーヌがアルチュール・ランボーを撃った銃の落札価格には敵わなかった:434500ユーロ(約5430万円)。
有名人が2人並ぶと、両方のファンが値段を釣り上げるからこの値段?

自殺や他殺(ともに未遂だけど)に使われた拳銃を、部屋に飾る気がするかね?と夫に言ったら、
「そういう不吉なものを集める趣味の人がいる。ジャン=ポール・マラー(フランス革命の指導者、浴槽で刺されて死んだ)が使っていた石鹸箱とか」
ま、世の中にはいろんな趣味の人がいるもんだ。

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恋は、残念ながら続かないものだ。いくら好きになって一緒になった2人でも、時間とともに当初の感情は褪せてくる。
子供がいればパパとママの役割が男女の関係を侵食してしまう。
そして、子供が独立してうちを出ていくと“中年クライシス”:これからの余生、このパートナーと2人、どうやって暮らしていくんだろう?
この疑問を先に持つのは概して妻のほうらしい。
私も陥ったこのクライシスを、ユーモアでかわしてくれたのがこの作品。
アルゼンチン映画『Retour de flamme』

映画『Retour de Flamme』

結婚25年のマルコとアナ。ひとり息子が留学でスペインに発ってから、アナは息子シックになり、同時にカップルの行き先に疑問を持つ。
「私はこのまま色あせて、しおれてしまうんだわ」
これからは2人で仲良くやっていこう、という夫の楽天ムードも彼女の不安を取り去ってくれない。

夫役はアルゼンチンの名優、リカルド・ダリン。妻はメルセデス・モラン。

映画『Retour de Flamme』
photos:allociné

「じゃ私にまだ恋してる?」
と問い詰められると、マルコも返事に困る。アナを愛してはいても、“amoureux(恋してる)”とは言えない。
「でしょ?私もあなたに恋してない。だから・・・」

だから・・・これといって問題のなかったカップルが、あっけなく別れることになり、夫は友達のアパートで居候を始める。
“自由”になった2人は、出会いサイトや職場でせっせと相手探しを始めるのだ。

フランス語版はタイトル『Retour de flamme/情熱のカムバック』で結末を言っちゃってるのが惜しい。
原題(スペイン語)の『不確実な愛』のほうがずっといいのに。

共感するのは女と男の温度差だ:男は、日常生活にさして不満がなければ続けていけると思うのに、女にとってそれは惰性。
子供が出て行った後の空洞も母親のほうが強く感じるし。
さらに女性には男性より“年齢制限”が厳しい。アナが「私はこのまましおれてしまう」と憂いるように、誰かと“情熱的に”出会える年齢を逃しちゃいけないのだ。

アナの気持ちに共感する女性は多いはず。そして「アタシだけじゃないんだ」とちょっと安心する。
主役の2人がとてもいい。
5月初めに封切りになったので、上映館が少ないです。お早めに。

Retour de Flamme
ファン・ヴェラ監督作品
主演:リカルド・ダリン、メルセデス・モラン
2時間9分


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ゾンビの存在、信じる?

1962年、ハイチ。道を歩いていた男が崩れるように倒れ、死亡する。死因はテトロドトキシン、フグの毒。
男はすぐに埋葬されるが、翌晩掘り返され、解毒剤を与えられ、奴隷としてサトウキビ畑に送られる。彼の名前はクレルヴィス・ナルシス。
50年後、パリ近郊サン・ドニの寄宿女子校。1811年、ナポレオン1世に作られた、レジオンドヌール受賞者の子供や孫を受け入れている高校だ。みんな制服で、リボンの憲章をたすき掛けにしている。

寄宿制のメリサ(右)とファニー

Zombi Child/ゾンビ・チャイルド

メリサはハイチ出身、両親は2010年の大地震で亡くなり、叔母に引き取られた。
叔母はブードゥー教の巫女で、死者と交信できる。彼女のお祖父さんは、《もとゾンビ》として有名になり、いくつもの研究の対象になったクレルヴィス・ナルシスだ。
女子たちはこの話をゾッとしながら半信半疑で聞く。

Zombi Child/ゾンビ・チャイルド

しかし叶わぬ恋に苦しむファニーは、妄想を取り払ってもらおうとメリサの叔母に会いに行く。
ベルトラン・ボネロの『Zombi Child』 
日本では『メゾン、ある娼館の記憶』(2011)、『Saint Laurent/サンローラン』(2014)が公開されている。

Zombi Child/ゾンビ・チャイルド

クレルヴィス・ナルシスは実在した人物で、“埋葬”されてから18年後に“帰還”した。
彼の話によると、遺産相続が原因で兄からフグ毒を盛られ、仮死状態になったところで埋葬された。全身麻痺で声を出すことも動くこともできなかったが、棺に土がかけられる音は聞こえていた。翌晩、掘り返され、奴隷になった。2年後に解放されたが、また殺されるのが怖くて兄が死ぬまで放浪していた・・・

元ゾンビ、クレルヴィス・ナルシス

ハイチでは、生と死の間に宙ぶらりん状態のゾンビが毎年1000人くらい目撃されているという。信じるか信じないかは別として、クレルヴィスが“脱ゾンビ”して戻ってきたのは本当で、ボネロはこの実話をもとに作品を作った。

クレルヴィスが深夜に森や廃墟を彷徨う場面が幻想的なハイチと、

Zombi Child/ゾンビ・チャイルド
photos: allociné

今日のパリの寄宿学校が交互に描かれる。
女子高生たちの会話や聞いている曲(Dasmo)はそれっぽいけど、一緒に行った娘に言わせると
「あれは大人が考える若い子の会話で、ディティールが違う。Dasmoをみんなで歌っちゃうとこなんか滅茶ウソっぽい」そうですよ、ボネロさん!
ホラー映画というほど怖くないけど、ハイチのゾンビ製造はリアルに不気味、レジオンドヌール子孫の寄宿校の存在も私は知らなかったので「ええ!」という発見の多い映画。
しかし。死んだ人が蘇生するのはあるけど、その後、口はきけず思考能力もなく、マイケル・ジャクソンのダンスのように前かがみになって歩いている、そんなこと医学的にありうるんだろうか?
《自称元ゾンビ》にDNA鑑定をしたら赤の他人だった、という話もあるし。
死者と近いと言われるブードゥー教から生まれた幻想と思いたい。だって本当にゾンビがいあたら怖すぎる・・・

Zombi Child
ベルトラン・ボネロ監督作品
主演:ルイーズ・ラベック、ウィスランダ・ルイマ他
1時間43分
フランスで上映中


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出会い色々

私がビュリーを知ったきっかけは、筆リンパマッサージをしている小笠原実穂さんのお陰。
ビュリーではリンパマッサージの熊野筆が売られ、今回、小笠原さんはマッサージの講習に来られた。

なんでも彼女がパリを歩いてたまたま立ち止まったところにビュリーの店があり、興味を引かれて入りオーナーのヴィクトワールに出会ったのがきっかけと聞く。でも、明治時代から続く伝統工芸の筆でマッサージを開発した小笠原さんと、眠っていた歴史あるブランドを蘇らせたラムダン&ヴィクトワールの出会いは偶然ではない気がする。どっちも温故知新。

さて実穂さんがオフの午後、ヴィンテージショップ「Thank’s God I'm a V.I.P.」に駆け付けた。
もう少し粋な名前にすればよかったのにと思うけど、ヴィンテージ好きならここが一番。一体どこから探してくるのか、点数は多くなるばかり。

Thank's God I am a VIP

点数は女性の3分の1くらいだけどメンズも豊富

Thank's God I am a VIP

オーナーのシルヴィは元イベント企画者、パリの有名クラブで色々なソワレやパーティを開いていた。
“夜の女王”から“ヴィンテージの女王”に転身(“ヴィンテージの王”と呼ばれるのはディディエ・リュド!)

こういうスカート好きなんだわ!

Thank's God I am a VIP

実穂さんはプラチナブロンドにが似合う。彼女は50年代っぽいワンピースをさがし、

Thank's God I am a VIP

私は何も買わないつまりだったのに・・・ジャン・パトゥの濃紺のコート!
写真で見ると学生(年増の)みたいだけど、ラインが綺麗、上質のウールで、持ち主があまり着なかったのか状態もいい。

Thank's God I am a VIP

「後ろ姿がきれい」と実穂さん。よく考えると誉め言葉じゃない気がするけど。
一度試着したら脱げなくなった。これを“出会い”と呼ばずに何と呼ぼう?値段480ユーロ。
このクラスのコートを今買ったら絶対ゼロがひとつ多いはず。

実穂さんは上の写真のワンピース、グリーンのベルベットのコートを。私は“脱げなくなったコート”を買ってしまった。ああ楽しかった!

Thank's God I'm a V.I.P.
17 rue de Lancry
75010 Paris
TEL:01 42 03 02 09
営業:月-土 14h-20h


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優しいご近所さんたち

小犬を散歩させているおばあさんにもよく出会う。上品で小柄なおばあさんはプラチナブロンドで(この髪の色だと白髪になってもわからない、ということに気づいた)犬も同じような色、多分マルチーズだ。
何度かすれ違ううちボンジュールと言い合うようになった。彼女をとりあえず“おばあさんA”と呼ぶ。

通りにある薬局に、時々座っているおばあさん(おばあさんB)がいる。丸っこい可愛い感じのおばあさんで、店の隅に大人しく座り何も言わない。その足元にうずくまっている犬は、おばあさんAの犬によく似ている。

ある日、薬局に行くと、犬だけがいた。
「あなたの犬?」と薬局のオジサンに聞くと、
「いや、エリザベットがお医者さんに行っている間、預かってるの」
「エリザベットって、ここで時々休んでいるご婦人?」
「そうそう、エピス!外に出ちゃダメだよ」
犬の名前はエピス(=スパイス)で-Epiceは女性名詞だから雌犬-おばあさんBはエリザベットという名前なんだ。
薬局のオジサンは仕事はそっちのけで犬を追いかけまわしている。犬好きなのね。

そこへ、おばあさんAが入ってきて「エピスを散歩に連れて行く」というので私は混乱した。
どーいうこと?
「エリザベットは脚が悪くてあまり歩けないんで、フレデリック(おばあさんAの名前)が散歩に連れて行くんだ」と薬局オジサン。
つまりおばあさんAの犬と、おばあさんBの犬は“同一人物”だったのだ。

彼の話によると、エリザベットは81歳、夫も子供もいない一人暮らし。頭ははっきりしているけど歩くのが困難なんで、近所のみんなが面倒を見ている。フレデリックは犬の散歩、別の女性が買い物。毎日のように薬局に来ては孤独を紛らわしている。
「ぼくは時々レストランに連れ出す。といってもこの近所だけどね」
20年来知っている薬局のオジサンは50代後半だろうか。彼も独身で子供がいないから、彼の孤独も癒されているのかもしれない。
この通りにそんな連帯があるとは!と私は感心した。

そういえば、最近ラジオで宣伝している『Petits-fils/孫たち:おじいちゃん・おばあちゃんへのサービス』

petit-fils450.jpg

老夫婦やひとり暮らしのアパルトマンに赴いて、家事や食事、散歩、泊まり込みもする、というサービスだ。
料金は、名前、住所を打ち込まないと出てこないので不明。
同じようなことをご近所の人たちがやってあげているというわけ。
優しいのね・・・見習わなくちゃ、と思った。


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眠れる美女を目覚めさせる男

1803年にサントノレ通りに化粧品店を開いたジャン=ヴァンサン・ビュリー。彼の香水と香り酢のローションは間もなく有名になる。が1830年の7月革命で倒産し、A.Landon & compagnieにという会社に引き継がれる。香り酢は特許製品になり、《ジャン=ヴァンサン・ビュリーの香水屋》は1939年まで続いた。
調香師であり化粧品の調合師だったビュリーの半生は、バルザックの『セザール・ビロトー』のインスピレーション源と言われる。

何十年も眠っていたこのブランドは、2014年にオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー/officine universelle Buly(ビュリーの万能薬局)という名で蘇る。わずか5年で香港、サンフランシスコ、ロンドン、東京、大阪、京都、コペンハーゲン・・・にブティックを開くほど発展した。
店内は19世紀の雰囲気ですべて木造り、ブティックではなく“薬局”という名が似合う。香水、化粧水は古風な瓶に手書き文字。歯磨き粉、オイル、石鹸・・・もレトロなパッケージ。

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー

さて、誰がビュリーを蘇らせたか、というとラムダン・トゥアミとヴィクトワール・ドゥ・タイヤックのカップル。
公式サイトの写真も時代がかった演出でキメている。

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー
photo:buly1803.com

1年くらい前にル・モンドの週刊誌「M」に載ったラムダン・トゥアミの記事は面白かった。

ラムダン・トゥアミ
photo:lemonde.fr

ラムダンさんはモロッコ移民の息子。モントーバンに住んでいた彼は一旗揚げようと「50フランとパンツ1枚持って」パリにやってくる。
「盗んだバイクでピザの配達、大麻の葉つきのTシャツ作り、スケートボードのクリエーター・・・」などあらゆる職を転々とし、「『10カ月浮浪者もやった』とズボンをたくし上げて当時の名残、刺された傷跡を見せた」
自分の出身を隠すどころか進んで暴露する。その彼が、貴族のヴィクトワール・ドゥ・タイヤックと出会い、10年後の2010年に結婚。社会階層がはっきりしているフランスで、何層も飛び越えたカップルだ。

成功への野心に溢れ、時代のトレンドを嗅ぎ取る才能のある彼は、忘れられたフランスの伝統に興味を持ちだす。
なぜなら、旅行者がパリに求めるのは、美術館のような街に息づく古い伝統だから。
石鹸(150g)29ユーロ、歯磨き粉20ユーロは法外に高いと思うけど、ビュリーの店で彼らは「時代を遡り、パリの幻想を体験する」とラムダンさん。
「M」の記事は「眠れる美女を目覚めさせる才能を持つ」と形容していた。


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気になるオジ(イ)サンたち

夕刻、犬を散歩させている初老のオジイサンとよくすれ違う。
長身、背筋もピンとしていて、お腹も出てなくて、白髪をオールバックにしている。
連れているのは、お腹がキュッと上がった(妊娠中と間違えられるタマに見せたい)美しいスルーギ犬。
高そうな犬だ。

スルーギ犬
photo:ペットナビ

飼い主と雰囲気が似ている。カミュの『異邦人』の、飼い犬に似てくる老人を思い出す。

スルーギおじいさんは、通りのレストランやお店の女性たちと顔なじみでよく立ち話をしている。
かつては美男でモテたんだろうね。今でも悪くないけど、ちょっとカッコつけすぎ。

ある日、カフェのテラスにそのオジイサンが犬なしで座っていた。ビールのグラスを前に暗い表情をしていた。
その日以来、犬と一緒のオジイサンを見かけない。あの精悍なスルーギ犬は急死したんだろうか?
一人暮らしで犬だけが相棒だったのかもしれない。その空虚感、経験あり。オジイサン、元気出して!
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

昨日の朝、友人とバス停で待ち合わせをしていた。バスは着くけど友人は乗っていない。次のバスまで・・・23分!
そのとき、バス停近くに立っているオジサンに気が付いた。
通りかかる人の多くがオジサンにボンジュールといい、握手する人もいる。
この道を仕事場にしている住居不定のオジサンなのだ。身なりがこざっぱりして、表情が険しくないのですぐにわからなかった。
立っている門の片隅に、リュックや紙袋。足元にはお金を入れる帽子がある。
顔が広いらしく、時々“持ち場”を離れて誰かとしゃべりに行く。彼が留守の間にも、通行人が帽子にお金を入れていく。
ブティックやレストランが多いこの通りで、すっかりお馴染みの住人になっているみたいだ。
23分が長く感じられなかった。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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