FC2ブログ
Archive
大工、配管工、建具屋・・・ありとあらゆる建築業を転々としてきたリッキー。老人の在宅介護をしている妻のアビーと子供2人の家族は団結していたが、借金は膨れる一方。
リッキーは配達ドライバーになることを決める。社員ではなく“個人事業主として”という条件は魅力的に響いた。

ケン・ローチ『家族を想うとき』

ケン・ローチ『家族を想うとき』

自分の会社だ。トラックも会社のリースではなく自分のを買うことにし、そのためにアビーに彼女の車を売ってくれ、という。在宅介護に車は必需品だが、
「この仕事で、自分たちの持ち家が現実になるんだ」

しかし蓋を開けてみると、配達ノルマは膨大で、昼ご飯どころかトイレに行く時間もない。うちに帰るのは夜の9時。彼の仕事ぶりは一日中見張られている。社会保障も自分の負担だ。
“個人事業主として”は、実は雇い主にだけ都合のいい罠だった(“ゼロ時間契約”と呼ばれるらしい)。
リッキーとアビーは必死に働くうち、思春期の息子を見失っていく。

ケン・ローチの『Sorry we missed you/家族を想うとき』

ケン・ローチ『家族を想うとき』

88歳の監督は、競争の激しい通販業界を舞台に、落ちていく中産階級を訴える。

ken loech
photos:allociné

フランスではレストランの料理宅配会社の配達人が抗議して、彼らの労働条件が明るみに出た。正方形の大きなリュックを背負い、自転車で配達する彼らはみんな個人事業主。事故(多い)に遭ってもカバーされないのだ。

2012年の『天使の分け前』(社会奉仕活動を強いられたロビーがウィスキー蒸留工場で、自分のテイスティングの才能を発見する)、2014年『ジミー、野を駆ける伝説』(10年ぶりに祖国アイルランドに帰ったジミーが。かって自分が開いたダンスホールの再開を試み、地元権力とぶつかる)まではケン・ローチの作品に希望があった。その後一作ごとに絶望的になっていく。

先日ご紹介した『Hors Normes/規格外れ』は苦境にも笑いを混ぜているが、『家族を想う時』は、これでもかこれでもか、と真っ向からリッキー一家の不幸を描く。前者はアソシエーションの人間にスポットを当て、後者は労働状況がテーマになっているせい?

ケン・ローチの説得力も甚大だ。映画が終わったとき拍手が起き、誰かが「アマゾンで買うのはやめよう!」と叫びまた拍手。

原題の『Sorry we missed you/ご不在につき失礼』は宅配会社が残すメッセージ。同時に、両親が仕事で遅くまで帰らないので、路頭に迷ってしまう子供たちへの「ごめんね」というダブルのメッセージだ。日本語タイトルも残せばよかったのにね。
お見逃しなく!

Sorry we missed you
ケン・ローチ監督作品
主演:クリス・ヒッチェンズ、デビー・ホネーウッド、リス・ストーン、ケイティ・プロクター
1時間40分
フランスで公開中
日本公開は12月


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

スポンサーサイト



涙よりユーモアで訴える社会派映画

自閉症の子供をの世話をするアソシエーションを運営するブリューノ。
マリックは貧困地区で路頭に迷う若者援助のアソシエーション代表。自閉症の子供の世話ができそうな若者を教育し、ブリューノの手伝いをさせている。
ブリューノは、国の施設や病院が「手に負えない」と音を上げた子供を引き受けている。
口をきかない子供は怒りや不満が他人や自分への暴力となって噴出する。
頭を壁にぶつけ続けるヴァランタンは一日中ヘルメットを被らされている。

トレダノ&ナカシュ『Hors Normes』

比較的軽症のジョゼフは工場で1週間の研修までこぎつけた。ただし、メトロに乗る度に非常ベルを押してしまう。

トレダノ&ナカシュ『Hors Normes』

ただでさえ忙しすぎるブリューノのアソシエーションに国の監査が入る。
「資格のない若者に自閉症の世話をさせているそうですが・・・」
成果よりも、規格に準じているかどうかが大事なお役人はどこの国でも同じだ。

実在の人物、ブリューノとマリックの日常をエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュが映画化『Hors Normes』。
“規範を脱した”という意味。

トレダノ&ナカシュ『Hors Normes』
photos:allociné

このコンビの大ヒット作『最強の2人』-車椅子の富豪と移民の看護人の可笑しく感動的な物語-も実話だった。

この『Hors Normes』も深刻な問題を扱いながら、泣かせようとせず逆にユーモラス。社会問題を扱うトレダノ&ナカシュの最強の武器はユーモアなのだ。それは一緒に観た娘に「あんな仕事がしたくなるね・・・」と言わせる説得力を持っている。そんなに簡単に言われても困るけど、人助けになることをしている人たちの苦労と生きがいが、伝わってくる作品だ。

マリック演じるレダ・カテブ(『ヒポクラテスの子供たち』)はいつもながら上手いけど、びっくりはブリューノ役のヴァンサン・カッセル。いつもセクシーな2枚目が、背中を丸め、ヨレヨレの服でなりふり構わず走り回る。最後に出てくる実在のブリューノに似ている。
子供たちは現実に自閉症の子供が演じているのもすごい。
絶対お奨めの作品です!

Hors Normes
エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ監督作品
主演:ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ、エレーヌ・ヴァンサン
1時間54分
フランスで公開中


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



夏時間と冬時間、どっちがいい?

3月最後の週末、
「深夜に夏時間に変わります。今夜は睡眠時間が1時間少なくなります」
10月最後の週末、
「冬時間に変わります。今夜は1時間多く眠れます」
今年は昨晩午前3時が午前2時になった。

changement dheure

いつもより早く朝市に行ったら、「ハハハ、時間変えるの忘れたでしょ!」と行く先々でからかわれた。
「変えたわよ、この後用事があるから早く来たの!」と叫んでも、誰も信じてくれなかった。

1976年、石油ショックの時、エネルギー節約対策として始まった夏時間。毎年2回、時間を変える度に、もうやめる、やめないの議論になっていた。
夏時間で夜遅くまで明るいと「エネルギー節約にならないとは言わないけど、微々たるもの」だそうだ。
一方、睡眠に及ぼす悪影響-特に赤ちゃんや家畜が時差ボケになる-、自動車事故が増え、電車に乗り遅れる人が続出(それは個人で気をつければいいことだけど)。
ついに今年3月、時間変更を止めることがヨーロッパ議会で可決された。

夏時間、冬時間どっちを取るか、は各国が選択していい。
フランスでアンケート調査を行ったところ、60%が「夏時間がいい」
「遅くまでスポーツができる」「遅くまで明るいので自動車事故が減る」「一日が長くていい」・・・夜更かし族が増えているってこと。
でもこれは都会の傾向で、農業、牧畜業の人たちは早寝早起きだ。

医学的には「夏時間は、太陽と体内時計に2時間ズレているので、冬時間が人間に合っている。」
そうだろうね、家族も私も冬時間のほうが居心地がいいもの。
でもフランスは少しずつ南ヨーロッパ寄りになってきている、と言われる。
北ヨーロッパの国は夕食が早く(午後6時とか7時)、コンサートや劇場も7時半に始まる。
南ヨーロッパは夕食が遅く、スペインなんて夜10時。コンサートの開始時間も8時半当たりが多い。

さて、“どっちの時間を取るか各国の自由”は、ヨーロッパの国々の運輸相から「待った!」がかかった。「国境を超える度に時間が変わるなんて、やってられん!」
タイムテーブルを作る側だけでなく、乗るほうだって混乱する。
時間切り替え廃止の実施は2021年の春か秋。「それまで考えましょう」ということになったようだ。
廃止には賛成だけど、冬時間になった朝、「8時?じゃない、まだ7時。まだ眠れる!」という幸福感はもう味わえないわけ。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村





映画ザッピング:浮気な妻、耐える夫

自分の年の半分くらいの男子とのアヴァンチュール後、家に帰ったマリア。
シャワーを浴びていると、「今頃シャワー?」といぶかしがる夫のリシャール。
洗濯物を片付けながら、妻の携帯に届く年下愛人のメッセージを見てしまう。

「あたしたち、20年も結婚しているのよ。浮気の一つや二つなかったらおかしいじゃない。それが長続きの秘訣でしょ!」夫に咎められ、言い返すマリア。
通常、男が浮気を正当化するために使うセリフじゃない。
「でも・・・ぼくは一度も君を裏切ったことないんだよ」

リシャールはむくれて部屋に閉じこもってしまう。
マリアはいたたまれなくなり、うちを出て、向かいのホテルに部屋を取る。
部屋の窓から自分のアパルトマンが、そこでふてくされている夫が俯瞰できた。
それは20年間の2人の関係を俯瞰することでもあった。
ホテルの部屋に25年前のリシャール、彼が当時好きだったピアノの先生、マリアの過去の情事相手たちが現れる。
そしてマリアの不実を責めるのだ。

クリストフ・オノレの新作『Chambre 212/212号室』

『Chambre 201/212号室』 クリストフ・オノレ

自分の欲望に忠実で相手の気持ちを考えないマリア、耐え忍ぶ内向的な夫。男と女のよくある構図の逆だ。

もっさりした夫役のバンジャマン・ビオレが特にいい。本職は歌手だけど、セクシーな2枚目から野暮な中年男まで上手い。

『Chambre 201/212号室』 クリストフ・オノレ

キアラ・マストロヤンニ(マリア)はお父さん(マルチェロ・マストロヤンニ)のほうに似ている。
リシャールの20年前はヴァンサン・ラコスト。タラコのような唇以外、20年後に全然似ていないけど。
この人が出てくると深刻な話も軽くなる。

『Chambre 201/212号室』 クリストフ・オノレ
photos:allociné


アイディアや撮り方は面白いけど、主人公のキアラ・マストロヤンニがイマイチ。
「好みの男を見ると、どうしてもやりたくなっちゃうのよ」という征服的なマリア役にあまりハマっていない。

言うまでもなく、カトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの娘。
だけど2大スターの娘だからといって、親が持っていたカリスマ性を期待してはいけないのだ。
親の重みに押しつぶされないようにするだけでも大変に違いない。

キアラ・マストロヤンニと夫役のバンジャマン・ビオレは元夫婦で、子供もいる。別れて5-9年になるけど「演じにくかったのでは?」というインタビューに「全然」と答えていた。

Chambre 212
クリストフ・オノレ監督作品
主演:キアラ・マストロヤンニ、ヴァンサン・ラコスト、バンジャマン・ビオレ、カミーユ・コッタン
1時間27分
フランスで上映中


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

日本語の生徒さんのひとり、イザベルは全くゼロから日本語を始めた。
つまり、ひらがなから覚えるわけだから、「あいうえお」の表を目の前において、ひとつひとつ探しながら読む。
忍耐強い人だ。

「犬を連れてきていい?」というので、「猫がどう反応するかわからないけど、いいわよ」

すごく大人しい柴犬の雌。何見てるの?

ジューン

なるほど。リュリュは1時間半、この場所で待機していた。

リュリュ

イザベルはAppleの社員で、夢は日本のAppleで働くこと。
エライ!夢は大きく持て、だ。

でもどうしてそんなに日本なのか、というと旅行で行ったときの印象が強烈だったから。
「初めて日本に行ったときは、お金がなかったからChina Airで行ったの。そしたら成田に着いた時スーツケースがない!上海に忘れてきたっていうの。仕方なくAirbnbに行ったけど、着替えも化粧ポーチもなくて泣けてきた」

Airbnbにシャンプーがあったけど、「緑色で髪が緑色になったらヤダと思って」近くの美容院に行く。
美容院のご主人は英語が話せたんで、スーツケースのことを話したら、心配して空港に電話してくれたり、夜は池袋に連れていってくれてご飯をご馳走してくれた。
その美容院は家族経営でおじいちゃん、おばあちゃんもみんなに親切。
「2日後、大阪に発つ直前にスーツケースが届いたの。別れるときみんな涙ぐむくらい仲良くなった」

さて大阪。イザベルは観光地より地元の人がいるところに行きたくて、居酒屋に入った。
真ん中に厨房があり-つまりオープンキッチン-その周りを大きなカウンターが囲んでいる。
殆ど満席のカウンターに「ちょっとつめてくださーい」とお店の人が場所を作ってくれた。
さて何を食べようか、と見回すと、
「手書きの紙きれが下がっていて、それが全部漢字!最初、お店のお守りかと思ったら、それがメニューなの」
途方に暮れていると、カウンターの対面にいた女の子の3人づれがさかんに手招きしてる。
「それに気づいたお客さんたちが全員立ち上がって、私が彼女たちの隣に座れるようにひとつずつズレてくれたの。ウソみたいでしょ!」
3人の女子は英語が話せたので、無事にご飯を食べ、
「その中のひとりがなんと大阪のAppleストアに勤めてたの。運命的な出会いよ」

彼女はその翌年また日本に行き、美容院ファミリーと3人の女子と再会し、より仲良くなる。
「だからどうしても日本語が話せるようになって日本に住みたいの」

ナタンやイザベルのように旅行で行った日本に魅了されて「住みたい」と思うフランス人が、けっこういるみたい。
すばらしい。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

マリモの世話係

日本に発つ前夜に息子が、
「これは特別に君に託したい」
この子は昔から人に頼むのが上手だった。
「特別に」と言われると、自分が選ばれたみたいな気持ちになって、こっちがお礼を言いそうになる。
同じようなセリフで植物を預かった夫も誇らしげだ。主客転倒。

わたしが“託された”のは小さいジャムの瓶に入った、
「何コレ?」
「マリモ」

マリモ

マリモと言えば、北海道の阿寒湖!懐かしい名前だ。

でもマリモってもっと大きくなかった?
「少しずつ大きくなるんだって」
「どこでもらったの?」
「マレーシアで買ったんだ。10ユーロくらいで」
彼がマレーシアに行ったのは1年以上前だ。
「それから大きくなったの?」
「多分少し」

世話は一か月に一度水を取り換え、取り替えた後しばらく蓋を開けておくこと。
「水を取り換える度にぼくを思い出してよ」
一か月に一度!母親って生き物はね・・・と顔をみると、息子もジョーダンだよ、とニタニタ笑っていた。

・・・というわけで、マリモの小瓶はスノーボールのコレクションに仲間入り。
日本のネットで見たら「水は一週間に一度換えてください」だって。
私が預かったのと同じ大きさ(直径1㎝くらい)は500円前後なので、10ユーロ(約1200円)はぼったくりじゃない?
しかしほんとに大きくなるのかね・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




日本へ片道チケット

息子が約1年の予定で日本に発っていった。
出発前の1週間は引っ越し(いない間、アパルトマンを人に貸すので)掃除、荷造り、そして連日のように送別会で走り回り、引っ越し荷物は当然うちに来るので、居間は足の踏み場もない状態になった。

選り分ける時間がなくて全部運び込んだので、うちで「これはエマユス*」「これは捨てる」。
プラスチックボックスのひとつを開けたら「ギャー!」
マフラーやセーターが虫に食いまくられ、しかも虫が生息している。即、箱ごとゴミ箱!
数年前から息子のセーターが虫に食われるので防虫剤を渡していたけど、一方で虫を育ててたのね。全く世話はない。

猫たちはさっそくスーツケースへ!

リュリュ&タマ

「寂しくなるわね」何人から言われたけど、あまりピンとこなかった。
長期で日本に行くのを彼がとても喜んでいたから。
出発前の慌ただしさのせいもある。

飛行機が飛び立って10時間後に「もうすぐ台北に着く?」とEVA airのフライトインフォメーションを見た。
地図で見るパリと日本の距離に「ああ、遠くに行ったんだ」と私は初めてブルーになった。
自分が行き来するときには距離なんて考えない。だからすごく主観的な距離なのだ。

「寂しさ」は概して思いがけない時にやってくるもんだ。娘がアングレームに引っ越したときは、夥しいメイク用品がなくなってスッキリした浴室を見たときだった。
戻ってきたので再びメイク用品だらけになっているけど。

*Emmaus/エマユスはピエール神父が作ったアソシエーション。使わなくなったものを持ち込むと、それを売って貧困救済の資金にしている。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村







猫を隠せ!

その晩、初めて会うカップルを夕食にお呼びしていて、私はオーソブッコの仕上げをしていた。
そばで携帯を見ていた息子に、「ちょっとソースの味みてよ」とスプーンを差し出したら、
「ギャッ!ウソー!!」
「何が?」
「ご主人、猫アレルギーだって!」
えええええ!

猫は家族と勝手に思っているので、食べ物の好き嫌いだけ聞いて、猫の好き嫌いは聞きもしなかった。

時間は7時50分。残すところ10分!
息子はすぐに掃除機を引っ張り出し、床はもちろん、ソファや椅子にもかけ始める。猫のいる家は毛だらけで、そんなことをしても焼け石に水、というけど。
猫たちはキャッツフードのお皿とともに娘の部屋に閉じ込められた。

2人が到着し、アペリティフの間、ご主人はクシャミひとつしなかったので、ひとまずホッ。
食卓では、カップルは離して男女交互にするので、私の隣がご主人。オーソブッコを食べているとき、私の膝に手を置く人がいる。ハッとして見ると、
「リュリュ!」
このウチは元アトリエだったのを改造しているので、部屋と部屋の間に窓があったりするけど、
「アンタ、どーやって !?」
と、浴室とキッチンの間の窓を見ると、そこにはタマが悠然と座っているではない!
隣の客人は猫を見ても慌てず騒がず、クシャミもせず ・・・再び2匹を閉じ込めて事なきをえた。

・・・この話を猫好きの友人にしたら、
「あたしの知人に猫大好きだけどアレルギーの人がいて、Rexという種を飼ってるの。しかも4匹も!猫アレルギーでも大丈夫な唯一の猫なんだって。でもすごく醜いのよ」

醜い猫など存在するのかとネットで見たら、なるほど。特に飼いたいとは思わないわね。

レックス/Rex

Rexさんには悪いけど・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村



ナント一家惨殺犯人は・・・

「グザヴィエ・デュポン・ドゥリゴネス、ついに逮捕!」のニュースは金曜日の夕方。
この長ったらしい名前の男は、2011年4月、ナントで妻と子供4人を殺害し自宅の庭に埋めた疑いで、国際指名手配になっていた。

ナント一家惨殺事件
photo:parisiens

「なんと8年半逃走していたドゥリゴネスがグラスゴーの空港で逮捕されました!」とキャスターも興奮、ラジオはすぐに特集番組になる。
逮捕の状況は、ドゥリゴネスがパリのシャルルドゴール空港からグラスゴー行きの飛行機に乗る、という告発があり、パリ警察は空港に向かったけど間に合わず、すぐにスコットランド警察に通報。ドゥリゴネスはグラスゴー空港で待ち構えていた現地の警察に逮捕され、指紋が一致した。
盗んだらしきパスポート(ギイ・Jの名前)で「何度か整形手術をした模様です」。

さらに当時の事件を振り返り、犯罪学者や“ナント一家惨殺事件”について本を書いたジャーナリストがインタビューされ、
「自殺説も有力だったけど、私は生きていると信じていた」と得意げだった。
・・・という特集番組を私は最後まで聞いてしまった。

自分がWHOの医師と家族に偽り続け、ウソがばれたときに妻、子供、自分の両親を殺害したのはジャン=クロード・ロマン
ドゥリゴネスは相次いで事業に失敗し、夥しい借金があるのを家族に隠していた。事件の前に「もう自殺か集団自殺しかない」というメールを友人に送っていた。
どちらも、秘密やウソがバレそうになった時だ。ルース・レンデルの名著『ローフィールド館の惨殺』もそうだものね。

翌日の土曜日、“念のため”DNA鑑定、とフランスの警察がグラスゴーに向かい・・・なんと人違いだったことが判明。
まず夜半に電話してきたギイ・J氏の隣人の証言、
「J氏は30年来の隣人でドゥリゴネスであるわけがない」で仏警察は疑いを持った。
DNA鑑定でその疑いは事実になったんだけど、原因は指紋の判定がフランスとスコットランドの警察で違うこと:フランスは12点の特徴一致、スコットランドは3点一致!

24時間、一家惨殺犯人と間違えられたギイさんは、スコットランド女性が奥さんのリタイアした男性。顔がちょっと似ていたらしい。
それを「何度か整形手術をした模様です」だなんて!
スコットランド警察のアバウトさとメディアの先走りの結果。
グザヴィエ・デュポン・ドゥリゴネスはこのニュースを見ていたに違いない・・・


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村










朝市物語:サドマゾ関係?

やたら陽気なエルザおばさんは人気があって、誕生日に花束を持ってくるオジサンもいるくらい。
長い間、私は常連客のひとりに過ぎなかった。仲良くなったのは5-6年前からだ。

きかっけはシイタケ?
シイタケが大好きなエルザは、キノコ類のソテーを作ると、台所でシイタケだけ寄りだして食べてしまう。
食卓に持っていくと「なぜシイタケ入ってないの?」と家族に文句を言われる、と聞いて「え?あなたも?」
私も同じことをするからだ。

でもきっかけなんかなくて、段々に仲良くなったのかもしれない。
細いグリーンアスパラは茹でないでそのまま炒めるとか、ズッキーニでもナスでも色の薄いほうが美味しいとか教えてもらった。

夏休みにナポリに帰ると必ずお土産を持ってきてくれる:パスタやリゾット、自家製のアーティチョークのマリネ、ビターオレンジのリキュール・・・
お返しに、クリスマスにはチョコレートを「店員さんとみんなで食べて」と持っていくと、ハイハイと言いながら、さっさと自分のバッグに入れてしまう。

IMG_20191010_125250.jpg

もともと思ったことをすぐ口に出す人だけど、親しくなってから更にダイレクトになった。
「フェンネルはどこ?」
「ホラ、そこにあるだろ」
「そこってどこよ」
「アンタ、どこに目つけてんの?!」
「・・・・」
お勘定が20ユーロだったときは、
「あっちこっち走り回らせて-屋台が広いので店員さんたちは端から端まで行き来する-これだけかい!」
それでも通い続けるんだから、「あたしはマゾよ」と言ったら嬉しそうに笑っていた。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




朝市物語:エルザおばさん

毎週日曜日、エルザおばさんの八百屋に通うようになって・・・もう20年以上になる。

エルザおばさんはイタリア人。ナポリで教職を取り(「当時はみんな先生になりたがったのよ」)パリに遊びに来たとき、フランス男子と恋に落ち、そのまま居ついてしまった。
先生を諦め、青果市場で働きだし、やがて朝市の八百屋のおかみさんになる。
小柄でコロコロしていて、アニメに出てくる妖精みたい。大きな屋台には若い売り子さんが8人いるけど、一番走り回っているのはエルザおばさんだ。

パリ朝市 バスティーユ

朝市の商店の人たちは、トンデモナイ時間に起きるので、
「何時に起きるの?」と聞くと、
「10時」
なんだ、週末の私と変わりないじゃん、と一瞬思ったけど、
「夜の10時!?」
しっかり“朝ごはん”を食べ、トラックに野菜果物を積み(「これに時間がかかるのよ」)郊外の“野菜倉庫”を出発。
まず13区のオーギュスト・ブランキ/Augusto Blanqui の朝市に着くのが午前3時。
彼女はご主人と分担して2つの朝市に出しているのだ。最初の朝市で、荷の半分とご主人を降ろし、バスティーユに向かう。

野菜や果物をきれいに並べるのも時間がかかるけど、手書きの値段付けも大変な作業。
品数が多いほど時間がかかるのは私にだってわかるけど、「2時間じゃ終わらない」そうだ。

パリ朝市 バスティーユ

「準備が終わると若いモンは一杯飲みに行く」とエルザおばさん。
一杯飲む、というからにはコーヒーじゃない。
そして最初のお客が現れるのが7時半頃、というからもうちょっと寝ていても大丈夫な気がするけど、それは寝起きの悪い私の発想であろう。
とにかく、私が朝市に赴く昼近くには、12時間以上仕事をしていることになる。
たまに早く行くと、
「アンタ、ベッドから落ちたのかい?」
「・・・・」
まあ、からかいたくもなるだろうね。

エルザおばさんの八百屋ではイタリアのトマト、白や黄色のズッキーニ、縞々ナスなど南の野菜が美味しくて安い。

パリ朝市 バスティーユ

ギュスト/Gustoというイタリア産トマト。
ちょっと高い(1㎏、約5ユーロ。日本に比べれば安い)けど、サラダにするならコレ。

イタリアトマト、ギュスト

20年も通っていればさすがお得意さん扱い(!)、いつも何か-おまけというよりプレゼントを-くれる。
最近はずっと苺のパック。娘の友達が「このウチ、いつも苺があるね」と言ってったけど、実は買ったことがないのだ。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

同性カップルの結婚式

夫の“また従妹”が結婚する、のは珍しい話じゃないけど、彼女は63歳で、相手は70歳の女性だ。

そう、私たちは初めて同性の結婚式に参列することになった。
フランスで同性の結婚が認められたのは2013年5月。それから2017年末まで4万組の同性カップルが結婚しいる。

ところで、“また従妹”カップルは30年も一緒に暮らしているのに、なぜ今さら結婚するのか?
別の友人カップル(ヘテロ)も60歳をはるかに過ぎて結婚した。それは、どっちかが先に死んだ場合(まず同時に他界することはないから)結婚していないと、遺産が子供(いなければ甥、姪)に直行してしまうからだ。
残されたほうが、家を追い出され路頭に迷うことがないように、という計らい。

新婦たちはモントルイユに住んでいるので、結婚式はモントルイユ市庁舎で行われた。
市庁舎で結婚するにはウェイティングリストが長くて待たされる。彼女たちも春から待って10月になった。
私たちも市庁舎で結婚したけど、やっぱり順番待ち。息子の出生届を大使館に出す期限があったので待っていられず、越境して結婚したんだった。

助役の女性が参列者を席につかせると間もなく、市長さん登場。若い。30代に見える。

同性の結婚式

結婚の誓約にサインする2人。

同性の結婚式

隣に座っている新婦の姉に「市長さん、左派?右派?」とヒソヒソ声で聞くと、
「ううん、ゲイなの」という答え。
彼女にとってはそれで十分、左派でも右派でもかまわんらしい。

確かに。パリ市長だったドラノエさんは、選挙前に自分がゲイであることを表明し、堂々当選。ホモセクシュアルを日向に出すのに大きく貢献した。

市庁舎での結婚式は20分くらいで終わる。若いカップルのアツアツはなくても、長年の愛情が感じられて、何より2人がとても幸せそうで感動的だった。

その後、彼女たちの家で行われたブッフェも感動的に美味しかった。
手前はスズキとサーモンのカルパッチョ。いくつでも食べられる!

同性の結婚式

デザートはティラミスとパナコッタ。

同性の結婚式


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村





おせっかいで涙もろい

娘のバンドデシネが発売になってから1か月ちょっと。フランスの出版社の面倒見の良さにはびっくりする。
名もない駆け出しなのに(だからこそ?)版元のプレスが奔走し、早朝のFrance Cultureの番組に出て、ELLE 、les Inrocks(ロック雑誌として始まり、今は総合カルチャー誌) Lire(文芸誌)に書評が載り、

ELLE

その度に私は近所のキオスクに駆け付け、キオスクのオジサンに「何かあったの?」と不思議がられる。
ほんとに雑誌を買わなくなっているからだ。この前買ったのはデヴィッド・ボウイが死んだときではない?

レピュブリックの近くの書店でサイン会も企画してくれた。私のセーター着てる!

mon premier rêve en japonais

来てくれたのは親戚、美術学校時代の友達だけど、娘のゴッドファザーと親戚の一人がそれぞれ5冊ずつ買ってくれた。
クリスマスのプレゼントにするんだって。

私は出先で本屋を見かけると必ず入って、バンドデシネ・コーナーをチェックするようになった。
娘の本を置いていない書店は「選択が悪い」と、ブラックリストに加えられる。

置いていても場所が悪いと、

mon premier rêve en japonais

目立つようにし・・・

mon premier rêve en japonais

・・・と私も販売促進に加担しているけど、日本に比べて、版元のアフターケアが人間的で、しっかりしている。
日本では、本が次から次へと大量生産され、出ては忘れられる。

とにかく何か出る度に私は涙ぐみ、

mamanpleure1.jpg

娘はそれをマンガにして喜んでいる。


ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村


プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ