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また日本が一位!

ご馳走のシーズン、シャンパンのシーズン。ラジオにモエ・エ・シャンドン社長さんが出ていた。
ブランドの歴史は18世紀初めに遡る。
エペルネーのワイン仲介業者、クロード・モエは「こんな美味しいものを地方特産品にしておく手はない」とシャンパンをパリに出荷し始める。1743年にはメゾン・モエを創立。
1792年、クロードの孫、ジャン=レミ・モエが後を継ぐと、事業は拡大し始める。
1833年、ジャン=レミの娘婿、ピエール=ガブリエル・シャンドンがビジネスに参加し、モエ・エ・シャンドンと改名。市場はヨーロッパ、次いで世界中に広がる。
ロベール=ジャン・ドゥ・ヴォゲ社長の時代にシャンパン・ルイナールを買収(1962年)、次いでメルシエ(1970年)。
シャンパンに留まらず、パルファン・クリスチャン・ディオールとコニャック・ヘネシーを買収(1971年)し《モエ・エ・ヘネシー》の名前になる。
1987年にルイ・ヴィトンとフュージョンし、LVMH (Louis Vuitton, Moët, Hennessy)の柱石が出来上がる。
このドゥ・ヴォゲという人はベルナール・アルノーに負けず劣らず商才に長けていたようだ。

今日、年間3200万本のシャンパンを生産。ブドウ畑は1200haで、生産量の25%のブドウしか収穫できない。そこであちこちからブドウを買ったり、ブドウ畑を借りたりしている。
夫の実家はもともとシャンパン製造業。義父は脱家業で大学の先生になったけど、ブドウ畑は持っていて、モエ・エ・シャンドンに貸している。賃貸料はもちろん、毎年クリスマス時期にシャンパンが1本送られてくる。

モエ・エ・シャンドン

さて3200万本のうち、国内消費はわずか10%。輸出国のトップはなんと日本。
「なぜ日本?」という質問に、「クオリティがわかる国民だからです」とモエの社長さん。
お風呂でインタビューを聞いていた私は「そりゃそうだ」と得意な気分になる。

ミレジメの年しかシャンパンを作らないサロン/Salonというブランドも輸出国1位は日本だ(そのインタビューもお風呂で聞いたような)

では、日本人はフランス人よりシャンパンを飲んでいるか?
それはないはず。確かにブランドシャンパンの消費は日本のほうが多い。フランス人はオーブ地方の、小さい生産者が作る20ユーロくらいのシャンパン(なかなか美味しい)を多く飲むんだと思う。
よく言えば、”質と値段の関係”にこだわるから。はっきり言えばケチ。

駆け足で過ぎた2019年。今年もたくさんの方に読んでいただいてありがとうございます。
読者の方の何人かにパリでお会いできたのも嬉しい体験でした。
どうぞよいお年をお迎えください。


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クリスマスの投票

毎年、クリスマスのプレゼントを「いつ交換するか?」が大問題となる。候補は:
①アペリティフの後
②デザートの前
「投票で決めよう!」とベジタリアン甥のオリヴィエが立ち上がる。
彼はサンフランシスコのAppleに勤めていて、タイ人の彼女と一緒にパリに来ている。つまり我が家のアジア勢力はますます大きくなっている。
話を戻し、投票。投票者は7人。
「みなさん、目を瞑って」(人の意見に影響されないため)
「①に賛成の人」(オリヴィエが数える)
「②に賛成の人」(同上)
結果、アペリティフの前、すぐにプレゼントを見たい、という人(私も含め)が優勢。

「ちょっと待って、意見が変わったんだけど」とワタシ。
「ワタシも」と義妹。
「じゃもう一度投票」
その結果、同点引き分け!

「ではこうしましょう:まず①に賛成の人がその理由を述べ、次に②に賛成の人が理由を述べる。その後で投票する」とオリヴィエ。
Appleでは重大事項をこのように決めているんだろう、と思わせるイニシアティブ。

①の賛成理由は推して知るべし:早く開けたい、デザートまで待ちたくない、という主観的なもの。
②に乗り換えた私の理由は、
「羊の脚がもうオーヴンに入っているから、今から交換始めたら冷める。さらにデザートの前に、消化のためのポーズをおいたほうがいい」
すなわち、料理のタイミングと胃のことも考慮した意見だったにも拘わらず、①が勝った。

大体、フランス人は「デザート用の第二の胃」(日本語の別腹)を持つので、2番目の理由は完全無視された。

プレゼントは、TVシリーズのDVD、本、マフラー、チョコレート、香水・・・なんだけど

2019年クリスマスの食事

やつらおしゃべりだから、いちいち説明が長く、第一投票に30分かかったので、羊ローストは冷めてしまった。まあいいか。

人間たちがプレゼント騒ぎをしている間、フォアグラの瓶の番をするタマ

2019年クリスマスの食事

心配したテリーヌも評判が良くめでたしめでたし。

2019年クリスマスの食事

小さい頃は”ポテコ”と呼ばれた娘作のサツマイモとポテトのグラタン。

2019年クリスマスの食事

+グリーンアスパラとキノコのステー。付け合わせを3つも作ったのはベジタリアン甥のため。

ビュッシュは義妹が買ってきたル・ノートル。「2つも!?」とびっくりしたけど、2つ目の胃にほぼ収まったのでした。

2019年クリスマスの食事

というわけで、飽食と消費の、時代に逆らうイヴであったけど、一年に一度だもの、いいですよね。


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さて、クリスマスのメニューの中で、初めて作るのがピーマンとシェーヴルチーズのテリーヌ。
失敗するとヤバいので前日の夜に作ることにした。

材料
フレッシュ・シェーヴルチーズ(Petit Billy)400g
赤ピーマン、黄ピーマン、緑ピーマン各1個(ただしピーマンはフランスサイズ、日本の3倍はある)
オリーヴオイル(あればフルーティなもの):大匙1
生クリーム(リキッドタイプ):大匙2
板ゼラチン3枚
ニンニクひとかけ
シブレット一束

作り方
①ピーマンを縦二つ切りにし、種を取る。180°のオーヴンで約8分間(では足りなく15分かかった)グリルする。
その間に板ゼラチンを冷水につけておく。
焼きあがったピーマンをビニール袋に5分入れてから皮を剥く(そう、ピーマンには薄皮があった)。
②サラダボールにシェーヴル、みじん切りにしたシブレットとニンニク、オリーヴオイルを入れ、よく混ぜ、塩コショウする。
③小さな鍋に生クリームを入れて火にかけ、よく水を切ったゼラチンを加える。
これを②に入れ、よく混ぜる。
④テリーヌ型にクッキングペーパーを敷き、赤ピーマンを並べ(後で切りやすいようにピーマンは1㎝幅くらいに切った)シェーヴルチーズを敷き詰め、ピーマン、シェーヴルの層を交互に作る。

シェーヴルチーズ&ピーマンのテリーヌ

⑤クッキングペーパーで包み、冷蔵庫で4時間冷やして出来上がり。

4時間後に端っこを切って食してみたところ・・・味は悪くない。

シェーヴルチーズ&ピーマンのテリーヌ

でもテクスチャーが、テリーヌっぽくない。シェーヴルと焼きピーマンを食べてるみたいで、合体していない。
写真のような滑らかさがないのよね。

シェーヴルチーズ&ピーマンのテリーヌ

困ったことに・・・
別の物を作る時間はもうないし、さてベジタリアン甥は何と言うだろうか?


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クリスマスに何を食べるか

去年のクリスマスは、ディジョンの義妹のうちだった。彼女、もともと料理が好きじゃないけど、年とともにその傾向が強まり、娘が「あんな悲しいアペリティフは初めて!」というほどであった。そのアペリティフとは生のカリフラワー(ソースなし)とパン屋のグジェール(チーズ味のシュー皮)。後者は1分でなくなった。

「今年は小さいヴェリーヌをたくさん作ろう!」と張り切っていた娘が、24日夕方までバイト。
貴重な戦力を失い、アペリティフはピカールのトマトとシェーヴルのケイク、ミニ・ブーダン・ブラン(子牛と鶏肉のソーセージ)、

ミニ・ブーダンブラン

大根かカブの塩もみ(切って塩を振るだけ、意外とウケる)

オードヴル
(甥が持ってきてくれる)フォアグラ、玉ねぎのチャツネ(自家製)
(うちの定番になった)サーモン2種のテリーヌ
(魚を食べない義妹のため。新作)シェーヴルチーズと3色ピーマンのテリーヌ
ルコラのサラダ

メイン
羊の脚(朝市の肉屋さんに注文済み)

羊の脚ロースト

ジャガイモとサツマイモのグラタン(芋ファンの娘担当)
グリーンアスパラとキノコのソテー

チーズ、デザート(買ってくる)

これを見せると、食いしん坊の娘も「おお、ボリュームある!」
羊の脚はオーヴンにぶち込むだけ。すなわち私が作るのはチャツネとテリーヌ2つ。付け合わせのアスパラガス・・・ベジタリアンになったもうひとりの甥(フォアグラの甥の兄)が「クリスマスは例外」と何でも食べるし・・・
「今年もそうだよね」と一足先に着いたフォアグラ甥に聞いたら、ササッと兄貴にメッセージを送った。すぐに来た返事は:
「今年は例外はやらない」
ガーン!そういうことは早く言え!
「タカコはショックで倒れ、起き上がれないって言っといて!」
目下、ベジタリアン向けメインを探してパソコンに向かっている。

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フランス電力、お前もか!

17日、3回目の年金改正反対デモのコースは、レピュブリック⇒バスティーユ⇒ナシオン。
うちはコースのど真ん中で、メトロのストは続いているし、今日はどこにも出られない、と思ったものの、用事があって出かけた。
バスティーユ広場には、すでに警察やCRS(保安機動隊)の車が列をなしているけどまだ静かなもん。

カフェはしっかり閉めている。

12月17日、パリのデモ

ところが午後に戻ると、デモ隊が溢れ、道は封鎖され、「うちに帰るだけ」と言っても身分証明書を求められる。

12月17日、パリのデモ
photo:le Parisien

うちにたどり着き、もう出られん、とパソコンに向かっていたら突然電気が消えた。ネットの接続も切れた。
窓から外を見ると、建物全部が暗い。
EDF(フランス電力)の工事で時々そういうことがある。大抵すぐ復旧するので慌てず騒がず待っていたが、30分経っても戻らない。夕方の5時だから外も暗くて何もできない。
EDF urgenceに電話にすると「何区?4区ですか?担当に繋ぎます」
“担当”というのは録音された音声で、
「ただ今あなたの区は停電になっています。係員が復旧に務めていますのでしばらくお待ちください」

電気がないと、料理ができないし、暖房がないし、テレビもないし、動けばモノにぶつかるし、すなわち何もできない。
夫は「寝るしかない」と達観したことを言うけど、私は寝たくもないので外に出た。
外は雨が降っていて、まだデモが続いている。

12月17日、パリのデモ

クリスマスプレゼントをひとつ済ませ「帰ったら電気が点いてるかも!」と期待したけど、建物は暗いままだ。

8時になった。私は仕方なくロウソクを買いに行った。水害などで何日か停電が続いた人たちの苦労がすこーしわかる。
買って帰ると建物の扉が閉まっている。電気がないとドアコードも作動しないので、扉は開けてあったのに、どっかのアホが閉めたんだ!
夫に電話するしかない。でもなかなか出てくれない。眠ってるの?目を覚ませ!・・・やっと電話に出て、中から開けてもらった。

玄関、キッチン、洗面所にロウソクを灯すと、家の中がゆらゆらする光の中に浮かび上がった・・・途端、電気がついた。
気分まで元気になるような明るさだ。時間は9時になっていた。
その後、ニュースを聞いていたら、
「EDFの労組員が電流を切り、パリでは4区、11区・・・が停電になりました」
「!!!」
あれはEDFのストだったのね!「・・・係員が復旧に務めています」なんてよく言うわよ。
配電盤を見ながら「じゃ4区と11区、いってみようか?」「ちょうどデモのコースだしね」なんてやったに違いない。
ああ、どいつもこいつも!


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ストによる損失、ハウマッチ?

クリスマスプレゼント、ディナー、年越し、帰郷、スキー・・・12月は商店、レストラン、ホテルにとって書き入れ時。
デパートやショッピングモールはふつうの月の2倍の売り上げ、オモチャは年商の20%を12月で達成する。

・・・というのに、12月5日に始まったSNCF、RATPストのお陰で、

greves metro
photo:la croix

ホテルは30%減、レストラン40%~50%減、商店、デパート30%~50%減・・・
運悪くデモのコースに当たった店舗は警察から「店を閉めろ」とのお達しで、その日はゼロ収益。

マクロ経済学(「個別の経済活動を集計し、国の経済活動を表す」だそうです)によると、一日4憶ユーロ(約480憶円)の損失(!!)。
なんとこの半分の2憶ユーロがパリを取り巻くイル・ド・フランスで失われているという。

国の経済が不振になれば、払えるものも払えなくなるのがわからんか?
でも十把一絡げにしてはいけない。病院関係者の言い分はわかる。特に看護婦(夫)や救急医の過剰労働、薄給。
同じ理由で、教員の不満も理解できる。
しかし。石炭くべて走っていた時代と同じ特権的年金を主張し、「仕事のきつさ」「ストをする権利」などと言っている国鉄職員は、理解できないどころか、全く腹が立つ。

「フランス人は昔から権利にこだわり、経済はどうでもいいんだ」と夫。
「僕らの時代、水は使い放題使えた。今さら資源を大切にしろ、節水しろと言われても習慣は変えられない」
夫はよく水を出しっぱなしにして、「もったいない!」と家族に注意される。それを正当化しようとしていない?
状況は変わっても一度得た権利を守ろうとする、それじゃ国鉄と一緒じゃない!


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哀しいUターン

夫の従妹、バベットは末期がんで今年一杯持つか?と言われていた。
夫の母方の従妹は3人姉妹、バベットは真ん中。頭が切れて、ブラックなユーモアがあり、大好きだった。
10月初めに会ったとき、既に枯れ木のように痩せて今にも倒れそう。最後の直線コースに入った、と誰もが感じた。

そのバベットが危篤、と聞いて、すぐ私は駅に向かった。
向かったのはいいけど、RATPのストでメトロ14本のうちまともに動いているのはオートマチックで走る1番と4番線だけ。
地図を見ていただければわかるように、この2本でパリの東西は動けるけど、南北を繋ぐものは止まっている。
病院は北の郊外クリシーだ。
しかもちょうど帰宅ラッシュ時で、タクシーはすべて赤ランプ。
河岸を変えるしかない、と、1番線でチュイルリーまで出たら空車が見つかった・・・のはいいけど渋滞で動けない。
目的地とは対照的に華やかなイリュミネーションのコンコルド広場、マドレーヌをタクシーはカタツムリのように進んでいく。
一足先に出た夫も渋滞で「まだたどり着けない」。

環状線に近づくと、パリから出ようとしている車の多さ、すなわち郊外から通勤している人の多さがよくわかる。
ストの影響で「延べ400㎞の渋滞」と聞いてもピンの来なかったけど、毎日、この渋滞に閉じ込められているんだ。
それなのに半数以上がストを支持する、なんて、全く理解に苦しむ。

ちょうど17区の果てから城壁の外に出ると言う時、電話が鳴った。
「たった今、旅立った。ぼくも間に合わなかった」と夫。
「・・・・」
ああ、この渋滞がなければ、ストがなければ会えたのに・・・
「あたし、どうしよう?」
「悪いけど来てもしょうがないと思う」
運転手さんに「すみません、Uターンしてもらえますか?」
電話を聞いていた運転手さんは、
「ご家族ですか?ご病気だったんですか?」
そして「今日2人目です」
「え?一人目は近しい方ですか?」
「義理の妹の義理の父です」
「はあ」
義理の妹=奥さんの妹、その義理の父=奥さんの妹の夫の父親。
「いや母親だったかな?とにかく一度しか会ったことがなかった」
それならよかったですね、と言いそうになってやめた。

歩きたかったのでオペラで降ろしてもらう。「元気だしてくださいね」と運転手さん。
マスカラ(自称ウォータープルーフ)が流れて目の周りが真っ黒になっている。
ヴァンドーム広場を突っ切ってリヴォリ通りまで歩いた。

ヴァンドーム広場 ノエル

単色でシックなイリュミネーションは、バベットの旅立ちに似合う気がした。


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スト中が穴場、人気美術館

ポンピドゥーのフランシス・ベーコン展。人が多そうで行列しそうで、延び延びになっていた。
ふと、ストの間は穴ではないか?と。
近くに住む友人の新間美也さんと夫と3人、6日金曜日を予約すると(ポンピドゥーは予約が必要)果たしてどの時間帯も予約できた。
メトロ2駅ちょっとの距離なので歩いていった。夫は「こんなに歩くのは初めてだ」とブツブツ言いながらついてくる。

ポンピドゥーの入り口には、入場者より従業員のほうが多く、スイスイと入れる。
会場も然り。この理想的な空き方を見よ!

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

《Francis Bacon en toutes lettres/文字によるフランシス・ベーコン》と題され、アイスキュロス、ニーチェ、ジョルジュ・バタイユ、ミシェル・レリスらが影響をを与えた作品が集められている。

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

暴力的、奇怪、病的・・・という形容詞がつくベーコンの作品、寝室の壁にかけようとは絶対思わない。
観る人を不安にさせ、かき乱すような絵だ。
「人の顔や身体がこんなにデフォルメされて見えていたなら、しんどかっただろうね」と私。
「なのに、なぜこんなに評価されるのかわからない」と美也さん。

彼のトリプティック(3枚一組の作品)は世界一高い絵画のひとつと言われる(2013年、1億4240万ドル)

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

見たくない面を暴くから?
人間の存在に問いを投げかけるから?
わからなさと言えば、ジェフ・クーンスのほうがわからない。

ベーコンは色が素晴らしい。異常にデフォルメされた人物のバックがレモン色、深い赤・・・カーキやグレイの暗い色も綺麗だ。

インタビューで「なぜ常に病的な、異常なものを描くんですか?薔薇の花を描こうとは思わないんですか?」と聞かれ、
「今は美しい薔薇も、2日後には花びらが落ちて枯れる。死んでしまう。私が描くものと結局変わらない」と答え、ニッコリ笑う。

「なんでアトリエがこんな状態なんですか?」と質問されたアトリエの復元。散らかっていないと落ち着かないらしい。

フランシス・ベーコン展 ポンピドゥーセンター

1971年、ベーコンの初めての展覧会がグラン・パレで開催された。グラン・パレに迎えられたのは、それまでピカソだけだ。
ベーコンが晴れ舞台にいる間、彼の愛人であり、モデルであったジョージ・ダイアーがホテルの部屋で自殺している。
生と死は隣りあわせだ。

ベーコンの絵は残像が残る気がした。
それでも寝室にかけようとは思わないけど。

Francis Bacon en toutes lettres
ポンピドゥーセンター
2020年1月20日まで
休:火曜日

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5日のデモはフランス全土で80万~100万人が参加(CGT労働総同盟の発表は150万人)。
政府の予想(25~30万人)を遥かに上回った。

パリ東⇒レピュブリック広場⇒ヴォルテール大通りを通ってナシオン広場、の4.4㎞のデモコース。
人が多すぎて前に進めないので予定よりずいぶん遅れてゴールに到着した。

パリ、12/5の年金改革反対デモ
photo:france bleu

SNCF(国鉄)とRATPは少なくとも9日(月)までスト延長を決め、マクロンにとって形勢は不利になってきている。

このデモ&スト、外国のメディアには「フランスの不思議」のひとつ。
「68年5月革命から、激しい黄色いベスト運動まで、ストと抗議はフランスの特徴として知られている。車に放火したりウィンドウを壊したりの暴力に、これほど寛容な国は民主主義の欧米諸国にない」
「外国、特にアメリカから見ると、マクロンの提案する年金改革は決して急進的ではない」とワシントンポスト。

NYタイムズは「先進国の中で、フランスの定年年齢は最も低い国のひとつ、年金額は最も高い国のひとつ」なのに、この抗議。
それは「マクロンは、決断する前に大衆の声を聞く、と言っていたのに、結局、上から下に強制する形になったから」
つまり改革の中身でなく、やり方に問題あり。

確かに「職業によって特権的年金制度(42もある)を止め、国民に共通の年金にする」というだけで、具体的な中身を発表しないのが労組の不満・不安を膨らませた。

「伝統的なフレンチパラドックスがここにも見られる:国民の大多数がスト参加者を支持し、同時に年金改革も支持している」というのはロンドン・タイムズ。

「ストが続かなければ、不人気な大統領は戦いに勝つが、国民の信頼を取り戻すという重い任務に専念することになる」
もし負ければ?
「紛争の絶えない長い冬に突入する」

結局「フランス人はデモ・ストが好きで、変化を嫌悪する国民」に要約される。
変化が嫌い、というより一度勝ち取った権利は、いかに状況が変わろうと失いたくないのだ。

日本ほどではないけど、フランスの老人人口は増える一方。フィリップ首相によると、今のままの年金制度では、2025年に79憶~172憶€という膨大な赤字になる。年金改革は必然なのに。

ところで、外国メディアが観た「フランスの不思議」はけっこう面白い。
例えば「どうしてバゲットの袋はパンの長さより短いのか?」とか、
「風采の上がらぬ政治家(ニコラ・サルコジ、フランソワ・オランド・・・)がなぜ美しい伴侶をゲットできるのか?」とか。
全くおっしゃる通り。


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だんだん怖くなる『優しい歌』

若い夫婦、ミリアムとポール。2人目の子供が生まれてから産休を取っていたミリアムは社会復帰したくなる。
育児と家事に疲れた主婦になりたくない。
「まだ子供が小さいのに」「ボクの稼ぎでやっていけるのに」と夫は渋々だったが、愛する妻の希望だ。
Nounou(乳母)を探すことにする。
何人目かに面接にやってきた中年のルイーズ(カリン・ヴィヤール)は、経験があり、子供の対応は自分たちより慣れている。信頼できそうだ。

果たして仕事の一日目、ミリアムがうちに帰ると、子供たちは大人しく遊び、うちの中はきれいに片付いていた。
申し分のない乳母をみつけた、と満足の2人。

ルイーズは次第に領域を広げていく:子供たちのしつけをし、ピクニックに連れて行き、長女のお誕生日会を企画し、夕食の支度もする。

『ヌ-完璧なベビーシッター』映画

ミリアムは母親の役割をひとつひとつ取り上げられ、「私は産んだだけ?」と当惑する。
それでも仕事は面白く、専業主婦に戻る気はさらさらないのだ。

産みの母(レイラ・バクティ右) VS 乳母(カリン・ヴィヤール)

『ヌ-完璧なベビーシッター』映画

一方ルイーズはボロいアパートに一人暮らし。
愛する配偶者、やりがいのある仕事、可愛い子供・・・ミリアム&ポールの持っているものをひとつも持っていない。
孤独を埋めるのは彼らの子供たちだけ。日増しに大きくなっていく執着と嫉妬。
ルイーズが決して“申し分のない乳母”ではないことにミリアム&ポールも気づきだした。でもそれは遅すぎた。

『Canson douce』。優しい歌。邦題『ヌヌ 完璧なベビーシッター』。
2016年にゴンクール賞を取ったレイラ・スリマニの本の映画化だ。

『ヌヌ-完璧なベビーシッター』映画

プレスと観客の批評はあまり良くないんだけど、私にはけっこうよくできた作品だった。期待しなかったせいもある。
「スバらしい」「傑作」と言われて観るとがっかりすることがあるものね。

原作は「遅すぎた。赤ん坊は既に死んでいた。姉ももう長くはなかった。2人を殺してから、乳母は自分の喉にナイフを突き立てた。でも死ねなかった。彼女は死を与えることしか知らなかったのだ。」(拙訳)から始まり、ネタバレも何もないけど、映画は嬰児殺しを最後に持ってきている。

殺人に至るルイーズの心理変遷が原作より描かれている気がした。カリン・ヴィヤールがやっぱり上手い。
「女優生活30年で初めて、この役がどうしてもやりたいと思った。映画化の権利を買ってくれと頼んだ」というだけあって役に投資している。彼女はいつも上手いけど。
階級の差という壁、憎しみと表裏一体の過度な愛情・・・深いテーマの作品。お奨めです。

CHANSON DOUCE
リュシー・ボルルトー監督作品
主演:カリン・ヴィヤール、レイラ・バクティ、アントワーヌ・レナルツ
1時間40分
フランスで公開中


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ブラックな週末とストの関係

土曜日のオペラ・デパート街は今まで見たことのない人出で、なかなか前進できない。
ブラックフライデーのせいだ。アメリカで感謝祭(11月の第4木曜)の翌日に行われる一掃セール。
フランスでは2014-15年にアマゾン、Fnac、Dirtyなどネットショップから始まり、実店舗にも派生した。

フライデー=金曜日はフランス人も知っているけど(“フリデー”と発音する人がたまに)今年は日曜日まで3日間のセールにしているところが多い。
5日から交通網のストで動けなくなるのが見えているから、今のうちにできるだけ売りたいのだ。
その上、1年前から「黄色いベスト」運動が毎土曜日あり、商店の売り上げは落ちている。黄色いベストは5日にデモを決めていて、この土曜日は現れない、チャンス!というわけ。気持ちはわからないでもない。

わざわざオペラに行ったのは、今年はギャラリーラファイエットのクリスマスが綺麗、と聞いたから。
毎年同じデコレーションを出すので評判になっていたけど、なるほど単色で美しい。
木の枝につけるの、えらく時間がかかったのでは?

ブラックフライデー、パリ

ギャラリーは中には入らなかったけど、全品20%オフ(赤い丸マーク以外。この赤マークが意外と多いとか)。
食品(ラファイエットグルメ)は除外。娘が週末バイトしているパティスリーのスタンドでは、
「え?20%オフじゃないの?じゃ買わない」というお客もいたそう。
つまり“必要だから、食べたいから買う”じゃなくて、安いから買う。

この理由から、ブラックフライデー反対者も今年は多い:「過剰な消費を促すイベント」
「ファストファッション(低価格の服を大量生産&販売)を増長する」。
ファストファッション企業の労働条件(バングラデシュでは子供を働かせる)も批判されている。

デパートになだれ込んだエコロジストもいたし、こちらは“過剰生産&消費”のシンボルであるアマゾンの集配所。
エコロジストと労組がブロックした。
「Amazonは雇用と環境を破壊する!」

ブラックフライデー、パリ
photo:la voix du nord

靴が見たかったけど、人混みにめげて、京子食品でお豆腐とお米を買って帰る。
ちょっと前までここで働いていた息子が、今は東京にいる。1万kmはやっぱり遠い。重いから持ってきて、と言えないし。

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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