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ウサギさんのお値段

ヴォージュ広場近くのギャラリーにジェフ・クーンズの「バルーン・ドッグ」が飾ってある。

ジェフ・クーンズ バルーン

理解できない現代アーティストは多いけど、ジェフ・クーンズはその冴えたるもの。わからない、というより腹が立つ。

クーンズの評価は賛否両極端。Wikipediaによると「非常に永続性のあるモニュメント」「テクニカルな名人芸」という賛美から、
NYタイムスの美術評論家の、
「1980年代の最悪のものの特徴である、ある種の自己PRな売り込みやセンセーショナリズムの最後の痛ましいあえぎ」で「わざとらしく」「チープで」「厚顔無恥にもひねくれている」
これは私の印象を代弁してくれている。

それなのに「ハンギング・ハート」という作品は、サザビーのオークションで存命アーティストの最高額2360万ドルで競り落とされた。何が悲しくて・・・全くわからん。

目の前のバルーン・ドッグの値段が知りたくなって、ギャラリーに入った。
お客はいなくて、パソコンの前に座っていた若い男子がニッコリして立ち上がる。
「ジェフ・クーンズのこれ、いくらですか?」
「このウサギですか?」
ウサギ!?「犬」と言わなくてよかった・・・
「番号つきですよね?」
「もちろん。999番中の645です」
と、かなりの量産。潔く1000にせず999というのが、998円みたいじゃない。

このウサギはフランスの陶器老舗メーカーBernardaud とのコラボ作品、すなわち陶器でできている。

ジェフ・クーンズ、バルーン

「だから輝きが違う」とギャラリー男子。
お値段は11.800ユーロ。約150万円。
ドッグはコピーが200ユーロくらいから出回っている。

「赤もありましたよね?」とハッタリで言ったら当たって、
「赤は売り切れ、オークションで2倍以上の値段がついています」
つまり投資で買う人も多い。

うちに帰って、制作数と値段を当てさせたら、
娘:全く見当がつかん
夫:500点、5000ユーロ。
ボザールに行っている娘の友達:60点、50000ユーロ。
と誰も当たらず。制作数にはびっくりしていた。
ギャラリーのお兄さん、冷やかしでごめんね。でもあなたも退屈してたでしょ。


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・・・が一番気になるところ。
中国人感染者2人が入院しているパリのHôpital Bichatには問い合わせの電話が鳴り続けるそうだ。
中には、
「中国人とすれ違った。大丈夫だろうか?」
(この人、中国人、日本人、韓国人の見分けがつくか疑問)
「中国製のものに触ってしまった」
というのもあって、病院の担当医師がラジオで
「こういう質問に返事をしている暇はない」と訴えていた。

フランス厚生省のHPによると、ウィルスは戸外では数時間しか生きられないので、中国からの輸送時間を考えるとモノが媒体になる可能性は考えられない。第一これまでモノが媒体になった伝染病があっただろうか?

じゃ実際どうやって感染するかというと、ウィルスが武漢の市場で検出されたので「動物を介して」説が有力。
その後、中国衛生機関の発表で、人も媒体になることが判った。

これは1月25日の状態。日本は6人になり、フランスは3人で踏みとどまっている。

コロナウィルス

どの距離で感染? 
くしゃみや咳が媒体になるので“至近距離”。家族、病院や寄宿舎で同じ部屋にいる人が危ない。

潜伏期間に感染するか?
潜伏期間は5日から2週間と言われ、「その間に感染するといえるだけの材料がない」
つまりまだわからん、ということ。

疑いのある症状がある場合、かかりつけの医院にも病院の救急部にも行ってはいけない。そこでウィルスをばら撒くことになる。
15番に電話し、伝染病専門の医師がコロナウィルスの可能性大と判断すれば特別の救急車が迎えに来るそうだ。

こんな風に徹底ガードした救急隊員がやってくる。

コロナウィルス、フランス
photo:France Bleu

毎年フランスでは、インフルエンザの死者が約1万人に上る。
コロナ肺炎の死亡率はそれに比べてはるかに低いので、伝染病専門医のひとりは、
「なぜこれほど騒ぐのかわからない」と言っていた。



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研修ごはん

午前中の研修が終わると-まず先を争ってトイレに行き-ケータリングのお弁当が用意されていて、昼食タイムになる。
今年はGalerie Culinaire(料理ギャラリー)という会社のランチボックス。最近の傾向を反映して軽めで一部オーガニック。

鶏の胸肉グリル+キノア。オードブルは、写真では「セロリの辛子マヨネーズ和え」だけど、私たちのはクリームチーズのムース(のようなもの)にサイコロ切りのニンジントッピング、すべて冷製。カマンベールにデザートはブリオシュだった。
下に小さく「豚肉なし」と記してあるのは回教徒が多いから。

ギャルリー・キュリネール、ケータリング

翌日はサーモンのグリル+クスクス(セモリナの粗挽き)、オードブルはポワロ葱のヴィネグレット、カマンベールにデザートはプラリネのムース。
こちらは「豚肉なし」に加えて「直前に調理」マーク(でも冷製)。

ギャルリー・キュリネール、ケータリング
photos:galeire culinaire

そう、飛行機(エコノミー)の機内食に限りなく似ている。ワインがない代わりにパンとカマンベールはオーガニックだ。
サーモンはふつうのビストロの半分くらいで、全体的に軽め・・・なのに、周りを見ると、オードブル+メインを全部食べた人は私ぐらいだった。
日本人のほうが少食なのは確かだけど、習慣の問題もあると思う。よく食べるフランス人の友達がラーメンを食べきれなかったりするものね。

毎年、Bateaux Parisiens/バトー・パリジャンのディナークルーズがある。バトー・ムーシュよりワンランク(2ランク?)上で、窓が大きく、船主近くは天井まで窓になっている。
コースはエッフェル塔を出て、BnF(フランソワ・ミッテラン大図書館)まで行き、Uターンして戻って来る。
バトー・パリジャンのディナーは(研修のお陰で)3回か4回目。

バトー・パリジャン

オードブルには必ずフォアグラが出る。写真ではフォアグラ+カニのカクテルだけど、私たちのはこの2倍くらいのフォアグラにマンゴーチャツネ。

bateaux parisiens diner1

周りを見回すと全部食べる日本人は皆無。という私も3分の1で十分。食べ物を捨てるのが嫌いなワタシは、いつももったいない!とため息が出る。

メインはスズキのグリルにエシャロットと貝のソース。美味しいけど野菜の付け合わせが全くないのが不思議。
ま、ご馳走になって文句を言ってはいけません。

bateaux parisiens diner

この後にチーズとデザート(オペラ)が出た。

後でHPを見たら、このバトーの席は船首に行くほど高く、なんと私たちは一等席にいたことが判明した。
料理も席で異なり、後ろの方の窓側でない席が一番安い。
“一等席”メニューはアペリティフとデザートにシャンパン、その間は赤白ワイン、お値段はひとり205ユーロ。
ご馳走さまでした!


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日本の開業医とここが違う

今週は、日本の研修グループの通訳をしている。朝暗いうちに家を出るなんて久しぶりだ(あまりに久しぶりなので言いたくなる)。
小学生の子たちとすれ違う。学校は8時からだったのね。子供が大きくなって忘れていた。

ある朝、突然、日本の社長さんの声が出なくなった。
「熱は?」
「ない」
「咳は?」
「出ない」
社長さんは本社と交渉やスピーチもあるし、声が出ないと仕事にならない。
夕方、お医者さんにお連れすることになった。

Doctolibで予約できた開業医は若い女医さんで、英語をしゃべる。
「熱は?」「咳は?」と同じような質問をしてから喉を診て、
「ウィルス性のLaryngite(急性声帯炎)ですね」

Larynx(喉頭、図の赤印のとこ)の炎症だ。

voies-aeriennes-superieures.png

コロナウィルスだったらどうしようと思っていた。良かった!
女医さんは、コーチゾン入りの喉スプレーと、それでも声が出なかったときのためにコーチゾンの錠剤、鼻に海水のスプレーの処方箋を出してくれた。
「錠剤はスプレーじゃ効かなかった時だけですよ。なるべくなら飲まないで」
「スプレーの後は必ず口をすすいでください。コーチゾンは口内の微生物を殺してしまんで口内炎とかになったらいやだから」
説明も丁寧だった。

でも社長さんがびっくりしたのはこの3点。
-看護婦さんがいない。「日本はどんな小さな医院でも看護婦さんがいる」
そうだったかも。フランスは受付の女性がいる医院もあるけど、看護婦さんがいるのは滅多にない。
-日本に比べて薬を出さない。
たしかに5年くらい前から薬はあまり出さない傾向。咳が出ても、止めないほうがいいと咳止めは出さない。
-3つ目は「お金を払ったとき“メルシー”と言われた!」
なるほど。日本のお医者さんは絶対言わないだろう。

住んでいると当たり前になっていることが、言われてみると「なるほど」だ。
さすがに社長さん、病気になっても観察力は衰えていない!


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ついに!

「45日間のストで疲れたから一休みする」とはRATPのスト参加者のセリフ。
アンタに言われたくない!とはこのことだ。
誰もストをしてくれなんて頼んでない。

45日間通勤に苦労した人たちや、

Greve-a-la-RATP.jpg

売り上げが半減した店舗、レストラン、ホテルの身になってくれ。

そういえば、ストで得した人の中にパン屋がいる。もともとパン屋は(よほど不味くない限り)不況知らずと言われているけど、更に儲かった。理由は:
-通勤に時間がかかるのでみんな早く会社を出る。昼はパン屋のサンドイッチやサラダで済ませる人が増えた。
-デモのコースではデモ隊が腹ごしらえにパンやサンドイッチを買う。
-今まで地下に潜っていた人たちが地上に出てきた(どうりで人が多いと思った)ので、今まで毎日パンを買わなかった人も買う。

とにかく。20日の月曜日からRATPのストは一休み。「他の抗議方法を考える」
一休みと言いつつ、メトロ5番線、13番線、RER-B線は、未練がましく間引き運転を続けるそうだ。

この宣言がある前から、スト参加者は日に日に減り(スト参加中は給料が払われないから)久しぶりに7番線に乗れた。
ホームにメトロが入ってきて、ドアが開いたときは思わず感激!し、ハタと、この感覚、ヘンじゃない?
あんまり長く続いたので、ストと共に生きることに慣れてしまった?
お金を払っている公共交通機関が動くのは当たり前、感激することはないのだ。

お金といえばいいニュース。12月分のNavigoが全額払い戻しになるそうだ。
でも自動的ではなく、月末に立ち上がるサイトにNavigoの番号を入れて申請する。
既に偽サイトができているというからご用心。

公式払い戻しサイトのURLは決まっていて、
www.mondedommagementnavigo.com

お忘れなく!(わたしも忘れないようにしなくちゃ)

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ストで得した人たち

誰でも思いつくのは・・・自転車屋。スト開始以来、レンタル、修理まで自転車関係は笑いが止まらない。
値段がブレーキになっていた電動自転車さえ2倍の売り上げ。
パリ市のレンタル自転車Vélib’はスト開始から毎日77.000人が利用。
レンタル電動自転車&キックスクーターのJumpも2.5倍だそうだ。

そしてもうひとり、笑いが止まらないのは現パリ市長、アンヌ・イダルゴさん。

パリ市長候補 アンヌ・イダルゴ
photo:FRI

彼女は評判が悪く、歩道と自転車用通路を広くする工事も胡散臭い目で見られていた。
パリの公害を減らし、持続可能な街へ、というスローガンはいいんだけど、あっちこっち掘り返すので渋滞し、バスは路線変更を強いられ、第一、パリから車を締め出そうなんて不可能じゃない?
できあがってみると広い自転車用通路はガラガラで「ホラ、見たことか」と。

ところが12月初めからこの通路は自転車で一杯になり、「おかげで安心して自転車通勤ができる」と好評。
そればかりか「自転車で移動するようになってから身体の調子がいい」「ストが終わっても続けるつもり」という人が続出している、と街頭インタビュー。イダルゴさんの7思う壺、ストに感謝・・・
そのタイミングで、先週土曜日、パリ市長再立候補を宣言した。パリ市の選挙は3月15-22日だ。

評判はよくないとは言え、対抗馬がパッとしないので勝ち目があるかも。対抗馬の代表と言えるのは:

バンジャマン・グリヴォー

パリ市長候補 バンジャマン・グリヴォー
photo:sudouest.fr

パリ市長立候補を決め、2019年3月にフィリップ首相のスポークスマンを辞める。現在はLREM(ラ・レピュブリック・アン・マルシュ)の議員(パリ5区)。自称「中産階級を代表」だけど、エリートのテクノクラートというイメージ。横柄、冷たいという評判。

セドリック・ヴィラニ

パリ市長候補 セドリック・ヴィラニ
photo:sudouest.fr

数学者、政治家。エッソンヌの議員。同じくLREMから立候補。
写真を見てもわかるように“変わり種”がウリ。でもこのネクタイと蜘蛛のブローチでパリ市を代表してほしくない。
エコロジーを掲げ、ヒダルゴに近い路線。

12月の投票意思アンケートではアンヌ・イダルゴがトップで22.5%。バンジャマン・グリヴォー17%、セドリック・ヴィァニ14%。
右派レピュブリカンのラシダ・ダチがグリヴォーと並んでいる。
このまま行くと現役市長が再選されそうだ。パリはずっと左派市長の街だし、この中から選べと言われたら、やっぱり経験のあるイダルゴさんだろうか。


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いい加減でスト終結?

ニュースに繰り返し「アージュ・ピヴォ」という言葉が出てくる。Age pivot/軸年齢=64歳。
年金改革案反対の理由のひとつだ。64歳まで働け、ということだろうけどそれだけではなさそう。
第一、この改革案はテクニカルでわかりにくい、政府の説明が足りない、と批判されている。
今さら人には聞けないし、と探したらル・モンドの解説が簡潔だった。

現在の制度では62歳から定年退職していい。でも年金額は満額とは限らない。
加担料を納めた期間が、法が定める43年間より短い人は、最初年金が減額され、67歳で自動的に満額になる。

改革案は、分担金を払った期間ではなくポイント制にし、同時に67歳満額もなくなる。
その代わり64歳を軸年齢にし、
-64歳以下で退職した人は年金減額。
-64歳以上で退職した人にはボーナス。
つまり2年余計に働けばご褒美が出る。

ポイント制なので、遅くから働き始めた人や、仕事を転々とした人には有利なシステムと言われる。
この案に猛反対しているのは、早くから(20歳前から)働き始め、現在の年金制度では62歳で定年できるはずの人たち。
62歳で退職すれば減額になり、満額のためには2年余計に働かなければならない。

お隣のドイツで定年年齢は65~67歳。目下、この67歳を69歳に引き上げようという提案がされている。
平均寿命が延び、老齢社会になった今、引き上げは必然なのがわからんか?

土曜日にフィリップ首相はこの軸年齢=64歳を「一時取り下げる」と発表した。

FR3の20時のニュースに出た時、久しぶりでアップの顔を見た。髭の一部がメッシュのように白いのね。

フィリップ首相

ストを終結させるためには、どっちかが譲歩するしかない。
フィリップ首相は切り札を出したつもりだったけど、それでストの終わりにはならなかった。

労組は、イデオロギーの違いで色々組合があり、代表的なのがCGT、CFGT、FO、CFTC・・・
その中のCGTとFO(Force Ouvrière)が改革案まるごと撤退を要求し、スト続行を決める。

でもスト参加者はずっと下降線を辿り、SNCFで6%、RATPで4.3%。
12月前半のピーク時は、なんとSNCF運転手の70%がストをしていた。
スト中は給料が払われないから(いくらなんでも!)1か月半も続くと家計は苦しくなってくる。
「いち降りた!」と仕事に復帰する人が増え、メトロも殆どの線がラッシュ時だけ動いている。
けど、ラッシュ時だけじゃ困るのよ。今週の終わりにはフェイドアウトするのではないか、は希望的観測だろうか?


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“その時”考えること

「このまま死ぬんじゃないかとか、死ぬのが怖いとは全然思わなかった」と夫。
「?」
「頭の中は真っ白で、ただ呼吸することだけを考えた」
「動物的本能?」
「そう、サバイバル本能」
闘病のときアドレナリンが分泌されるのも、動物の闘争&防御の状態と一緒だ。

生き延びた夫は退院できた。
先生に「今日出ますか?明日にしますか?」と聞かれたそうだ。
それはあなたが決めることでしょう、と言いそうになるのを飲み込み、
「明日までいたら何が変わりますか?」
「何も変わりません。薬を病院で飲むかうちで飲むかの違いだけです」
と言うので、そんなら一日でも早く帰りたい。
「ティラノザウルスを食べさせられるのはもうごめんだ」

さようなら、お世話になりました!

pitie entree

私たちが一番心配したのは“肺の腫瘍”だった。
気管支炎だけであれだけ水が溜まるか?と集中治療室のお医者さんもその可能性をほのめかせていた。
あらゆる角度からのレントゲンでその疑いも晴れ、どっと安心した。

2週間で(入院前も3-4日寝込んでいたから)脚の筋肉は落ち、足元がフラフラしていた。
「君には随分心配と世話をかけたね」と珍しく殊勝なことを言い、そのお礼として何をくれたかというと気管支炎!
お医者に行ったら、「副鼻腔炎(sinusite)も併発してますね」
悪寒、咳、鼻、頭痛で私が寝込む番だ。

電話してきた会計士に言いつけたら、
「男はみんなそうだ」(この人、けっこうマッチョだ)
次に電話してきた義弟に言いつけたら、
「彼は自分が持っているすべてのものを君にあげたんだ」
「・・・・」
さすがモト弁護士。今はシャンブル・ドット経営だけど、続けていたらよかったのに・・・

P.S.お見舞いのコメントをありがとうございます。励まされました!


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ストを恨む

毎日病院通いをした10日間は往復にひと苦労だった。病院に行く5番線は殆ど動いていない。
91番のバスは「4本に1本」。やっと来たバスはステップまで人が溢れて乗れず、次を待つことに。
タクシーは赤ランプばかり。待つより歩いたほうが寒くない。うちまで約45分。
オステルリッツ駅がある大通りを下り、サン・ベルナール河岸からシュリー橋を渡ると、彼方に7月革命の塔が見え始める。
橋から見る夜のセーヌ河は綺麗なことは綺麗だけど、ひどい渋滞。病院のマスクを捨てないで持ってくれば良かった。

やっと空車を見つけた日は「地獄で仏!」
しばらく走ったとこで運転手さんが、
「子供がひとりで留守番してるんで電話してもいいですか?」
お客に断りなく、友達や彼女と長々電話する運転手が多いので却ってびっくりする。
どーぞどーぞ。
「オスカー、パパだよ。今ひとり?」
「ウィ」
「〇〇は来なかったの?」
「ノン」
「ゲームしてるのかい?」
「ウィ」
「ご飯食べた?」
「ノン」
「パパは家の近くを走っているから何か届けるよ」
「ウィ」
電話を切ったあと、思わず
「息子さん、おいくつ?」
「12歳」
やっぱり。
息子がその年の頃、ゲームばっかりしていて返事は「ウィ」と「ノン」だったのを思い出す。

翌日はラッシュ時を避けて早めに病院に行った。日のあるうちに病院の姿を見るのは初めてだ。

本物の道路が通っている。

IMG_20200105_163404.jpg

えっ桜?気温は10度前後、だけどいくらなんでも早すぎない?

IMG_20200105_163734.jpg

思いがけない桜の花で、私は元気が出た。


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呼吸は回復、部屋は格下げ

宇宙ステーションに似たEole(風の神アイオロス)は1年前にできたばかりで、主に蘇生医療の病棟。
医療最先端!という顔をしている。

réanimaion pitie

この近未来引き出しのような装置は点滴用。一段ずつ点滴の薬がプログラムされている。

réanimation pitie2
images: youtubu

病室には入れ代わり立ち代わり誰か入ってきて、水を飲むため夫が一瞬マスクを外しただけでベルが鳴り響く。
どこもピカピカで新しく、ブルーの“白衣”を来たお医者さんたちも溌溂としている。
面会は家族だけ。でも24時間可能だ。

無事に“蘇った”夫は、集中治療室(soins intensifs)から継続治療(soins continus)に移される。
部屋は小さくなり、マスクはふつうっぽくなって、スターウォーズ・ファンの彼はちょっとがっかりしたみたい(!)。
でも「みんな親切、食事も病院にしては“食べられる”」
大晦日の晩は「フォアグラ、サーモンの包み焼、イル・フロッタントが出た」。
2日間、殆ど何も食べなかったけど、美味しいものがあると食べるのね。

利尿剤のせいで口が乾くので、うちから持っていくのはナシや蜜柑、ブドウ。
手足がむくんだとき利尿剤を飲むけど、肺の水もオシッコで出すとは知らなかった。

金曜日、心臓循環器病棟に引っ越す、と電話があった。
行ってみると古びた建物で、部屋もボロい。つまり病状が回復するにつれて、部屋は格下げになっていく。
テレビは有料。蘇生病棟ではテレビが無料だったけど観る元気がなかった。
ナイフやフォークはプラスティックで、食事は不味く、
「昨日はティラノザウルスが出た」
「?!」
パサパサの鶏肉で手をつけなかった。プレートを下げに来た看護婦さんに、
「これを食べられた人はいるのか?と聞いたら、3人ほど食べた、という返事だった」
ユーモアが戻ってきて何よりです。

ふつう病棟に来ると、医療器具も古く、予算の足りなさは明らかだ。
フィリップ首相は2020年から3年間、15憶ユーロの追加予算と低サラリーの看護婦、看護助手にボーナスを約束したけど、病院側は満足しなかった。15憶ユーロ÷3=5憶ユーロをいくつの公共病院で分けるんだろうか?焼け石に水らしい。

「Eoleは良かった・・・」と言うので、ちょっと、それはないでしょ、病状が良くなったのを喜ばなくちゃ!


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ダースベイダーのマスク

病院から帰って、昼から何も食べていなかった私は急にお腹が空いて、冷凍食品を解凍して食べた。
入眠剤を飲んで寝たのは午前3時すぎ。8時には病院からの電話でたたき起こされる。
「ご主人が、携帯電話が見つからないって」と看護婦さん。
「ズボンのポケットの中じゃないですか?」
「・・・あ、ありました!ありがとう、これで救われました!」
これを聞いて娘は大笑い。
「携帯のありかがわからなくて、あなたに電話してくるわけ!」

夕方、娘と2人でPitié Salpêtrière/ピティエ・サルペトゥリエール病院に行き、その広大さにびっくりした。
昨日は救急車で着き、タクシーで帰ったのでわからなかったけど、敷地内に医学部があり、あらゆる科(歯科まで)の建物、教会、託児所、公園があり、道路が通っている病院都市。
確か、97年にダイアナ妃が運ばれたのがこの病院。

ピティエ・サルペトゥリエール病院

夫が移されたEoleという建物まで歩いて10分はかかる。
病室にたどり着いてまたびっくり。宇宙ステーションのように最新機器が並び、夫はダースベイダーみたいなマスク(ただし透明)をつけて寝ていた。
なんでも私が帰ってしばらくしてから超呼吸不全になり、急遽この集中治療室に運ばれた。
肺に水が溜まりすぎたせい、と聞いて鳥肌が立った。
私は高校生のとき肋膜で、肺に少し水が溜まった。呼吸が苦しくなったときの恐怖は今でもトラウマになっている。
夫はどんなにパニックになっただろう・・・そんなことは露知らず、私はご飯を食べていたのだ。
それに、もし救急車を呼ばなかったら、うちでその状態になっていた、ということだ。ゾッとする。

間もなく部屋に入ってきた女医さんが、
「(ダースベイダーの)マスクの圧力と、利尿剤の点滴で“水が掃け”、もう心配ありませんよ。明日は集中治療室から出れます」
朝は携帯を探す余裕があったから、落ち着いてきたんだろう。

この超呼吸不全をdétresse respiratoireと呼ぶ。détresseは、苦境、遭難という意味。

入院の前日、夫を診てくれた先生に、救急車を1時間以上待ったことを話し、
「もしウチでなってたら、どうなったかと思うと・・・」と言うと、
「大丈夫。détresse respiratoireと言えば飛んできます」
なるほど。“開けゴマ”の言葉。覚えておかなくちゃ。


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喧騒エマージェンシー

URGENCES/救急部に入ると、まず看護婦さんが症状や病歴を質問、つまり救急隊がしたのと同じことなんだけど、それでボックスと呼ばれる病室が割り当てられた。
ベッドが足りないため、酸素マスクや点滴の必要ない急患は廊下の担架に寝かされている。
ボックス13という番号に引っかかるけど、そんなこと言っている場合じゃない。

次に若いインターンが入ってきて、看護婦さんより詳しい病歴を-ステントを入れたのはいつか?どこの病院か?不整脈はいつから起こったか?その他の大きな病気は?-を聞き、データにしていく。
夫は酸素マスクでよくしゃべれないので、私が答えたんだけど、羅列するとこの人はけっこう病気をしているんだ。
五月革命世代の彼は、タバコ吸い放題(一日2箱吸っていた)、お酒飲み放題(すごく強い)、エイズの心配もなかった。今の若い子に比べてやりたい放題で育ち、そのツケが回ってきている。
インターン医師が質問している間に看護婦さんは採血をしたり、点滴の準備に忙しい。

50代半ばの救急部のシェフ医師が現れたのは、到着してから1時間半以上経った11時過ぎ。
インターン医師のデータに目を通し「ふむふむ」。
心不全+気管支炎で、心臓ポンプがよく機能せず、肺に水が溜まったので呼吸困難になった、ということらしい。

シェフ医師が出て行ってから、かなり待った。
廊下では「助けてくれぇ!お願いだ!」と叫び続ける患者がいて、「うるせぇ!黙れ!」と怒鳴り返す患者がいて、看護婦さんたちはそんなこと日常茶飯事と走り回っている。

pitie salpetriere urgence
photo:challenges.fr

人出不足、ベッド不足、予算不足。公立病院救急部の訴えはその通りだ。
夫はウトウトし始めた。
「この点滴が終わったら、部屋に行けますよ」と看護婦さんが入ってきたのは午前1時過ぎ。もう帰って大丈夫、と言われ帰ることにした。
心臓、呼吸器は命に関わるからパニックになった。水が溜まり続けたらどうなっていたか、と思うと、病院に連れてきてほんとによかった。これだけお医者さん、看護婦さんに囲まれていれば安心だ。

・・・・そんなわけで元日も病院で過ごし、新年のご挨拶が遅くなってしまいました。
健康が一番大事、と思い知った年明け。みなさまがご健康で、幸せな出来事や素敵な出会いの多い年になりますようにお祈りしています。
今年もよろしくお願いいたします。


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ジェットコースター救急車

心不全の持病がある夫は息切れしやすい。その上気管支炎になったのか、座っても横になっても呼吸困難になっていた。
年末でかかりつけのお医者さんはみんな休暇。しかも土曜日。
Doctolibでやっと開いている開業医を見つけ、連れていくと“すぐに肺のレントゲンを撮れ”。
「遠くてもすぐに予約が取れるとこに行きなさい」
という言葉で、グズグズしていられない状態であるのがわかる。

でも「すぐに」と言ったって、12月30日に病院以外でレントゲンを撮れるとこ・・・またDoctolibで探して月曜の朝の11時に予約できるところを見つける。ひと安心。
Doctolibはお医者さんの予約アプリ。専門医、地区を選ぶと予約可能な時間帯が出て便利だ。

ところが呼吸困難はひどくなるばかり。枕を4つ重ねても息苦しい。
「レントゲンを撮ってから・・・」という夫を押し切って、日曜の夜、SAMU(15番)に電話した。
症状や病歴を詳しく聞かれる。大したことがないのに救急に電話する人が多いのと、人手不足で用心深くなっている。
やっと「救急車を送ります。40分くらいかかります」
私は急いで健康保険証、ミュチュエル(相互保険)カードや洗面ポーチをリュックに入れた。

救急車がやってきたのは1時間半後。若い隊員2人、ひとりは医学知識があり、もうひとりが運転手だ。
症状や病歴を聞き、メモし、どこかに電話し、血圧や脈を測りまた電話し・・・動作がのんびりしていて、「URGENCE=急患」って知ってる?と言いたくなる。一方で、そんなに急を要する状態じゃないのか、と安心したり。
40分ほど経って行先が決まる。
「Saint-Antoine病院じゃないんですか?」
そこが一番近くて、メトロがストでも歩いて行ける。
「ぼくもそう思ったけど、心臓疾患の設備が最先端のSalpêtrière Pitiéに運べという指示です」
なるほど。
酸素マスクで呼吸が少しラクになった夫は救急車に乗せられた。
「マダムは前にお乗りなさい」と言われて、助手席に乗る。

ambulanciers.jpg

サイレンを鳴らして走り始めた救急車は、まるでジェットコースター。
渋滞している道を飛ばし「前の車にぶつかる!」間際で、車たちが申し合わせたように左右に割れて道を作る。
赤信号は当然無視。急患を乗せた救急車が事故ったら話にならないから、運転手の腕は信頼できるんだろうけど、すごいスリル。あっと言う間に病院に着いた。
うちに着いてからのゆっくりさと対照的な速さであった。

夫は別の担架に乗せられ、看護婦さんが迎えに来るのを待つ。
救急車のお兄さんたちに「これからまだお仕事?」と聞くと「これが今日最初で、朝8時まで」とニッコリ。
レントゲンや血液検査がすぐできる病院の手に委ね、緊張が少し緩んだ。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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