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“その時”考えること

「このまま死ぬんじゃないかとか、死ぬのが怖いとは全然思わなかった」と夫。
「?」
「頭の中は真っ白で、ただ呼吸することだけを考えた」
「動物的本能?」
「そう、サバイバル本能」
闘病のときアドレナリンが分泌されるのも、動物の闘争&防御の状態と一緒だ。

生き延びた夫は退院できた。
先生に「今日出ますか?明日にしますか?」と聞かれたそうだ。
それはあなたが決めることでしょう、と言いそうになるのを飲み込み、
「明日までいたら何が変わりますか?」
「何も変わりません。薬を病院で飲むかうちで飲むかの違いだけです」
と言うので、そんなら一日でも早く帰りたい。
「ティラノザウルスを食べさせられるのはもうごめんだ」

さようなら、お世話になりました!

pitie entree

私たちが一番心配したのは“肺の腫瘍”だった。
気管支炎だけであれだけ水が溜まるか?と集中治療室のお医者さんもその可能性をほのめかせていた。
あらゆる角度からのレントゲンでその疑いも晴れ、どっと安心した。

2週間で(入院前も3-4日寝込んでいたから)脚の筋肉は落ち、足元がフラフラしていた。
「君には随分心配と世話をかけたね」と珍しく殊勝なことを言い、そのお礼として何をくれたかというと気管支炎!
お医者に行ったら、「副鼻腔炎(sinusite)も併発してますね」
悪寒、咳、鼻、頭痛で私が寝込む番だ。

電話してきた会計士に言いつけたら、
「男はみんなそうだ」(この人、けっこうマッチョだ)
次に電話してきた義弟に言いつけたら、
「彼は自分が持っているすべてのものを君にあげたんだ」
「・・・・」
さすがモト弁護士。今はシャンブル・ドット経営だけど、続けていたらよかったのに・・・

P.S.お見舞いのコメントをありがとうございます。励まされました!


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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