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99歳の逞しいおばあさん

小さいスーツケースを持って出かけるわたしを見て、猫たちは、
「ウソだろ、おまえもか!」「ぼくたち、どーなるんだ?」という顔になった。
隔離中、娘は田舎にいたけど、わたしはずっとパリにいたので安心していたのだ。
アタシだって田舎に行くのよ。2日間だけだけど。
その間、娘の彼が世話してくれることになっている。

東駅で夫と待ち合わせて電車に乗る(最初、”西駅”って書いてました!書きながら、何か耳慣れない言葉、と感じていましたが、あるわけないですよね。指摘してくださった方、ありがとうございます。)

スキャンダルで失墜したパリ市長候補、バンジャマン・グリヴォーは、この駅をどこかに移し、テーマパークにするというトンデモナイ計画を立てていた。
gare de lest3

電車は空いていて、通路の向こうの席に大きなスーツケースを持ったおばあさんが座っている。
彼女の電話がけたたましく鳴った。
「・・・うちに帰るとこよ。もう電車に乗ったわ。東駅までくるのに2度乗り換えで、シャトレの廊下は恐ろしく長くてもうクタクタ」
確かに。何線も交差するシャトレ駅の通路は果てしない。
「・・・うるさいこと言わないで。疲れたって言ってるでしょ。わたしは99歳なのよ」
!!!
わたしが99歳になったとき(生きていれば)、大きなスーツケースを持ってひとりで旅行できるだろうか?
おばあさんは話し方もはっきりしていて理路整然。えらい。
でもあのスーツケースを持って降りれるかしら?(持って乗ったからには大丈夫か・・・)
会話から察するに彼女はわたしたちより先の駅で降りる。誰か手伝ってくれればいいけど。

しばらくしておばあさんは、足元に置いていたスーツケースを、けっこう軽々持ち上げてテーブルの上に置いた。
目の隅で見ていたら、中をゴソゴソかき回して袋を取り出し、中身を食べ始めた。おやつの時間!
逞しいこのおばあさんにわたしはすっかり感心してしまった。

降りる駅が近づいて席を立つと、おばあさんはわたしの盗み聞きや要らぬ心配を知っていたかのようにニッコリ笑いかけ、
「さようなら」
「さようなら。気をつけて」

西日が照りつける田舎の駅には先に着いた娘が迎えに来ていた。

Gare_de_Bar-sur-Aube_202006261843306e0.jpg


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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