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田舎の週末:猫とハエ

わたしが田舎にいた2日間、ソーシスは顔を見せなかった。数日早く来ていた夫は、
「最初の晩遅くにやってきた。キャッツフードをやったけどあんまりお腹空いてないみたいだった」
金曜と土曜の晩、遅くまで待ったけど現れなかった。
「1か月近く来なかったんでむくれてるんだろう」
「・・・と言うより可愛がってくれる家を見つけたんじゃない?」

隔離中から娘とこの家に懐き、朝から晩までうちで過ごしていたソーシス。娘がいたら現れたかもしれない。

IMG_20200625_093043.jpg

ソーシスが来ないと、他の野良猫も姿を見せない。わたしたちは頻繁には来ないし、のら猫たちがよそに“棲み処”を見つけたのは安心すべきことだ。でも寂しい・・・

田舎で鬱陶しいのはハエの数だ。台所にはいつも30匹(数えたわけではないけど)くらいブンブン飛び回っている。
食べ物だけでなく腕や脚に止まり、脚の上でセックスする大胆なカップルもいる。
「見た目はいやだけどこれが一番効く」と従妹がいうハエ取りをうちも購入した。

天井から吊るすと次々にハエが糊付けになる(既に数匹貼りついているの、見えますか?)
犠牲者の数が増えると「あそこは危ない」と思うのか、寄り付かなくなるので新しいのに取り換える。

IMG_20200725_190704.jpg

一番ハエが集まるのが調理台の近くなので、ランプシェードからハエ取りをぶら下げ、料理していたら「ギャッ」自分が糊付けになってしまった。
一緒に来ていた友人に剥がすのを手伝ってもらったけど、髪や耳がベタベタ、どころかハエの死体もくっついてきた。
ミイラ取りがミイラに・・・最悪。
原始的なハエ取りの接着力はすごくて、ハエたちに同情を感じてしまったほど。


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田舎の隣人カップルは歳が35離れている。エマニュエル&ブリジット・マクロンも敵わない。
でもお隣さんは逆、旦那のジャンが35歳上だ。
コートジボワールのアビジャンに赴任していたジャンが、ハタチそこそこの美しい女性、クリスティーヌを連れて帰ってきたときは、村の住人がたまげ、「アフリカから若い女性を誘拐してきた」と噂した。
そうだろうね。シャンパーニュ地方の人たちはアラブ人差別があり、その他の余所者もあまり好きじゃない。
わたしも最初はずいぶんジロジロ見られたもんだ。

アフリカでひと財産成したジャンは定年より早く退職。周囲の荒れ果てた家を次々に買い取り、

こういうボロ屋↓

IMG_20200726_115619.jpg

クリスティーヌと共に改装し、シャンブルドットや貸しアパートに生まれ変わらせる。
プロの職人の手は殆ど借りず、大工・左官業を2人でこなし、Le bon coin(何でも売り買いのポータルサイト)で家具を調達。
Elle Maisonに出してもいいくらい素敵な住居に変身させた。

かっての大きな納屋に、今は4世帯住んでいる。左の階段も自分たちで造った。

IMG_20200726_115333.jpg

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バカンス先のモロッコで買い、トラックで運んだベッドとリネン。

herblot3.jpg

人口200人の村に需要があるの?と思われるだろうが、近くの町で働く人や、ブドウ収穫の季節労働者が借りて、アパートは繁盛している。シャンブルドットはシャンパンのカーヴ巡りをする旅行者が泊まる。

ところが75歳を過ぎた頃から、ジャンの体力がガタっと落ち(当然)歩くのもシンドクなってきた。
今まで何でも2人でやってきたのに、クリスティーヌだけがアパートの管理や買い物に行くようになると「若い男に取られるんじゃないか」という不安が生まれた。
ジャンはほぼ一日中、テレビの前のソファに寝ているので、妄想が膨らむ時間はたっぷりある。
クリスティーヌとわたしが家の前で立ち話をしているときも、カーテンの陰から見張るジャンの姿。
「夜、TVシリーズを観るのが楽しみなのに、一緒に寝ないとダメなの」
夜中に2回、トイレで目覚めると助け起こさなくてはならない。
「それはまだいいの。ずっと監視されてるのが耐えられない。息が詰まりそう」
アパートを何軒も持ち裕福だけど自由がない“黄金の檻”。
カップルは歳が離れているほど、晩年が難しいと言うけど本当だわね。

娘と2人でクリスティーヌ救出案を練っている。
「愛人を作って、アパートを掃除に行くときに落ち合う」
「うーん、小さい村だからすぐ噂になる」
「じゃトロワ(50㎞離れた大きな街)で会う」
「ジャンが出してくれない。自分も一緒に行くって言うわよ」
・・・と救出案は目下、壁にぶち当たっている。


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マスクを巡る光景

「すごい光景を見ちゃった」と娘が怒りながら帰ってきた。
彼女が友達とメトロのホームに着くと、RATPの安全監視員3人が目を光らせていた。
そこへマスクをしていないフランス女性。監視員のひとりが、
「マスクしてください」
「あ、すみません」
女性がバッグからマスクを取り出したとき、監視員たちが駆け出した。その先にはマスクをしていない黒人男性。
彼は突進してくる監視員の姿を見てホームから走り去ろうとしたけど、取り押さえられ、
「3人で組み敷いたの。顔を地面に押さえつけて!」
何か盗んだわけでも、人に怪我させたわけでもなく、たかがマスク。
「みんなショックで、見ていたおばあさんと子供は泣いていた」と娘。
「それでその男性、どうなったの?」
「遅刻するんで最後まで見られなかった」
135€の罰金は間違いないけど、まるで凶悪犯のように3人で組み伏せるなんて、人権問題だ。
「名誉棄損で訴えるべき!」とわたし。

娘の話はまだ先があった。その後、乗り換えた線では車両の中に安全監視員がいて、
「マスクを顎に下げているアラブ系の男を見つけて、引っ立てて次の駅で降ろしたの」
彼も135€。

「マスクしてください」「すみません」とは何と違う扱い。
まさに警官の人種差別暴力が問題になっているのに、信じられない。甚だしき権力乱用。

もうひとつ信じられない話は、セーヌ河岸。

セーヌ河岸
photo:Liberation

密着して戯れている若者たちを見て、ラジオのジャーナリストが、
「君たち、マスクもしないでアブナイじゃないか」と言うと、
「秋にまた隔離になるかもしれないから、今のうちに愉しまなくちゃ」というお答え。
それ、論理が逆でしょうが!再び隔離にならないために「マスク」「ソーシャル・ディスタンス」と騒いでいるのに。
彼らは罹っても症状が出なくて、他人にばら撒くのだ。
まったくどいつもこいつも・・・


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服よりアート、アニエスb

うちの階上に引っ越してきた女性が「自転車置き場のこと、義理の息子さんに聞いたんですけど…」
「ギリノムスコ?!」
・・・ああ、将来、義理の息子になるかもしれない男子のことですね。
彼が、自転車を物置に入れているのを見て、自分の自転車も入れたいと思ったらしいけど、あれは公共の物置じゃなくて、うちの家財道具が入っているのよ。残念でした。

“義理の息子になるかもしれない男子”はティボーと言って、パリのボザールの最終学年。
「画家で食っていけるわけがない」と夫は娘カップルに懐疑的、と言うより、誰を持ってきても「娘には相応しくない」という父親バカの典型かもしれない。

でもティボーが2018年、アニエスb賞を取ってから評価が少し変わってきた。
元から芸術メセナで有名なアニエスbは、ボザール学生を奨学金や賞で援助するアソシエーションAmis des Beaux Artsの会長をしている。だけでなく、学生や若い画家の作品を集めて、本社内で展示したり、Tシャツの図柄にしたり。
本業のプレタは息子に任せ、アートに力を入れていて、2月にはLa fab (Fondation Agnèsb)がオープンした。

13区の、ミッテラン大図書館やMK2(シネマ・コンプレックス)がある一画 。

la fab アニエスb

アニエスbがコレクションした現代アートの常設展。
名前を知っているのはジョン=ミシェル・バスキア、写真家のナン・ゴールディンくらいだ。
フランスで最初にバスキアを買ったのがアニエスbなんですって。

la fab アニエスb

ピンクの蜘蛛の巣が張った自動車。愉快な異様さで目立っていた。

la fab アニエスb

テンポラリー展は『Moins de 30ans!!/30歳以下!!』。その殆どがパリやストラスブールのボザール学生の作品。

la fab アニエスb

ここに“義理の息子になるかもしれない”ティボーの作品が3点。
『おばあちゃんのあごひげを抜いてあげている弟』 暖かい関係が伝わってくる。彼は家族や友達をモデルにすることが多い。

la fab アニエスb

ティボーと同じアトリエにいる女子学生の作品。光と影がとてもいい感じ。

la fab アニエスb

1時間もあれば全部見れる大きさは週末の午後にちょうどいい。
買いやすい値段(2000~1万ユーロくらい)の若いアーティストの絵画を買う人はけっこういて、ティボーの絵も1枚売れていた。
スイスから来た女性で、嬉しそうに抱えて帰って行ったとか。
ふつうギャラリーは50%取るけど、『30歳以下展』は奨励のため40%。「30にしてもよかったのに」とわたし。

夫はこの展覧会を見てから「画家で食っていけるわけがない」はやめて、「アーティストのカップルは上手くいかん」になった。

la fab Agnèsb
Place Jean Michel Basquia
火-土、11h-19h
入場料4€
Moins de 30ans!!は8月1日まで

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隔離中にハマったこと

隔離中に一番印象に残ったこと、必ずしたことは何か?とフランスの編集者に聞かれた。
彼女はそれをまとめていずれ本にしたいそうだ。
一番印象に残ったことねぇ・・・ある日、近くの裏通りを歩いていたら-その通りには人っ子ひとり歩いていなかった-窓ガラスを磨いている女性がいた。そのオバサンはわたしを見ると「ボンジュール!」。それはまるで、みんなゾンビになって無人になった町で、初めて生きた人間に会ったので思わず挨拶してしまった、という感じだった。
ほんとにそれぐらいパリの道は人影がなかった。

夜9時頃、カーテンを閉めようとして空がまだ明るかったときもしばしボーゼンとなった。
時間が止まったように感じていたのに、季節はちゃんと変わり、こんなに日が長くなっていたのだ。

隔離中にハマったことと言えば、室内自転車とオンラインレッスンだ。
隔離解除になってからは、外を歩きたくて自転車はやめてしまったけど、フランス語のオンラインレッスンFrantastique/フランタスティックは続けた。

フランス語オンラインレッスン Frantastique

初中級と上級用のOrthographe(綴り)があって、さすがに後者。
舞台は近未来。人手不足で、宇宙人が冷凍してあった偉人を解凍することにした。
エディット・ピアフ、マイケル・ジャクソン、マリー・アントワネット(ただし首なし)・・・の中から彼らはヴィクトール・ユーゴーをチョイス。解凍されたユーゴ―が近未来社会でいかに生きるか・・・のお話。シナリオはまあまあだけど、問題は面白い:
Tout le monde(みんな)が主語のとき動詞は単数形か複数形か?
Plupart(大多数)の時はどうか?
Mille feuilles(ミルフィーユ)の複数形は?
800を数字で書くと?856は?
これはチェックを切る時、ハタと考えることだ。800=huit centsでSがつくけど、856=huit cent cinquante-six と後に端数がつくとSはつかない。
ただしmille(1000)は端数がつかなくてもSはつかない。5000=cinq mille
何千ユーロのチェックを切ることはまずないから迷ったことはないけど。
・・・こういう問題がシナリオの中に散りばめられている。

オーディオはアクセントの違いがわかるようにフランス人、カナダ人、スイス人を混ぜているし、なかなかよくできている。
週5日、毎日送られてきて、回答を送るとすぐに採点してくれる。カンニングするのは簡単だけど、自分にズルしてもしようがない。毎日問題が届くのを楽しみにするようになった。
フランス語の勉強が続かない、という方に、これはお奨めなので「一か月無料体験」をゲットしたので、お試しください。


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「良き妻」を作る学校

結婚が女の幸せ、それ以外に選択肢がない、という時代がフランスにもあり、「良き妻」になるための家政学校があった。
若い女子たちが、そこで料理、裁縫、そうじ、洗濯を“学び”、結婚の準備をしていた。

ここは校長夫妻、校長の妹、男勝りのシスターが切り盛りする小さな寄宿家政学校。
女子たちが寝食を共にし“良き妻”になるべく修行している。

映画『la Bonne Epouse/良き妻』

料理の先生ジルベルト(ヨロンダ・モロー)

映画『la Bonne Epouse/良き妻』

”良き妻”のお手本、校長婦人ポーレット(ジュリエット・ビノシュ、)と男勝りのシスター・マリー・テレーズ(ノエミ・ルヴォヴスキ)

映画『la Bonne Epouse/良き妻』

ある日突然、夫(校長)が急死。ポーレットは借金を抱えた未亡人になる。
相談に行った銀行で、彼女は昔の恋人(エドゥアール・ベール)と再会。目覚めた情熱と、自分は自由、という事実が、彼女を生き生きと若返らせる。

bone epouse3
photos:allociné

そしてポーレットは自問自答する:自分たちのやってきたことは女性の幸せに繋がるのか?
ちょうどパリには5月革命の風が吹き始めていた。

この作品、いい役者を集めているのにシナリオがイマイチで残念。次に起こることが全部読めてしまうし、みんな演じすぎで、カリカチュアになっている(ノエミ・ルヴォヴスキのシスターは可笑しい!)。最後にいきなりミュージカルになるのはシラケた。

でも2つの理由で印象に残った。
-今でこそフランス女性の70%が働き、上手く行かなければ配偶者と別れられる経済的自立が大切になっている。男女同権を目指して戦い続けているフランスにも、こういう時代があり、こんな学校まであったのね、と興味深い。しかもたかが60年前のことだ。

-映画を観る直前、朝日新聞で「小学女子へのモテテク指南本・・・」という記事を読んでぶっ飛んだ(有料会員記事なのでリンクが貼れません)。
「男性に選ばれるのを教える内容」で、男子にウケる受け答えや、携帯の可愛い持ち方、「無地の絆創膏や裁縫道具の携帯を促すネット記事もある」
なんでこうなるの?
異性への関心は幼稚園、いやもっと前から始まる。「男子用モテテク指南本」があるならまだしも、どうして女子だけが気に入られる努力をしなくちゃならないんだろう。裁縫道具なんて時代に逆行してるじゃない。
お目当てがある子は自分のやり方で、自由にアピールすればいい。“テクニック”なんかで型にはめないで欲しい。
記事は「男性の意識が変わらないと」と結んでいたけど・・・ブツブツ。

さて『la Bonne Epouse』は公開日前日に隔離が始まってしまった不運な映画のひとつ。ポスターの女優たちが 3か月以上、人通りのないメトロの廊下で微笑んでいた。

La Bonne Epouse
マルタン・プロヴォスト監督作品
主演:ジュリエット・ビノシュ、ヨロンダ・モロー、ノエミ・ルヴォヴスキ
1時間40分
フランスで公開中


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今日はネガティヴでも・・・

年末に夫がひどい呼吸困難になり、救急車で運ばれた病因。あれはコロナではなかったか?という疑問は、家族内でだんだん確信になっていた。
当時フランスでは、まだコロナが無名だったので、ナンジャラ肺炎という病名がついていたけど。
内科医の義妹は、
「まだCovid-19は入国していなかったから違う」と断言する。彼女は断言するのが好きだ。
「ウィルスにパスポートは要らない」マクロンのセリフをマネしてみたけど、効き目なし。
でもその後、11月末に最初の感染者がいたことがわかった。それに、
「嗅覚がなくなった?」
「そう、2か月くらい匂いを感じなかったんだって」
ある日、何かが焦げている匂いにびっくりしてキッチンに駆け下りたら、深刻に焦げている鍋の横で、夫が涼しい顔をしてテレビを見ていた。
「この匂い、気が付かなかったの?!」
「実はずっと嗅覚がないみたいなんだ」
その話をしたら、義妹の確信も揺らいできた。

夫が具合が悪くなってから、ずっとそばにいたので、退院したあとわたしが罹った“気管支炎”ももしかしてコロナだったのかも。
もしそうだったなら、しばらく感染する危険はないということだから・・・
抗体検査をしてモヤモヤを晴らしたいと思いながら時間が過ぎ、先週、やっと2人分の処方箋をゲット。血液検査ができた。
その結果が今日わかった:ネガティヴ、つまり罹っていなかった。
罹っていなくてよかった、ともいえるけど、抗体がないわけだから感染の危険はあるということで、喜ぶべきか心配すべきかハタと迷う。
夫はわたしより後で検査したので、結果は水曜日だ。

2日前から薬局でも抗体検査ができるようになった。指先に針を刺して採決する。
一時は処方箋をもらうのも大変だったのにね。

コロナ抗体検査
image:Adentis

そうそう、結果を取りに、ラボラトリーの前まで来た時、派手なシャツを着た男がわたしを追い越して中に入った。こういう姑息な抜け駆けをするヤツが時々いる。けしからん!
ラボには待っている人がいなかったので、そいつはすぐ受付に座り「抗体検査をしてほしい」
聞くともなく聞いていると、そいつはコロナの症状がほぼ全部あるらしい。
「いつからですか?」
「4日前から」
「では水曜日の朝9時半に来てください。朝は人がたくさんいて危ないから、中に入らず外で待つこと。いいですか?呼びにいきますから入らないでください」
ちょっと待ってよ、その男は今、しっかり中に入っていて、わたしの前にいるのだ。さっきはわたしに限りなく接近して抜け駆けした。アブナイアブナイ・・・
今日はネガティヴでも明日のことはわからないってこと。モヤモヤは続く。


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と、内閣改造のキャスティングに抗議するデモが各地に広がっている。

7月10日、パリ市庁舎前。「恥の内務相!」「どうして警察の親分になれるのか?」「女性の怒り爆発」・・・

新内閣に抗議デモ
photo:AFP

抗議の対象は強姦セクハラで訴えられている内務相ジェラルド・ダルマナンだけでない。
法相になったエリック・デュポン=モレティはメディアでも有名な辣腕弁護士。
悪いことをして訴えられ、有罪判決が出そうな政治家の救世主、といったほうが当たっているかもしれない。
怖そうでしょ?

フランス、新法相
photo:capital

中でも今回、問題視されているのはジョルジュ・トロン裁判。
サルコジ大統領時代の閣外相、イル・ド・フランスのドラヴェイユ市長のジョルジュ・トロンは2011年、「権力を有する人物による集団強姦・性的暴行」で複数の女性から訴えられた。早い話、ノンと言えない部下の女性にしていた、とうこと。

最初、禁錮6年、被選挙欠落5年の判決が出ていたところ、2017年、エリック・デュポン=モレティが弁護士になり、無罪判決(!?)になった。その時の判決文は、
「非常にセクシーな雰囲気の中で行われた集団性的戯れに参加した」が、ジョルジュ・トロンが「強制したという証拠はない」というシュールなものだった。
かくしてジョルジュ・トロンは今も悠々と市長と足フェチを続けているのだ。

最近では#metoo運動に反対-推定無実を尊重-して物議をかもした。
内務相ジェラルド・ダルマナンのように自分が訴えられているのではないけど、アンチ・フェミニストな弁護で知られ、行く先々で非難の声を浴びている。
ただでさえ警察官の人種差別、女性差別が問題になっているところへ、“警察の警察”である法相と内務相のプロフィルは、確かに問題でしょうね。大統領と首相への信頼度に跳ね返ってくる。

一方、拍手で迎えられたのは文化相になったロズリーヌ・バシュロ。シラク大統領時代のエコロジー相、サルコジ時代の健康&スポーツ相。国会議員・・・の重鎮。73歳には見えないでしょ!

フランス、新文化相
photo:télérama

単刀直入な発言が好かれ、TVやラジオの政治バラエティ番組の司会もしていた。
コロナで大打撃を受けたカルチャー界(映画、演劇、コンサート・・・)を救済する任務を負い、男女同権評議会のメンバーでもある貫禄マダムには、女性の期待も大きい。


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新内閣のセクハラ大臣?

フィリップ首相(左)は、大統領より支持率が高くなった絶好のタイミングで辞任。地元ル・アーヴル市長に再選され、ジャン・カステックスにバトンタッチした。

フランス新内閣
photo:Actu.fr

新首相ジャン・カステックスは55歳、プラード市長、地方議員、サルコジ時代は大統領官房長補佐・・・という地味で堅実な経歴で、一般には知られていない。
“一般には知られていない”点は、エドゥアール・フィリップが現れたときと似ているけど、元首相が人口17万3000人のル・アーヴル市長なら、カステックスは人口6000人のプラード市長。さらに地味だ。

といっても、ジャン・カステックスが初めてニュースに登場したのは2か月前。デコンフィヌマン(隔離解除)を仕切るように名指しされたのが彼で、ムッシュー・デコンフィヌマンと呼ばれた。
マクロンは既にカステックス氏の起用を考えていたに違いない。自分より人気のあるエドゥアール・フィリップに我慢できなかった?

さて新内閣のキャスティングが発表になり、物議をかもしているのは内務相になったジェラルド・ダルマナン。既にフィリップ内閣の国家予算相だったのが昇進した。
38歳の若さ、野心とエネルギーが詰まった小柄な体躯は・・・そう、ニコラ・サルコジの若い時を思わせる。

右は評判の悪かった前内務相、クリストフ・カスタネール

フランス新内閣
photo:voix du nord.fr

このダルマさん、じゃないダルマナンは、2018年に、強姦、セクシャルハラスメントで訴えられてた。本人は全面否定。
証拠不十分で一度、予審免訴になったものの、最近、破棄院(最高裁判所)が掘り返して、再審を始めた、というもの。
今のところ、推定無罪、疑わしきは罰せず、だけど、破棄院の再審で白と出るか、黒と出るか?
グレイのニュアンスは濃く、フェミニズム団体が抗議している。

前途多難な”600日の新内閣”。そう、大統領選まであと600日だ。


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4か月ぶり映画館

封切り前に映画館が閉鎖になり、ポスターだけ残った作品がいくつかあった。
公開されないのに、ポスターは見飽きられてしまった可哀そうな作品。

そのひとつ『Les Parfums』 。

映画 『les Parfums』

エマニュエル・ドゥヴォス主演だし、4か月ぶりに映画館に行かない?と夫を誘うと、「行く行く!」。

リヨン駅近くのUGCの、一番大きい330席の映写室に、観客はたった10人。従業員数のほうが多い。
「3席使って寝よう」というわけにはいかないけど、観客にとっては快適&安心。
でもこれじゃ映画館はやっていけない、と気の毒になる。
さて。
ギヨームは、日本で言うとハイヤーの運転手。離婚調停中で、ひとり娘の共同親権をゲットするためせっせと働いている。
ある日、迎えに行った女性アンヌは鼻をクンクンいわせ、
「あなた、タバコを吸うのね。わたしを迎えに来るときは、その前も、タバコを吸わないでちょうだい」
だけでなく、着いたホテルではシーツが気に入らないとシーツ取り換え(コロナ以前の話!)まで手伝わされる。
彼女は有名な調香師だった。

映画 『les Parfums』

数日つき合ったギヨームは、その横柄さに腹が立ち、
「僕はあんたの秘書じゃない。それにメルシーひとつ言えないのか」と捨て台詞を残し走り去る。

映画 『les Parfums』
photos:allociné

顧客を失った、と思っていたら、アンヌは再びギヨームを指定してきた。そして打ち明け話をする:
高級ブランドの香水を作っていたアンヌは、ある日突然、嗅覚を失う(コロナ以前)。
「鼻じゃなくて経験に頼りながら香水を作って、1本目、2本目まではなんとか切り抜けたけど、3本目は惨憺たる結果」
契約は破棄され、彼女は香水業界から干されてしまう。
以来、彼女に来る仕事は、地方の洞窟のコピーを作るんでその匂いを再現する、とか、高級バッグの、強すぎるなめし剤の匂いを中和させる、というものばかり。

ギヨームは、孤独で高飛車な調香師を理解し始め、スーパーでシャンプーを買う時、何種類も開けて(!)香りを嗅ぐようになる。

社会的クラスが違う人間が出会う、最近わりとあるテーマで、悪くない。
ラジオで「Feel good mouvieですね」。この表現好きじゃないけど、当たっている。

帰り道、「映画館も劇場も大変だ」と夫。もとの観客を取り戻すのにどのくらいかかるだろう?
お天気のいい日、セーヌ河岸はギョッとするくらいの人出なのに、日曜日の映画館がガラガラなんて。
戸外の方が安全だから?
ロックダウンした都市の再起動は時間がかかりそうだ。

Les Parfumes
グレゴリー・マーニュ監督作品
主演:エマニュエル・ドゥヴォス、グレゴリー・モンテル
1時間40分
フランスで公開中


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と、昨日戻ってきた日本人の友人。彼は日本出張だったときにパリが都市封鎖になり、解除後もなかなか飛ばなくて、結局4か月も戻ってこれなかった。
JAL、 ANAは高すぎてAIR FRANCEに乗り、
「機内もガラガラで3席分使って寝てこれたのはよかったけど、機内食は遠足のおやつみたいなのと軽い食事だけ」
そこまで節約するのね。これからお弁当を持って乗らなくては!
免税品店も閉まっていて「タバコが買えなかった。ごめんね」
人がいなくてお店が閉まった成田・・・なるほど怖そうだ。

わたしは10年以上、日本のタバコ(ニコチン0.1㎎、タール1㎎のウィンストン)しか吸わないので、日本から飛んでくる友人は必ず免税品店に寄らされる。
最後のウィンストンがついになくなったので、本当に久しぶりに近所のタバコ屋に赴いた。
「0.1㎎の・・・」と言ったら、中国人のおばさんが、そういうことは表示されていないのでわからん。

数年前(もっと前?)からタバコのパッケージは均一になり、ブランドがわからない。
恐ろしい写真+キャプションで喫煙者を減らそうとしているけど、ニコチン&タール量は表記すべきではない?

「喫煙は動脈を詰まらせる」「心臓麻痺の原因になる」・・・
これに比べて、日本の「たばこの煙は周りの人に悪影響を及ぼします」は非常にソフトだ。

cigarettes en France
photo:challenges.fr

「じゃ、一番軽いのは?」
「あたしは吸わないので知らない」
それと、自分が売っているものの商品知識は別だろうが!しかも不愛想。
ここには2度と来ないと決めて買わずに出る。

2件目のタバコ屋は中国人。
「0.1㎎はフィリップ・モリスとベンソン&ヘッジス」とすぐ出してくれて、
「フィリップはブリティッシュな味、ベンソンはアメリカンテイストです」
「イギリスとアメリカでどう違うんです?」
「アメリカンのほうが軽いです」
よく知っていて親切。
ベンソンを買った。9.8€。
そういえば大通りのタバコ屋2件も中国人経営だ。

わたしが行かないうちにフランスのタバコ事情は大きく変わっていた。値段は毎年のように上がり、

2010年は4€以下だったのが、今は10€前後。既に「喫煙は殺す」のメッセージ。

cigarette 2010 (2)
photo:l'Est Republicain

ホラーなパッケージになり、「タバコ屋は全部中国人が買った」という友人のセリフは本当だった。

ベンソンは、もとはイギリスでも2007年に日本たばこ産業に買収されたそうだ。
しばらくは“日本資本、イギリス生まれアメリカンテイスト”を吸うことになる。


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この夏、EU圏に来ていい国

すなわちコロナが鎮静した、とみなされる国が7月1日に発表された。
アルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、日本、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイ。そして中国は、向こうがヨーロッパ人の入国を許せば、という条件つき。

このリストは2週間置きに見直される。

EU圏に来ていい国

アメリカ人、ロシア人はヨーロッパに来れない。
フランスの観光客1位はアメリカ人だから、観光業界にとって-とりわけ高級ホテル、星付きレストランにとって-致命的だ。

現在、パリのホテルの稼働率は10%を超えない。通常75~80%で、サロンや国際会議があると90%に達する。
これなら開けないで、従業員を失業扱いにして寝ていたほうが得策かもしれない。

コート・ダジュールのリゾート地も、この夏、ロシア富豪を当てにできないことになる。

でも日本人は来れる!わーい!と喜ぶのは早い。
ニュースに出てきた某ツーリストオフィスのボスは、
「日本人は非常に用心深い。“ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)”の時、パリは内戦状態と思われた。テロが続いた時は論外だった。今年は期待できない」
日本からのパック旅行は9月まですべてキャンセルになったそうだし。

逆に「日本に来ていい外国」はタイ、ヴェトナム、ニュージーランド、オーストラリアが第一弾の入国許可候補で「検討に入った」。
圧倒的に少ない感染者数、死者数(フランスの60分の1!)を誇る日本としては用心深くならざるを得ないでしょう。

中国が近くて中国人観光客も多いのに、どうして日本は感染を押しとどめられたのか?がよく話題になる。
「キスしない、握手しない、清潔好き、マスクの習慣あり」が必ず挙がる(『民度の違い』は挙がらない)
先週、薬学研究者の友人と会ったら「食べ物じゃない?」
他の国民は食べないけど、日本人が日常よく食べているものに免疫力がある、と言う説。モーリシャス島もその可能性があるんだって。
日本人がよく食べて他国では食べないもの・・・海藻?納豆??
仮説ではあるけど、ありうるかもしれない。やっぱり納豆かな?


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モト首相フィヨンに実刑判決

2017年の大統領選で、支持率トップを走っていたフランソワ・フィヨン。サルコジ大統領時代の首相で、いつもすごく仕立てのいい高そうなスーツを着ていた人。
選挙戦の真っ最中に、カナール・アンシェネ紙が、奥さんペネロープの架空雇用をすっぱ抜いた:“議会アシスタント”の名目で計60万ユーロ(7000万円強)が払われたのに、議会でペネロープ・フィヨンを見かけた人がいなかった・・・
大統領選3か月前というタイミングだけに「これは陰謀だ」とフィヨンは叫んだけど、架空雇用の事実は消せなく、候補を降りた。

それから3年。パリ裁判所が下した判決は;
フランソワ・フィヨンに禁錮5年、うち実刑2年。37万5000€の罰金。10年間の被選挙欠落。
ペネロープには執行猶予つき禁錮3年、同額の罰金。

フランソワ・フィヨンに有罪判決
photo:AFP

厳しい判決の理由は、模範を示すべき立場の人間が「個人の利益を公共利益に優先させ」「国民の信頼を裏切った」。
おっしゃる通り。
選挙運動中、フィヨンは誠実さ、クリーンな政治を掲げていたのに、実は私腹を肥やすことばかり考えていたのね。
裁判所によると、奥さんだけでなく子供2人にも払われた上院下院の公金を足し算すると、なんと115万6000€(約1億4000万円)に上るそうだ。
それでSartheのシャトーに住み、いつもオーダーメイドのスーツを着ていたなんて、全く。

フィヨン夫妻の弁護士は控訴すると言っているけど、横領の事実は変えられない。
そういえば、2012年の大統領選で有力候補だったDSKことドミニック・ストロス=カーンは、セックススキャンダルで政治生命を絶たれた。支持率トップはヤバいことが多い。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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