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隔離日記:会っておいてよかった

第六感か、ただの偶然か(後者でしょうね)外出禁止令が出る前の週、ずっと会っていなかった人と次々に再会した。
そのひとりは日本から帰ってきたナタン君、日本語の最初の生徒さんだ。去年の11月、東京で会ってから1年ぶり。

パリ郊外、『リラの門』という美しい名前のメトロ駅に現れた彼は、なんかオタクっぽさが薄れ、社会人らしくなっている。
日本語を始めたのが21歳だから、今は24歳か。
聞けば「池袋近くの大きな中華レストランでずっとバイトしてました」
「へぇ、ウェーター?ネクタイしてたの?」
「ネクタイにエプロン。いつも残った料理持って帰って、お金が助かった」
歩きながら話し「ところでどこに行こうとしてるの?」
「ぼくのうち。家族は田舎の家に行っているから。ぼくは今日帰ってきた」
「わたしに会うためにわざわざ帰ってきたの!?」
「そう、帰りたかったから。とてもいい理由です」
なるほど。1年以上ひとり暮らしをした後で、両親と一緒に暮らすのは鬱陶しいであろう。

家に着くと、タマによく似た猫が、わたしを見るとどこかに走り去った。

IMG_20201022_170402.jpg

「フランスに帰ろうと思ったのはなぜ?」
「VISAが切れたから。それと親が一度帰れって」
それだけでなく、ちょっと冷めた感じが言葉の端々に伺える。
発つ前は日本の全てが好きだったナタン。一年半住んで欠点も見えてきたということか。恋愛第二期。
でも、成田のパスポートコントロールで、「もう日本に戻ってくる予定はないのか?」と聞かれ「いいえ」と答えた時、今、出国したら戻れないのを実感。
「係員がぼくのVISAをハサミで切っちゃった。ちょっとショック」

ガラガラの飛行機でロワシー空港に着くと、検査も何もなく、
「ただ、どこから来たか?と聞くだけ。東京と言うと『OK、通って』」
それだけ?
「アメリカから来たって言ったら検査かもしれない」
試しに言ってみればよかったね。
フランスの空港が“あっけなく通す”ことは何度か聞いたけど。だから感染者が減らないのよ。
その日は、1週間後に外出禁止になるとは予想もしなかった。会っておいてよかった。

マリーと再会したときも感じたけど、電話もメールも、フィジカルに会うのに取って代わることはできない。
別れるとき、肩を抱いてキスができないもどかしさ(できなくてホッとする相手もいるけど)。
気持ちが伝わる接触を、コロナは禁じてしまう。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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