娘の東京便り

スカイプに現れた娘は、シェアハウスのキッチンで、泣きながら玉葱を刻んでいるとこだった。
「メガネかけてても涙が出るの?」
「日本の玉葱って強烈なのよ」(それは初耳)
「なに作ってるの?」
「スパゲッティ・カルボナーラ」
「友達できた?どこの国の人がいるの?」
娘は玉葱を切り(泣き)続けながら、「カナダ、ドイツ、英米、タイ、中国、南アフリカ・・・みんな英語が上手で、とても親切。帰りたくないくらい・・・」(おお!)
「つまりワタシは昼間、日本語話して、夜は英語話して、それが時々混ざって、アタマの中グチャグチャよ」
「日本語は少しマシになったの?」
「研修先でずいぶん上手くなったって言われた。でも買い物が大変、漢字やカタカナが多くて・・・ところで“海の鶏”って何?」
「海の鶏 ??・・・あ、シーチキンね、マグロのことよ」
「うそ!日本語はタダでさえ難しいのに、なぜ“海の鶏”なんて呼ぶの?素直にマグロって言えばいいのに・・・ブツブツ」
確かに、なぜシーチキンなんだろう?肉質が似てる?
「・・・ご飯作って、お皿洗って、ゴミ出して、洗濯して、買い物して・・・つまりウチじゃやらなかったことをやってるわけ。成長するわけよ」(自分で言ってれば世話はない)
「それからゴキブリ!」
「あ、いるだろうね、建物古いし」
「トイレに入ったら、巨大なのがいたの、叫んで便器の上に避難して10分間降りて来れなかった」
フランスのゴキブリはずっと小柄で(私の知る限り)飛ばない。
玉葱とベーコンを刻み終えた娘は「じゃーね!」と視界から消えていった。

「2ヶ月もいるの?」「友達ができなかったらどうしよう・・・」
私が発つとき泣き言をいっていたのは誰だ?、「帰りたくない」なんて。まさに“やったぜ!”だ。

同時に一抹の寂しさ。メアリー・ポピンズの『ジョンとバーバラの物語』のムクドリみたいに・・・
生まれたばかりの双子、ジョンとバーバラは、窓辺に飛んでくるムクドリの言葉がわかった。ムクドリは時々やってきては双子とのおしゃべりを楽しんでいた。ところがある日、窓に来てみると、双子は(成長して)もうムクドリの言葉がわからなくなっていた。
寂しさを隠せないムクドリ。
「アンタ、泣いてるの?」とメアリー・ポピンズ
「いや、ちょっと風邪を引いてるだけさ」
いつ思い出しても素敵なお話・・・


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コメント
すごい順応性、適応力ですね。やはり、若さの力でしょうか。でも楽しんでおられるようで、何よりですね。
東京は連日、梅雨特有のジメジメ、ムシムシです。天気予報では毎日、「熱中症にご注意を」と呼びかけています。パリはこんな気候にはなりませんよね?熱中症は老若男女、関係ないみたいですから、慣れない梅雨で、体調崩されませんように。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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