観ないと後悔、赤いカメとある島の物語

荒れ狂う海で必死にもがく男。波間に消えたかと思うと、浮かび上がり、また巨大な波に飲み込まれる(25m泳ぐのがやっとの私には息詰まるシーン)。気がつくと男は砂浜に投げ出せられていた。そこは無人島で、棲んでいるのはカニと鳥とカメ・・・食べるものは熱帯植物の実くらいだ。

アニメ『La Tortue Rouge/赤いカメ』

“人間の知恵”を信じる男は筏を作り、大海原に漕ぎ出す。でも自然はそんなに生易しくなかった。筏は正体不明の力でバラバラになる。クタクタになって浜まで泳ぎ着く男(泳げる人は逞しい)。

アニメ『La Tortue Rouge/赤いカメ』

男は諦めず、もっとデカい頑丈な筏を作り海に漕ぎ出す。また同じことの繰り返し。

何度目かにまた筏が壊され、男は“犯人”と対面する:それは巨大で、鮮やかな赤い甲羅を持つカメだった(ここからが予想外なのでこれ以上書けない、書いてはいけない・・・)。

アニメ『La Tortue Rouge/赤いカメ』

男とカメの、人間と自然の物語、『La Tortue Rouge/レッドタートル、ある島の物語』はただひと言、素晴らしい。
自然の恐ろしさ、優しさ。人間の無力さ、生命力。御伽噺(浦島太郎もカメと出会うけど、全然違う展開)のようであり、実は、試練あり幸せありの人間の人生そのものだ。
手付かずの自然の中に温かみのある人間の姿を置いた画風もすごくいい。この自然の描き方、浜をせわしなく横切るカニさんの姿に既視感あり・・・と思ったら、スタジオ・ジブリがコープロダクション。

オランダ人のアニメ作家ミカエル・デュドク・ドゥ・ヴィット/Michaël Dudok de Witは2006年、高畑勲にこのシナリオを見せた。
『蛍の墓』『かぐや姫の物語』を作り、スタジオ・ジブリの共同創立者でもある高畑 勲は物語に感動し、アニメ化を薦め、協力した、といういきさつ。
10年かけた作品は63歳のミカエル・デュドク・ドゥ・ヴィットにとって初の長編アニメ。今年のカンヌ映画祭、『ある視点』特別賞をとった。
全くセリフがないので子供でも、と思うけど、内容は大人向け。映画館に小学生の子供がひとり(!)、ひっきりなしにお母さんに質問していた。
もう絶対のお薦め!日本より一足(2ヶ月)先に是非観てください。

La Tortue Rouge//レッドタートル、ある島の物語
原作・監督:ミカエル・デュドク・ドゥ・ヴィット
アーティスティック・プロデューサー:高畑 勲
フランス・ベルギー・日本共同制作
1時間20分
フランスで公開中
日本は9月17日より公開

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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