不況+失業+孤独=サイコスリラー

パリで職を失ってから1年、お金も底をついたコンスタンスは、故郷に戻ってくる。前に勤めていた不動産屋がちょうどひとり求人しているので、また雇ってもらえないか頼むが、社長は渋い顔。
「どうして?私は仕事ができたでしょ?その上、パリで経験を積んできたし・・・」
社長は彼女をまっすぐ見て、
「パリで仕事を見つけたら即、すべてを放り出して、どんな迷惑をかけたかわかっているのか?」
そして次に面接に来た若い女性を招き入れるのだ。

コンスタンスは同じ不動産屋に勤める前の恋人が出社するのを待ち、電話するが、彼はコンスタンスの番号を見て切ってしまう。
故郷の町でみんなに歓迎されると思っていたコンスタンス。こんなはずじゃなかった・・・母親は入院し、誰もいない実家にひとり、お金がないので缶詰のコーンを食べる。何としても再就職しなければ・・・

不動産屋に“次に面接に来た若い女性”オードレイが採用されたことを知ると、コンスタンスはアパルトマンを探しているふりをして彼女に近づく。
一緒にジョギングするほどお友達に。
フランス映画『Irréprochable』

昔の恋人、フィリップ(ジェレミー・エルカエム)。心は離れているけど放っておけず、面倒を見ようとする。

フランス映画『Irréprochable』

社会派リアリズムに見えた作品が、のどかな田舎の風景を舞台にサイコスリラーに変わっていく。
セバスチアン・マルニエ監督の『Irréprochable/非の打ち所がない人』
「パリの会社で上司のセクシャルハラスメントに遭い、辞職して、母親の世話をするために故郷に戻ってきた」というコンスタンス。母親を病院に見舞いに行き、ストイックにジョギングを続ける。一見、非の打ち所がなく感じよく、でもその笑顔が消えると暗く冷たい表情になる。

フランス映画『Irréprochable』
photos:allociné

失業、不況、孤独・・・追い詰められて少しずつ常軌を外れていく。被害者が危険人物になっていく。今の時代に生きる人たち(フランスだろうが日本だろうが)に「私もコンスタンスのようにならないとは言えない・・・」と思わせる信憑性。
それは一重にマリナ・フォイスの演技だ。日本ではあまり知られていないけど、例えば『パリ警視庁、未成年保護部隊』でカリン・ヴィアールと大喧嘩する女性警官。特に綺麗でもないごくふつうの中年女性であるだけに尚更、真実味あり。
お奨めです!

『Irréprochable』
セバスチアン・マルニエ監督作品
主演:マリナ・フォイス、ジェレミー・エルカイム、バンジャマン・ビオレ、ジョゼフィーヌ・ジャピイ
1時間43分
フランスで公開中


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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