
「通訳をやっている友人が、私に会いたいといっている日本人がいる、というので承諾した。その男をひと目見たとき、私は彼が何者なのかわかった。彼も、私がわかったのがわかった。彼は率直に自分の正体(ヤクザの組長)を明らかにした。彼は滞在の最後の日に、組の内部を映画に撮らないか、と提案してきた」
ジャン・ピエール・リムーザンのドキュメンタリー映画『Young Yokuza』がARTEで放映され、映画館でも封切りになった。「よく撮らせた」「ヤラセじゃないのか?」というのが日本人の率直な感想だけど、きっかけは上の通り。
組長の提案に、リムーザンは、ヤクザを撮ろうとしたドキュメンタリー作家2人の1人は殺され、もう1人は斬りつけられたことを思い出し、背筋が寒くなった。
結局、非合法なことをしている場面は一切撮らない、その代わり、リムーザンの撮ったものを検閲しない、という了解で撮影は開始された。

“仕事にもつかずブラブラしていて悪いことしかしない”息子を持て余した母親が、熊谷組に息子・ナオキ(20歳)を託することからドキュメンタリーは始まる。挨拶、お茶の入れ方、掃除、買出しなどヤクザの日常を覚えていくナオキの姿が描かれる。親分亡き後を継いだ若い組長(写真)は、目つきは独特の冷酷さがあるものの、指を詰めたりしないし物分りがよく、私の抱くヤクザ組長像とすごく違う。
リムーザンによるとこの組長は、この映画が公開されることで低迷しているヤクザ界の活性化を図ろうとしたらしい。つまり「こんなとこなら俺も入ってみるか」と志願者が増えるようなヤクザ興し映画。そんなプロモーションを思いつく組長だけに、正当派ヤクザとは違う異端児なのでは?なかなか絵になっているので、実は俳優になりたかったとか?
何度か日本のラッパーの歌が入るが、日本語とラップ音楽がちゃんと一体になっていて予想外に良かった。
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