電車に乗ってどこかに行くにはご機嫌なお天気の週末。でも行先は病院だ。
夫の従弟のジャン=ピエールが、心臓バイパス手術をしてトロアに入院している。成功率99%以上と聞いても“心臓の手術”は心配する。その上、ジャン=ピエールは麻酔から48時間覚めなかったので、家族はハラハラした。
「牛一頭を眠らせるくらいの麻酔をかけるからだ!」とジャン=ピエール、彼は120㎏ある。
「麻酔から覚めるときがすごかったね。赤や緑のライトが点滅するナイトクラブみたいなとこにいて、音楽がガンガン鳴って・・・」
「きれいな女の子に取り囲まれて?」
「・・・それはなかった」
病室に座ったジャン=ピエールは、むくみが取れて前より元気そうに見える。でも咳やくしゃみをするとすごく痛そう。胸を切っているんだもの。
食事は塩も砂糖もだめで「昼はグチャグチャに茹でたカリフラワー(味付けなし)に靴の底みたいな子牛のステーキ(同様)、食えたもんじゃない!デザートのヨーグルトだけ食べた」
普通の病人なら、「かわいそうに」と、家族や友達が食べられそうなものを持ってくるとこだけど、彼の場合は「そりゃよかった」になる。
冠動脈の閉塞も、足腰が痛くてまともに歩けないのも肥満が一番の原因だから。これまで何度もお医者さんに警告されながら、暴飲暴食をやめなかったので、いわば自業自得。
不味い病院食のおかげですでに16㎏痩せたそうだ。
「120-16=104㎏?」
100㎏近い夫が、ジャン=ピエールの横ではほっそり見えるのに。
「いや、手術前は138㎏あったんだ」
「 ・・・・」

奥さんのマリー・フランスはシャンパーニュの村から往復1時間半かけて毎日お見舞いに来ている。
「明日は、畑のブドウ(収穫真っ最中)ひと房と庭のトマトが欲しいんだって」
ワインにするブドウは糖分が低く、彼女の“庭のトマト”は塩もオリーヴオイルもなしで美味しい。田舎の人たちは美味しいものを知っている。

jp_mf - Copie

病院の廊下の壁には、俳句の仏訳が書かれていた。
「盗人に取り残されし 窓の月」良寛
訳だと「立ち去った盗人が忘れたのはひとつだけ:窓の月」

haiku

「夏河を超すうれしさよ 手に草履」与謝蕪村
サンダルだと浮かぶ情景が全然違ってくるような・・・
短い言葉が映像を結ぶ俳句。フランス語に訳すと同じ印象にならないと思うけど、病院の廊下に登場するほど人気なのはすばらしい。

haiku


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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