お弁当物語

娘は毎日お弁当を持っていく。美術学校の学食は不味いうえ、申し込むと、食べなかった時も払わされる。
「もったいないでしょ ?」「確かに」
それで、近くのスーパーでサラダやサンドイッチを買うと「高いし、すぐお腹が空く」(子供たちは食いしん坊でよく食べる)。
「だからお弁当を持っていくことにする」と(自称)経済観念のある娘が宣言した。のはいいけど、誰が作るの?
・・・というわけでお弁当を作る人になって1年になる。作るのはいつも夜なので写真は撮れない、第一撮るほどのお弁当じゃない:
ハンバーグとラタトゥイユと卵焼きとか。
かつ丼とほうれん草の胡麻和えとか。
鶏の照り焼きとブロッコリー、ニンジンのサラダとか。
簡単なもんだけど、パン屋のサンドイッチとかスーパーのサラダだけのクラスメートはみんな羨ましがり、お弁当は有名になった。
ある日、授業中に娘が「ギャッ!お弁当忘れた!」と叫んだら、先生まで「そりゃ大変だ!」と言ったとか。

そのうちクラスメートのフェリックスが「一度だけ食べたい」とせがみ(娘は「おだてれば作ってくれるよ」と言ったに違いない)2人分作ることに。
間もなく「明日ポーリーヌの誕生日なの。お弁当が食べたいって」と、前日の夜に。
「鶏のつくねと胡麻和え、卵焼き、鮭のオニギリ・・・」
「茄子のカレーも入れて!」
カレーやハンバーグやチリを作るとき、お弁当用に分けて冷凍するのを敵は知っている。
「それはヘンよ、組み合わせが」
「気にしない!」
仲良しのお誕生日だから、娘は自分の好きなものを総動員したいらしい。
まあ、食べる人が気にしないなら、と、鮭のオニギリとおかずを一段目、二段目に茄子とひき肉のカレーとご飯を半々に入れる。
朝市の肉屋で買ったミニソーセージがあったので色どりに。
「タコにしよう!」と娘。
「何でそんなこと知ってるの?」
「日本のお母さんはみんなやってるのよ」
それで深夜のタコ作り。こういうの、小学校までじゃない?

octopus.jpg

「目はどうする?」黒ゴマがないので、黒粒コショウを埋め込んだ。
「食べる前に目玉取ってよ、辛いから」

娘が撮った写真。タコがぐったりしてない?
左の白い空白(に見えるのは)オニギリ。おかずとの境界にパラフィン紙、芸が細かい(?)

obento.jpg

オニギリに巻くノリはアルミ箔に包んで、猫が食べないようにお弁当箱の下敷きにした。

そしたら翌朝。お弁当箱はひっくり返り、アルミ箔が食いちぎられテーブルはノリだらけ。夜中、暇を持て余した猫が2匹の共同作業でノリを引っ張り出したらしい。
ひっくり返ったお弁当を見るのも恐ろしく、娘はそのまま学校に持って行った。

その夜。「どうだった?グチャグチャになってなかった?」
「大丈夫、ほら、ポーリーヌがお礼って」

Scan3 - Copie

さすが美術学校の学生!
おだてられるとすぐ乗る私は、
「フェリックスはまた作ってって言わないの?」
「言うけど、あたし仕出し屋やじゃないもの」
誰のセリフか・・・


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コメント
フランス国内で子育てをなさっている中のお子様との日常の1ページはとっても可愛く思います、ご紹介ありがとうございます
Re: Michaela.Wicke.Ange様
ありがとうございます!
日本にひとりで滞在したとき、色々美味しいものを発見したようでリクエストが多いです。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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