たかが世界の終わり

人気作家のルイは12年間会わなかった家族に再会しようと、飛行機に乗り故郷の町にやってくる。自分の余命が短いことを告げるためだ。
“家族と昼食をするだけじゃないか。血が繋がっているんだ、愛情を確かめられる・・・それとも12年間の空白を責めるだろうか?許してくれないだろうか?・・・ただの昼食だ、世界の終わりではない。何を怖がることがある?”
着いてみると、家族の空気はピリピリしていた:母親は昔のように“楽しい家族の食事”にしようと舞い上がり、兄は最初から反感を丸出し、最後に会ったときは10歳だった妹は、再会は嬉しいけど家族の反応に耐えられない。ルイと会話をしようとしてくれるのは兄の妻だけだ。
前作「Mommy/マミー」が打ちのめされるほど感動的だったグザヴィエ・ドランの最新作『Juste la fin du monde』

『Juste la fin du monde』グザヴィエ・ドラン

このキャスティング(ルイ:ギャスパール・ウリエル、母:ナタリー・バイ、兄:ヴァンサン・カッセル、その妻:マリオン・コティアール、妹:レア・セイドゥ)、
そして今年のカンヌ映画祭でグランプリ
・・・なので誰だって期待する。
でも、先に観た友達はみんな「がっかりした」
私はというと「何と言っていいかわからん」
まず、なんでグザヴィエ・ドランはジャン=リュック・ラガルスの戯曲を映画化しようなんて思ったんだろう?
戯曲の背景、1980年代はエイズに罹れば必ず死んでいた。つまりエイズの認識にズレがある。
さらに戯曲を映画化するときに“よくやるミス”、ほとんど全部、クローズアップで撮っていて、顔の大写しに疲れる。

ルイはガスパール・ユリエル(『サン・ローラン』)

『Juste la fin du monde』グザヴィエ・ドラン

口元を整形してから笑いがちょっと不自然なナタリー・バイ(母)、上手い

『Juste la fin du monde』グザヴィエ・ドラン

まだ反抗期みたいな末っ子(レア・セイドゥー)

justelafin_seydoux.jpg
photos:allociné

家の中という閉所で、家族が笑い、怒鳴り、独り言を言い、肝心なことは何も言われないまま、嫉妬、羨望、フラストレーション、否認・・・がブツブツと沸騰してくる。それがこの作品のテーマ、グザヴィエ・ドランが繰り返すテーマだ:家族とは?愛し合い分かり合える存在なんだろうか?それとも・・・
俳優はそれぞれ上手いけど、特にナタリー・バイ(母親)、濃いメイクに派手な服、ひとり浮いて、はしゃいでいるようで、“実はわかっている”のを垣間見せる。
“不器用に”ルイを理解しようとするマリオン・コティアール(兄嫁)も上手い。でもみんな“戯曲的”な距離があって、入り込めない。私たちは傍観者だ。そう、全員フランスの俳優なんで、ドランのトレードマーク、カナディアン仏語ではない。字幕なし!

ルイ役のガスパール・ユリエル。言うべき言葉が見つからない重苦しさと幽霊のような捉えどころのなさ。そして文句なく美しい。グザヴィエ・ドランは彼の美しさに魅せられた?と思うほど。
賛否が激しく分かれる作品、これまでの作品に比べて「アレ?」と思うけど、ドランさん、世界の終わりではないよ。

Juste la fin du monde
グザヴィエ・ドラン監督
出演:ギャスパール・ウリエル、ナタリー・バイ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、レア・セイドゥ
1時間35分
フランスで公開中

ランキングに参加しています。クリックしていただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村




スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最近の記事
カテゴリー
おすすめ書籍
RSSフィード
おすすめコスメ
フランスに行くなら
プロヴァンスの田舎町をまわる1日
アーカイブ