クストー大佐、と呼ばれていたジャン=イヴ・クストー。1997年に亡くなる前は「フランスの有名人人気投票」で必ず上位に入っていた。
海底探検者で環境保護運動もしていた人物、くらいの知識しかなかったけど、この作品『l’ODYSSEE/オデュッセイ』
は、海に魅せられた人が、あらゆるものを犠牲にして夢を達成していく生涯を描いている。

映画『l'ODYSSEE/オデュッセイ』

1948年、海軍人クストー(ランベール・ウィルソン)は妻(オードレイ・トトゥ)、2人の男の子と、地中海を見下ろす素晴らしい家に住んでいた。でも彼の野望は、世界中の海を探検し、生息する魚や動物を写真に撮ること。「妻子があるのにそんな無謀なことをしていいのか」と友達は心配するが、彼は退役。しかし船を買うお金がない。ニースの億万長者が彼の冒険の擁護者となり、カリプソ号を買う。
妻シモーヌは母親から譲り受けた宝石を売って、船の修復を手伝う。

映画『l'ODYSSEE/オデュッセイ』

クストーは潜水呼吸スクーバを考案し、有能なダイバーチームを構成して深海のフィルムを撮り始める。
後に次男のフィリップ(ピエール・ニネイ)がチームに加わり、撮影を担当する。

この作品の見所のひとつは深海の美しさ。上を見れば太陽の光、下は限りなく深い青の間で魚たちが優雅に泳ぎ、サメはカメラに食いつこうとする。

映画『l'ODYSSEE/オデュッセイ』

もうひとつはクストーが“犠牲”にしていく周囲の人間たち。クストーは世界中駆け回り、あちこちに女あり(暗示的に描かれる)。
夫の夢を叶えようとした気丈な妻シモーヌは置き去りにされ、アルコールに溺れていく。
オードレイ・トトゥ(そんなに好きな女優じゃなかったけど)がすごくいい。特に老いてからの、愛情と諦めと嫉妬が混ざる表情。映画の中で一番印象に残る人物。アメリちゃんの頃より今のほうが素敵だ。

2番目は「あなたの夫はバカになったのか?」と母親に詰め寄るフィリップ(ピエール・ニネイ)。

映画『l'ODYSSEE/オデュッセイ』

クストーがアザラシを2頭捕らえて檻に入れ「人間と友達になるとこを撮ったら観客が喜ぶ」というのを聞いて、「お金のために何でもやるのか!」とキレて、去っていく。環境保護に目覚めるのも彼だ。(余談だけど、アザラシがうちのデブ猫タマによく似ているのに気づいた。)
クストー役のランベール・ウィルソン。国際的スターになる人の意志、カリスマ性、説得力・・・はよく出ている。でもクストーの性格を浮き彫りにするのは彼を取り巻く人たちだ。

映画『l'ODYSSEE/オデュッセイ』
photos:allocine

こっちは本物のクストー。よく似ている。

ジャン=イヴ・クストー

ビオピック(伝記映画)はあまり観ないほうだけど、この作品は良かった。
クストーが地中海、紅海、インド洋、ペルシャ湾の深海を撮った『沈黙の世界』(ルイ・マルとの共同監督)は56年のカンヌ映画祭で最高のパルムドールを取っている。
L’ODYSSEE
ジェローム・サル監督作品
主演:ランベール・ウィルソン、ピエール・ニネイ、オードレイ・トトゥ
2時間5分
フランスで公開中

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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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