死人に口なし

日本のサイトで、ストックホルムの見所ランキング1位がヴァーサ博物館。船はそんなに興味がない私は「ふーん」と、乗り気ではなかったけど、これはすごかった。

ヴァーサも迫力だけど、

ストックホルム、ヴァーサ博物館

面白いのはその物語。
1626年、当時の王様グスタフ2世アドルフが、スェーデンの威力を世界に誇示するために戦艦を作ろうと思い立つ。戦艦というより広告塔。オランダ人設計士が呼ばれ(当時、船造りはオランダが一番だった)2年ががりの造船。オランダ人設計士は途中で亡くなり、奥さんが引き継いだ。超豪華でインパクトある軍艦が出来上がり、1628年8月に処女航海に出発。
大勢の観客が見守る中、ヴァーサ号が1300㎞進んだとき(港を出ないうち)強い風が吹き、船は傾き、そのままズズーっと沈没。約150人の乗組員のうち30人が亡くなった。

当日、プルシアに遠征していた王様は、15日後に沈没のニュースを聞き、激怒する。そして必ず犯人を見つけ出そうと、関係者全員を尋問した。全員が「自分は何もしていない。責任は・・・」と、亡くなったオランダ人の名を挙げる。なんと奥さんまでが「夫のせい」にしたそうだから、うかうか死んでもいられない。

沈没の最大原因は、船の背が高すぎて安定が悪かったこと。王様が、より目立ち、より豪華ににとてんこ盛りにしたのが最大の原因だけど、王様=神だから誰もそんなことは言えない。

船首の彫刻もこの凝りよう。

ストックホルム、ヴァーサ博物館

当時はカラフルが流行りで、このように着色されていた。

ストックホルム、ヴァーサ博物館

本番前のテスト運行で、技術者たちは既に「これはヤバい」と気づき、20回のテストを3回でやめている。「これ以上やったら、進水式前に壊れる」「そんなことになったら王の逆鱗に触れる」・・・本末転倒。

ヴァーサは333年海の底で眠る。1950年代末に位置が確認され、5年かかって1961年に引き上げられ、日の目を見た。
バルト海の水は塩分が少なく、フナクイムシがいないので、船は奇跡的に損傷がなく、ただ木材がたっぷり水を吸っていた。乾かすのに10年。木の保存にポリエチレングリコール(化粧品の乳化剤、界面活性剤)が大量に使われ、ほぼ(96%)元のままの姿が再現された。
博物館には、見つかった25人の犠牲者の骸骨、当時の姿の予想図まで展示されている。

グスタフ2世アドルフ王がどうなったかと言うと、ヴァーサ難破の4年後、1632年に30年戦争のリュッツェンの戦いで死んでいる。
教訓:死人に口なし(かわいそうなオランダ人・・・)
奢れるものは久しからず(王様)


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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