東京にて:前代未聞のレストラン

友人夫婦と夕食の約束。待ち合わせ場所の新代田の駅を出ると、そこは環七。車がビュンビュン通り、向かいにファミリーマートがあるだけ。レストランなんかあるの?

「機嫌が悪いと、感じ悪い主人ですけど、誰にもそうなので気にしないで」と友人夫。
5分くらいで古びた木造の建物があり、狭い階段を上ると、国籍のよくわからないオブジェがひしめく暗い店。

新代田、日の丸軒

8時で、他のお客は誰もいない。ゴチャゴチャと暗い雰囲気によく似合う、初老の主人が迎えてくれた。
長めの白髪、樹木希林の男性ヴァージョンみたいな彼が、オーナー兼シェフ兼ウェイター。
「特別にメニューを作りましたので:ターメイヤ、茄子のサルサヴェルテ、カルパッチョ、ピザ、タンドリー・チキン、子羊のケバブ・・・」
思わず、わーたくさん!と言ったら、急に怖い顔になり、
「そんなら省きますよ」
いえいえ!素晴らしいです。

料理が次々に運ばれてくる。
煮た野菜をナッツ類の衣で揚げたエジプト料理、ターメイヤ。ここの名物みたい。美味。

新代田、日の丸軒

タコのトマト煮はイタリア、何日も煮込んだ雰囲気。トウガラシが効いている。

新代田、日の丸軒

エジプト、イタリア、フランス、インド、モロッコ・・・盆とクリスマスと正月が一度に来たようなメニューは“ユーラシア料理”。
それで名前が日の丸軒。
お客は相変わらず私たちだけ。

1年ぶりの積もる話に食べるスピードが落ちていると、ご主人がやってきて、
「ホラ、自分の皿に取って!下げるものは下げたいんです。そんなの当たり前でしょ」
シーン。
だんだん機嫌が悪くなってきた雰囲気。

タンドリーチキンあたりから、もう、お腹いっぱい。そこへケバブが運ばれてくる。

新代田、日の丸軒

「ちょっと多かったね」と友人妻。
ケバブを持て余していると、ご主人が現れ、
「早く取ってくださいよ」
「あの、これドギーバッグにしていただけますか?」と私。
「ドギーなんとかって何です?」
「いえ、その持ち帰りたいと・・・」直訳なんかしたら大変なことになる。
「そんなことできません。食べちゃいなさい。待ちますから」
パリでも感じの悪いレストランはあるけど、ここまでは出会ったことがない。しかもここは日本。
無事に店を出られるか不安になってきた。

10時ごろ、「飲み物だけもOKです」の看板を見たらしいカップルが入ってきて、既に機嫌が悪いご主人に邪見に扱われている。
携帯が鳴って、少し離れた席で話していると、
「そこで電話しないでください。あっちです」
と追いやられた。
結局、友人夫妻の健闘によりケバブも平らげ、お勘定を頼むと、飲み物のカップルも「こっちもお勘定!」と叫んでいた。
料理の組み合わせといい、雰囲気といい、何よりご主人のキャラ。生まれて初めての経験でした。楽しかった!
友人ご夫妻、ありがとう。


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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