ベタンクール邸の美術品の行方

ムンク、フェルナンド・レジェ、ジャン・アルプ、ピカソ(『ギターと静物』)、モンドリアン、オディロン・ルドン、マン・レイ、ロベール・ドローネー、ブラック、ジョルジョ・デ・キリコ、ファン・グリス、ミロ、マティス。
ベタンクールの大邸宅の壁を飾っていた13点の美術品がフランソワ=マリー・バニエのものになる。推定額1億5000万ユーロ。

葬儀は9月26日だった。

リリアン・ベタンクール葬儀

えー!老婦人の「弱点を悪用」した廉で実刑判決をくらった人がなぜ?
それは、ベタンクール夫人が認知症になったのは2006年と診断され、これらの美術品はそれ以前に贈与されたものだから。つまり夫人の明晰な意志でプレゼントされたもの。
ただし夫人は自分の生存中は“用益権”を有するとしていたので、それらのタブローは邸宅を飾り続けていた。
人手に渡っていることを誰も知らなかった。2007年に亡くなったご主人アンドレ・ベタンクールでさえ知らなかったのでは?と言われる。
しかも夫人は贈与税まで払っていた。なかなか周到。
バニエ氏はトラックをベタンクール邸に送り付けるだけ。この“小美術館”が彼のうちに引っ越してくるってこと。

彼が総額9億9300万ユーロをもらいながら、罰金が少ないのは同じ理由。2006年以前のプレゼントは“弱みにつけこんで”もらったものではないので、返さなくていい、という判決になった。悪運の強いヤツ・・・

でもベタンクール夫人とバニエ氏は強い友情で結ばれていて、夫のアンドレ・ベタンクールも黙認していたらしい。
「鬱傾向の妻を笑わせることができるのはフランソワ=マリーだけだ」
ベタンクール夫人は、
「夫は、フランソワ=マリーが私に笑い、喜び、別の世界をもたらしてくれるのを知っています」
批難していたのは娘のフランソワーズ。
「娘の世話になるなんて息が詰まる」と、夫の死後、夫人は漏らしていた。

バニエ氏は機知とユーモアに富み、時に扇状的(植木鉢にオシッコしたり!)で、ガチガチのブルジョア夫人に“別の世界”を見せて楽しませたのだ。
その見返り・・・かもしれないけど、もらい過ぎ。クラクラすると言うか、腹立たしいと言うか・・・


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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


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