子離れ日記 2

アングレームのアパルトマンに家財道具を運んだあと、娘は学校が始まるまでパリに戻ってきた。大学や高等教育の学校は10月初めに始まるところが多い(なんと3か月のバカンス!)
うちに戻るなり、ヴィールス性の咽頭炎になり、喉を診たお医者さんが「おお!」とのけぞるくらい扁桃腺が腫れて、その晩には私がうつされた。しかも金曜の夜で、“週末病気になる”という最も避けたい事態に。

お粥作ってぇと言うので、「寒気がする・・・頭が痛い」と言いながら、卵とじのお粥を作る。
「アングレームで病気になったら誰も作ってくれないんだ」
そんなこと今頃気がついたの?
人に何か頼むときはグッタリしているくせに、最後だから、と友達が来ると急に元気になり、その後またグッタリするというパターンが1週間。
10月最初の日曜日の早朝、まだ咳をしながら発っていった。

娘に買ったTGV maxという定期券は、一カ月79ユーロでTGV乗り放題。パリ-アングレーム往復は120ユーロ以上かかるので超お得だけど、選択肢が限られている。早朝とか深夜のあまり乗客がいなそうな時間帯しか選べない。

サンドイッチを作って見送った後、バスルームに行って私は愕然とした。
いつもクレンジングやクリームやメイクのパレットがゴチャゴチャと並んでいる洗面台にぽっかり空白ができている。そういえば、
「ママン、コーダリーのクリーム持って行っていい ?」「・・・」
「By Terryの口紅は?」ダメに決まってる。
「Avèneのファンデは絶対必要なの」「・・・」
のような会話があり、結局、一緒に使っていたコスメの大半を彼女が持って行ったということ。
でも私が愕然としたのは、その空白が象徴的だったからだ:服、メイク、猫のYoutube、日本の昔話をテーマにした卒業制作、ボーイフレンドとの諍いの相談・・・彼女とは日常のたくさんのことを共有していた、ということを実感したからだ。

その晩、電話で、重いスーツケースを引きずって階段を7つも上がって死にそうになったこと(アングレームは実に坂道や階段が多い)、疲れ果ててお昼寝して目が覚めたときブルーになったことを話し、
「Tと電話して泣いちゃった」
Tは1年続いているボーイフレンドだ。
「どっちが?」
「あたしに決まってるじゃない!知らない町で友達もいないし」
娘は小さい時から泣かない子で有名だった。
私は、バスルームで立ちすくんだことなどおくびにも出さず、
「すぐに友達できるよ」と慰めると、
「うん、でも木曜の夜に帰る」
「 !!!」
「授業が始まるのは月曜なのよ」
木曜日って4日後じゃない・・・


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コメント
娘さんも、きっと1日目にして、ホームシックになってしまったんではないでしょうか?
1人暮しは自由ですが、時には孤独も感じますもんね…。
ぽっかり空いたコスメのあった跡で、娘さんとの生活や時間を感じる…と言うのがすごくよく分かります。


Re: ひよこ様
不在というのは、思いがけないところで感じるもんだと思いました。共感していただいて嬉しいです。
娘は独立した嬉しさと、今までそばにいた人や猫がいない寂しさが半々みたいで、頻繁に帰ってきます。
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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