長谷川たかこのパリのふつうの生活
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パリのふつうの日常
アナイス、獣医を追い返す
DATE : 2008-07-25-Fri Comment 0
anais malade

ビロードのような手触り、と身内が誇りにしているアナイスの毛並み。皮膚病になって背中の毛が抜けて、一部ハゲのようになっている。お医者に連れて行こうと思いつつ、日が経ち、昨日間近で見たら、ハゲが拡大している。これはいかんと、獣医のとこへ連れていくことにした。

ところがその考えが甘かったことが間もなく判明。檻にどうしても入ってくれないのだ。愛用の毛布やエビのぬいぐるみを入れて、誘導するけど、恐ろしい力で私の腕から逃げ出す。
獣医の先生に電話して「どうしましょう?」と聞いたら、“SOS獣医”という24時間態勢のサービスがあるからそれを呼べという。往診料は100ユーロ!獣医は、連れていったって高い(60ユーロくらい)、当然保険もきかない。檻に入れるための格闘を考えれば、まあしょうがないか。

“SOS獣医”に電話すると、40分くらいでシュワルツネガーみたいな大男が、キャンプに行くような大きなかばんを持って現れた。この大男はすごい靴音をさせて猫を追いかけ、ベッドの下に逃げれば、ベッドを軽がると持ち上げ、とにかく怖がらせることにかしないのだ。
アナイスは護りから攻撃態勢になった。歯をむき出し、今にも飛び掛ろうとする。「そっちがその気なら、こっちにも考えがある」とシュワルツネガー。「なんです、考えって?」と私。「網で捕まえてやる」と、彼はサディックな笑いを浮かべて言う。取り出したのは昆虫採集の網の5倍くらいあるやつで、それでアナイスを捕獲しようというのだ。

「やめてください!」と私は叫んだ。「そんなことしてアナイスのトラウマになって、神経症になったら困るから、やめてください」
というわけで、シュワルツネガーは何もせずに100ユーロのチェックを持って帰っていった。といっても必要なことは聞きだした。
Q:もし、取り押さえられていたら、どんな治療をしたか?
A:まず背中の毛を刈り取って(!)消毒、その後、毎日、抗生物質を飲ませる。
Q:このまま放っておいたらどうなるか?
A:皮膚病は、時間はかかるけど放っておいても治る。
Q:これ以上広がらないようにするには?
A:外に出さないほうがいい。ハエや虫と接触すると化膿することがある・・・などなど。

アナイスはハゲを気にする様子もなく、シュワルツネガーのことも忘れたような顔をしている。診てもらえたとしても、この猫に抗生物質を毎日飲ませるなんて不可能だから・・・と自分を慰める私だ。
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