ロベールの初仕事

アルバイトの“営業”に来て以来、果たしてロベールは毎日電話してくる。誰も仕事を頼んでくれないと嘆く。
「今日は(今日も!)頼むことないわ、ごめんね」
どうして私が謝るの?と思いつつ、何か手伝ってもらうことなかったかなぁと考える。ミニチュアカーを買いたい、と言っていた。貢献したいもんだ。

ついにある晩、ロベールに電話。
「モシモシ、アルバイトのこと、お母さんは知ってるの?」
「うん」
「宿題は?」
「やった」
「じゃ、20分後にモノプリの前に来てくれる?買い物、持ってほしいの」
「うーん・・・今夜は難しい」
時間は19時半だった。
「わかった、じゃまた頼むね」
「それはあまりに残念だ。ちょっと待って!」
ママン、お願いねぇお願い!と懇願する声が聞こえ、
「大丈夫、服着てからすぐ行く!」
やだ、もうパジャマだったの・・・

先に着いた私がヴィネガーやオイルや8個パックのヨーグルトや重いものを買っていると、時間通りにロベールがやってきた。
「はい、じゃ今からね」と携帯のストップウォッチを押す。来るまでの時間は入れてないのね、なかなか良心的。
買い物が済むと、彼はセルフのレジに行き、慣れた手つきで次々バーコードを読ませる。私は払うだけ。
ニコラでワインを2本買い、ロベールは両手に荷物を持ち、私のケータイで遊んでいる。うちに着くと、
「20分しか経ってない」
「20分でも5ユーロよ、タクシーだって最低料金があるでしょ」と言うと、顔がパッと明るくなった。
「ところであなたが欲しいミニチュアカーっていくら?」
「275ユーロ」
「 !!??」
私はせいぜい50ユーロくらいと思っていた。
「つまり30分のサービスを55回やらなくちゃいけないってこと」
ちゃんと計算してるんだ。
ロベールは5ユーロ札を受け取り、
「じゃーね、いつでもお申しつけください!」
と叫ぶと駆け出して行った。
あと270ユーロ・・・ミニチュアカーはまだ先の先だ。


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コメント
逞しいですね。怒鳴る養母にもめげず、欲しいものを手にいれるために、頭を働かせて実行に移す。全く物怖じしない男の子。子供の頃の私はロベール君の性格とは正反対だったので羨ましささえ感じます。
275ユーロ、55回…。
ロベール、本当に逞しいですね。
あと54回…。
そうやって、自分の力で欲しい物を手に入れていこうとするロベールは大人になったら、起業家になったりして。

ディオール展、夏にパリに行った後に知りました。
あ〜、行きたかった…。
終わるまでに、行けそうもないかも…。
読んでいて笑みがこぼれました。かわいいですね、ロベール。
困ったちゃんの傾向もあったようですが
非行に走って暗黒面に落ちることなく
知恵のある頑張り屋さんの少年に育ったのは
長谷川さんたちご近所の愛情の賜物ではないでしょうか。
このアルバイトが母親に禁止されることなく継続できることを願ってやみません。
Re: ひよこ様
何月にパリにいらしたんですか?
フレンチ・コードの記事は7月末に出ましたが残念!
Re: ミライ様
言われる通り、つい最近まで、非行少年間違いなしという子でした。
ただのお隣のオバサンに何ができるか疑問ですが、私に話すようになったのは嬉しいです。
(^^)
ロベール君のたくましさとたか子さんの優しさに読んでて微笑んでしまいました(^^)
クリスマスプレゼントに買ってあげたいくらいですが、自分で稼いだお金で手に入れる喜びも味わわせてあげたい。(^_^;)
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プロフィール

Author:長谷川たかこ

この国に住もう!と決めたのは13歳のとき。それが実現したのは10年以上経ってから、それから30年の月日が流れました(計算しないで!)
現在フレンチ・コード主宰。訳書多数、著書3冊。夫1人、子供2人、猫2匹と暮らす騒がしい毎日。映画と料理とデビッド・ボウイが趣味。


長谷川たかこ

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